仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
―北二倉庫内―
クウガ『はぁッ!でりゃッ!ハッ!』
一方その頃、北二倉庫内ではクウガに変身した少年が7号と呼ばれるヤドカリ型のグロンギと、突如現れた8号と呼ばれる鳥型のグロンギの両方を相手に戦いの場を変え戦闘を行っていたが、その近くに先程殺された女性警官の遺体が倒れているのを視界の端に捉え、クウガは目を開き息を拒んだ。
クウガ(また被害者が女性警官?!なんでまたっ……?)
女性警官の遺体を見てクウガがそんな疑問を覚えて動きが鈍ってしまう中、二体のグロンギ達はその隙を突くようにクウガに襲い掛かっていき、連携した動きでクウガを徐々に追い詰めていく。
クウガ『危なっ?!クソッ!考え事なんてしてる場合じゃないかっ……!』
相手が二体掛かりな以上、油断すればこちらがやられる。今はとにかく目の前に集中しなければと気を改めてグロンギの攻撃を必死に捌いて反撃に転じるクウガの下へ、クウガがグロンギ達を抑えてる間に警官隊の後退と負傷者の回収を終わらせた先程の女刑事……綾瀬が駆け付け、苦戦するクウガに指示していく。
綾瀬「相手のペースに律儀に付き合わないで!身軽に動くのよ!」
クウガ『っ、分かってるッ!』
綾瀬の指示にそう応えながらグロンギ達を退けて少し距離を取り、クウガは変身の時と同様の構えを取り身構える。
クウガ『超変身ッ!』
力強い掛け声と共に、クウガの身体が赤から身軽な軽装の青い姿……素早さと跳躍力に特化した形態である『仮面ライダークウガ・ドラゴンフォーム』へ徐々に変化していき、再攻撃を仕掛けてきたグロンギ達の攻撃を軽快な動きで掻い潜りながら近くに転がるパイプ棒を片足で拾い上げて手に取り、両手に身構えていく。
次の瞬間、クウガが手にするパイプ棒が一瞬で青い棒、ドラゴンフォームの専用武器であるドラゴンロッドにその姿を変えていき、クウガがそれを手に反撃に転じグロンギ達に挑んでいく中、丁度その場に警ら用の自転車で到着した零が自転車を降り、二眼のレフカメラを構えクウガを撮影し始めた。
零「仮面ライダークウガ。戦況に合わせてフォームチェンジ、周囲の物体を武器に出来る、か……便利に出来てるんだなぁ」
そんな独り言と共にクウガの能力に関心を覚えつつ、二眼のレフカメラでクウガの戦う姿を写真に収めていく零だが、すぐ近くでクウガの戦いを見守っていた綾瀬が零の存在に気付き慌てて近づいていく。
綾瀬「君、それ私物?というより何してるの?!後退しろって言われたでしょ!」
零「はいはい……あ、ところで一枚貰いますね」
怒鳴る綾瀬の注意も右から左へ聞き流し、今度は綾瀬まで撮影し始める零を見て綾瀬は言葉を失い、呆れて溜め息を吐いてしまう。その一方で……
クウガD『はぁッ!ダァッ!ハアァッ!!』
―ドゴオォォンッ!!―
『グゥッ?!ウッ……オオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォッ!!?』
クウガの方は長いリーチを上手く活かしたドラゴンロッドの棒術で二体のグロンギを寄せ付けず圧倒していき、全力で突きを打ち込んだクウガの一撃が7号に叩き込まれ、悲痛な叫びと共に倒れる7号の身体に紋章が浮かび、爆発が発生して完全に7号を消滅させたのであった。
そして残った8号もこのままでは分が悪いと踏んだのか、背中から翼を生やして飛翔し、天井を突き破って逃走を測ろうとする。
綾瀬「優矢ッ!これ、使いなさいッ!」
それを見た綾瀬も空に逃げたグロンギの追撃の為、自分の拳銃をクウガに投げ渡した。
クウガD『分かったよ、姐さんッ!』
零「……姐さん?」
受け取った拳銃を手に頷いて応えるクウガの綾瀬への呼称が引っ掛かり、訝しげに眉間に皺を寄せる零にも気付かず、クウガは再び力強く叫ぶ。
クウガD『超変身ッ!』
