仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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ライダー少女Wの世界
第九章/ライダー少女Wの世界


 

 

 

ファイズの世界での役割を終え、次の世界へと訪れた零達一行。一行は前の世界での戦闘の疲れと、半殺しにされた零の傷を癒す為という理由で夜が明けるまでそれぞれ自室で休むことにしていた…

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

――――夢を見ている。

 

 

身体は軽く、何処かふわりとした浮遊感。辺り一面は薄暗く何もない無の空間。そんな場所に自分は一人、ポツリと佇みながら目の前を見つめている。目の前にあるのは…車椅子に座った一人の幼い少女と、腰まである美しい銀髪を持つ一人の女性の姿。

 

 

「名前をあげる…もう闇の書とか、呪われた魔道書なんて言わせへん…私が呼ばせへん…」

 

 

頬に手を添えて放つ少女の言葉を聞き、銀髪の女性の頬に涙がこぼれる。

 

 

自分はあの二人を知ってる…あの車椅子の少女は自分の幼なじみであり、今でも彼女を探して旅をしている。

 

 

あの銀髪の女性も知っている…彼女はかつて、あの車椅子の少女の為にこの世界から消えた初代・祝福の風……

 

 

今でも覚えてる…あの車椅子の少女の悲しむ顔を見たくはないという単純な理由で、あの女性をこの世界に留める方法を必死に考え、結局はそれも叶わず…あの女性が消えた後に自分の力のなさを痛感したことを…

 

 

そんな二人の姿をジッと見つめていると、急に目の前の景色がガラリと変わり、突然辺りに雨が降り始めた。

 

 

だが雨に打たれても冷たいという感覚はなくそんな事に何の興味も示さない。

 

 

ただ今は目の前にある光景…一本の木の下で雨宿りをする二人の少女の姿をこの目は捉えて離さなかった。

 

 

一人は先程の車椅子の少女と同じ自分の幼なじみである金髪の少女。

 

 

もう一人はその金髪の少女と瓜二つの姿をした少女…あの金髪の少女の姉であった存在だ。

 

 

「ありがとう…ごめんね…――――…」

 

 

「いいよ…私はフェイトのお姉さんだもん…待ってるんでしょ?優しくて、強い子達が…」

 

 

「…うん」

 

 

金髪の少女は頬に涙をこぼし、少女はそんな金髪の少女に優しげな微笑みを向ける。

 

 

彼女の事は良くは知らない。だが、彼女から感じられるものがある。

 

 

暖かくて…優しくて…純粋な思い…

 

 

彼女から伝わってくる様々な感情に、何時しか自分の心が温まっていくのを感じる。

 

 

こんなにも人の心を優しくしてくれるのは……きっと彼女がそれだけの優しさを持った女の子だったから…

 

 

だからあの金髪の少女も…そんな彼女との別れを惜しんだ…そんな気がする…

 

 

 

 

あの少女と、先程の女性を見ていて…今更思う。

 

 

あの二人を救う道は本当になかったのか…?

 

 

ただ単に…見落としていただけなのではないか…?

 

 

もしかしたら本当は…何か他の道があったのかもしれない…

 

 

彼女達を救う道が…本当は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「馬鹿馬鹿しい…今更いなくなった奴のことを考えて何になる…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ッ?!……誰だ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「誰だ…?くだらない質問は止めろ…俺が誰なのか…それはお前が良く知ってるハズだろう?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何を言ってる…意味が分からない…お前は…何だ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何度も同じ事を言わせるな…俺とお前は互いの事を認識し合う必要なんてない…お前を俺を捨て…俺はお前に捨てられた…たったそれだけの関係だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺が…お前を捨てた?

 

どういう意味だ…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ…そこまで教えてやる義理なんてないさ…自分の過去を自分から捨てた、お前なんかにはな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ッ?!俺が…自分から過去を捨てた…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…なんだ?そこまで思い出してなかったのか?…だったら丁度いい…一つだけ教えてやるよ。お前は自分の過去を思い出せないんじゃない…お前が自分から思い出そうとしてないだけだ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

思い出そうとしてない…だと…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前はただ自分の過去から逃げているだけさ…罪の意識から逃れ…罪を犯したという自分の記憶を捨てた…酷い話だ…今まで何千、何万という世界を壊して奪っておきながら…お前はそんな記憶も捨ててのうのうと生きている…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何を…訳の分からないことを…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まだ気が付かないのか?お前という存在があの高町なのは達にとってどれだけ邪魔な存在なのか…今見た彼女達ももしかしたら救えたかもしれない…もしかしたら共に生きる未来を築けたかもしれない…だがそれは出来なかった…お前の存在があったせいでな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の…存在…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前は世界に存在する物を万物問わずに破壊する…だから壊したんだよ…あの二人が助かるという道を…お前自身がな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

馬鹿な…そんな話がある訳ない!

