仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
その日の夜、医者から退院の許可を貰った零はなのは達と共に病院を出て鳴海探偵事務所に戻って来ていた。そして探偵事務所の前にやって来ると扉を開けて中に入ろうとした。だが…
―ドシャァァンッ!!―
裕一「ガハァッ!!」
翔子「裕一!!」
『ッ?!』
突然事務所の中からけたたましい物音と共に聞こえて来た悲鳴。それを聞いた零達は慌てて事務所の扉を開けて中に入ると、そこには顔中青アザだらけになった裕一の胸倉を掴む誠の姿があったのだ。
裕一「うっ…くっ…」
優矢「裕一さん!!」
ツカサ「ちょっと!?いきなりやって来て何すんのさっ!?」
誠「煩い!!僕は言ったよな?今回の結婚式はとても重要な式なんだって。なのに望は誘拐され、結婚式は目茶苦茶…オマケに僕まで民主の前で大恥を掻いたんだぞ?金払って雇ったって言うのに…お前達は一体何やってたんだ!?えぇ!?」
裕一「アグッ!ウッ…」
翔子「止めてよ!!依頼をこなせなかったのは私のせいなんだよ!?裕一は何も関係ないよ!!」
誠「あ?なら尚更この所長さんに責任取って貰わないといけないだろう?部下の失敗は上司の責任……お前みたいなクズ探偵の失敗はコイツの責任だろうが!?」
翔子「ッ…そ…それは…」
物凄い剣幕で怒鳴り付ける誠に翔子は押し黙ってしまうが、そこへ裕一が胸倉を掴まれたまま誠の腕を掴んで口を開いた。
裕一「ッ…依頼をこなせなかったのは謝ります…ですが、今の言葉は取り消して下さい!翔子だって必死に犯人を追って戦ったんだ!その翔子がっ…そんな風に言われる覚えなんてありません!」
翔子「…裕一」
誠「ハッ、何が必死に戦っただ?仕事もロクにこなせないクセに…意気がった事言うなぁ!!」
裕一「くっ!」
俊介「っ!止せぇ!」
カノン「裕一さん!」
誠は再び裕一を殴り付けようと腕を振り上げ、それを見た俊介達は慌てて誠を止めに入ろうとする。その時……
―ガシッ!―
誠「…っ?!何?!」
『っ?!』
突然誠の背後から何かが腕を掴み、突然のそれに誠や裕一達は驚きながらそれを見た。それは……
零「…そこまでだ。それ以上俺の友人に手を出すのは止めてもらおうか?」
誠「?!お、お前は…?!」
優矢「れ、零っ?!」
誠の腕を掴んだ人物…零は鋭い視線で誠を睨みながら低い声でそう言い放ち、そんな零を見た誠と裕一達は驚愕の表情を浮かべていた。
誠「お、お前は…あの時の探偵?!なんで此処に?!」
零「何をそんなに驚くんだ?俺は此処の探偵なんだ…なら此処にいても可笑しくはないだろう?」
優矢「れ、零!お前…もう怪我は大丈夫なのか?!」
零「取りあえずはな。一応退院の許可をもらってるから特に問題はないだろ……さて?」
零は優矢からの問いにそう答えると、誠から腕を離し鋭い視線のまま誠と向き合った。
零「取りあえず此処はお引き取り願おうか?今からアンタの婚約者をさらおうとした犯人について話し合わないといけなんだからな」
誠「な、何だと?!まだ僕の話しは終わっていないんだぞ?!」
零「その件なら後にしてくれないか?生憎、こっちはお坊ちゃまの我が儘を聞いてる暇はないんでね」
誠「なっ…お、お前ぇ…」
零「そういうわけだ…関係ない奴は早く帰れ。会議の邪魔だ」
そう言いながら零は誠の横を通り過ぎてソファーに座り込むとカメラの手入れを始め、そんな零の態度を見た誠は悔しげな表情をしながら言い放つ。
誠「くそ…依頼なんてもう取り消しだ!!覚えてろよクズ探偵共!!こんなオンボロ事務所……僕のパパに言い付けて取り潰してやるからな!!」
そんな捨て台詞を残すと誠は乱暴に扉を開けて事務所から出ていき、それを見た零は呆れたように溜め息を吐いた。
零「捨て台詞もイマイチな奴だな…今度来る時はもう少しまともであって欲しいもんだ」
優矢「いや、気にする所はそこじゃないだろ�」
翔子「裕一…大丈夫?」
裕一「ッ…あ、あぁ…全然大丈夫だ…こんなの…」
ソファーに座り込む零がカメラの手入れをしてる中、翔子は裕一の身体を起こして近くにある椅子に座らせるとすずかと裕香が救急箱を持って裕一に駆け寄り傷の治療を始めた。
ツカサ「全く、それにしても何なのかなあの次期社長は!?」
俊介「仕方ないだろ?依頼をこなせなかったこっちに非があるんだ…何を言われようが文句は言えないさ」
カノン「でもだからって…あんな言い方しなくてもいいじゃないですか…」
先程の誠の物言いツカサとカノンは不満を口にし、それを聞いていた零はカメラの手入れをしたまま口を開いた。
零「まあ、あの次期社長の事はほっといていいだろ。それより今は、あの犯人の話が先だ」
フェイト「犯人って…あのバラみたいなドーパントのこと?」
俊介「だけど、犯人についてはまだ何も分かってないんだろ?それに犯人の目的だってまだ分かってないのに、どうやって「犯人の事なら既に大体分かってるよ」…え?」
零の言葉に俊介が難しげな表情でそう答えると、奥の隠し部屋から出て来たフィリスがそれを遮りながら喋り出した。
