仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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第十二章/ホルスの世界⑤

 

―はやて&リインの自室―

 

 

 

はやて「はぁっ…はぁっ…はぁっ……」

 

 

リイン「…はやてちゃん」

 

 

その頃、はやてとリインの自室では風邪を振り返し息苦しそうに呼吸をするはやてをリインが必死に看病していた。

 

 

はやて「はぁっ…はぁっ……り、リイン……?」

 

 

リイン「ッ!はやてちゃん、目が覚めましたか?!」

 

 

はやて「はぁっ…はぁっ…そ、そうか……私……あれからずっと、眠っとったんやね……」

 

 

リイン「は、はいですぅ…あ、お腹すいてないですか?何か食べたい物とかありますか?�」

 

 

はやて「だ、大丈夫や……ごめんな……皆に……迷惑ばっか掛けて……」

 

 

リイン「そ、そんな事ないですよぉ!リインはぜ~んぜん平気ですぅ!」

 

 

はやて「アハハっ……そか……それやったら……ええねんけどっ……」

 

 

苦しげでありながらも笑顔を浮かべるはやてにリインの表情は段々と暗くなってしまう。そんな時……

 

 

―ガチャッ……ギィィィィィィィ―

 

 

リイン「………え?」

 

 

不意に部屋の扉が開いて誰かが部屋の中に入り、いきなり部屋の中へと入ってきた人物を見たリインは呆然と声を漏らしてしまうが、その人物……リインⅠ(鷹)は音を立てずにベッドで横たわるはやてへと近づいていく。

 

 

リインⅠ(鷹)「……主」

 

 

はやて「はぁ……はぁ……あれ?……今の……声って……」

 

 

リインⅠ(鷹)「主はやて…気をしっかりお持ち下さい……」

 

 

リインⅠ(鷹)はベッドに横たわるはやての手を両手で包みながら優しい声で励まし、それを聞いたはやては苦しげに苦笑しながら呟く。

 

 

はやて「はぁ……はぁ……アハハ……私……相当参ってるみたいやね……こんな時に……あの子の幻聴を聞くやなんてっ……」

 

 

リインⅠ(鷹)「…主」

 

 

はやて「っ……せやけど……今は嬉しい……かな……幻聴でも……またこうして……あの子の声……聞けたん……やし……」

 

 

そう言いながら、はやては何処か穏やかそうに微笑みながら再び眠りについていき、それを見ていたリインはまさかと言った表情を浮かべてリインⅠ(鷹)の顔を見つめていく。

 

 

リイン「あ、あの…貴方はもしかして――――」

 

 

リインⅠ(鷹)「……………主はやての事……頼みますね……私の後継騎……」

 

 

リイン「ッ!は、はい……はい!!」

 

 

リインⅠ(鷹)がそう言うとリインは嬉しそうに何度も頷き返し、それを見たリインⅠ(鷹)は微笑しながら穏やかに眠るはやてへと視線を移していき、入口の方ではシグナム達がその様子を優しげに見守っていたのであった。

 

 

 

 

◆◆◇

 

 

 

 

一方その頃、空き部屋へと案内された鷹と戦技は零を交えて話をしていた。

 

 

零「どうしても聞きたい事がある。十年前にこの世界の管理局が手に入れたデータとはなんだ?お前たちは意図的に隠していたようだが……」

 

 

鷹「…話すのは構いませんが、その変わり約束して下さい。絶対に他の者達には言わないと」

 

 

戦技「特に、お前の世界のフェイトには絶対に伝えるな。もし知れば例え世界が違ってもフェイトは自分を責め続けるだろうからな」

 

 

零「……………分かった。誓おう」

 

 

暗い表情で告げる二人を見てよっぽど深刻な話なんだと理解した零はそう言いながら頷き、鷹は戦技に目をやり戦技が話し始めた。

 

 