 

信じられるものか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうやってまた現実から目を背ける…信じたくないという理由で事実から目を逸らし、記憶も力も…なにもかも捨てて逃げ続ける…お前が"あの子"を殺したという現実からも…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

っ…黙れ……黙れっ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「記憶を取り戻したくて旅をする?笑わせるな…お前はその記憶を取り戻したくないと心の何処かで思ってる…今のお前がお前でなくなるのが恐いからだ…例え記憶を取り戻した所でお前に幸せなんて訪れやしない…待っているのは果てしない絶望だけ…お前はそれに飲まれてすべてを破壊し…すべてを殺し尽くす…あの高町なのは達とかいう女達も例外なく…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黙れっ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どんなに否定しようが、所詮お前は殺戮者…お前の犯した罪は消えやしない…アイツ以外でお前に感情という物をくれた…"あの子"を殺したという事実も…な?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黙れえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっ!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もがくがいい…苦しむがいい…どんなに足掻こうが、お前は所詮変わらぬ運命の中で踊り続ける人形だ…そして忘れるな罪人…お前はいつか彼女達を殺し…旅の中で出会った友人達をも手に掛ける…お前のような破壊者が誰かを救うなんて…出来やしないのさ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その声を最後に、俺は再び意識を切り離した…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

目が覚めると、始めに目にしたのは見慣れた天井。

それを見て、先程まで自分の見ていたものが夢だったと直ぐに理解できた。

 

 

零「ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……」

 

 

酷く乱れた息、大量の汗が流れ出ているせいか、身体中はべとべとで寝間着に張り付いている。視界は朧げであり、どうやら自分は泣いていたらしい。

 

 

零「ッ…チッ…朝から夢見が悪いな…」

 

 

上半身をゆっくりと起こし瞳に溜まった涙を拭いながら呟く。自分のベッドに目を落としてみれば、いつもの状態とは打って変わってシーツが乱れていた。その有様から、自分がどれだけうなされていたのか悟る事が出来る。

 

 

零「……………」

 

 

今の夢は……一体何だったのだろうか?夢に出て来たあの二人の少女達。あれは確か十年前の………とそこまで考えた瞬間、突然零の左目に激痛が走った。

 

 

零「クッ?!…クソッ…まだ疲れでも残ってるのか…?朝から憂鬱だな…」

 

 

左目を抑えながらベッドから立ち上がり、額から流れる汗を拭き取って一息吐く。今日からこの世界について調べなければならないと言うのに朝からこんな調子でどうする?自分にそう言い聞かせながら気を引き締め、取りあえず着替えようとクローゼットから自分の私服を取り出していく。

 

 

零(…それにしても…何故今更になってあんな夢を見たんだ…もう十年も前の事なのに……それに何だか…妙な胸騒ぎもする…)

 

 

この言い知れぬ胸騒ぎ…まるで何かの前触れを訴えているようで気分が悪くなる。初代・祝福の風…運命の名を持つ少女の姉…彼女達があの夢に出て来たのは何を意味するのか。そして…あの声は一体……

 

 

零「……止めよう……考えたところで何も分からない……分かりたくもない…」

 

 

あんな夢を思い返した所で意味なんてない。今自分のすべきことはこの世界での役割を見つけ、バラバラに散った仲間達を見つけること。それだけを考えよう…今はそれだけを…

そして零は着替えを始めて部屋を出て行き、気分転換に朝食の準備でもしようと自室から出ていった。

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

零「っ…まだ左目が痛むな…後でシャマルにでも見てもらった方がいいか…?」

 

 

自室を出た零はズキズキと痛む左目を抑えながら階段を下りていき、朝食の準備の為にキッチンへの入口がある部屋へと向かっていた。そして部屋の中に足を踏み入れようとすると…

 

 

―ガチャッ―

 

 

「えぇっと…すみませ~ん?誰かいませんか~?」

 

 

零「?何だ…こんな朝から客か?」

 

 

こんな朝早くにやって来た突然の来客に零は疑問そうに首を傾げ、取りあえず来客を出迎えようと写真館の玄関へと向かっていく。

 

 

零「すまない。写真館ならまだこの時間には開いてな……って、お前等?!」

 

 

