仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
番外編/堕チタ破壊者
俺はただ……俺達の世界を救いたかっただけだった…
俺はただ……アイツ等とのくだらない日常を取り戻したかっただけだった…
俺はただ……アイツ等と一緒にいたかっただけだった…
なのに……何故……こんなことに……なってしまったんだろう……
―ドゴオォォォォォォオンッ!!!ドゴオォォォォォォォォオンッ!!!―
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!!」
容赦なく襲い掛かる攻撃。身体中は既にボロボロになって血に染まり、上手く立ち上がることも出来ない。身体が痛い…心が痛い…何もかもが痛い…何故…こんなことになったんだろう…
『貴方は全てのライダーを破壊しなければならなかった…だが仲間にしてしまった…貴方の旅は間違っていました』
『ディケイド…お前の仲間であるあの子達はもういない…後はお前を倒すだけだ』
目の前から歩いてくる九人のライダー達…俺達の旅は間違っていたと…俺達達のしてきたことは間違っていたと…すべてを否定され…アイツ等まで奪われ…俺はもう…戦うことも……立ち上がることも出来ない……
『これで終わりだ…ディケイド。此処で…お前の旅を終えろ』
視界がぼやける中、目の前に見えるのは俺に向けて銃を構えるライダー。此処で死ぬのか……俺は……それもいいだろう…アイツ等を失った俺に……生きる目的なんてないのだから…
―ドオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオンッ!!!!!―
銃声と共に向かってくる細長い砲撃が…俺の命を刈り取ろうと向かってくる……来るなら早く来い……俺を早く……アイツ等の下に…連れていってくれ……
―ズドオオオォォォォォォォォォォォンッ!!!!―
『なっ…?!』
…?…痛みも何も感じない…代わりに聞こえてきたのは奴らが息を呑む声と…何が貫かれるような音…一体何が…?
―…ピチャッ…ピチャッ…ピチャッ…―
「こふっ……だ…大丈夫……だっ…た…?」
「?!なっ?!」
瞳を開けた先にあった光景は…死んだと思っていた俺の大切な人…腹部に風穴が開いているにも関わらず…口元から血を流しながら俺に微笑む彼女の姿があった……
「よかっ…た…無事…だった…みたい…だ……ね…」
「ッ?!―――!!!」
微笑む彼女は俺に笑い掛けながらグラリとその身体が揺れ…俺は咄嗟に彼女の身体を抱き留めた…暖かい…彼女の身体から感じるのは温かな感覚…しかし…その温もりが…徐々に彼女の身体から失われるのが肌から伝わってきた…
「しっかりしろ!―――!なんで…なんでこんな!!なんで俺を!!?」
「…こふっ…ごめっ…んね…でもっ…―――が無事で…良かっ…た……よ…」
「喋るな!!クソッ!クソッ!止まれ!!止まってくれ!!頼むからぁ!!!」
必死に彼女から溢れる赤い液体を止めようとしても、それは止まることなく流れ出ていく。なのに、彼女は苦しげな顔を見せず、俺に心配を掛けまいと笑みを浮かべていた。
「…もう…いいよ…私なんか…放って…早く…逃げ…て…」
「?!馬鹿言うな!!お前を置いていくなんて出来るハズないだろう!?」
「いいの…私はもう…助からない…だから…―――だけでも……」
「ッ…出来ない…出来る筈ない…!」
まただ…また俺は…コイツを守れなかったっ…守ると誓ったハズなのにっ…命を捨ててでも守ると誓ったのにっ…俺は…俺はっ…!!
「…大…丈夫…だよ…?―――は…なにも…悪くない…んだから…」
だが、彼女は優しく…微笑みながらそう言って…俺の頬に手を差し延べてきた。冷たい…彼女の手からはもう温もりを感じない…視界が涙で滲む中…俺は震える手で彼女を手を掴んだ…
「ゴメン…ね…一緒に帰るって…皆と一緒に帰ろうって…言ったのに……約束…守れ……なくてっ……」
「違う…違う!!お前が…謝る必要なんてない!謝るのは俺だ!お前を守るって約束したのに!お前達の世界を救って一緒に帰ろうって約束したのに!俺は…俺はっ…!!」
優しく微笑む彼女の頬に彼の涙が伝う…彼女を守れなかった…彼女を傷つけた…そんな後悔の念が止まることなく溢れてくる…だが、彼女はそんな俺に大丈夫だと告げてきた…
「泣かないで…嘆かないで…私は…後悔なんてしてないよ…私達の旅は間違っていなかったって…そう信じてるから…―――と一緒にいられて…良かったって…思ってるから……約束は…守れなかった…けど…最後に…これだけは…伝えさせて…?」
「ッ?!―――!?―――ッ!!?」
彼女の瞳から光が消えていき、瞼が徐々に力なく閉じていく…俺はただ叫ぶことしか出来ず…彼女は最後に…優しく微笑みながら小さな声で…俺に告げた…
なのは「…私は……零君のことが……好き……だった………よ……」
零「ッ!!?なのはあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッッッッ!!!!!!!!!!」
最後に見た彼女の笑顔は…最も綺麗で…最も美しく…最も…愛おしく感じるものだった……
◆◇◆
「…………また…か」
何処かにあるとある世界。
そこには何もない…人も…建物も…何も存在しない。
霧に包まれたこの世界にあるのは―――墓。
無数の墓だけがこの世界に広がっていた。
そしてその墓達に囲まれる一つの大樹…それに背中を預けて眠っていた彼が目を覚まし、上半身をゆっくりと起こしていく。
「……また…あの夢を見ることになるとは……あの女…ディケイドに会ったせいだろうか…」
彼の脳裏に浮かぶのは魔界城の世界で出会ったライダー少女…ディケイド。
その名前が浮かび上がると彼は不愉快げに舌打ちし、大樹に再び背中を預けた。
「…天満 シズク…アイツの邪魔さえなければあの女を仕留められた…仕留められたハズだった…」
顔をしかめながら悔しげに唇を噛み締め、懐から一つのネックレス……赤い宝玉の付いたネックレスを取り出した。
「分かっているさ…どんなに後悔しても…今更アイツの気持ちに応えてやれない…お前の想いに…応えてやれないんだ…」
何処か悲しげな表情で赤い宝玉の付いたネックレスを見つめながら語る。
まるで、未だに未練を断ち切れない自分に言い聞かせるように……
「…あぁ…分かってるさ…だから俺は戦う…ライダーを全て滅ぼす…それが…今の俺に出来る…お前達への贖罪だ…」
そう言って彼は赤い宝玉のネックレスを仕舞い、再び大樹にその身体を預けた。
「その為にも……奴を……レイを見つけないといけない……そして……もう一つの因子を……全ての世界を……0から―――――」
その言葉を最後に彼は再び深い眠りにつき、その世界も再び深い霧に覆われていったのであった。