ガンダムビルドダイバーズ Re:スタート   作:aki@ガンプラ

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二章もコレを含めてあと2~3話で収まると良いな~・・・なんて願っている主です。
もっとコンパクトにまとめられる技術が欲しいですね。


第二章 「それぞれの想い」 4話目

デブリ帯付近での戦線から補給ベースに戻ったアタッカー2は、先程までの戦闘内容を仲間と共有していた。

逐一チェックをしていたオペレーター陣も加わっての作戦会議だ。時間は殆ど無い、全てはフォースリーダーであるカイエンの采配にかかっている。

 アタッカー2がまず何より優先して報告したのは、例の実態剣の事であった

 

「見た目はサイコフレームに見えた、なんつーかサイコフレームで出来た剣だよ?正直何がどういう理屈なのかはわかんねーけど、とりあえず分かってることは・・・アレはビーム刃で受け止めれないって事と、フェイズシフト装甲でも耐えられないって事だ。他には~・・・アレだ、ユニオンフラッグのソニックブレイドみたいに振動してたぞ」

 

手当たり次第に情報を垂れ流す、オペレーターの一人として参加しているビルダーのミサキはその断片的な情報をまとめ、ガンダムシリーズの中にある兵器の中から近いモノを記憶から掘り出すべく思案する。

ミサキが考えてくれている間に、カイエンは黒兵衛と共に作戦を変更する為に話し合う

 

「黒兵衛、エインヘリヤルの予想経路はどうだ?」

 

現在、エインヘリヤルをレーダーに捉えている機体はガンナー1のグシオンリベイクフルシティだけだ。牽制射撃を行いながら、リソースを削ってもらっている。

 だが、コレはグシオンのリソースとのトレードオフだ。

巨大アームドベースの方がリソースは多い、グシオンの方が先にスッカラカンになってしまう、時間の捻出といえば聞こえは良いが相手のほうが機動力が高い、振り切られずにいるガンナー1の実力に感謝しなければならないのだが・・・

 

「すまぬ、団長。某が甘かったやもしれん・・・ガンナー1の奮闘も虚しくほとんど時間は稼げておらん、経路というほどのモノすらない、補給ベースに一直線だ。5分もせず此処が戦場になる」

 

「そうか・・・補給ベースを使えるのはコレが最後になりそうだな、残す手は・・・俺を切ってでも巨大アームドベースと相打ちに持ってくしかねーな、まったく!何処で間違えた?やっぱ10機編成にするべきだったか?

でもどうやって【ラピッドストーム・ドライツバークバスター】を止める?間違ってないはずだ・・・なのに!」

 

苛立ちを抑えれないカイエン、彼は作戦を立案したリーダーとしての責任に応えれないのが悔しかった。

 間違いは無かったはずだった、防衛ベースを2分半ほどで貫通する手段を持つ敵が居るのだからこの手は最適解であり安全策だ。

作戦通りならエインヘリヤルのリソースを削ったままコチラの損害は未だ出ていない・・・という予測で立てた作戦であったが、今の現状を振り返って見てみれば、相手のリソースは想定より奪えた代わりに、コチラの被害は2機大破。まったくもって笑えない

 

「・・・はっきり言ってしまえば、S・Aが接敵出来た時に焦った団長の失態であろうな」

 

黒兵衛は個人回線であることを踏まえて、彼をそう叱責した。当然カイエンもコレを理解している、黒兵衛という男は自分の暴走を止める事も役割なのだから。と

 

「わかってる・・・一気に畳み込めると踏んで突っ込ませた、早々にケリをつけてあの野郎の鼻っ柱を折りたかった・・・その結果がコレだ」

 

時間はない・・・取れる手段は殆ど無い、やるべきことをやるのだ。オロバスは元々囮を兼ねてこの戦場にいる。

【勝利のため】 やられる役を背負って俺は此処に立っている・・・覚悟を決めろ

 

「・・・総員に通達!作戦を予備プランに変更する、アタッカー2は修繕を切り上げて装備の換装をしろ、腕はもう使えねーから取り外せ!ガンナー1、【アレ】はまだ使ってねーだろうな?準備しておけ、そんでS・A!」

 

最後に我らがエースに告げる

 

「はい、団長!僕は?」

 

「結局、最後はお前に頼ることになった。俺が、俺達が道を作る。

お前がアレに真っ直ぐ向かっていけるだけの・・・細くて脆い勝ち筋をな、俺はおそらく此処で退場だ、その後の指示は黒兵衛が出す!」

 

分かったな!?と全員に最終通達を終える。

 

次の攻防が、おそらくこの戦いの最後となるだろう・・・試合に臨む者達も、観戦している者達も、皆が皆そう感じていた。

【もっと長く続けばいいのに】と、少なからずの人間が思い、終わってしまう事を寂しく感じながら・・・

 

 

ソロモンの悪魔達が作戦を固めている間、ユウジン達は彼らの居る拠点ベースを目指して真っ直ぐ突き進んでいた。

 だが、相手も素人ではない・・・当然タダで進ませてはくれなかった。

今、エインヘリヤルはグシオンリベイクフルシティの改造機を駆るガンナー1に逐一ちょっかいを出されている状態だ。

 

