仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
『ゲゲルゾ ザジレスゾ(ゲゲルを始めるぞ)』
『ゴンダダバグゴンバ リント ゾボソゲザゴボシザ!(その戦うリントの女を殺せば終わりだ!)』
グロンギ達はそう言って木の上から飛び降りながら零達に徐々に近づいていき、零もポケットから両手を出してグロンギ達を睨み付けていく。
零「ボンダギロ ギダビラバシタ(今回も二体掛かりか)」
綾瀬「言語学者が解析しようとしても出来なかったのに……!」
グロンギ語で会話する零に驚きを禁じ得ない綾瀬の反応を他所に、零はそんな綾瀬に目を向けてグロンギ達の言葉を通訳していく。
零「此処で五人目を殺せば、究極の闇とやらが復活するらしいぜ」
優矢「クッ……!」
二人掛かりで迫るグロンギ達を前に、優矢は咄嗟に綾瀬の前に出て彼女を守ろうとする。だが零はそんな優矢を突然突き飛ばして綾瀬の方に振り返り……
―バキィッ!―
綾瀬「あぐっ?!」
なんと、綾瀬の顔をいきなり思いっきり拳で殴り付けたのである。
やまと「なっ……」
スバル「ちょっ?!零さんっ?!」
優矢「テメェッ!いきなりなんの真似だッ?!」
そんな零の突然の暴挙を見てスバルとやまとも慌てて綾瀬の傍に駆け寄り、優矢も怒りで零の胸ぐらを掴み詰め寄るが、零は無表情のまま顎で綾瀬を差す。
零「落ち着けよ。ほら、見てみろ」
優矢「はっ……?」
零にそう言われて優矢が綾瀬に視線を向けると、綾瀬の鼻から血が出て地面に滴り落ちていた。すると突然、それを見たグロンギ達が足を止めて絶句し後退りし始めていく。
『リントン ヂグバガセダ……?!(リントの血が流れた……?!)』
『ゲキバスゲゲル パギママギギダ!(聖なるゲゲルは失敗した!)』
やまと「?未確認が動揺してる……?」
優矢「急にどうしたんだ、こいつら……?」
鼻血を出す綾瀬を見て何故か後退りしていくグロンギ達の様子に優矢とやまとが疑問を覚える中、そんな二人の疑問に零が口を開いて答えていく。
零「よく思い出してみろ……コイツ等は今まで、一滴の血も流さずに女性警官達を殺し続けていた」
綾瀬「……あ」
淡々と語る零にそう言われ、綾瀬も其処で初めて気付いた。今までグロンギ達に殺された被害者の女性警官達の遺体から、ただの一滴も血が流れていなかった事を。
零「聖なるゲゲル……一滴の血を流さずに殺す事が最大のルール。だが残念だったな。血が流れた今、聖なるゲゲルは失敗だ!」
優矢「……お前……一体何がしたかったんだ……?」
状況が一転二転と移り変わりし過ぎて困惑してしまう優矢からそんな疑問を受け、零は懐から取り出したディケイドライバーを腰に巻き付けて答える。
零「決まってる。これ以上余計な犠牲を出す事なくゲゲルを終わらせたかっただけだ」
そう言いながら左腰に現れたライドブッカーを開き、零はディケイドのカードを取り出し身構えた。
零「後はコイツ等を始末するだけだ……変身ッ!」
『KAMENRIDE:DECADE!』
高らかに叫ぶと共に、零はバックルにカードをセットしてスライドさせる。そして鳴り響く電子音声と共に零の姿がディケイドへと変身していき、両手を払いながらグロンギ達へと突っ込んで戦闘を開始していくのであった。
優矢「……ディケイド?」
一方で残された優矢は変身したディケイドを見て何やら覚えがあるかのようにそんな呟きを漏らす中、ディケイドに変身した零はゲゲルの失敗から逃走を図ろうとしたグロンギ達の頭上を軽々と飛び越えて着地し、グロンギ達の前に立ち塞がった。
ディケイド『生憎だが逃がすつもりはない。ゲゲルと共に此処で終われ……』
