プリキュア 仮面の異形譚   作:慟哭の愚行
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投稿が遅れて申し訳御座いません。
納得が出来るまで試行錯誤してどうにか完成しました。
尚、本編の投稿はまだ先となります。展開上ではこちらの今話と戦闘描写が類似してしまうので。

そして今話の最初の辺りでダークドリームの言動に違和感を感じるとは思いますがその原因は最後まで読まれたのなら分かる筈です。


微睡みのD/嘲笑うS

「はぁぁぁあ!!」

 

 白い肌を晒す掌から放出、無数の閃光が弾道を作り出す。それによって赤黒の弾幕が異形の周囲を包み、逃げ場を封鎖する塞ぎ場と化す。

 

「実に厄介ね」

 

 異形は生々しい手から淡く透ける蝶の群れを生成。視界全域に広がる光弾の軍団に向かって見境なく解き放つ。

 

 その三秒後、衝突。

 爆音を轟かせる炎が照らし、二つの人影を地面に作り出す。撃ち終えた後には跡形も無く、綺麗さっぱりと消失していた。

 戦乙女(ダークドリーム)に転身した彼女はその光景を見詰めると手を固め。

 

「ふっ!!」

 

 地面を蹴り壊して瞬発。

 適度な間合いに至る瞬間、弱々しさを連想させる細い腕を振り放つ。

 だが振り翳す速度は風を裂き、疾駆する。

 

『……』

 

 紅色の手甲で拳を弾き返し、空いた右手を握り締めてからのストレート。

 現実味を帯びない速度が鮮やか顔立ちを捉えるが遮る右掌が受け止め、瞬間的に握り締めて異形を逃さない様にありったけの握力で封じる。

 

 掌を通して伝わる異常な体温に彼女はより一層、警戒が募る。それに比例して異形に対する僅かながらの不気味さが目立つ。

 

「貴方は何者?」

 

 意を決して口から吐き出されたのは敵への問い掛けであった。現状の把握にはこれだけの手立てしか無い。

 だが相手が答えるかは別だ。

 

「───、暑い」

 

 異形の手の体温が上昇、共に右腕に淡い桃色の粒子が溢れ出る。

 異様な状態に彼女は異形の思考を読み取り、対抗して右腕に胸部の結晶からエネルギーを循環。赤黒いオーラを纏う。

 

「やっぱり、答える気は無いか」

 

 歪み、欠落した浄光。

 汚染、上塗りされた浄光。

 大地に電流を撒き散らし、大気は震え、双方の光は膨張する。

 

「なら徹底的に痛み付けてから、じっくりと吐き出させてあげる──!!」

 

 融合、縮小、拡大、爆発。

 球体状に混ざり合ったエネルギーは破裂。それによって起きた爆風に伴い、彼女達は爆発地点とは数十歩離れた地点へと別々に弾き出される。

 猛威的に後方へと下がる肉体を両足で地面を抉り取りながら、停止。

 下げた顔を前へ、視界に映ったのは同じ体勢を取る異形の姿。

 

 地面を踏み締め、適切な体勢へと整えると一踏み。脚がバネの役割を果たして、彼女を異形へと近付ける。

 間合いへと侵入した彼女は異形の横側面に蹴りを入れようとする。

 

 身を屈んで回避。頭から通り過ぎる足を確認し負えると足払いを仕掛ける。

 彼女は跳躍して躱す。

 重力に逆らい、空中に跳ぶ身体は一瞬停滞すると地面に落ちて行く。失陥位置には異形が佇む。

 

 片足を突き出し、ドロップ。

 踵落としが異形の肥大した肩に突き刺さる。

 更に両足で首を絡め締め、全身を右に捻って地面に頭部から激突させる。

 大規模な激突音と小規模のクレーターが一瞬で周りに深く刻まれる。

 

 数歩の後に岩盤が出来た場所から遠き、構え直す。岩盤先を両目で凝視───刹那。

 岩盤から残影が飛び出し、助走を付けて彼女に拳を振るった。それを予測した彼女は美しき美貌に届く瞬間に顔を反らし、カウンターとして左拳を振り抜く。

 残影を残した異形もまた顔を反らして反撃を回避。

 

「ふっ!!」

 

『──!!』

 

