仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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第九章/ライダー少女Wの世界⑥

 

 

風麺を出てから数十分後、現在零はすずかとカノンと優矢の三人で連続花嫁誘拐事件について調べる為風都の街中を歩いていた。因みに翔子とツカサ達となのは達は翔子の知り合いである刑事から事件の情報を聞く為に警察署に行っている。

 

 

零「ふむ…取りあえず色々な情報を集めてはみたが…どうも不可解な点が多すぎるな」

 

 

すずか「そうだね…花嫁を誘拐してる犯人は今までの犯行の手口から見て多分同一犯だと思うけど…先ずそれ以前に動機がはっきりとしないし…」

 

 

カノン「えぇ、花婿や誘拐された花嫁やその家族などは皆特にコレといった地位を持っているワケでもお金持ちというワケでもない…犯行が行われた後も身代金の要求などがあったケースは今のところ無し…」

 

 

優矢「警察の方にもかなりの数の捜索届けが出されてるみたいだけど、花嫁達や犯人の足取りも掴めておらず捜査は難航してる…みたいだしな」

 

 

零「唯一手掛かりになりそうなものは現場に残された一本の赤いバラだけ…これだけじゃ流石に捜査の進展がないのも無理はないか…」

 

 

今まで集めた情報が書かれたメモ帳を目にしながら一同は溜め息を吐く。街の噂や事件の被害者である花婿やその家族から話を聞いても大した情報は掴めず、犯人の詳細については何も掴めていない。どうしたものかと一同が途方に暮れていると……

 

 

零「………ん?」

 

 

カノン「…?零さん、どうしました?」

 

 

零「…すまない、ちょっと手洗いに行ってくる。お前等は先に帰っててくれ!」

 

 

優矢「は?お、おい零?!」

 

 

突然零は優矢達に此処で待つように言って何処かへと走り出し、優矢がそれを呼び止めようと零の名を叫ぶが零はそれを聞かずに走り去ってしまった。

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

―風都・港区―

 

 

 

望「…………………」

 

 

零達の居た場所から少し離れた先にある風都の港区。辺りに全く人気のないその場所には、先程鳴海探偵事務所に誠と共に訪れて来た望が何やら浮かない表情で青い海を眺めている姿があった。

 

 

望「…………………」

 

 

だが、海を眺めるその瞳には生気が全く感じられず、まるで人形を思わせるかのような無機質な瞳となっている。そして、望は一歩、また一歩とフラフラとした足取りで海の方へと歩いていき、遂にその足がアスファルトもなにもない、海の真上にと向けられた、その時……

 

 

―ガシィッ!―

 

 

望「ッ!………ぇ?」

 

 

突然後ろから誰かに手を掴まれて後ろの方へと引き戻され、望はいきなりのことに思考が追い付いていけず反射的に後ろの方を見た。そこには……

 

 

零「…こんな季節にスイミングとは随分と物好きな女だな。だが、今日は一段と冷えるから止めておけ…風邪引くぞ…」

 

 

望「………貴方……さっきの探偵さん……?」

 

 

そう、望の手を掴んでいたのはスタイリッシュな探偵の格好をした男性……先程優矢達と別れた零だったのだ。そして零は掴んでいた望を手を離すと、望は閥が悪いといった表情をして零から顔を逸らしてしまう。

 

 

望「…どうして…探偵さんがこんな所に……?」

 

 

零「何、ただ事件のことを調べてる最中に通り掛かっただけだ。単なる偶然だから気にするな…」

 

 

望「……そうでしたか……ご苦労様です。では、私はこれで失礼しますね…捜査の方、頑張ってください……」

 

 

零が自分が此処に理由を話すと望は顔を逸らしたままそう言ってまるで逃げるかのようにその場から去ろうとする。が、零は望が去ろうとする前に次の言葉を口にする。

 

 

零「…極寒の海に飛び込んで凍死ねぇ…だが、そんな事じゃまた邪魔が入るかもしれんぞ?死に場所ぐらいもう少し考えろ」

 

 

望「ッ!?」

 

 

不意に零が言った言葉に望は驚愕したような顔をして足を止めた。そしてそれを見た零は無表情のまま望から視線を外して海を眺め、それ以上の事は何も言おうとしない。

 