『ヌゥウウウッ……シャアッ!』
冷淡にそう告げるディケイドを前に逃げられないと悟ったのか、グロンギ達はそれぞれ槍と大剣を手にディケイドに襲い掛かっていく。そしてディケイドも最初の一撃をかわしながら二体目のグロンギの攻撃を掻い潜って背中を蹴り付けると、距離を離して左腰のライドブッカーを剣形態に切り替え、グロンギの武器を弾きつつカウンターの一閃で斬り飛ばした。其処へ……
スバル「零さん!後ろです!」
ディケイド『ッ!ハアッ!』
―ガギィッ!ズバァアッ!―
『ヌガァアッ?!』
背後からディケイドに襲い掛かろうとしたグロンギの不意打ちをスバルが大声で知らせ、それを聞いたディケイドは咄嗟に振り向き様に振るった剣でグロンギの大剣を切り払い、そのまま返しの刃でグロンギを斬り裂き退け、スバルにサムズアップを返した。
ディケイド『ナイスだスバル、助かった!』
スバル「えへへっ」
サポートを褒められて照れ臭そうに頭を掻きながら、ディケイドにサムズアップを返すスバル。そして戦闘に戻ったディケイドは再攻撃を仕掛けてきたグロンギの槍の先端を掴んで引き寄せ、一体を集中して剣で繰り返しめった切りにしていき……
ディケイド『ハッ!ハァアアアアアアアッ!!』
―ガギイィイイイイイイイインッ!!―
『グッ、アッ……ギャアアアアアアアアアアアアアーーーーーーッッ!!!?』
トドメに放った全力の斬撃が叩き込まれ、グロンギは堪らず断末魔の悲鳴と共に爆散し完全に消滅していったのだった。それを確認したディケイドはライドブッカーを左腰に戻しながら一息吐いて両手を払っていくが、その戦いを傍観していた優矢とやまとの表情は何故か険しげに歪んでいた。
優矢「そうか、こいつがディケイド……」
やまと「あの人が言ってた事、間違いじゃなかったみたいね……どうするの、先輩?」
優矢「決まってるっ……!」
やまとにそう答えると共に、優矢は険しい表情のまま腹部に両手を翳してクウガのベルト、アークルを出現させながら勢いよく飛び出し、クウガに変身しながらディケイドへと飛び掛かっていった。
綾瀬「優矢ッ?!」
クウガ『ハァアアアアッ!!ダァアリャアッ!!』
―バキィイッ!!―
ディケイド『グウゥッ?!なっ……お前っ、何の真似だッ?!』
スバル「ゆ、優矢さん?!」
いきなり攻撃を仕掛けてきたクウガに殴られ、ディケイドだけでなく綾瀬とスバルも戸惑いを浮かべてしまうが、クウガは構わずディケイドに問答無用で拳を振りかざしていく。
クウガ『聞いていた通りだな、悪魔!』
ディケイド『ハァッ?!何だいきなり?!』
クウガ『いつか現れると聞いていた!全てのライダーを倒す為にってなぁ!』
ディケイド『チィッ!なにワケ分かんねぇこと言ってんだ!』
身に覚えもない謂れなき中傷を受けて毒づきながらもクウガからの攻撃を捌き続けていくディケイド。そして二人は戦いながら近くの廃寺院に場所を移してお互いに拳の応酬を繰り返していき、ディケイドがクウガの拳を屈んで避けながらその脇腹に打撃を叩き込み吹っ飛ばしていった。
クウガ『ガハァッ!グッ……まだだぁっ!』
ディケイド『いい加減にしろッ……!こっちはお前と戦うつもりなんか──』
『ウォオオオオオッ!!』
ディケイド『ッ?!―ガギィイイイインッ!!―グッ?!』
懲りずに身を起こして戦いを続けようとするクウガを見てディケイドも思わずキレ気味になりながら止めようとするが、其処へ先程の戦いの中でいつの間にか姿を隠していたもう一体のグロンギが乱入し、ディケイドに大剣で襲い掛かった。
