仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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番外編②
番外編/とある少女の恋の始まり・運命の名を持つ少女編


 

 

――全てが始まったのは…十年前のあの日。

 

私が彼と出会ったのも十年前…私がまだ九歳の頃だ。

 

その頃の私は、ただ母さんに言われてジュエルシードを集める事に必死だった。

 

母さんが望むなら私は何も反論しなかったし、ジュエルシードさえ手に入れば、きっと母さんも昔みたいに笑ってくれる……私もそう信じて戦っていた。

 

だから私はどんな手段も使ったし、それを邪魔する敵は容赦なく倒した。

 

そんな中で私は……彼と出会った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フェイト「…誰?貴方もジュエルシードの探索者?」

 

 

零「ジュエルシード?あんな石ころに興味ない。ただ…人の周りをウロチョロするのは止めてもらおうか?目障りだ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時の私達は今とは立場が違い、最初に出会った時は敵同士だった。

 

その時の彼の第一印象は…とにかく変わった子だと思った。

 

人形のように無表情で人を突き放す様な冷たい口調。

 

周りのモノに関心や興味も持たない無愛想な性格。

 

昔の自分より暗く、何処か悲しみに満ちた冷たい瞳。

 

そんな彼を最初に見た時から、何故か彼のことばかり考えるようになった。

 

何故あんなにも悲しい目をしているのか…

 

何故一度も人間らしい表情を見せてくれないのか…

 

一度考えたら止まらず、気付けば、彼をもっと知りたいと思う自分がいた―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フェイト「…記憶喪失?」

 

 

零「あぁ…ここ数年の記憶が俺にはない…だから本当の親も知らないし…本当の自分も知らない…知らないんだよ…」

 

 

フェイト「……そう…だったんだ……」

 

 

零「…だから正直…そんなお前が羨ましく思う…大事な母親の為に何かをしようとする……お前がな…」

 

 

フェイト「……あ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、何度か刃を交えた後に漸く知った彼の境遇。

 

それを話した時の彼の表情はいつものような無表情だったけど…何処か泣きそうに見えた。

 

そんな彼の表情を見るだけで、心が酷く痛んだ。

 

そんな顔をしないで欲しいと…

 

自分に何かが出来るなら、彼を救い、支えてあげたいと…

 

敵であるにも関わらず、そんな感情が込み上げた。

 

何故…敵である彼にこんな感情を抱いたのか…

 

この感情が一体何なのか…この時の私にはそれがわからなかった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ドゴォォォォォォォン!ドゴオォォォォォォン!―

 

 

アルフ「フェイト!!フェイトォォォォォォォォォォォォっっ!!!」

 

 

崩れ墜ちていく楽園、私は落下してきた瓦礫によってアルフと離れ離れになってしまった。

 

 

フェイト「…はぁ…はぁ…はぁ……アル……フ……」

 

 

周りは既に瓦礫によって支配され、足場はかなり悪くなっている。此処まで来るのに体力も魔力も使い果たした今の私には、もう空を飛べるだけの余力は残されていない。そしてとうとう力尽き、地面に力無く倒れた瞬間……

 

 

 

 

―ドゴオオオォォォォォォォォンッ!!―

 

 

フェイト「……ぁ…」

 

 

空から落下してきた瓦礫。それは雨の様に降り注ぎ、私を踏み潰そうと容赦なく向かってきた。

 

 

フェイト「…………」

 

 

……此処で死んじゃうんだ……私……

 

でも、それもいいかもしれない。

 

私なんかが生きてたって、何も良い事はないんだから…

 

ただ…もう一度…あともう一度で良いから…あの白い服の女の子と…黒い服の男の子と…話しをしたかったな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ドゴオオオォォォォォォォォォォォンッ!!!―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ピチャ…ピチャ…―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フェイト「………?」

 

 

 

 

…可笑しい。瓦礫は落ちてきてる筈なのに、何時まで経っても痛みは襲い掛かって来ない。

 

代わりに感じできたのは、頬を伝う生暖かい液体の様なモノ。

 

何が起きたのかと上を見上げてみると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ピチャ……ピチャ……―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フェイト「………嘘…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零「ッ…ちっ…まさか俺がこんな事をする嵌めになるとは…俺も…高町の甘さに毒されたか……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目の前に居たのは、私の上に覆いかぶさるような態勢で瓦礫を背中で受けて止める少年…紛れも無い、あの黒い服の少年だった。

 