スピードを上げて振り切ろうとすれば進行上にミサイルを撒かれ、牽制射撃を行えば即座に引く、それでもコチラに離されまいと一定の距離は絶対に守ってくる。

とてもやり辛い相手だと、ユウジンは素直に相手の実力の高さに嫉妬した。

 

火線の量も質もコチラは圧倒している。

 今はだいぶ減らされてしまってはいるが、スレイプニルに搭載されている火器、弾薬は並の砲戦用モビルスーツ数機でも足りないほどだ。

 

その火力の差をたった1射のタイミングの差で埋められる・・・コレまでもユウジンは、操縦技術の差が顕著に出る格闘戦は仕方ないとしても、装備の差が顕著に出る砲戦に於いてはそれなりに自信を持っていた・・・

しかしてそうではなかった、砲戦に於いても操縦技術、というよりは戦闘技術か?そういった個々のダイバーの腕は確かに存在しているのだ。

 

「ちくしょう・・・!アッチだって結構撃っただろ?なんでコッチのスレイプニルと砲撃戦でイーブンに出来るんだよ!」

 

ユウジンはついてもしょうがない悪態をつきながら、懸命に前へと進む。

 そのスレイプニルに設けられたコクピット内部に設置されているオペレーターブロックの中に居るリンも、先程の戦闘での衝撃から立ち直ってサポートに戻っている。

 

「センパイ、大丈夫です。お相手さんも、落とせるだけの弾薬が残ってないから妨害に徹してるんだと思います!」

 

あぁ、そうだ・・・リンの言う通り。落とせるほどの火力がアノ機体に残ってるなら、もっと攻めてくる筈だ、ソレをしてこないって事はどうしても味方と合流する必要があり、その味方の方が準備できていないって事のはず・・・なのに

 

「なのに!あのグシオン・・・なんで左のサブアームしか使ってこないんだ?」

 

???を浮かべるリンは今一度グシオンをジ~っと観察する。確かに、ユウジンの言う通り左のサブアームには大型のミサイルポッドが装備されているのに、右は何も装備していない・・・

 

「ホントだ・・・センパイ良く見えましたね。センパイの眼ってどうなってるんです?」

 

ガンプラバトルにおいて、ユウジン本人が持つ唯一無二の武器である動体視力は敵の戦力を割り出す上でもかなり重宝するようで、リンは自分のことじゃないのに少し誇らしかった。

 だが、謎は増えただけで何も解決していない・・・ユウジンもまたカイエン同様に作戦を決めなければならない、フォースの勝利のために全ての責任を背負って采配を下すのだ

 

取るべき道は2つ・・・

 

一つは、今戦っているグシオンを撃墜してからゆっくりと相手の補充ベースに向かう作戦。

グシオンの残弾は間違いなくギリギリだ、砲戦型のモビルスーツにとって弾薬が無いというのは戦闘力が無いに等しい、今のユウジンにとってタイマンで負ける要素は殆ど無い・・・

だが、もしソロモンの悪魔が既に、このグシオンを捨て駒としてエインヘリヤルに貼り付けている。という事態であった場合、相手は時間を必要としていて、自分はまんまとその策に乗せられて相手に時間を与える結果になる・・・

 

そして、もう一つはこのままグシオン共々補充ベースに向かい、補充を受けているデスティニー共々この2機を倒す作戦。

補充を受けているデスティニーとグシオン、流石に2機を捨てるなんて事をすれば勝算は限りなく低くなる、必ず残りのモビルアーマーとGフレームも戦闘に加わってくる・・・

 

つまりは総力戦だ、作戦も何もない力任せのぶつかり合い、下手に策を練る前にこの状態に持っていけるのはコチラとしてもありがたい。

 だが、この作戦にも当然デメリットが有る・・・それは未だ見えないデュートリオンビームの存在だ。もし、相手がGフレームを隠密で行動させてコチラを奇襲する作戦を考えていた場合、デュートリオンビームを見てから行動する時間がコチラに無い可能性が高い・・・

 

ユウジンは作戦を口で喋りながらリンにも伝わるように考える・・・リンもソレを聞きながら頭を捻ってくれるからだ

 

「センパイ、もしデュートリオンビームが確認できたとして、ソコからモビルアーマーまで突貫する手段って有るんですか?それなら、Gフレームの奇襲も失敗すると思うんですけど」

 

有るには有る・・・元々2つ有ったからな、一つはスレイプニルのブースターが潰されたからもう不可能になったけど

 じゃあ、あと一つは?というリンの質問に答えづらそうに、眉間にシワを寄せながらユウジンは答える

 

「・・・スレイプニルをパージして、全ワルキューレをエインヘリヤルにドッキングして突貫する方法だ」

 

エインヘリヤルを作る際に偶然見つけた、9枚装備できないこともないワルキューレ。全ての盾の推力をモビルスーツ一機の為だけに使えば、そのスピードは凄まじいモノになる・・・反面真っ直ぐ飛ぶ以外のコントロールは困難になるが、距離を詰めるだけならこれ以上のモノはない

 

でも、それはリンをその場に置いていくと言うことになる・・・我らがフォースのリソース源そのものであるスレプニルを相手が放って置いてくれる訳がなく・・・間違いなく袋叩きに合うだろう。

 今まで何度も負けてきたけれど、俺はリンを置き去りにしたまま負けたことだけは無い・・・コイツは元々、ガンプラバトルの様に互いを兵器で攻撃し合う事があまり好きな娘じゃないのだ。

沙耶が言っていたとおりの【観戦者】であり【応援者】だったのだ・・・なのに、俺がFAWに出ると言った時にリンは、即座にオペレーターをやると言い出した。

 

 俺のガンプラの近い場所にオペレーターブロックを配置するアイディアも、元々はリンのアイディアだった。怖いくせに俺と一緒にずっと戦ってくれていた、そんな後輩を置いていって良いのか?リーダーとして、先輩として、男として、あまりにも情けないのではないか?

