仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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第九章/ライダー少女Wの世界⑦

 

―鳴海探偵事務所―

 

 

時刻は深夜の十二時過ぎ。なのは達やツカサ達が眠りに付いている頃、鳴海探偵事務所にある隠し部屋には今フェリス、翔子、裕一、そして零の四人がそこに集まっていた。

 

 

翔子「どうだったフィリス?何か分かった?」

 

 

フェリス「まあね。君達に頼まれた信条誠の情報はある程度分かったよ」

 

 

翔子の言葉にそう答えながらフィリスは手に持った分厚い本を開き、そこに書かれている内容を読み上げていく。

 

 

フィリス「どうやら彼は、今回を除いて三回式を挙げてるみたいだね。けどそのどれもが彼からの一方的な家庭内暴力が原因で三回も離婚。一度はそれが原因で裁判ざたになったこともあったみたいだけど、多額の金でもみ消されて不問にされたみたいだ。そして今回の高山望との結婚も恐らく、相手の会社を引き込むのが目的での結婚なんだろうね」

 

 

裕一「…成る程…つまり、あの社長は新婦さんを愛してなんかいない…ただ単に相手の会社が目的での政略結婚ってワケか…零の言ってたことはホントだったみたいだな」

 

 

翔子「みたいだね…ハァ…ガイアメモリが関係してなきゃそんな奴の依頼なんて引き受けなかったのにぃ~!!」

 

 

裕一「いや、今更ああだこうだって言っても仕方ないだろう」

 

 

頭をワシャワシャと掻きむしる翔子を見て裕一は苦笑し、フィリスはそんな二人を見つめながら読み上げた本をパタンと閉じて喋り出す。

 

 

フィリス「信条誠の詳細はこんなところかな……調べがいのないつまらない検索だったよ」

 

 

零「…あぁ、そいつは悪かったな。だがあともう一つだけ……お前にまだ調べて欲しいことがある」

 

 

フェリス「…調べて欲しいこと?」

 

 

険しげに答える零にフェリスは不思議そうに首を傾げる。すると翔子はフェリスに近づきながら一つのメモをポケットから取り出してそれを見せる。

 

 

翔子「もう一回地球の本棚に入ってフェリス。そして此処に書かれてるKeywordを一つずつ調べて欲しいの」

 

 

フェリス「…成る程。その様子だと、どうやら犯人についての手掛かりを掴んだみたいだね?」

 

 

翔子「まあね…刃野刑事やエリザベス達からの情報源だから間違いないと思うよ。でも最後のKeywordは零からの情報を元にしたんだけど」

 

 

そう言いながら翔子は零の方へと振り返ると、零は壁に寄り掛かりながら頭に被る帽子を深く被っており、その表情が良く見えなくなっている。

 

 

フェリス「成る程…中々に興味深いね。では、さっそく始めよう」

 

 

妖艶な笑みを浮かべたままフェリスはそう言って瞳を閉じ、本を片手に右腕を横に上げる。そしてフェリスが再び目を開けると、目の前にはまるで巨大な図書館の如く真っ白な空間に本棚が何処までも並んでいた。

 

 

フェリス「検索を始めよう……最初のKeywordは?」

 

 

フェリスがそう聞くと翔子は手に持つメモを見ながらKeywordを口にする。

 

 

翔子「一つ目のKeywordは……結婚式」

 

 

翔子が一つ目のwordを口にするとそれに呼応するように地球の本棚がパズルのように動き始めて減っていく。

 

 

翔子「二つ目に誘拐…三つ目に赤いバラって続けて入れてみて」

 

 

更に翔子が続けてKeywordを口にすると、本棚も段々と減っていき、残りはあと数十個までとなった。

 

 

フェリス「あともう少しみたいだね…次のKeywordは?」

 

 

フェリスが次のKeywordを求めると翔子と裕一は零の方へと振り返る。そして、それに気付いた零は帽子を深く被りながら応える。

 

 

零「四つ目のKeywordは…赤いバラのネックレスだ」

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

―風都・結婚式教会―

 

 

あれから翌日。風都にあるとある教会では今、誠と望の結婚式が開かれようとしていた。そして最近噂となってる事件を意識してか、教会の中にはやはり何十人もの黒服を纏ったボディーガードや警備員の集団が教会内を見回りや警備をしている姿が見られる。

 

 

俊介「遂に式が開かれるか……けど、何か穏やかな空気じゃないよなぁ……」

 

 

裕一「仕方ないさ、例の誘拐事件の事もあるし…今回の式も双方の会社にとっては大事なことなんだ。これぐらいの警備でもまだ足りないくらいだよ」

 

 

カノン「…でもやっぱり…お祝い事をやるにしては何かピリピリし過ぎですよ…」

 

 

優矢「だよなぁ…」

 

 

零「…………………」

 

 

ボディーガードの男性達があちらこちらで見回りをしている中、男性陣の零、優矢、カノン、俊介、裕一の五人は新婦専用の控室の前に集まっていた。因みに中の方ではツカサ達となのは達と翔子が望に付き添って護衛をしている。

 

 

裕一「……なぁ、皆はどう思う?今回の式…犯人が来ると思うか?」

 