そしてあの瓦礫から私を庇ったせいか、彼の額からは大量の赤い液体が流れ出ている。

 

 

フェイト「ど…どうして…此処に…?」

 

 

零「……高町とスクライアとハラオウンとはぐれた。それで取りあえず近くから感じた魔力を辿って此処に来てみれば、コレに押し潰されそうになってたお前を見つけた……それだけだ」

 

 

彼はいつものように愛想のない口調で言いながら背中の瓦礫を退かしていく。

 

 

フェイト「…っ!?」

 

 

その時……私は見た。彼の背中に大小の瓦礫が突き刺さり、そこから赤い液体が大量に流れ出ているのを。

 

多分…さっき私を庇ったせいで、あんな……

 

 

フェイト「どう…して…?」

 

 

零「…?」

 

 

フェイト「どうして…私なんか助けたの…?私なんか生きてたって…」

 

 

―ゴンッ!!―

 

 

フェイト「Σはぅっ!?」

 

 

全部言い切る前に、黒い服の少年に頭を殴られた。しかもグーで思いっきり…

 

 

零「こんな状況で何を言い出すのかと思えば…自分には生きる価値がないだと?此処まで来てお前が見つけた答えが、そんなふざけたことなのか…?」

 

 

フェイト「そ…そういう訳じゃないけど…」

 

 

零「だったらそんなくだらない事二度と口にするな…聞いていて虫酸が走る」

 

 

フェイト「うぅ……」

 

 

明らかに怒ってると分かるぐらいの雰囲気を放つ黒い服の少年を見て何も言えなくなる。

 

すると黒い服の少年は一度深い溜め息を吐いた後、尻餅を付いてる私を持ち上げて抱え、空へ飛び出した。

 

 

零「……フェイト・テスタロッサ……お前に一つだけ伝えておく……」

 

 

フェイト「……何?」

 

 

零「此処に来て俺が決めたことだ……お前の死の権利は俺が奪い取る…それだけだ」

 

 

――つまり、私は自分から死を選べないと言う事だろうか。それは何と言う……

 

 

フェイト「…自分勝手な…発言だね…」

 

 

零「…それが俺だからな。嫌いになったなら嫌えばいい、恨みたければ恨めばいい。だが…俺はお前に何と言われようが自分のやり方を変える気はない……俺や高町が絶対……お前が自分から今を生きてて良かったと思えるようにしてみせる…それまでお前を死なせるつもりはない」

 

 

フェイト「………でも……でも…私は……」

 

 

零「…………お前はまだ、ちゃんとこの世界を見ていない…まだホントの意味で"生きて"はいないだろう?俺から見たら、お前が普通の人間だろうが人造魔導師だろうがどうでもいいし、興味もない。俺の命とお前の命は何処も変わらない、ただ生まれ方が特別だった……たったそれだけのくだらん話だろう。お前の命に価値や意味を付けるなんて考えるだけでも時間の無駄だ。今を生きたいと望む…それだけで十分、お前がこの世界で生きていい理由になる」

 

 

フェイト「…………」

 

 

零「それでもまだ生きる事に戸惑いや不安を感じるのなら…俺が一生を掛けてでもお前を支えて守る。だから今からでも遅くはない…今度は誰かからの命令ではなく、自分の意志で、自分を信じて生きてみろ…フェイト・テスタロッサ。お前が存在してはいけない理由なんて…何処にもないんだから…」

 

 

フェイト「………あ…」

 

 

不意に呟かれた彼の言葉に…胸が響いた。

 

私を守ってくれると…

 

私は生きていいのだと…

 

その言葉に…私は思わずとめどない涙を流してしまった。

 

 

零「…?何故泣く…?」

 

 

フェイト「ぐす…だって…だってぇ…」

 

 

零「……?」

 

 

母さんに拒まれ…母さんに私という存在を否定され…

 

私は存在してはならないのだと…私の存在は許されないのだと…

 

心の何処かでそう思い…私は自分の存在に自信が持てなかった…

 

でも…

 

 

フェイト(……でも…彼は認めてくれた……私は……私は生きていいんだって…そう言ってくれた…)

 

 

その言葉で、どれだけ私の心が救われたことか…

 

その優しさで、どれだけ私が勇気付けられたことか…

 

そして…今のでやっと気づいた…

 

ずっと気になっていたこの不思議な気持ち…

 

彼のことが頭から離れず、彼と一緒にいるだけで満たされるこの気持ち…

 

顔を見上げれば、すぐそこに彼の顔がある…

 