 

雄二は首を振って言ったことを取りやめる

 

「やっぱ、無しだ。コレは正直やったこともないし、出来る保証だって・・・」 

とその言葉に食い気味にリンは声を上げる

 

「出来ます!」

 

びっくりしてリンの顔が見えるコンソールを見る、怖いのか怒っているのか・・・肩を震わせ、必死に俺を応援している後輩の姿がソコには在った・・・

 

「センパイが、思いついたんだから、絶対できます!この子は、ソレを可能にするためにセンパイが作ったんです、出来ない筈がありません!

私だって、戦ってきました。ずっと・・・ずっと一緒に戦ってきました!センパイのお荷物にだけは・・・絶対にならない!」

 

「リン・・・・おまえ」

 

ユウジンは、リンは俺を手伝ってくれる優しい奴だと思っていた。でも違ったのだ、この娘も俺と同じ様に何かに抗い、戦おうとしていた。

 ・・・俺は、酷い誤解をしていたようだった。コレじゃ相棒だなんて口が裂けても言えやしない。

だから決めよう、フォースのリーダーとして、先輩として、男として、コイツの勇気を信じよう!

 

「分かった、リン!おっかねーと思うけど・・・ 【後は任せた】!」

 

「・・・はい、任せて下さい、センパイ!」

 

俺達の腹は決まった!奇襲でもなんでもやってこい、俺達は真正面から全部叩き折ってやる!

 

スレイプニルへの被弾を覚悟でスロットルを全開にする!

グシオンは撃ってこない!?やっぱり弾がほとんど無いみたいだ、ナイス踏ん切りの良さだったな。

 

 

 

ガンナー1は即座に今の状況をオペレーターに報告する。どうやってコチラの残弾を読んだのかは分からないが、突如最大速度で補充ベースへ舵を取ったのだ・・・相手はもうどうするか決めたと見ていい

 

「ガンナー1より!敵機が猛スピードでソッチに向かった、予想より速くソッチに着くぞ!俺の作戦ポイント到達までどうすりゃいい!?」

 

[コチラ、オペレーター。ガンナー1は直ぐに作戦ポイントまで移動を開始して下さい、デュートリオンビームの発射タイミングをずらします。その代り・・・時間は]

 

「俺が稼ぐ!安心しろ、ガンナー1!」

 

そう意気込むのは、左腕を取り外し、右腕にキマリスヴィダールの予備のドリルランスを装備したデスティニーだった

 

ユウジン達も、ソレを目視で確認する。スピード重視の機体に重装備を積んできた?

 

「センパイ!敵機のデスティニーの装備がキマリスのドリルランスになってます、あとアロンダイト2本刺しだった背中のラックも片方が大砲?になっているようです!」

 

「ビーム砲には見えないが・・・とにかく修繕も補充も完璧じゃない!此処で落とすぞ!」

スレイプニルに付いている、オーキスのメガビーム砲を撃ち込みながら、NTーDを発動して突撃する!

 

左手にグリムゲルデを、右手にグラムを構えての騎馬戦さながらの突撃である!

 ソレを、待っていましたかとデスティニーはメガ粒子砲を躱しながら、大砲?が備わっているラックを可動させコチラに向ける。

 

「こっちのグリムゲルデの装甲はそうそう抜けない、行ける!」

更に加速させるユウジン

 

だが、相手はその大砲に・・・【ドリルランスを接続させた】ではないか!?

 

「センパイ!!アレって・・・ダインスレイヴ!?」

 

「マジか!くっそぉおお!」

 

全力で右へ舵を取る、いつもの引き伸ばされる感覚の中、必死にユウジンはスレイプニルの左にあるマルチプルフェンサーを使い、なるべくエインヘリヤルをカバーするように向けての全力回避!

 

「チーム内で装備をやりくり出来るようにするのもトップランカーの常なんだよ!わかったか?ユウジン!」

 

キマリスヴィダールの連結式のダインスレイヴが発射される!一直線に走った閃光は、スレイプニルのマルチプルフェンサーを貫通し、多少逸れた弾頭はそのままタワーシールドのように広がっているグリムゲルデを貫通して、残った右のミサイルコンテナブースターを穿ちぬく!