戦技「……プレシア・テスタロッサのプロジェクトFの研究データだ。回収したのはクロノ・ハラオウン、そしてデータを提出したのはリンディ・ハラオウンだ。最もリンディ・ハラオウンがデータを提出したのは脅されてだがな」

 

 

零「ッ!!……そうだな。確かにこのコトを知れば、例え世界が違ってもフェイトは傷つく……分かった。絶対に皆には話さない」

 

 

零が真剣な表情でそう言うと鷹と戦技は安心した表情を浮かべる。だが逆に、零は顔に辛そうな表情を浮かべて呟く。

 

 

零「……だが、思ったよりキツイな。覚悟していたつもりだが、この世界の真実は正直辛すぎる…」

 

 

鷹「……そうでしょうね。管理局を信じている者からすれば、この世界は地獄のような世界でしょうから」

 

 

零「ああ…だが、俺も別にそこまで管理局を信じてた訳じゃない。巨大な組織には必ず裏があると分かってはいたし……それに元々俺が管理局に所属したのも、アイツ等を護る為だけだったしな」

 

 

鷹「………そうでしたか。君は強いんですね」

 

 

零「……いや……ただ鈍いだけだよ……」

 

 

鷹の言葉に零が首を横に振りながらそう呟くと、戦技が零に声を掛ける。

 

 

戦技「黒月零…いやディケイド。私と神野 鷹はお前を倒すつもりは無い。我々もある意味ではお前と同じ様に、世界を壊そうとしているからな」

 

 

鷹「そうですね。少なくとも我々は貴方に味方しますよ」

 

 

零「ッ!……ありがとな」

 

 

戦技と鷹の言葉に一瞬驚く零だが、すぐにその表情に笑みを浮かべて二人に礼を言うのであった。

 

 

零「……それにしても鷹?お前、随分と苦労してるみたいだな?」

 

 

鷹「うぅぅ…分かってくれますか零君?毎日、毎日、あの三人の争いに巻き込まれる苦労をっ…」

 

 

零「………いや、凄く分かるぞ。俺もなのはとフェイト、それにはやてに地獄を味合わされているからな」

 

 

鷹「そう言えばそんな感じですね。しかし、異世界でもフェイトは嫉妬深いんでしょかね戦技?」

 

 

戦技「むう、だとしたらフェイトの嫉妬深さは元々持っていた物だというのか?」

 

 

零「…おい、それ本当か?この世界のフェイトも嫉妬深いって言うのは?」

 

 

鷹「……事実ですよ。前に戦技が女性を助けた事があるんですが。その時は気絶するまで蹴られ続けましたからね」

 

 

零「……マジか?いや俺も女性関係でなのは達に酷い目に合わされ続けているけど、まさかこの世界でもフェイトがそんな事をしていたとは思っても見なかったな……滝や祐輔達ともお前等と気が合いそうだ」

 

 

鷹「ん?誰ですか?その滝と祐輔という人物は?」

 

 

零「俺達が旅の中で出会った異世界の仲間達…苦労人同盟のメンバーの事だ」

 

 

それから三人は自身の女性関係での苦労話や異世界の仲間達である苦労人同盟の事など夜遅くまで語り続け、全て終わった頃には名前を呼び捨てで呼べる関係になっていたらしく、最後に零は苦労人同盟の皆がよく集まるgreen cafeの場所を鷹に教えていたとか……

 

 

 

 

◇◆◆

 

 

 

 

一時間後……

 

 

 

零「…思ったより話が盛り上がったな……」

 

 

あの後、話を終えて鷹達の部屋を出た零は背景ロールのある部屋に訪れこの世界のミッドの町並みを窓から見下ろしていた。

 

 

零「…………………」

 

 

零はその町並みを見下ろしながら鷹達の事を思い浮かべていく。彼等はこの世界で犯罪者と呼ばれて貶されながらも、数多くの人間を殺して罪を背負いながらも、この世界のために戦っているのだと。

 

 

零「…罪人と呼ばれながらも…大切な人達の為に戦い続ける…か」

 

