仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
―光写真館―
それから数十分後。写真館に戻ってきた零達は丁度昼時という事で栄次郎特製のシチューを食べていたが、その中には何故か優矢とやまとも一緒になってシチューを食べていた。
優矢「……ウメェ!」
やまと「ホント……味付けがしっかりしてて美味しい」
栄次郎「ウメェだろう?そのシチュー、昨日から仕込みをしてた自信作だからね。まだまだおかわりあるから、沢山食べてってね〜」
優矢とやまとから絶賛され、栄次郎は自信満々にそう答えながら台所に戻っていく。
零「……じゃないだろッ!何でお前等が此処にいる?!」
優矢「いや、何でって……俺達は二人に招かれただけだし……」
あまりにも自然に場に溶け込み過ぎてて一瞬スルーしそうになるも、我に返った零からのツッコミに優矢もシチューを食べながら自分達を招いたなのはとスバルに目を向けていく。そしてそんな優矢に、スバルは先程から気になっていた疑問を投げ掛けた。
スバル「あの……優矢さんに少し聞きたい事があるんですけど、さっき零さんの事を"悪魔"って言ってましたよね?あれって一体──」
なのは「(ピクッ)」
先程の戦いで優矢が零に言い放った『悪魔』の意味を聞き出そうとした瞬間、そのワードを耳にしてなのはの持っていたスプーンがピクッと反応する。それに気付いたスバルもハッ!と青ざめて思わず口を塞ぐと、なのはの隣に座る零がそっと自分の肉を彼女の皿に移した。
零「安心しろ、お前の事じゃないから……」
なのは「……そう」
落ち着いた口調で零が宥めるようにそう言うとなのはは再びシチューを食べ進めていき、そんななのはの様子を横目に零とスバルも無言のままアイコンタクトを取って静かに頷き合った。
優矢「……え?なに今の?」
零「気にするな、昔取った杵柄を弄られすぎてちょっと過敏になってるだけだ……それよりほら、話を進めろ」
優矢「?……えっと、言われたんだよ。俺が最初に関わった未確認の事件で、攫われたやまとを助けようとして初めてベルトを手に入れた時に……」
これ以上は掘り下げるな、と無言の圧を出す零に話の続きを促されて若干戸惑いつつも、優矢は数ヶ月前の出来事を三人に話していく。
◇◇◇
数ヶ月前、灯熔山山頂付近の洞窟……
グロンギに誘拐されたやまとを救出する為に単身山に乗り込み、其処で手に入れたアークルを腰に巻いてクウガに変身した優矢はグロンギを撃退した後、変身を解いて自分の腰に巻かれたベルトを戸惑い気味に触れていた。
その背後にはグロンギに手に掛けられる寸前だったやまとが目の前で起こった出来事を未だ信じられない様子で見つめ地面に座り込む中、やまとの背後から事の成り行きを見守っていた男がゆっくりと優矢に近付き語り掛ける。
「いつか君の前に悪魔が現れる」
優矢「……悪魔?」
「全てを破壊する存在、ディケイド……それが君の本当の敵だ」
◆◇◆
零「……じゃあ何か?お前達はそんな訳の分からん男の言葉を信じて俺を襲った訳か?」
優矢「い、いや、俺達だって最初は胡散臭いなぁーって思ったさ。でも実際に目の前に現れたら、あの男が言ってた事は本当だったんだって思うだろ……!」
やまと「それに加えて、貴方の言動もとても善人とは思えない振る舞いだから何か裏があるんじゃないかと変に勘ぐってしまったもの……いきなり綾瀬刑事の顔を殴り付けたりとかするし」
なのは「綾瀬刑事を殴ったぁ?!」
ダァンッ!と、全員分の皿をひっくり返さんばかりの勢いでなのはがテーブルの上に身を乗り出すように急に立ち上がった。その剣幕にビビって優矢も引き気味になりながらもコクコクッと頷き返すと、なのははスッと隣に座る零に振り返り、その視線から逃れるように零もサッと目を逸らした。
なのは「零君……?私、その話は聞かされてないんだけど、どういう事か説明してくれるかなぁ……?」
零「説明も何も、ゲゲルを潰す為にちょっと綾瀬刑事の手を借りただけだぞ……手っ取り早く鼻を殴って」
なのは「殴って、じゃないよっ!女の人の顔を殴るとか傷でも残ったらどうするのっ?!というか綾瀬刑事が問題にしてくれなかったから良かったけど普通に傷害になるんだからねソレッ?!」
零「いや俺もその辺は考えてちゃんと加減を、ちょっ、待てっ、首を掴んで絞めるなっ……!揺らすな馬鹿ッ!」
ブンブンブンブンッ!!と、綾瀬を殴った件を追求し首を掴んで前後に激しく揺さぶってくるなのはの手から逃れようとするも、あまりの力強さに振り解く事も叶わず成されるがままになってしまう零。
そして優矢とやまともそんな二人のやり取りを何とも言えない微妙な顔で見つめる中、スバルは一人優矢が話した謎の男の事が気になっていた。
スバル(零さんが世界を破壊する存在って……もしかして、その人はあの夢の事を知ってる……?)
だとしたらその男は何者なのか。なお深まる謎にモヤモヤとした気持ちになるスバルだが、そんな時……
栄次郎「あれ……?何か大変な事になってるね」
「「「……え?」」」
奥でテレビを見ていた栄次郎の声を聞き、零達は席から立ち上がってテレビを見ていく。其処には……
『灯溶山の頂上にて謎の黒い煙が発生し、今現在も煙が広がっています。原因は未だ不明で、先程灯熔山を調査する為に登った警官達との連絡が途絶えてしまい、中の状況は未だ不明です。また──』
やまと「ッ!これって……」
優矢「綾瀬の、姐さん……!」
テレビのニュースから流れているのは、灯溶山で発生した異常と山に突入した警官隊との連絡が途絶えたという緊急速報を知らせるもの。
それを見た優矢は不吉な予感を感じて慌てて写真館を飛び出していき、バイクに乗って灯溶山に急行していく。そしてやまとも優矢の後を追い掛けるように飛び出し、零達も写真館を飛び出すと、灯溶山の上空に銀色のオーロラが発生しているのが見えた。
スバル「あ、あれって、私達の世界と同じ……?!」
なのは「まさか……私達の役目って、まだ終わってなかったの?!」
予想だにしてなかった事態に二人が動揺する中、零は絵柄が消えたままのクウガのカードを見て舌打ちすると、カードを仕舞って表に停めていたディケイダーに跨がりヘルメットを身に付けていく。
零「二人は中で待ってろ!俺はアイツを追う!」
なのは「えっ?ま、待って!零君っ!」
なのはが呼び止めるが、零はそれを聞かずにディケイダーを発進させ、優矢を追うようにバイクを走らせて灯溶山に向かっていくのであった。