 

被弾した装備をとっさに全てパージしながらも速度を落とさず突っ切るユウジン。そのまま後方で起こる爆発の被害圏内からは即座に逃げおおせた。

幸いにもマルチプルフェンサーもミサイルコンテナも対して弾が入っていなかったため被害は軽微と言っていい、ただ、グリムゲルデを失ったのは大きい・・・アレにはまだビームマグナムブルパップの弾倉が2つは入っていたからだ。

 

「センパイ、今の被害でスレイプニルに搭載されてる全ミサイルは残り27発です!ヴァルトラウテのミサイルは18発!」

 

嘘だろ・・・?もう、ソレしか無いのか・・・確か300発近く搭載してたはずなんだけど。

 ユウジンが冷や汗をかきながら肝を冷やしていると同じく、相手のアタッカー2もまた、あの距離からダインスレイヴをギリギリ回避してみせたエインヘリヤルに冷や汗をかかされていた。

 

「あの距離からでも・・・墜ちないのかよ!一体なんだよ、あのアームドベース!!」

 

彼の射撃の技術は決してガンナー1、2程ではないが、それでもトップランカーのレギュラーメンバーだ。通常であればこの一発で終わっていた、だが相手は未だ健在・・・ガンナー1のポイント到達までどうにかしなければならない。

 

ユウジンもまた、時間がないのは同じだった。

囲まれる前に叩きにかかり、デュートリオンビームを頼りにモビルアーマーを倒す。それも、スレイプニルが大破させられる前にだ。リンを信じた以上、彼もその勇気に応えなければならない・・・

 

故に、この二人の取る行動は奇しくも合致する!互いにドリルランスとグラムを手に握りしめ、スロットルを全開に突っ込む!

 

「「いくぞぉおお!」」

 

スレイプニルを装備している巨大質量のエインヘリヤルと、光の翼を展開している超高速のデスティニーが衝突する!

回転するドリルランスと鍔迫り合いになるグラム・・・だが、グラムが持つ振動破砕は長大な鉄塊のドリルランスであろうとも徐々に切断していく!

 

キィイイイイイイイ!と金切り音を上げて割れていくドリルランス、もう少しで両断というところでデスティニーは咄嗟に槍から手を離し、背中にマウントしてあった太刀を抜き放つ!

 

まさに一閃、卓越した技術が為せる見事な一太刀であったが、ユウジンの眼は逃しはしない!

振り抜こうとしていたグラムをその姿勢から引き太刀を受ける、またしても金切り音が上がり火花が散る・・・しかし、ランスの時とは手応えが違う!?

 

 レアアロイ製で出来ている太刀は、少しづつ損耗してはいるもののグラムの高周波ブレードに耐えてみせたのだ!

 

「やっぱり!この素材なら多少は耐えれるみたいだなぁ!2~3合程度か?それでも十分だ!」

 

片手のデスティニーは手首を捻ってグラムを外へと受け流し、そのまま横薙ぎに斬りつける。

 

「クッ・・!」

 

咄嗟にユウジンも左手のワルキューレのみとなった盾でソレを受ける。火花を上げ、盾の表面に一筋の太刀筋が走る!

 

負けじとエインヘリヤルも流されたグラムを切返し、直接コクピットを狙って切り上げる。

デスティニーはその切り上げに対して、体を捻り太刀でグラムを受け止めてみせる。

本当に上手い・・・このままでは相手の戦術に押し負ける!

 剣の扱いはあちらが上、ならばと今度は押し切らず逆にグラムを押し当てるように機体ごと相手に向かって体当たりをぶちかまし、そのままスレイプニルのスラスターを全開にする!

 

「悪いが、この質量そのものも、エインヘリヤルの武器だぁ!」

 

「な!?ゴフッ・・!」

 

凄まじい加速Gに、コクピットの壁に叩きつけられるアタッカー2、このまま相手の補給ベースに直接ぶち当てる!!非破壊オブジェクトへの激突となれば、軽量なデスティニーはひとたまりもない。

 それにいくらスピード重視の機体だろうと、この質量を押しのけて離れる事は出来まい。そのままベースに激突する!・・・その瞬間鳴り響くアラート!

 

ビー!ビー!

 

「センパイ、真上からGフレーム!雷切装備!!」

 

「此処で来たか!?クソッ・・・曲がれぇ!!」

 

機体を全力で旋回させる、デスティニーは加速Gの拘束から解けて飛んでいくだろうが仕方ない

 

ザン!!

 

という音が聞こえてきそうな程の鋭い一閃!!左の旋回砲塔と脚部スラスターユニットをまるごと両断される!

旋回してなければエインヘリヤルごと真っ二つだっただろう・・・

 徐々に足を奪われ続けるユウジン、S・Aの奴・・・補給無しでやり合うつもりか?

 

「ユウジン、まさか今の一太刀を躱せるなんて・・・本当にその機体は君を一線級のファイターに昇華させたんだね」

 

「言ったろ?・・・皆で此処まで来たんだよ、俺達【ユグドラシル】はな」

 

コレから決闘でもしようかという雰囲気の二人の間に割って入るのも悪いと思いつつも、アタッカー2はS・Aに通信する

 

「S・A!なんで此処に?まだ出番は先だろ?」

 

「ごめん、その前にアタッカー2が落ちると判断した・・・多少変わるけど作戦に支障は無い、ガンナー1も配置についた・・・始めるぞ!」

 

S・Aのその言葉を皮切りに声を上げるカイエン団長

 

「いくぞ、野郎ども!この一手で俺達の勝利だ!」

 

Gフレームが突然明後日の方向に飛ぶ、ソレを目で追っていたユウジンにリンが叫ぶ

 

「センパイ、デュートリオンビームです!Gフレームへの妨害はこの距離だと不可能です!」

 

「気にするな!妨害できる状況じゃどうせ撃ってきやしないんだからな、なるべくスレイプニルで近づく!合図したら切り離すから・・・頑張れよ、リン!」

 

「はい!」

 

いつもとは違い、キチンと顔を見て返事を聞いてスレイプニルを疾走らせる!