そんな彼の表情を見るだけで、不思議と胸が熱くなる…

 

 

フェイト(……そうだ……そうだったんだ……私は……彼の事が……)

 

 

自分を救ってくれた彼に対する感謝の気持ち…

 

今まで気付けなかったこの暖かな気持ち…

 

それらが合わさって…漸く気付けた…

 

そう……これが……

 

 

 

 

フェイト(……彼の事が……好きになったんだ……)

 

 

 

 

 

…これが…私が彼を好きになったキッカケだった…

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

フェイト「………んっ…」

 

 

ふと目が覚め、瞼を開けた先には見慣れた天井が目に映った。

それからここが写真館にある自分の部屋なんだと理解するのに時間は掛からなかったが、何故か身体がだるく、頭がズキズキと酷く痛む。

 

 

フェイト「あ……れ…?私……なんで……」

 

 

「…よ、目が覚めたか?」

 

 

フェイト「……え?」

 

 

不意に隣から声が聞こえ、それに少し驚きながらそちらに目を向ける。そこに居たのは見慣れた顔の青年…カメラの手入れをしながらこちらを見つめる零の姿があった。

 

 

フェイト「れ…零…?どうして…此処に…?」

 

 

零「?どうしてって…お前まさか、今朝のこと覚えていないのか?」

 

 

フェイト「?…今朝…?」

 

 

怪訝そうに問い掛けてきた零に私はズキズキと痛む頭で必死に今朝のことを思い出す。だけど頭痛のせいで上手く思考が働かず、どうしても思い出すことが出来ない。

 

 

零「…はぁ…本当に覚えていないのか?お前、今朝の朝食の時に熱出して倒れたんだぞ?」

 

 

フェイト「え?………あ」

 

 

そうだ…思い出した。そういえば今朝起きた時、何だか頭が熱くてフラフラしていた。それで何とかみんなが集まる部屋にまで辿り着いたんだけど…そこからの記憶がまったくない。恐らく…今零が言った通り熱で倒れてしまったんだろう。

 

 

零「…漸く思い出したか?全く…いきなりだったからみんな驚いていたぞ。此処まで運ぶのも大変だったし、ヴィヴィオなんか倒れたお前を見て大泣きしてたし……」

 

 

フェイト「そ、そうだったんだ…ごめんね…みんなにまで迷惑掛けて…」

 

 

零「謝る位なら日頃の体調管理に気をつけろ。お前に何かあれば皆も心配するんだ…分かったな?」

 

 

フェイト「うっ…面目ないです�」

 

 

零の言う通り、もっと日頃の体調管理に気を配っていればこんな事にならなかっただろう。そう考えると、心配掛けてしまったなのは達や零には本当に悪いことしたな……

 

 

フェイト「…そういえば…なのは達はどうしてる?」

 

 

零「ん…?アイツ等なら下の方で昼食を作ってるぞ。そう言えば…確かお前の分のお粥もあったはずだな…今から取りに行って来る」

 

 

と、そう言って零は座っていた椅子から立ち上がり扉に向かおうとする。

 

…だけど…彼が此処からいなくなってしまうと考えると凄く心細くなってしまう。だから…

 

 

―グイッ―

 

 

零「……ん?」

 

 

だから遂……そんな彼の手を掴んで引き止めてしまった。

 

 

零「?フェイト…?」

 

 

フェイト「あっ…えっと……お…お粥は後で良いよ…だからその……今はもう少しだけ……傍にいて…//」

 

 

あんな夢を見た影響だろうか…自分の中から沸き上がる欲望に歯止めが効かず、自分でも大胆だと思う発言をしてしまった。

 

そのせいか、自分でも分かるぐらい顔が物凄く熱くなってしまってる。

 

 

零「?…良く分からんが…傍に居ればいいんだな?」

 

 

フェイト「う…うん…いい…かな…?//」

 

 

零「あぁ…別に大丈夫だ。俺はちゃんと此処にいるから、お前ももう少し休んでろ…」

 

 

フェイト「…うん…ありがとう…//」

 

 

そして私は、眠りに付く間彼に手を握っててもらい、心地好い安心感に身を任せているとまた眠気が押し寄せてきた。

 

 

フェイト(…私…負けないよ…なのはやはやて達にも……絶対……)

 

 

意識を手放していく中で、此処にいない親友達にそう宣戦布告し、私は布団の中で握る彼の手を強く握り締めながら瞼を閉じた。

 

 

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