 

カノン「う~ん…これまでの事件から見て、やっぱり来るんじゃないでしょうか?根拠はないけど…」

 

 

優矢「俺もカノンと一緒かな…?犯人が花嫁を狙って結婚式を襲ってるなら可能性は高いし、今まで風都で行われた結婚式も全部抜け目なく襲われてるみたいだしな」

 

 

俊介「だから今回も例外なく現れるかもしれないな…だが今回はそう簡単に行かないだろう。警備も万全だし、花嫁の方にもツカサ達が付いてるんだ。犯人の方だってそう簡単に動けねぇだろ」

 

 

裕一(…そうだな…これだけの警備なら犯人も簡単には動けない。だけど…この犯行にアレが関係してるとなると話しが変わるんだがな…)

 

 

自分の考えをそれぞれ口にするカノン達に裕一はそう考えながら望と翔子達がいるであろう控室の扉を無言で見つめる。そんな時……

 

 

誠「やぁ、探偵の諸君!良く来てくれたね!」

 

 

俊介「あれ、信条さん?」

 

 

零「…………………」

 

 

曲がり角の方から白いタキシードを着込んだ誠が笑いながら現れ、それを見た裕一達は少し驚きながら誠に視線を向けていくが、零だけは顔を少し上げて誠を見ると、被っていた帽子を深く被り直して俯いた。

 

 

誠「いや~嬉しいよ。君達にまで祝ってもらえるなんてねぇ」

 

 

カノン「はい。ご結婚おめでとうございます…所で、新郎さんはどうして此処に?」

 

 

誠「んん?僕が此処に来るのは可笑しいかい?ただ単に望が無事か様子見に来ただけだよ」

 

 

裕一「あぁ…そうでしたか。安心して下さい、新婦さんはちゃんと我々が護衛しておりますので…」

 

 

誠「そうじゃなきゃ困るんだよぉ。望は大事な婚約者だからねぇ~、彼女の身が心配で仕方ないんだよ」

 

 

優矢「ア、アハハハ…新婦さんのこと、ホントに大事に想ってるんですね」

 

 

誠「当然じゃないか。彼女は僕の命より大事な人なんだからねぇ♪」

 

 

零(…心にもない事をぬけぬけと…)

 

 

ヘラヘラとした表情で望が大事だと言う誠に零は思わず苛立ちを覚えるが、なんとか堪えて落ち着きを取り戻していく。

 

 

誠「…おや?そこの彼は何だか暗いねぇ?一体どうしたんだい?」

 

 

零「……………………」

 

 

誠「ん?どうしたのかな?何処か体調でも悪いなら、医者でも呼んで上げようか?」

 

 

零「……………………」

 

 

何度も話し掛けて来る誠に零は帽子を深く被ったまま無視を続ける。そんな零の態度がカンに障ったのか、誠は眉を寄せて表情をしかめた。

 

 

誠「おい…僕がわざわざ君の身を案じてやってんだぞ?それをだんまりなんて僕に失礼じゃないか…?」

 

 

零「……こいつは失敬。何やら鬱陶しい羽虫がしつこく鳴いていると思ったら……貴方でしたか。気が付かなくて申し訳ない」

 

『っ!!?』

 

 

誠「なっ……!」

 

 

優矢「ちょ?!おい零?!」

 

 

急に喧嘩を吹っ掛けるような言葉を放った零に優矢達は驚愕の表情を浮かべ、それを聞いた誠は顔を真っ赤にして叫んだ。

 

 

誠「は、羽虫だと!?この僕を…信条グループの時期社長である僕を羽虫呼ばわりだと!?」

 

 

零「そうだが?いや、羽虫は立派過ぎるか…せいぜいゲス野郎かペテン師ぐらいがアンタには丁度良いな」

 

 

誠「なっ……お、お前えぇぇぇぇッ!!」

 

 

カノン「ちょ!落ち着いて下さい新郎さん!」

 

 

優矢「す、すみません!コイツ昨日から徹夜で事件の事を調べてたからちょっと不機嫌なんです!どうか許してやって下さい!」

 

 

鼻で笑いながらそう告げた零に誠は怒って思わず零を殴り付けようとするが、それを横からカノンと優矢が止めに入った。そして誠は二人から乱暴に離れると、未だ怒りを治められないまま乱れたタキシードを直しながら告げる。

 

 

誠「くっ…覚えてろよ探偵…僕を侮辱したことを絶対に後悔させてやる!覚悟しておけ!!」

 

 

そう言いながら誠は自分の控室へと戻っていき、優矢達はそれを確認すると肩の力を抜いて零の方へと振り返った。

 

 

優矢「ったく、お前いきなり何言い出すんだよ?!次期社長に向かってあんなこと言うなんて!」

 

 

カノン「そうですよ、一体どうしたんですか?いつもの零さんらしくないですよ…何かあったんですか?」

 

 

零「別にそんなんじゃない……ただ……」

 

 

優矢「…ただ?」

 

 

零「ただ……あのヘラヘラとした笑い顔が気に入らなかった……それだけだ」

 

 

『…?』

 

 