 デュートリオンビーム送電システムは、補給を受けている間は送受信者共々動けないという制限がある。

動けない間にデュートリオンビームを遮ったりすれば妨害できるのだが、相手だって馬鹿じゃない、補給が終わるまでの間に妨害可能な位置関係で撃ったりはしないのだ。

 だから、今動けない内にモビルアーマーをコチラの攻撃圏内に捉えなければならない、この試合中に何度もGフレームに補充されたらコッチに勝ち目はない!

 

「リン!リソースは?」

 

「残存エネルギー、スレイプニル38%。エインヘリヤル70%」

続けざまに残弾も知らせていくリン

 

「ミストルティン残弾5、ビームマグナムブルパップ残弾15、ワルキューレ9枚、グリムゲルデとシュヴェルトラウテ無し、残り兵装は7種類です!センパイ」

 

最後の秘策を込みにしても、後これだけ・・・泣いても笑ってもリソースは増えたりしない、本当にコレだけで相手を全て倒さないとならない・・・そう考えていると、レーダーにグシオンの姿を捉える

 

「グシオン?なんでこんな位置に・・・?」

 

もう、残弾は殆どないはずのグシオンリベイクフルシティが其処には居た。

グシオンはデブリの隕石に乗り、実弾火器のミサイルやロケット砲を全てパージする。残ったのはビーム砲くらいなモノなのだが・・・

 そう考えを巡らせているユウジンとはうって変わって、ガンナー1は静かに物思いに耽っていた。

 

「まさか・・・ホントにコイツを使うなんてな。最初は団長も正気かと疑ったが、俺ももう疑う余地はない、アレは・・・【コレ】が必要な怪物だ!討たなきゃならねー、勝利のために!」

 

このグシオンは、本来腰にマウントされているはずのシザーズ可変型リアアーマーの代わりに、鋼鉄製の筒を半分に割ったようなデザインのリアアーマーに変更されいる。

 グシオンはソレを手に取り、リアアーマーを折りたたむ。すると巨大な鉄パイプ?

見方を変えれば、砲身?のような形状へと変わる。一見すれば鉄バットのようにも見えるだろう、実際ユウジンにはそう見えた

 

「なんだ、格闘用の装備か?あの機体で格闘戦は無理があるだろう」

 

そもそもスレイプニルに追いつけない、無視して良いはずなのに・・・どうしても気になってしまう

 

「コレ1発でフォース全体のリソースの10%だっけか・・・ほぼモビルスーツ1機分だなんて、後にも先にも撃てる機会なんてもう来ねーかもな」

 

グシオンの右のサブアームが展開し 【何かの大砲の機関部】 が顕になる・・・ソレに先程の砲身がドッキングする!

 

ユウジンは、アレが何なのか・・・即座に理解した!自分が0083好きで良かったと、心の底から感謝した、なにせ・・・アレは!

 

「う、嘘だろ・・・たった一機に!たった一機のモビルスーツ相手に・・・! 【アトミック・バズーカ】   を持ち出すのかよぉぉおお!?」

その叫びにはリンも流石に声を荒げる!

 

「大人げない!!いくらなんでもソレは大人げないですよ!チャンピオンフォースがやっていいことですかぁ!?」

 

艦隊を一発で沈めるほどの威力を持った戦術核弾頭、ソレをキチンと運用可能な様に設計された装備。

このFAWに於いては月光蝶やサテライトキャノンと並ぶ、超高コストな装備である。

 コレらの装備は、ほぼモビルスーツ一機分のリソースを使用してようやく一発撃つことが出来る。それほどの代物だ、チームで戦う事を考えるとどうしても使いづらい。

 だがこのFAWに於いても、防衛ベースアタックにチャレンジしては失敗してきたフォース連中がしょっちゅう使ってた為か、割と見る機会があるのだが・・・

 

「モード・・・時限炸裂モードっと・・・さーて、やっぱコレ撃つならアレは言っておかないとなぁ?」

 

サイサリスに乗っているわけでもない上に、大事な試合中だが、ソレでも言いたいお約束というものが有る。分かるぞ―、俺も逆の立場ならすごく言いたい

 ガンナー1はわざわざ通信をオープン回線に変更し、一度深呼吸をしてから大声を上げるためにもう一度、スゥ・・・と大きく息を吸う!