再びその姿を徐々に変化させていき、クウガの身体が緑色の目と鎧を纏う姿……感覚に特化した形態の『仮面ライダークウガ・ペガサスフォーム』となると、右手に持つ拳銃も金色のラインが入った専用武器のペガサスボウガンへと同様に変化させ、変身を完了させたクウガは8号が逃げた天井の穴を通ってグロンギの追跡に向かっていった。
綾瀬「言いふらさないでよ」
屋上に向かうクウガを怪訝な眼差しで追う零に一言そう釘を刺すと、綾瀬も奥の階段からクウガの後を追おうと走り出し屋上へと上がっていった。
零「……成る程。あの刑事はクウガと協力関係にあるって訳か」
そしてクウガの正体は警察内でも秘密と、綾瀬の一言から様々な事情を汲み取った零は溜め息混じりに一人そう呟き、カメラを仕舞いながら8号とクウガが消えた穴を一瞥しその場を後にするのであった。
◇◆◇
―北二倉庫・屋上―
一方その頃、8号を追って屋上に上がったクウガは既に遥か上空へと飛び去っていく8号の背中を捉えると共に、ペガサスボウガンを構えて弓を引き、狙いを定めていく。そして……
―……バシュンッ!―
『───ッ?!ァッ、ギッ……ギャアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!?』
ペガサスボウガンから放たれた矢が完璧に8号の背中を捉えて撃ち貫き、紋章が浮かぶ8号の身体から爆発が発生し空に爆炎を撒き散らしたのであった。
そして丁度8号撃破の場面で屋上に到着した綾瀬も上空に広がる火花を見上げて安堵の溜め息を漏らし、クウガの下に駆け寄っていくと、クウガも変身を解除して元の少年の姿に戻りながら綾瀬に拳銃を返していく。
「ほい、いつもありがとさん!」
綾瀬「……犠牲者が出てるんだから、あまりはしゃがないでちょうだい」
「はいはい。で、どうだったかな?今日の俺の変身さ!」
拳銃を受け取る綾瀬の注意も話半分に、今日の自分の戦いぶりを気にするようにそんな質問を投げ掛ける少年。それに対し綾瀬もジーッと少年の顔を呆れ気味に見つめた後、小さく吐息を吐きながら腕を組んで答えた。
綾瀬「7号と8号を同時に相手して確実に倒したのだし、まあまあって所ね」
「ホントに?あ、だったら、何か飯でもおごってくれよ!姐さん!」
綾瀬「いいから、今日はもう学校に戻りなさい。呼び付けた本人が言えた口じゃないけど、あまり学業を疎かにするものではないわよ?」
「え、も、戻れって言われてもなぁ……今日の授業はもう終わっちゃってるし……」
綾瀬「だったらカバンを取りに戻って家でゆっくり休みなさい、優矢。あなたの変身については、まだ分からない事が多いんだから」
あまり浮かれるものじゃないわと、そう言って綾瀬は少年……"桜川 優矢"に休むように言い聞かせその場を後にしていき、残された優矢も屋上を去る綾瀬の背中に虚しく伸ばした腕をガクリッと落とし、目に見えて気落ちしてしまう。其処へ……
「──今日もフラられちゃったみたいね……これで一体何度目になるかしら」
優矢「ウグッ……そ、その声はっ……」
傷心の男心に、グサリと突き刺さる少女の声が何処からともなく聞こえてきた。その声に釣られ優矢が振り返ると、其処にはいつからいたのか、綾瀬が出ていった扉の前に背中を預けて佇む茶髪の女の子の姿があった。
優矢「や、やまと……!なんでこんな所にいるんだよ?!」
「私の学校、今回の現場が近かったから休校になってね。このまま帰るのもなんだしと思って様子見に来たのよ。……これでも一応4号の正体を知ってる関係者なんだから、気になってしまうのも当然でしょ?」
ふぅ、と小さく溜め息を吐きながら肩を竦める茶髪の女の子……優矢の違う学校の後輩である"永森 やまと"の言葉に、優矢は眉を顰めて首を横に振った。
優矢「だからって事件現場に近付くんじゃないよ。ただでさえ未確認が出たってだけでも外に出るのは危ないってのにさ、またやまとの身に何かあったらこうが悲しむぞっ?」
やまと「それを言い出したら先輩だって人のこと言えないじゃない。今の話だと途中で授業を抜け出してきたみたいな感じだったし、いつも一緒にいるあの四人の先輩達、今頃先輩がいなくなったの気にして心配してるんじゃない?」