 

「罪人って誰が?」

 

 

零「……は?」

 

 

ぼんやりとそう呟いていると背後から女性の声が聞こえ、それが聞こえてきた方へと振り返ると、其処には両手に湯気を漂わせる珈琲を持ってこちらを見つめるなのはの姿があった。

 

 

零「なのは…?まだ起きてたのか?」

 

 

なのは「あ、うん。何だか眠れなくてね。…そういう零君は?」

 

 

零「…俺も似たような感じ…だな」

 

 

なのは「そっか…あ、はいこれ。栄次郎さんみたいに上手くはないと思うけど」

 

 

零「ん…ああ、すまない」

 

 

なのはから珈琲を受け取りながら礼を言うと零は再び窓からミッドの町並みを見下ろしていき、なのはは零の隣に座りミッドの町並みを眺めながら珈琲を口にする。

 

 

なのは「…綺麗だね。私達の世界でも、こうしてミッドの街を眺めたりとか良くしたよね」

 

 

零「……ああ」

 

 

なのは「普段は見慣れた景色だったけど……こうして旅に出てもう一度見てみると、なんだか懐かしい気分になるね」

 

 

零「まあ、長いのか短いのか分からないが、旅に出て随分経つからな。そう思うのも無理はないだろう…」

 

 

なのは「うん……だね」

 

 

ぼんやりと、そんな会話をしながら街を眺め続ける。何の意味もない会話ではあるが、こうして二人でいる時間が不思議と落ち着けて心地好い。そう思いながら、二人は時間も忘れて暫くミッドの町並みを窓から眺めていく。

 

 

零「…………なのは…少し聞いていいか?」

 

 

なのは「ん……何?」

 

 

あれからどのくらい経ったか、時刻も深夜となった頃にふと彼は口を開いて質問し、なのはは少しウトウトしながら零に聞き返す。そんななのはを見た零は一度顔を俯かせると、再び顔を上げてミッドを眺めながら問う。

 

 

零「……もし……もし俺が、過去の記憶をすべて取り戻して…それで今の俺が俺じゃなくなったら……お前はどうする?」

 

 

なのは「…………え?」

 

 

突然問い掛けられた予想外な質問。あまりにも突然過ぎたのか、その質問を問い掛けられたなのはは眠気を吹っ飛ばされてしまい、目を見開いて零の横顔を見つめる。

 

 

零「…最近良く考える事がある……俺は一体何者なのか、何故破壊者と呼ばれるのか……とかな」

 

 

なのは「…それは…単に鳴滝さんが零君の邪魔しようと広めた噂じゃ?」

 

 

零「………だがもし、俺の過去がソレと関係していると言うのなら……俺はそれを否定出来ない」

 

 

なのは「……………」

 

 

いつもの表情で淡々と語り続ける零だが、何故だかなのはには、月に照らされるその表情が何処か哀しげに見えた。

 

 

零「もしこの旅の中で、俺が記憶を取り戻すような事があれば……その時今の俺はどうなるのか、って思う事がある……今こうしてる自分を無くすんじゃないのかと」

 

 

なのは「…………」

 

 

零「もしそうなら、俺は記憶を取り戻すべきではないのかもしれない……だが、何か思い出さなければいけない気もする……その二つの間で、正直迷ってる」

 

 

なのは「……………」

 

 

淡々と話していく零の隣で、なのはは何も言わない。ただ湯気の経つ珈琲を両手で包みながら、ジッと零の横顔を見つめていた。

 

 

零「………いや、やっぱり忘れてくれ。ちょっとした小言だっ「それでも……」……ん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なのは「………それでも、私は絶対に傍にいるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零「…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なのは「貴方の過去に何があっても…貴方が貴方でなくなったとしても…そんなの関係ない。だってそうでしょう?例え貴方が何者だろうと、貴方が貴方である事に…何一つ間違いなんてないんだから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零「なのは…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真摯でありながら、美しく思える微笑みだった。窓から差し込む柔らかい月の光に照らされながら彼女は彼に微笑み掛け、その幻想的な姿に彼は不覚にも目を奪われてしまった。