 

「ソロモンよぉ!私は帰ってきたぁ!!!」

 

発射される核弾頭!その核弾頭はスレイプニルの進行方向に置かれる様に撃ち込まれ、時限式によって臨界に達して起爆する・・・

 

眼の前に球体状に肥大化していく光と熱、触れるデブリが即座に消し飛んでいく様はまさに究極の大量破壊兵器と言っていい

 舵を切り避難したいユウジンだが、切りすぎると今度はモビルアーマーへの奇襲が困難になる。完全に諦めきるには惜しい・・・そんな絶妙な位置に撃ち込むガンナー1の腕前には、悪態すら出てこない始末だ。

 

「どうする・・・?どうする、考えろ俺!」

 

ユウジンはひどく混乱していた、その混乱に追従するようにエインヘリヤルもまた、動きが鈍り始める。

 これがインテンションオートマチックシステムの弱点の一つ、パイロットを混乱させられると機体にもその挙動がダイレクトに伝わってしまう影響によるものだ。

ソロモンの悪魔は、たった一週間でこの弱点に当たりをつけ、此処ぞという場面までこの切り札を温存し続けたのだ。

 

突っ切るか?

 

でも・・・スレイプニルの足はもう、まともに機能しない

 

迂回する?

 

アトミック・バズーカの範囲まで迂回して間に合うか?

 

どうする?・・・・どうする!?

そうして、思考がグルグルと回るユウジンにリンが叫んだ

 

「・・・・センパイ!もう此処しかありません!今すぐ此処から 【行ってください!!】 」

 

その言葉が意味することは一つ・・・アトミック・バズーカの爆発の中に、リンを置いていけ。

という事に他ならない・・・でも!とユウジンは叫ぼうとする。ソレすらリンは叫んで止めた

 

「相手はスレイプニルを奪って、ついででエインヘリヤルにダメージも与えたいんです!でも相手は知らない、エインヘリヤルだけなら突っ切れる事実を知らない!迂回しても相手の術中の中から出れないんです! 【相手が知らない事をするしかありません!!】 」

 

 そ・・・そんな、そんな正論ぶつけやがって、ちくしょう!!

 

「う・・・・うぅ・・・うおぉおおお!!」

ユウジンは、リンの熱心な意見に逆らうように全力でスレイプニルの舵を切る!

 

「そんな!駄目ですセンパイ!」

リンが叫ぶと同時に、リンのコンソールにエインヘリヤルとワルキューレがスレイプニルからドッキングアウトする表示が映される。

 

「すまん、リン!ありがとう・・・」

いつも一緒に戦ってくれた相棒に最大の感謝を込めて、アホみたいに俺を信じてくれる想いに応えるために・・・

 

「俺は・・・・・・行くよ!!」

 

舵を切った慣性で徐々に爆発の被害から離れていくスレイプニルを横目に見送りながら、ユウジンは再度NTーDを発動し、全てのワルキューレをエインヘリヤルに繋ぐ。

 気休めかもしれないが、スレイプニルへの被害は減るだろう・・・コレが本当にユウジンがしてやれる最大限だった。

そんな彼の優しさに、微笑みながら

 

「はい♪行ってらっしゃい、センパイ・・・!」

 

ユウジンのコクピットのコンソールが予選の試合以来、再び必殺技として登録される挙動を返す。倒すための技では無いが、コレだって戦う上では強力な俺の新たな力だ

 

「エインヘリヤル高速強襲形態 【ナインズ・ブラクト】 ・・・ブラストオフ!!

 

両腕、両肩、両腰、両脛、そしてミストルティンに接続されたワルキューレが全て前方を向き、まるで白い花の苞葉を思わせる形態を取る、9枚の苞という意味を持つこの姿にふさわしい名を与え、エインヘリヤルは宇宙(そら)を翔ける閃光となる!

 

「いっけぇえええ!!!」

 

勢いを込め、叫び散らすユウジンの肉体に恐ろしいほどの加速Gがかかる、もしコレが仮想世界のアバターで無ければ間違いなく死んでいるだろう、アニメの世界の強化人間でも耐えることなど出来はしない。

 

今現在のエインヘリヤルは直線の最高速度に限定されるものの、レールガンの弾速並のスピードで飛んでいる。

 ユウジンの肉体が仮想のモノであり、且つ彼の動体視力が異常だからこそ成し得る飛行方法だ。デブリ一つ当たれば互いに粉々になる可能性もあるが、前方に展開された9枚分ワルキューレが展開するIフィールドとサイコフィールドが機体を護る。

 

「ね?・・・センパイなら出来るんです。頑張ってください・・・勝てなくても、負けないで・・・センパイ」

 

光に飲まれたスレイプニルが熱にさらされながら徐々に融解し、吹き飛ばされてデブリに激突する!

まだ、かろうじて動くようだが主なき戦馬はバチバチと火花と煙を上げて沈黙する・・・頼れる後輩からの通信は、それきり途絶えてしまった。

 

エインヘリヤルが閃光となって飛んでいく様を、遠くから観測していたガンナー1が慌てて叫ぶが、ソレすらもう遅い!

 

通信を受けたカイエンが、どうした!?と返答すると同時にレーダーに機影を捉えたアラートが鳴る、慌ててレーダーに目を移すも、レーダーの端には何も映っていない・・・アレ程の距離を前にいったい、何が起きた?

 ガンナー1が叫ぶ声すら遠くに聞こえるほど周囲に気を張るカイエン、通信を切り・・・は!っと真上を見上げる!