優矢「うっ……それ、は……」
実際彼女が指摘した通りなのか、図星を突かれたように顔を引き攣って視線を逸らしてしまう優矢を見て、やまとも二度目の溜め息と共に扉から背を離してドアノブに手を掛けた。
やまと「どうせこれから学校に戻るんでしょ?私もちょうど陵桜に用があるし、ついでに付き合ってあげる」
優矢「え?あ、あぁ、それは良いんだけどさ……何も其処まで気ぃ使ってくれなくても……」
やまと「ふぅん……先輩一人で彼女達相手に上手い言い訳が出来るとは思えないけど、本当に私がいなくても大丈夫なのかしら?」
優矢「うぐっ……すみません、フォローお願いします……」
時間的にまだ学校に残ってるであろう学校の仲間達と出くわした時に事件の件を伏せ、学校を抜け出した事をどう説明すべきか思い浮かばず項垂れる優矢に頼まれ、やまとも「よろしい」と頷き二人揃ってその場を後にしていくのであった。
◇◇◇
―陵桜学園高等部―
その頃、春日部市にある私立の高等学校、陵桜学園。写真館の外に出た瞬間に何故かこの学校の制服の姿に変わってしまったなのはとスバルは、制服のポケットに入っていた生徒手帳からこの学校の名前と住所を調べ、此処に自分達がやるべき何かがあるのではないかとヒントを求め校門の前にまでやって来ていた。
スバル「陵桜学園高等学校……手帳に書かれたのって此処みたいですけど、本当にこの学校に何かあるんでしょうか?校舎の見た目とか、通う生徒さん達とか、どう見ても普通の学校にしか見えませんけど……」
なのは「うん……けど、零君みたいに私達の格好も此処の学校の服に変わったし、何も関係ないって事はないと思うから調べてみる価値はあるとは思うけど……でも、何でそれでよりによって制服っ?」
まさかこの年になって高校の制服を着る事になるとは想像もしてなかったからか、まだ歳若いスバルに比べて自分の制服姿に無理はないだろうかと大分気にしてしまうなのは。
そんな落ち着きのない様子のなのはの心情を察してスバルも苦笑いを漏らしてしまうも、学校から下校して出てくる大勢の生徒達の声を耳にして辺りを見渡し、若干困った顔を浮かべた。
スバル「でも学校の方はもう終わっちゃってるみたいですね、どうしよう……」
なのは「うーん……取りあえず、この辺の生徒さん達から話だけでも聞いてみよっか?学校が終わってるんならこの格好で校内を歩き回ってても不自然に思われないだろうし、此処まできたからには情報収集ぐらいして帰らないとね」
スバル「そうですね……じゃあ、話を聞けそう子に声掛けてみましょうか?えーっと……?」
なのはと話し合い方針を決め、一先ず事件の話などを聞けそうな生徒を探してスバルは下校中の生徒達の顔を見回していく。と其処へ……
「───あふぅ〜……今日の授業もキツかったぁ……特に夜通しネトゲ漬けだったから、目蓋が重いのなんのと……」
「大丈夫、こなちゃん?」
「自業自得でしょ。まったく、そんなにキツイならちゃんと睡眠取りなさいよね」
「柊さんの仰る通りですよ、泉さん。そんなに夜更かしばかりしていては身体にも悪いですし」
校門から出て来る生徒達の中に混じり、四人組の女子達がそんな雑談を交わしながら下校する姿がたまたまスバルの目に止まった。
スバル「うん、あの人達とかいいかも……あの、ちょっとすみませーん!」
「……?はい?」
あの四人なら話を聞いてくれそうだと踏み、スバルは手を振って呼び止めながら四人の女子達の下に駆け寄り、四人もその声を聞いて足を止め、不思議そうな面持ちでスバルの方へと振り返っていく。
スバル「突然呼び止めてすみません。あの、実はこの辺で未確認生命体の事件について色々話を聞いて回ってるんですけど、何かご存知だったりとかしませんか?」
「え、未確認の話……?」
「っていうか、貴方は?うちの生徒みたいだけど……何でそんな事件の話を?」