 

 

なのは「ねぇ零君…」

 

 

零「ん…?」

 

 

なのは「…お願いだから…一人で無理しないで」

 

 

零「無理?いや、俺は別に無理なんか…」

 

 

なのは「嘘、私知ってるよ?零君、いつも私達の知らないの所で無茶してる…私達に話してない事だって、沢山あるんでしょ?」

 

 

そう言って、なのははゆっくりと零の頬に両手を添えて目を合わせていく。

 

そんな大胆な行動、いつもの彼女なら恥ずかしくて顔を真っ赤にしてしまうのだが、今はそんな素振りを見せない。

 

今はそれより、何処か儚げに見える彼を助けたいと思う気持ちが一番に強かった。

 

 

なのは「私もフェイトちゃんもはやてちゃんも皆も…貴方を支えてあげることは出来る…悲しいことも辛いことにも力になりたいって…私達皆が思ってる…」

 

 

零「…………」

 

 

なのは「例え貴方が全てを思い出して…私達の前からいなくなったとしても……私達は絶対貴方を追いかけるから」

 

 

零「っ………」

 

 

なのは「何処へ消えても、皆と一緒に何処までも追い続ける…例え貴方に拒まれても、何度でも手を伸ばす…だって…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なのは「貴方と私達の間にある絆は…絶対に壊れる事なんてないんだから…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零「……なのは…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんななのはの言葉は、そんな彼女の優しさは、確かに彼の心に響いていた。

 

今でも綺麗な月光に照らされる彼女の笑顔は、悩んでいた彼の心に深く刻み込まれていた。

 

 

零「ありがとう…でも本当に大丈夫だから…」

 

 

だが、それでも彼は話そうとはしない。

 

あの夢のことも、リィルという少女のことも、因子のことも。

 

安易に話してなのはに心配を掛けたくなかったから。

 

けれど、彼女の言葉である決心が付いたのも事実だ。

 

 

なのは「やっぱり…話してくれないんだね…」

 

 

零「…すまない…だけど、何時かは話す。だからもう少し時間をくれ…俺自身がちゃんと向き合えたら……ちゃんと話すから…」

 

 

この手に掴もうと追いかけながら、心の何処かで背を向けていた過去。

 

まだ自分は、それとちゃんと向き合ってなどいない。

 

だからまだ話せない、全てを話すのは…自分が本当の意味で強くなってからだ。

 

 

なのは「そっか……うん、わかった♪」

 

 

そんな彼から何かを感じたのか、彼女はそれ以上は言わずゆっくりと零から離れていく。

 

 

なのは「なら、待ってる。何時かちゃんと話してくれまで……待ってるから♪」

 

 

零「…………」

 

 

腰に両手を回し、いつもと変わらぬ元気な笑みを浮かべるなのは。そんな彼女を、零はそっと自分の方へと抱き寄せた。

 

 

なのは「ふぇ?!ど、どうしたの零君?!」

 

 

零「うん?いや何…ちょっと夜風が当たって寒いと思ってな。こうしてれば暖かいだろう?」

 

 

なのは「そ、それなら窓閉めたらいいのに…」

 

 

零「窓を閉めたらミッドが見えないし、窓を開けたままにしたら夜風が当たって寒い。だから我慢しろ、そして俺を温めろ」

 

 

なのは「うぅぅぅぅ……零君の馬鹿ぁ……」

 

 

口ではそう言いながらも、顔を真っ赤にしながら零の胸に顔を埋めるなのは。

 

そんな彼女の反応に意地悪な笑みを浮かべながら、彼はゆっくりと口を開く。

 

 

零「…………ありがとう…………なのは…………」

 

 

静かに、彼女にすら聞こえない声でそっと呟き、月の光に照らされながら彼女を強く抱きしめていた………

 

 

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