 

緑色の光から4つの光が別れて周囲に飛び、その中心に居た光が・・・まっすぐコチラに向かって降ってくる!!その姿はまるで、劇場版ガンダムUCのエピソード5のラストシーンようだ。

 ソレは右腕に 【ゲルヒルデ】 を装備し、ミストルティンと両腰にワルキューレを、左肩にヴァルトラウテを装備したエインヘリヤルだった、右腕の盾を振り下ろしながら叫び声を上げてカイエンのオロバスへと突貫する!

 

「行くぞ・・・チャンピオン!

 

カイエンも自らを鼓舞するように叫び、コレにぶつかる

 

「ソロフォーーーースぅ!!!」

 

激突する2機!複数機の擬似太陽炉のGNフィールドとワルキューレのIフィールド、サイコフィールドの複合フィールドがぶつかり反発し合うが、加速していた分有利なワルキューレが、フィールドを食い破り食い込んで来る。

それをカイエンの 「ダンタリオンⅡ」 が改造Tブースターを大型マニピュレーターへと変形させて、腕力で持って無理やり抑え込む!

 

なんとか抑え込むことに成功したカイエンは、よくよく見ればこの盾の装備には杭が装填されていることに気づいた。ニヤっと笑い接触回線でもってカイエンが叫ぶ

 

「パイルバンカーか?、なら残念だったな!いくらサイコフレームだろうとトルクはこっちが上だ、諦めろソロフォース!!」

 両腕の大型マニピュレーターでもって盾を押し返し始めるダンタリオン

 

「まだだぁ!」

 ユウジンも負けてはやれない、ゲルヒルデのワルキューレに搭載されている展開式スラスターをフルスロットルにして押し返す。

ぶつかり合う力と力、2機がそれぞれ放つ音と衝撃と光が濁流のようにうねり、それでいて異なる2つは決して交わらずに反発し合う。

そんな力比べの最中、ユウジンは今しか聞くしかないと思い彼に言葉をぶつける

 

「なんで俺に突っかかる!?ほとんど初対面だろ、何がそんなに気に入らないんだよ!」

 

その言葉に、カイエンはよほど気に入らなかったのか声を荒げる

 

「なんでって・・・決まってんだろ!お前のそのやり方が、俺の理想と真反対だからだよ!俺はお前を認めない。いや・・・認めちゃならねーんだ!そんなやり方はいつか誰かを不幸にする!」

 

「そんな訳あるかよ!ビルダーがビルダーの力を極めて戦えたらならねーって言うのか?単に俺達ビルダーに負けるのが嫌とか、そんなことなのかよ!」

 

「違う!!!!」

 

コレまで以上にデカイ怒声にユウジンは圧倒される。

 

「違う・・・勝ち負けじゃねーんだ。お前のやり方で・・・たった一機でも、もし勝てるって分かったらどうなる?誰もがお前に 【夢】 を見る!。

 本当に出来るかどうかも分からねー、それでも輝いてて・・・眩しくて・・・どうしようもなくなる程追いかけたい!そんな誰かの 【理想】 になる!」

 

「ソレって悪いことなのかよ?目指したいものが有るなら、目指していいじゃねーか!」

 

「あぁ・・・ソレが可能性に満ちてるモノならな。でも現実は違う!お前が勝てるのは、他でもないお前だからだ!其処まで至る努力も苦労も苦痛も、夢を見るバカ共には分からねーんだよ!キチンとやってりゃ分かんだろ!一人でなんて戦えないんだって事くらい。

 そして、夢がただの幻想だったと気付いた時・・・ソレまで目指して足掻いてきた時間やらは、戻ってこねーんだ!・・・どうして誰も教えてくれなかった!?目指したモノが 【俺には無理なんだって!】 なんで言ってくれなかった?・・・そう言って自分の無力に心が壊れちまうんだよ!」

 

「(いや・・・だってそんなの)」

 

「理想を追うのは良い!でもその前に覚える基礎が有るんだよ。その基礎を知る上で、人は目指すものを見定めれば良いんだよ!だからよぉ・・・・お願いだぁ!まだ何も知らないバカ共に・・・」

涙ぐみながらカイエンは叫ぶ

 

「無責任に!無自覚に!【人に夢を見せるなぁああああ】ソロフォースぅ!!!」

 

「・・・・・」 黙るユウジン

 

「どうした!?なんとか言えよ、ソロフォース!」

 

アンタにも・・・あったんだな。そんな夢が

 どんな夢かはわからないけど・・・それが叶わなくて、心が折れちまった

俺も、何度も折れかけたよ・・・それでも折れなかったのは、俺に力があったからじゃない・・・

 

眩しかったんだ、俺の理想が。追いかけてる時間すら俺にとっては宝物だったんだ・・・でも独りだったらたぶん駄目だった・・・・だから

 

「悪いな・・・・チャンピオン」

 静かに、それでいて真っ直ぐに伝える、その謝罪にも取れる言葉にカイエンは更に腹を立てたようだった

 

「はぁ!?謝られたからってなんだって!・・」と返す言葉を遮り告げる!

 

「コッチは始めっから・・・・・・・【五人がかりだ】!!」

 

ゲルヒルデの盾が、ゲルヒルデが伸縮する機構と連動して後ろにスライドする!