スバル「へ?あ、あー……それは、ええっとっ……」
「「「「……?」」」」
しまった、事件の話を探る事ばかりに気が向いてその辺りの帳尻を忘れていたと焦り、今更ながら自分の事をどう説明しようかと慌てふためいてしまうスバル。そしてそんなスバルを見て女子達も不審げな反応を浮かべる中、其処へスバルの後ろから苦笑を浮かべてなのはが割って入った。
なのは「急にごめんなさい。実は私と彼女も新聞部の部員で、今部の活動で世間を騒がせてる未確認生命体の事件の事を追ってるの。それで生徒の皆にも色々話を聞いて回ってて……」
「あ、な〜んだ〜、新聞部の人たちだったんだね〜」
「なんだそういうこと?それならそうとハッキリ言ってくれればいいのに」
変に言い淀むからちょっと身構えちゃったわよと、二人が新聞部の人間だと分かり不信感が晴れる女子達。咄嗟の助け舟に救われたスバルは彼女達に見えないように裏で「フォローありがとうございます……!」となのはに両手を合わせて感謝し、なのはもそれに対し苦笑いを返す中、四人組の一人のおっとりとした女子が頬に手を当てて首を傾げていく。
「それにしても事件の話ですか……正直、私達もテレビや新聞で広まってる情報程度の知識しか分かりませんし、あまりお力になれるかどうかは……」
「ま、この辺で未確認の事件とかあんまり聞かないしね。それだけ警察が頑張ってくれてるって事なんだろうけど……まあつい最近の話だと、女性警官ばかりが狙われてるって今朝のニュースでもやってたわよね?」
なのは「女性警官が……?」
「んー……んんっ……?」
ツインテールの女子が思い出すように語るその内容に二人も真剣な面持ちで聞き入る中、今にも眠そうに瞼を擦っていた小柄な青髪の女子がふとなのはとスバルの顔をジッと見つめて何やらその表情が怪訝なものに変わっていくも、他の女子三人はそんな事に気付かず事件に関する話を続けていく。
「そういえば携帯のニュースで知ったのですが、つい先程も、女性警官がまた一人未確認に狙われたのだとか……」
「ええ、マジでっ?ほんっとに最低ね未確認って……!力の弱い女の人ばかり狙うとかまんま暴漢かっつのっ」
「ううっ、本当に怖いよねぇ……あ、そういえばこなちゃん、確か昼休みの時に従姉のお姉さんもその事ですっごい愚痴ってた話してたよね?」
「ああ、アンタの従姉さんも確か婦警さんだったわよね。そういえばこの間も『未確認に狙われてるって分かってんのに明日も出勤するとか嫌だぁー!ふざけんなぁー!』って荒れてて大変だったみたいな話してたけど、最近はどんな──」
「──あああああああぁぁぁぁーーーーーーーーっっ?!そうだ、そうだよっ!やっぱりそうだ間違いないっ!!」
「「?!」」
ツインテールの女子が小柄な青髪の女子に話を振ろうとしたその時、青髪の女子は突然なのはとスバルの顔を指差しながら仰天の悲鳴を上げ始め、なのはとスバル、他の三人の女子もいきなり大声を上げた女子に驚き思わず後退りしてしまった。
「び、びっくりしたぁ……もぉこなちゃ〜ん、急に大声出さないでよぉ……」
「あ、ごめんつい……じゃないよつかさっ?!大変、一大事なんだよこれはっ!!顔や髪型が似てる上に声まで一緒とか、もうそっくりさんとかのレベルじゃないしっ!え、同一人物?まさかテレビから出てきちゃったとかっ?!」
「い、泉さんっ?」
「ああもうっ、さっきから何の話してんのよアンタはっ!ほら、アンタが急に訳わかんないこと言い出すからこの二人も引いてんじゃないのっ!」
「いやだってこの二人──!」
と、青髪の女子は突然の事態に戸惑うなのはとスバルの顔をビシィッ!と指差し、
「この二人、どっからどう見ても『魔法少女リリカルなのは 』のキャラクターにそっくりなんだよー!!」
なのは&スバル「「……へ?」」
どどん!なんて仰々しい効果音が何処からともなく聞こえてきそうな勢いで青髪の女子が告げたセリフに、三人の女子は勿論のこと、なのはとスバルも思わず呆気に取られてお互いの顔を見合わせてしまうのであった。