仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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番外編④
番外編/染まる闇・消えた光


 

 

 

―――俺はずっと…分かったつもりでいて、まったく分かっていなかったのかもしれない。

 

どんなに向き合っても、向き合いきれてないものがある。

 

どんなに逃げても、逃げ切れないものがある。

 

それは恐らく、俺の…いや…俺達のソレを示しているのだと思う。

 

どんなに逃げても…どんな方法で忘れようとも…俺達の罪が一生消える事はない。

 

そうだろう………レイ?

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

――――地獄。

 

今の状況を表すならそれが一番当て嵌まるだろう。

 

辺り一面に燃え上がる炎の壁…

 

炎で崩れ落ちた建物達…

 

焼け焦げた黒い肉片達…

 

そんな異常窮まりない光景の中に悠然と立つ、黒いフードの男…

 

その男の手の中には、この世界のライダーの絵柄が描かれたカードが握られていた。

 

 

「――この世界のライダーも……この世界も……これで終わりか」

 

 

回りに広がる異常な光景にすらどうでもいいといったように興味も向けず、ただ手の中にあるカードだけを見つめて淡々と語る。

 

そしてそのカードを左腰のホルダーに仕舞うと、地面に転がる遺体すら踏み付け何処かへ歩き出していく。

 

 

 

 

「―――…人殺し!!!」

 

 

 

 

「………………」

 

 

後ろから響き渡った幼い声。

 

その声に応えるかのように彼はゆっくりと背後に振り返っていく。

 

振り返った先にいたのは、両手で一回り大きい鉄の棒を握り締めてこちらを睨みつける、ボロボロになった服を着た幼い少年。

 

こちらを見つめるその少年の瞳は…深い怒りと憎しみで染まりきっていた。

 

 

「ッ…お前が…お前が殺したんだっ!!父さんを…母さんを……マユをっ!!」

 

 

「………………」

 

 

「なんでだよっ……なんでマユ達が死なないといけなかったんだよっ!!なにもしていないのにっ…なにも悪いコトなんてしてないのにっ……なんでマユ達が死ななくちゃいけなかったんだっ!!」

 

 

泣きながら、ボロボロの身体で棒を引きずりながら彼へと近づいていく。

 

だが、そんな少年の姿にすら何も感じていないのか

 

彼はただ無機質な瞳で少年を見つめながら告げる。

 

 

「……それがどうした?」

 

 

「……え?」

 

 

「俺の目的は最初からこの世界のライダーだけだ……この世界の人間達が、お前の家族がどうなろうと俺の知った事ではない……」

 

 

「…知った…事じゃない?」

 

 

自分の家族の死なんて知ったコトではない。

 

無機質に告げられたその言葉に、少年は無意識に手に持つ得物を強く握った。

 

 

「…マユは…マユは今日…誕生日だったんだぞ?今日でマユは…七歳になるはずだったんだぞ?」

 

 

「………………」

 

 

「母さんと一緒にケーキを作って……父さんと一緒にプレゼントを買って……アイツを驚かそうと頑張ったんだ……父さんと母さんと一緒に、誕生日おめでとうって……アイツに言おうと思って「だからなんだ?」…ッ?!」

 

 

「お前の家族の死など俺には関係ない…どうでもいい話だ」

 

 

「どうでも…いい?」

 

 

「そうだ。それにこの世界の守護者であるライダーが倒れた今、遅かれ早かれこの世界も消滅する。お前の家族もこの世界の人間達も、ただそれが少し速かっただけ……たったそれだけの話だろう?」

 

 

「…あ……あぁ……あ…」

 

 

何処までも……何処までも無機質な声だった。

 

これだけの人が死んで…

 

これだけの人を殺して…

 

その張本人である彼はどうでもいいと……たった一言で片付けたのだ。

 

たったその一言…それだけで少年の理性は完全に吹き飛んだ。

 

 

「……ふざけん…なよ……返せよ……返してくれよ…父さんと母さんを……マユをっ……返せぇええええええええええええええええええええええええええええええええええッ!!!!!」

 

 

気がつけば、いつの間にか駆け出していた。

 

両手で得物を振りかぶって、鼓膜を突き破るような獣染みた声で叫びながら

 

ただこの憎しみと怒りと悲しみをぶつけるために

 

目の前に立つ彼に向かって得物を振り下ろした

 

 

 

 

 

 

 

―ザシュッ……―

 

 

「…………え?」

 

 

 

 

 

 

 

だが、振り下ろした得物はただ風を切り

 

何故か肩から右腰にかけて大きな刀傷ができて、血が流れていた

 

今、何が起きたのか分からない

 

自分の身に何が起きたのか頭が付いていけない。

 

力無く地面に倒れてく中、呆然と後ろに顔だけ向けると……

 

 

 

 

「………………」

 

 

 

 

―――目の前にいたはずの彼が、血の付いた剣を片手に自分を見下ろしていた。

 

 

「…あっ……とう…さ……かあさ……マ……ユ……」

 

 

カランと、手に持っていた得物は虚しく地面に転がり

 

少年は家族の名を呼びながら力無く地面に倒れ、その幼き命を此処に絶ったのであった……

 

 

「……許してくれなんて言わない…恨みたければ恨めばいい…憎みたければ憎めばいい…それも全て…俺が背負っていこう」

 

 

その呟きと共に、刃についた血を払って剣を仕舞い、彼は少年の亡骸に背を向け再び歩き出した。

 

 

「……創造は破壊からしか生まれない……全てを壊す事で……また新しいモノを創る……それが、俺の存在異議……最初から……これしか道はなかったんだ…」

 

 

誰にも聞こえない、小さな呟きだった。

 

轟々と辺りに燃え盛る炎によって、その口から紡がれる言葉も全て掻き消されてしまう。

 

 

「……もう帰れない…もう戻れない…なら…何処までも堕ちていくしかない……それしかもう……俺には残されていない……」

 

 

血で染まった手の平を見下ろし、強く握り締める。

 

そして黒煙に染まった空を見上げ、緑色に輝く右目を悲しげに細めていく。

 

 

「リィル…お前が見せてくれた世界は…やっぱり俺には眩しかった…お前がくれた光も……なのは達がくれた光も……俺にはもう……見えないよ……」

 

 

全てが終焉へと消えていくこの世界で、彼はただ一人告げる。

 

そして彼は目の前に現れた歪みに飲まれて何処かへと消えていき

 

その数時間後……彼のいたその世界は光に包まれ無へと消え去っていった―――

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

――あと何度、こんな事を繰り返せばいいのだろう

 

心を棄てたつもりでも、アイツ等からもらったソレは何時までも俺の中にしがみついてくる

 

だからツライ…だから痛い

 

心が悲鳴を上げて…気を抜けばすぐ泣きそうになる

 

……だが、それでもやめるワケにはいかない

 

誓ったのだ。あの時、彼女の亡骸の前で……

 

ライダー達への復讐…それだけが、今の俺に残された道だ

 

だから全てを破壊する

 

立ち塞がる者も全て消す

 

全てを壊し、全てを創る

 

それが…俺の決めた道なのだから

 

だから必ず…お前を見つけ出してみせる、レイ

 

お前の因子を…必ずこの手に――――

 

 

 

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