【ゲルヒルデ】 は、パイルバンカーなんかじゃない。押し合いをしてたのは、最大出力まで電力をチャージする時間が必要だったからだ、電磁投射砲の要領でレアアロイ製の杭を飛ばす、先程自分も食らったガンダムシリーズ屈指の貫通力を持つ物理兵器!

 

「まさか・・・そいつもダインスレ・・・」

 

気付いても、もう・・・

「遅い!!」

 

至近距離から放たれれるゲルヒルデのダインスレイヴ! 

【ゲルヒルデ】 は近接でも撃つことが出来るように、バルバトスのソードメイスを参考にした本体に備わっているダインスレイヴである。弾頭がなくても質量兵器として使えるほど頑丈な、遠近両用な武器だ。

最低から最大まで出力に差をあえて設けてあり、最低出力で撃っても大抵の装甲を抜くことが出来るが、この出力なら向こう側まで抜けて飛んでいくことがなく、杭を回収可能だ。

 だが相手がモビルアーマーである以上、杭の回収は諦めて最大出力での電磁投射でもって穿つ!

GNフィールドが如何に強力な防護フィールドであろうとも、物理兵器ならばビーム兵器より通りが良い。

 

真上からコクピット左のリアクターを貫き、真下のオロバスまで一直線に突き抜ける杭。ダンタリオンを一撃で大破させうる攻撃が見事にヒットした。

 カイエンは作戦通りとはいえ、諦める訳にはいかない・・・せめて一矢、何かを道連れにしようと左の大型マニピュレーターをミストルティンへと伸ばす

 

「せめて・・・・せめてこれだけでもぉ!」

 

未だ右手の大型マニピュレーターはしっかりとゲルヒルデを掴んでいる。引き寄せながらミストルティンを握りつぶそうとする

 

「逆に、コレだけは譲れないな・・・コレだけは!」

 

ミストルティンに装備されていたワルキューレ 【ブリュンヒルデ】 を起動させる。

【ブリュンヒルデ】 はフラットな形状に変更し、人の手を思わせるクローを持っているアームドアーマーVNである。

 この兵器そのものが大型マニピュレーター装備として機能するだけでなく、側面に備わっている二本のサブアームを使い、ミストルティンへのリロードを行ったり、奪った武器をマウントしてそのまま使用したり出来る。

 

大型マニピュレーターと大型マニピュレーターが互いに握りあい、潰そうと力を込め合う。

 だが、コチラのマニピュレーターはアームドアーマーVNなのだ、当然振動破砕が可能な兵器であり、力比べをする暇すら与えない

バキバキバキバキ!と音を立てて崩れていくTブースター、その合間にもう片方の腕もグラムで両断し、距離を取る

 

「コレで終わりだぁ!」

 

突貫前にシールドファンネル化して切り離していたオルトリンデ、ヘルムヴィーゲ、ロスヴァイセ、そして 【ジークルーネ】 によるオールレンジ攻撃に加え、ビームマグナムブルパップを1カートリッジ分叩き込む!

 

【ジークルーネ】 は一見UCのビームガトリングに見える装備なのだが、実はAGEのドッズライフルを参考に作られた「ドッズガトリング」と言っていい装備だ。

 三門の砲門から成るこの装備は、ビームガトリングとして使える事は勿論なのだが、砲身先端に設けられたビームの偏向器を利用し、回転中の砲身全てから同時にビームを発射してドッズライフルのように捻りを加えた、貫通力の有る単発のビームを撃つことが出来る。

 

 本来、砲身内部で回転させなければならないメガ粒子を、回転させている砲身とビーム偏向器でもって発射後に回転収束させる。そうする事で短い砲身にも関わらず、ハイパードッズライフル以上の回転数を得ることができ、貫通力はハイパードッズライフルを超えた。

 

 ただ、欠点として発射後に回転収束させるため、対象に着弾するまでの距離が短いと貫通力が落ちるという点と、回転収束し続けるせいで射程距離はハイパードッズライフルより短くなる、そのため近中距離用の装備となっている。

 

オルトリンデの二門のビーム砲、ヘルムヴィーゲのビームスマートガン、ロスヴァイセのレールキャノン、ジークルーネのドッズガトリング

コレに加えてビームマグナムブルパップの連射を食らわされれば、さすがのモビルアーマーとて耐えることは出来ない、

 

連鎖的に爆発を起こすオロバス、ダンタリオンⅡのコクピットの中でカイエンはコンソールを殴りつけながら悔しさに歯軋りをする。

 だが、コレで良い・・・作戦通りに自分は全てをやり遂げた、あとは全て仲間に託す!

 

「黒兵衛、あとは頼んだぞ!!」

叫びながらオロバス共々爆散し大破する。

 

[無論だ!各員、今後の指揮は不肖黒兵衛が務める。アタッカー二名はエインヘリヤルを討て!ガンナー1は敵巨大アームドベースにトドメを]

 

「「「了解!」」」

 

自らのリーダーが役割を完璧にこなした。

 たとえ個人戦での敗北であったとしても、ソレはフォースのためであり勝利のため、その事実は残り3人のメンバーの背中を押す。

勝たなくてはならない、責任感や義務などではない・・・彼らは【勝ちたい】のだ、今本気で思える情熱がこの試合に有るのだから・・・・・

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