 引き伸ばした片腕を両者は引き戻し、全身を駆使した回し蹴りへと移行攻撃。

 彼女は時計回り、異形は反時計回り。

 一周回した蹴り技同士は衝突。

 散らばる砂粒が空へ浮く。

 

 だが。

 

「──、クッ」

 

 力負けしたのはダークドリーム。

 無用に大地を転がり、建物へと引き寄せれるが如く衝突。口から強制に空気が吐き出され、身体に衝撃が響いた。

 そして異形は建物に寄り掛かる彼女にオーバーハンドを大振りで追撃。両腕で防御の体勢を取るが威力と圧力で建物にのめり込んで吹き飛ぶ。

 

 更なる反撃に撃ち込もうと人外の脚力で吹き飛ぶ彼女の背後に回り込み、最大の必殺で捉えようと腕を伸ばした。

 吹き飛ぶ彼女は身体を半回転、視線が交差した瞬間に指先に溜めた光弾を腹部に炸裂させる。

 

 地表を水平に飛ぶ異形は家内を壊して不時着。瓦礫に埋もれた身体を起こそうと立ち上がるが光弾の荒雨が降り注ぎ動作を制限する。

 

「これで倒せる───訳じゃないか」

 

 数百に及ぶ光弾を異形に浴びせた彼女は突き出した両手を下ろして、瓦礫から抜け出したそれを見詰めた。

 

『適合値、五十突破』

 

 背中に携えた蝶翼。

 それは蛹から孵った異形の何処までも歪な姿であった。故に彼女は警戒を高める。

 

「────早い!!」

 

 ───だが無駄だった。

 視覚内で不規則に動いた桃色の残像、背中に感じた圧倒的な気配。

 その後の行動は素早かった、身体を半回転した勢いを乗せた裏拳で顔を狙うが醜態な片腕がそれを阻む。

 

『……いい加減にして』

 

「!!」

 

 男性と女性の声が混ざり合った殺意は視線で彼女を射止める。まるで化けの皮を剥がしたが如く。

 

『その身体から離れて。その身体は貴方の物じゃない、その心は貴方の物じゃない、その記憶は貴方の道具じゃない────彼女を返せ!!』

 

 異形の片手が彼女の腕を掴み、拘束。

 悪霊に似た執念さが異形からは感じられた。

 

「───フフッ」

 

 だから彼女は嗤い、眼を閉じた。

 

「なんだ、バレてたのね」

 

 二重旋律を奏でる、悪意を暴け出した声。

 

「まぁ、どうでも良いか」

 

 彼女の姿がぶれる。

 胸部の結晶が淀み、右側の下半身と左側の上半身が結晶に侵食。更に髪は深青に染まり、身体はより病的までの純白な肌を晒す。

 

「貴方を此処で殺して、ドリームコレットを奪って───」

 

 眼が開かれる。

 

「──プリキュア達の絶望する光景を見れば私にとってはどうでも良い事なんだから」

 

 桃色の宝石は深緑色に堕ちていた。

 

「このシャドウ様にとってはねぇ!!」

 

 全ての元凶は此処に有り。

 シャドウ、復活。




・彼女の復活原因はシャドウでした。
シャドウの目的は自身を倒した者達への復讐と願望を叶える装置の回収。
彼女を復活させたのは自身の都合の良い隠れ蓑、或いは彼女の友達の絶望した顔を見るためと言う悪趣味極まり無いもの。

・シャドウは何故生き残っていた?
極端に言えばシャドウの遺志の欠片です。プリキュア達に浄化される一秒前に危機を感じた彼は偶然にも転がっていた結晶に自らの一部を移植。
その結晶がダークドリームの物だっただけの話。

・復活方法
シャドウ自身が結晶に潜伏していた期間で溜めた数年間のエネルギーを使って肉体を一時的に復活。
気付いた人は居ると思いますが復活した時点で本編は終了しているので願望器回収は不可能。
哀れ。

・余談
彼女の結晶は破壊された。
破壊されたのだ、決して浄化された訳では無い。
浄化の意味は悪いものを取り除くと言う事。
ならば、悪いものが取り除かれなかった結晶は?
だからダークドリームの遺志は微睡みに眠りながらも結晶内に残留しました。
浄化された他四つの結晶とは違って。


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