 

望「…聞かないんですか?どうして…私がこんなことをしたのか……」

 

 

零「…別に、自分から命を投げ出そうとする奴の事情になんて興味ない…聞いて欲しいというのなら聞くが?」

 

 

望「…いえ…別にそういうワケでは……」

 

 

淡々とした口調でそう答える零に望は気まずそうに顔を俯かせてしまい、そんな望の様子を見兼ねた零は小さく溜め息を吐いた後に別の話題を切り出そうと口を開く。

 

 

零「まあ今のはともかくとして、捜査関係で一つ聞きたいことがあるんだが…聞いても構わないか?」

 

 

望「え…?あ、はい。何でしょうか…?」

 

 

零「…アンタ…本当にあの男と結婚したいと思ってるのか?いや、それ以前に…アンタ、あの男を愛してなんていないだろう?」

 

 

望「ッ!」

 

 

本当は信条誠のことを愛していないのだろうと聞いてくる零に望は驚いたように顔を上げて零の方へと振り向いた。

 

 

望「な…なんでそんなこと聞くんですか…?」

 

 

零「…さっきの事務所でのアンタの様子を見てれば感のいい奴は直ぐに気付く。それに……アンタの身体の所々にある"ソレ"を見たら…大体そう予想も付くさ」

 

 

望「え?………ッ!」

 

 

望を指を指してそう告げる零に望は疑問そうに自分の身体を見下ろすと、何かに気付き慌てて自分の身体を隠した。望の身体にあるのは所々服の下から見えてるもの……明らかに誰かから暴行を受けた証である痣が複数存在していたのだ。

 

 

零「…その様子からして、俺の予想は大体合ってるみたいだな……所謂DVとやらか?」

 

 

望「ち、違います!これはその…た、ただ転んで出来たんです!そんな…暴行なんて……!」

 

 

零「隠すつもりならもう少しマシな嘘を付け…そんなんじゃ説得力のカケラもないぞ」

 

 

望「ッ……」

 

 

呆れたように言う零の言葉に、望はどんな顔をしたらいいか分からず顔を俯かせてしまう。そして望は暫くそんな状態でいると最早隠すのは無理だと思ったのか、言い難くそうに口を開いて語り出した。

 

 

望「…お願いします…この事は誰にも言わないでください…この事が世間に知れれてしまえば…私は…」

 

 

零「最初に言った筈だぞ?俺は他人の内輪揉めになんて興味ない…ただ一つだけハッキリさせろ。アンタ、何故あんな男と婚約なんて交わした?それだけの仕打ちを受けているにも関わらず、何故あんな男の言いなりになってるんだ?それだけがどうも理解できない」

 

 

と怪訝な顔つきをして望に問い掛ける零。そんな零からの問いに望は少し戸惑いと迷いを見せながらも少し考える仕草を見せ、恐る恐る口を開いて語り出す。

 

 

望「……仕方ないんですよ…これは私の両親が決めた婚約……だからそれを断るなんて私には出来ないし…両親の決定に抗うだけの力なんて…私にはありませんから……」

 

 

零「…両親の決めた婚約…つまり、結婚相手の会社を引き込む為の政略結婚か。不満があるなら、今のアンタが受けてる仕打ちを両親に話せばいいだろう?そうすればアンタがあんな男と無理矢理婚約する必要なんてない」

 

 

確かに、自分の娘が相手の男から暴行を受けていると告白すれば、婚約の話しを白紙に戻す事が出来るかもしれない。そのことを両親に告白してみてはと零は薦めてみるが、望はそれに首を左右に振った。

 

 

望「そんな簡単に済む話しではないんです…そもそもこの結婚は、両親の会社とあの人の会社の合併を目的としての婚約なんです……それに今回の合併がなくなれば、両親の会社にも多大な損害をもたらす事もあります…だから、私の都合でそれをなかったことにするワケにはいきません…」

 

 

零「…くだらんな…会社の為に自分の人生を捧げると言うのか?俺は恋愛感情というのはよく理解出来ないが、それでも好きでもない奴と結婚したいなんて思わない」

 

 

望「っ……」

 

 