突然の不意打ちを受けてディケイドもよろめきつつもグロンギの大剣を抑え込んで動きを封じる中、それを目にしたクウガは両腕を広げて身構えながら右足に力を溜めていき、
クウガ『邪魔だッ!ハァアッ!!』
―ドゴォオオンッ!!―
『グォッ?!イギッ……ガァアアアアアアアアアアアアアアアアアッ?!!』
ディケイドが抑えるグロンギに目掛けて一気に駆け出し、力を溜めた右足でグロンギの脇腹に強烈な横蹴りを叩き込んでいったのだった。そして勢いよく吹っ飛ばされたグロンギが力なく倒れて木っ端微塵に爆散する中、異変に気付いて駆け付けたなのはが対峙するディケイドとクウガの姿を見て戸惑いを浮かべてしまう。
なのは「な、何これっ……?スバル、一体どうなってるのっ?!」
スバル「あっ、な、なのはさん……!えっと、それが私にも良く分からなくて……!」
駆け寄って来るなのはに状況説明を求められるも、同様に突然の事態に困惑するスバルにも今の混迷としたこの状況を上手く伝える事が出来ず、そんなスバルを見てなのはも困惑を深めながらディケイドとクウガに視線を向けると、突然頭の中にあるビジョンが浮かび上がった。
◆◇◆
──それは、あの不可解な夢の続き。全ての仮面ライダーを倒したディケイドがただならぬ威圧感を放ちながら自分に歩み寄ろうとした中……
『……ま、てっ……』
全てのライダーが倒れる中、クウガだけがふらつきながら起き上がり、圧倒的な波動を放ちながら黒く禍々しい姿に変わり果ててディケイドへと果敢にも挑んでいく。そして一進一退の激しい攻防の末にディケイドとクウガは互いに距離を取ると、それぞれの右腕に圧倒的なまでの力を凝縮させていき……
『『ハアァァァァッ……ハアァアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!』』
互いに向けて振りかざした拳がクロスカウンターとなって激突した瞬間、二人を中心に凄まじい爆発が発生していき、自分をも巻き込んで全てを飲み込み何かもを消滅させてしまったのだった──。
◆◇◆
なのは「──めて……やめて……やめてっ!!二人が戦ったらっ!!」
スバル「な、なのはさん?どうしたんですか?!」
突然悲痛な叫びを上げ、二人を止めようと走り出すなのはをスバルも慌てて追い掛けるが、そんな二人の前にやまとが横から立ち塞がった。
スバル「あ、貴方は……?」
やまと「邪魔をしないで頂戴、アイツは此処で先輩が倒すのよ」
なのは「ど、どうしてっ……お願いっ、戦わないで零君っ!!」
ディケイド『……と言われてもな……向こうがやる気な以上、もう何を言っても無駄だと思うぞ……』
半ば諦めたようにそう言ってディケイドが振り向いた先には、クウガが撃破したグロンギの大剣を手に取りながら徐々にその身を紫色のラインが入った銀色の鎧の姿……攻撃力と防御力に特化した形態である『仮面ライダークウガ・タイタンフォーム』に変えていく共に、クウガが手にする大剣も紫の刃のタイタンソードに変容させる光景があり、それを見て最早逃げられないと悟ったディケイドはライドブッカーから一枚のカードを取り出していく。
ディケイド『こうなった以上、戦ってみるってのも手かもしれないな……それで俺も、何かを取り戻せるかもしれん』
『ATTACKRIDE:SLASH!』
そう言って脳裏に思い返すのは、この旅の中で自分の失われた記憶を取り戻せるかもしれないと告げたあの謎の青年の言葉。もしかすると、この戦いの中にそのきっかけがあるかもしれないという希望を胸にドライバーにカードを装填し、ソードモードに展開したライドブッカーを構えてクウガと向き合っていくと、クウガがタイタンソードを手に駆け出しディケイドへと斬り掛かっていった。