玄関に足を運んだ零は、入り口の前に立つ二人の来客…見覚えのある男達を見て驚愕し目を見開いて固まってしまった。何故ならその二人とは…

 

 

 

カノン「あっ、零さん、お久しぶりです!」

 

 

智大「よぉ、おはようさん。朝から押しかけてすまんな」

 

 

零「カ、"カノン"?!智大?!お前等何で此処に?!」

 

 

そう…写真館に訪れた来客とは零の友人であり、嘗て魔界城の世界を共に戦い抜いた早瀬智大と、その智大の弟子である"カノン・フェルト"だったのだ。突然やって来た二人の来客に、零もただ驚きを隠せずにいた。

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

数分後…

 

 

零「成る程…イノセンスとは別の敵…イリシッドねぇ…」

 

 

智大「あぁ。それと、そのイリシッドのメモリを売ってる組織の幹部…シャドウにも気をつけておいた方がいい。どうやら、魔界城で取り逃がしたクアットロの奴と何らかの繋がりがあるみたいなんだ」

 

 

零「…アイツ等…また強力な後ろ盾を手に入れてたのか…厄介な問題になって来たな…」

 

 

数分後、二人を写真館の中に招き入れた零は智大から彼等の世界の怪人…イリシッドについての情報を聞かされていた。そしてその中で知った新たな事実…智大の世界に存在する敵組織の幹部…シャドウという人物とクアットロが裏で手を組んでいるという話に、零の表情は険しいものとなっていた。

 

 

零「…それで、スカリエッティ達の逃げた先の世界とか、アイツ等の居場所に関する情報とかは何かないのか?」

 

 

智大「いや、そういう情報までは入ってない。…だが一つだけ断言出来るのは…アイツ等がシャドウと関わってから着実に力を蓄えて来てるという事だ。それも以前より数段と力を増してな」

 

 

零「魔界城で失った戦力を他の組織から蓄えて態勢を立て直してるか…ハァ…何かじり貧だな」

 

 

智大「それだけじゃない、どうやら他の世界の怪人達も集めて自分達の戦力にしてるそうだぞ。しかも噂では、真一郎の世界に現れたダークライダーのベルトも奴等が所持してるとか…」

 

 

零「…ますますじり貧じゃないか…」

 

 

ただでさえ今朝の夢で憂鬱な気分になってるというのに、智大の口から次々と告げられる悪い知らせに頭が痛み出し、零は思わず深い溜め息を吐いて顔を俯かせてしまう。

 

 

智大「まあそう気を落とすな。俺も悪い知らせばかりじゃ何だろうと思って新しいメモリガジェットの『オウルスパイ』と『スパイダーウォッチ』をやろうと持って来たし、それに今回はカノンも貸してやろうと連れてきたから」

 

 

カノン「……え?ちょ、父さん!?何ですかそれ!?そんな話し聞いてませんよ!?」

 

 

智大「話してないんだから突然だろ?」

 

 

カノン「素で返された!?」

 

 

零「止めておけカノン…智大がこう言ったらなにを言っても無駄だろう」

 

 

反論した所で自分の決めた事を取り消したりはしないだろう。そう思った零は叫び出すカノンを宥め、カノンは諦めたようにがっくりとテーブルに俯せてしまった……哀れな子羊だ。

 

 

智大「まぁ、そういうワケだからコイツの事頼むわ。何か迷惑でも掛けたら遠慮なく連絡してくれよ?ちゃんと仕付けしとくから」

 

 

零「……分かった(こっちの智大の方が昔よりらしくなった気もするが…カノンの方も可哀相に思えてきたな……」

 

 

写真館から出ていく智大の後ろ姿を見てそんなことを思い、室内に残された零はテーブルに俯せるカノンに近づき、ポンッと軽く肩を叩いた。

 

 

零「まぁ取りあえず、もうすぐなのは達も起きて来るから俺は朝食の準備でもしてくるよ。お前もそれまでゆっくり休んでおけ」

 

 

カノン「え…?あ、だったら僕もお手伝いしますよ。零さんだけにやらせるのも何だか悪いですし」

 

 

零「…そうか?そう言って貰えると有り難いが…じゃあ、頼んでもいいか?」

 

 

カノン「はい!任せてください!」

 

 

取りあえず今は朝食でも作ろうという話になり、零とカノンはなのは達が起きる前に朝食を作ろうとキッチンへと向かっていった。

 

そして数時間後、起きて来たなのは達を食卓に加えた後にカノンと智也がやって来た事を皆に説明し、二人の用意した朝食を大人数で美味しく頂いたのだった。

 

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