フィリス「彼の持つメモリの名はROSE。そして犯人の目的は高山 望と信条 誠の結婚式を潰す事さ」
翔子「ッ!フィリス…!」
ツカサ「…え?それって…どう言うこと?」
フィリスから話された犯人の目的を聞きツカサが首を傾げていると、そこへ零が言葉を紡ぐ。
零「ROSEのメモリ保持者の名は小神 修二……高山 望の元婚約者だった男だ」
『…えっ?!』
翔子「ちょ、零っ?!」
零「…遅かれ早かれ事実を知ることになるんだ。なら今話した所で何も変わらんだろう?」
翔子「っ……」
特に気にした様子もなくカメラの手入れを続ける零に翔子は何も言えなくなり、そこへすずかが未だ驚いた様子で口を開いた。
すずか「ど、どういう事?望さんの…元婚約者って…」
零「…そのままの意味だ…小神 修二はROSEのメモリを使い風都で行われていた結婚式を襲撃し花嫁を誘拐していた。その目的は恐らく、遠回しに高山望と信条誠が事件を恐れて式を取り消すよう仕向ける事だったんだろ。ま、結局はそれも失敗に終わって誘拐する事になったんだが…」
翔子「…犯行が始めて行われた時期もあの二人が婚約発表を行って一週間経った頃からだったしね……まず間違いないと思うよ」
カノン「そんな…零さん達は知ってたんですか?!あのドーパントの正体を?!」
零「…別に隠すつもりはなかったさ。だが正直、俺達も真実を知った時は動揺した…だからどうやって説明すればいいのか分からなかったんだよ」
何処か悲しげな表情で零がそう言うと翔子と裕一は顔を俯かせ、それを見た一同はそれ以上言えなくなってしまう。
なのは「…でもそれじゃ…もしあのドーパントを倒したとしても…」
零「…連続誘拐の上に負傷者も多く出てる…倒した後は間違いなく警察行きだな。こればっかりはどうしようもない」
すずか「そんな……」
断言するように言い放った零の言葉に一同の表情は暗くなってしまい、それを横目に見た零は一度手を止めて口を開いた。
零「…取りあえず…俺達が出来る事は奴を止めてこれ以上罪を重ねないようにするだけだ。それが多分この世界での俺の役目だと思うしな」
優矢「止めるって…具体的にはどうするんだよ?犯人の居場所なんてまだ分からないし、居場所を突き止める手掛かりだってないんだぞ?」
確かに…犯人の居場所が分からない以上、犯人がいつ動き出すのか不明…だから犯人が犯行を起こした時に動き出すしかない。つまり後手に回るしかないと言うことだ。だがそれではまた犯人を逃がしてしまう可能性は高いし、もし取り逃がせば小神 修二はまた罪を重ねることになる。ならばどうすればいいのかと一同が考えていると……
零「…いや、一つだけある。先回りして犯人を抑える事ができる方法が…」
『…え?』
ソファーに背中を預けていた零が閃いたというように人差し指を掲げながら喋り出し、それを聞いた全員が零に注目していく。
零「今回小神の目的は最初から高山望だけだ。そして幸いにも小神は今日の結婚式で高山望を誘拐しそびれてしまった……それに今日病院から出る時に受付から聞いた話じゃ高山望は入院中ボディーガードは付けておらず、明日の迎えの車も病院に付くまで一時間以上間があるらしい…つまり…」
優矢「?つまり…えっと……?」
ツカサ「…あ、そっか!」
零「そう、小神が高山 望を誘拐する機会を伺っているのなら……明日は絶好のチャンスという事だ…」
◆◇◆
探偵事務所で零達が会議を行ってる頃、事務所を出た誠は自分専用のリムジンが停まってある駐車場まで夜道を歩いていた。
誠「クソッ!あのクズ探偵め…絶対に許さないぞっ!僕をコケにしやがってっ!」
誠はまるで苛立ちをぶつけるかのように道行くモノを蹴り付けていき、その道を通る通行人もよそよそしく誠を避けていた。
誠「どいつもこいつもっ…僕の事をまるで認めようとしない!何故僕の邪魔ばかりするんだ!!」
誠は怒りで歪んだ表情をしながら爪を噛んで歩いていると、そんな誠の背後から一人の男が近づき始めた。
「――なら、消してしまえばどうでしょうか?貴方に逆らうモノを全て…ね?」
誠「っ?!な、何だよお前?!誰だ一体…?!」
「クス…そんな警戒しないで下さい、私はただのしがない商売人ですよ。そんな事より今日は、貴方に是非買って頂きたいモノがあります」
驚いた表情で身構える誠を他所に男は手に持っていたトランクを誠の前に出して開けた。そして誠は警戒心を強めながら恐る恐るトランクの中身を覗き込むと、トランクの中には無数のメモリで埋め尽くされていた。
誠「こ、これは…?」
「フフフ…貴方の力となるメモリですよ。どうです?これなら、貴方に逆らう者を全て消し去る事が出来ます」
誠「……アンタ…一体何者なんだ?」
誠はトランクの中から一つのメモリを手に取りながら男に何者かと問い掛けると……
「フフ、言ったでしょう?私はただのしがない商売人…まあ、気軽にシャドウとでも呼んで下さい…」
月下の下で男…シャドウはそう言いながら誠に怪しく微笑んで見せるのであった。