何処か様子がおかしい零に優矢達は疑問を感じ、零はそんな優矢達から背中を向けてそのまま何処かへと歩き出した。

 

 

俊介「お、おい零!何処に行くんだ?!」

 

 

零「ただの手洗いだ。直ぐに戻る…」

 

 

呼び止めた俊介にそれだけ言って零は早足で再び歩き出し、残された優矢達はただ呆然とそんな零の背中を見つめているしか出来ずにいたのだった。

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

零「…………………」

 

 

優矢達と別れてから数分後。零は一人手洗い室の近くにある休憩所の窓から外の景色を眺めている。先程の自分はどうかしていたようだ。先程のカノンの言葉でそれをさっき自覚し、今は頭の中でその言葉を何度もリピートさせて自身を落ち着かせている。

暫くそうしていると、不意に零のポケットからブブブッと振動が伝わり、それに気付いた零はポケットからその振動を起こしている物…ビートルフォンを取り戻して通話ボタンを押し耳に当てる。

 

 

零「…もしもし?」

 

 

フェリス『やあ零、私だよ。そっちの調子は今どうかな?』

 

 

ビートルフォンから聞こえてきた少女の声…フェリスからの電話に零は若干驚いたという表情をするが直ぐにまた無表情へと変わってそれに答える。

 

 

零「フェリスか。調子は…そうだな…警備の方は万全だし、花嫁もまだ無事のようだ。万事首尾良くいっているが?」

 

 

フェリス『私が聞いてるのはそんなことではないよ、君の方を聞いてるんだ』

 

 

零「…どういう意味だ?」

 

 

意味が分からないと言わんばかりに零は怪訝に眉を寄せながら言い、フェリスは更に続けて言葉を紡ぐ。

 

 

フェリス『昨日の晩、君と翔子はKeywordを当てて既に犯人の正体を掴んだ。だけど君達は犯人を捕まえることに戸惑いを覚えている……そうだろう?』

 

 

零「……流石と言うべきか……いや、そんな簡単に考えを掴まれるような態度を見せていたのは俺か……」

 

 

今回の事件の犯人を捕まえる事に躊躇している。それを言い当てられた零は溜め息を吐きながらポツリと呟く。

 

 

零「確かに…昨日は犯人の正体を知って戸惑いはしたが、今は特に問題はない。もし犯人が現れてもすぐ様捕まえるだけだ」

 

 

フェリス『成る程…君は既に割り切ってるというワケか。けど、翔子の方はどうだろうね?』

 

 

零「アイツはアイツで勝手にやるだろう。アイツだって探偵の端くれ……ハードボイルドなんだろう?」

 

 

フェリス『まあね……でもまだ情に流され安い半熟…ハーフボイルドなんだけど』

 

 

零「あぁ…そうだったか。まあそれより、今は犯人の動きに気を配るべきだろ。犯人が本当にお前等の予想通りの力を持つなら…どんなトリックを使ってくるか分からないんだからな」

 

 

フェリス『…そうだね、君の声を聞いて安心したよ。どうやら私が心配する必要はなかったみたいだ。花嫁の護衛、頑張って』

 

 

フェリスがそう言うと通話が切れ、ビートルフォンからは通話の切れた音だけが聞こえてきた。

 

 

零「頑張って…か。それは俺じゃなくて、翔子に掛けてやるべきだと思うんだが………ん?」

 

 

ビートルフォンをポケットに仕舞いながら窓の外へと目を向けていくと、教会の外からやってくる招待客達の姿が零の目に止まる。

 

 

零「…ものすごい数だな…まあ、結婚式っていうのも基本一生に一回しかない大イベントだというし、これだけの招待客が来ても可笑しくはな………い……」

 

 

教会にやって来る招待客を眺めながらそう呟いていると、零はある招待客の姿を見た途端目を見開いて固まってしまった。零の視線の先には、他の招待客と談笑する赤い点の付いたスカーフを首に巻いた女性の後ろにいる二人の少女。

一人は黒いドレスを身に纏った銀髪の少女、もう一人は白いドレスを着込んだ金髪の少女。その二人を見た零は我が目を疑い、絶句していた。

 

 

零「……………そんな………馬鹿……な……」

 

 

ありえない、そんなハズがない。零には目の前の現実をどうしても受け入れることが出来なかった。信じられるはずがない。何故なら彼女達は、自分達の世界で十年前に消えた筈"だった"のだから。視界に映る二人を凝視しながらそんな訳がないと何度も自分に言い聞かせ、思わず窓に身を乗り出した、その時……

 

 

 

 

―また…全てが終わってしまった…一体幾つ…こんな悲しみを繰り返すのか…―

 

 

―優しい人だったんだよ…優しかったから壊れたんだ…死んじゃった私を生き返らせる為に…―

 

 

 

 

零「―――っっ!!!」

 

 

突然脳裏に一瞬だけ映った映像…フラッシュバックというものだろうか。まるで今朝見た夢の様にそれがいきなり映った。そんな映像が何故今流れたのか?あの二人は何者か?そんな疑問を考える前に、彼はいつの間にか教会の外に向かって全力で走っていた。

 

 

 

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