零「アンタだって、本当は自分が愛して愛してくれる人間と人生を共にしたいと思うだろう?だったら自分の本音を両親にちゃんと…「……貴方には分かりませんよ……」……ん?」

 

 

会社の為に好きでもない男と婚約するのだと告げる望の意志を理解出来ず、何時になく反論して考えを改めさせようとする零。だが、望はそんな零の言葉を聞いて何処か思い詰めたような表情をして顔を俯かせた。

 

 

望「……貴方に私の気持ちなんて分かりませんよ……経営者の娘として生まれ…会社の後継ぎとして幼い頃から教育させられ…生きるも死ぬも最初から決められ…未来永劫ずっと会社の為に生かされていく…それが私の人生なんですよ!!」

 

 

零「………………」

 

 

望「私にだって……私にだって、心から愛せる人が居ました!いつかは…いつかは共に幸せな家庭を築こうって…将来の約束だってしましたよ!でもそんな幸せを望む事すら許してくれなかった!ただの花屋である彼と…社長令嬢なんていう私じゃ…立場も住む世界も違う…だから両親は…そんな私達を…!!」

 

 

積もりに積もった思いをさらけ出すかのように叫び出した望。零はそんな望の変わりように少々驚きながらも黙って耳を傾け、望はその途中ハッと気付いたように自分の口元に手を当てていく。

 

 

望「ご、ごめんなさい……いきなり叫んだりして……びっくりしましたよね…」

 

 

零「気にしなくていい。俺も深く聴き入り過ぎたようだ……だが、今の話に出て来た花屋の彼というのは?」

 

 

望「……あの人と婚約する前に付き合っていた……将来を共にしようと約束した彼です……でも、一年前に両親から結婚を反対され…無理矢理引き離されました…それからはもう彼と連絡が取れなくなって…彼が今何をしているのかも分かりません…」

 

 

零「…成る程な…そんな裏事情があったのか…」

 

 

望から話された事実に零は帽子の鍔を持ち上げながら納得したようにそう呟いて望を見ると、望の首にある一つの装飾品…赤いバラをモチーフにしたネックレスを身に付けてる事に気付いた。

 

 

零「…?そのネックレスは……?」

 

 

望「え?…あ、これですか?これは彼と付き合っていた頃に初めて貰ったプレゼントなんです」

 

 

零「プレゼント…?」

 

 

望「はい…昔は彼の花屋に行くと、いつも特別に赤いバラを一輪だけくれてたんです。それがいつも楽しみで、彼の花屋に毎日通ってたこともありました。このネックレスは、それを意識して彼がプレゼントしてくれた物なんです…」

 

 

望は自分の首に掛けているネックレスを大事そうに握り締めながら何処か懐かしげに話していき、それを聞いた零は険しい顔付きで何か考えるような仕草を見せる。

 

 

望「…あ…す、すみません!何だか私ばっかり話してしまって…」

 

 

零「ん…?ああいや、気にしなくていい。俺は別に大丈夫だから…」

 

 

望「そ、そうですか…でも…何だか話を聞いてもらって少しスッキリしました…ありがとうございます」

 

 

零「いや、力になれたのなら幸いだ。また何か困った事でもあれば探偵事務所に来るといい…二度と身投げでもしないのと言うのならな」

 

 

望「…フフフッ、変わった探偵さんですね……でも、おかげで少し元気が出ました。もう少し……頑張ってみることにします」

 

 

そう言って望は一度零に頭を下げ、そのすぐ後に此処から近くに停めてあるというリムジンの場所まで歩き去っていった。そしてその場に残った零は帽子を深く被り直し、此処から見える海を眺めながらポツリと呟く。

 

 

零「…依頼者を助けなければ裕一達に迷惑が掛かる…だが依頼を果たしてしまえば、彼女はずっとあの男と共に生きていかなければならない……やり切れない物だな…どうも…」

 

 

この世界での自分の役割は探偵。ならば自分は全力で今回の依頼を達成させなければならない。だが、その依頼を果たしてしまえばあの女性から幸せを奪ってしまうことになる。一体自分はどうしたらいいのか……その答えが見付からず、彼はただモヤモヤとした感情に浸って思い悩むしか出来ないでいた。

 

 

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