―ガギィッ!ギィンッ……!ガキャアァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!―
ディケイド『フッ……!ハァアッ!』
クウガT『グッ?!クッソッ……!』
持ち前の防御力を前面に押し出し、ノーガード戦法でディケイドの剣をその身で受け止めながらタイタンソードを振りかぶるクウガだが、対するディケイドはクウガの剣を次々と切り払いながら分身する刃で何かを探るようにクウガの胴体を何度も切り刻んでいく。
それでもビクともしないクウガが上段から大きく振りかざした剣を素早く掻い潜りながら、ディケイドはすれ違い様にクウガの脇の下に鋭い斬撃を叩き込んで吹っ飛ばしていった。
クウガT『ガハアァァッ!!グッ……な、んで……?!』
ディケイド『幾ら体中が固かろうが、身動きする為に柔軟な部分ってのは必ず何処かにあるモノだ!』
それはお前も例外じゃないと、クウガの関節部分を狙って立て続けにライドブッカーを振るい斬撃を繰り出していくディケイド。そしてディケイドの弱点を狙った猛攻の前にクウガが徐々に追い詰められていく中、二人を追いかけてきた綾瀬がクウガの下に慌てて駆け寄っていく。
綾瀬「優矢!もう止めなさい!何で黒月巡査を……!」
クウガT『クッ!』
綾瀬「ッ?!優矢?!」
クウガは止めに入る綾瀬の言葉も聞かず、綾瀬の手に握られている拳銃を強引に奪ってディケイドに向かって駆け出しながらペガサスフォームへ変わる。そして綾瀬から奪った拳銃をペガサスボウガンに変化させ、ディケイドに狙いを定めて放つが……
―ガギィンッ!―
ディケイド『それで狙ってるつもりか?射撃ってのは……』
ディケイドはライドブッカーでクウガの弾を防ぎ、今度は素早く銃形態のガンモードに切り替えながら新たにもう一枚のカードを取り出しバックルにセットした。
『ATTACKRIDE:BLAST!』
ディケイド『こうやるんだ!』
―ズガガガガガガガガガガガガガガガガンッ!!―
クウガP『グアアァッ!?』
綾瀬「優矢っ!!」
電子音声が響くと共に引き金を引いた瞬間、ライドブッカーの銃口が分身しながら無数の銃撃を放ち、クウガはモロに直撃を受け吹っ飛ばされていった。しかしそれでも立ち上がり、クウガがペガサスボウガンを手に再びディケイドに挑んでいく中……
「──ディケイド……お前はこの世界にあってはならない……」
……そんな二人の戦いを、影から密かに見つめる謎の男の姿があった。そして男がそう呟いたと共に、何処からともなく銀色のオーロラが現れてディケイドとクウガが激闘を繰り広げる戦場を包み込んでいく。
ディケイド『ッ?!』
クウガP『な、何だ?!』
ディケイドとクウガは突然の事態に動揺し思わず攻撃の手を止める中、オーロラが徐々に晴れて消え去っていくと、二人の近くにある廃寺院の下にいつの間にか同じ姿をした緑色のライダーと茶色のライダーが現れ、ディケイド達を見据えていた。
『……兄貴、此処にも居たよ……ライダーが……!』
『あぁ……いくぜ、相棒……』
明らかな敵意を宿した眼差しでディケイドとクウガを捉え、同じ外見をした二人組の謎のライダー……『仮面ライダーキックホッパー』と『仮面ライダーパンチホッパー』はいきなりディケイドとクウガに向かって突っ込んで来る。
クウガP『な、何なんだこいつ等?!』
ディケイド『チッ、次から次へと……!』
突如現れたホッパー達に動揺するディケイドとクウガだが、ホッパー達はそんな二人の反応にも構わずそれぞれ鋭い蹴りと拳を振るい、問答無用で二人に襲い掛かっていくのであった。