仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
―海鳴市・河原―
それから数十分後、写真館を出た一行はこの世界での役目を探す為に街へと飛び出し、零、竜胆、はやての三人と優矢、スバル、ティアナ、ギンガ、ヴィヴィオの五人の二手に別れ街の中を散策する事にした。
優矢「ったく…何でアイツはあんなマイペースになれんだよ?最近まではどっか難しそうな顔して大人しかったクセに…」
スバル「ハハハ…仕方ないですよ。零さん、何時もはあんな感じですし」
ギンガ「寧ろ、最近までの零さんの方が何時もらしくなくて可笑しかったですから、ああいう方が逆に安心出来ますよ」
優矢「ん~……そんなもんかぁ?」
海鳴市の何処かにある河原付近で優矢達はそんな会話をしながら歩いていき、この世界での自分達の役目に関するヒントが何かないかとあらゆる場所を歩き回っていた。しかし、どんなに探し回ってもそれらしき物を発見出来ず、ただ時間と体力を無駄に消費していくばかりであった。
スバル「あう"ぅぅぅぅ…全然見つかんないよぉぉぉぉ~~」
ヴィヴィオ「もぉ疲れたぁ~…」
ティアナ「そうね……優矢さん、一度どこかで休憩しませんか?正直私もきつくなってきましたし……」
優矢「ん…そうだな。じゃあどっかその辺で休憩でもするか?」
ティアナとギンガの後ろを歩くスバルとヴィヴィオを見てそろそろ休憩を挟もうかと思い、優矢は何処か休める場所がないかと辺りを見回した。その時……
「キャアァァァァァァァァァァァァァァァァァアッッ!!!」
『ッ?!』
突如優矢達の反対側にある橋の下の方から少女の悲鳴が響き渡り、それを聞いた五人は足を止めそれが聞こえてきた橋の方へと振り向いた。
ギンガ「い、今のは?!」
スバル「悲鳴……だよね?あの橋の方から?」
優矢「…まさか、零の言ってたベリアス?!」
ティアナ「え?……って!ちょ、優矢さん?!」
聞こえてきた悲鳴にスバル達が動揺する中、優矢は先程零から聞いたこの世界の怪人であるベリアスの事を思い出し橋の下へと向かっていき、それを見たスバル達も慌てて優矢の後を追いかけていった。
◆◇◆
『ヌウゥゥゥゥゥゥ……』
「い、いやっ…誰か…誰か助けてっ……」
そしてその一方、橋の下にある河原では一人の少女が異形に襲われかけていた。脅える少女に異形…全身を黒く染め、身体の至る所から刃の様に尖った角を生やしたベリアスがゆっくりと歩み寄り、恐怖で動けない少女を引き裂こうと右腕を振りかざした。その時……
「――変身ッ!」
『…ッ?!―バギィッ!―ヌグオォッ?!』
「……え?」
突然横から飛び出してきた一人の赤い戦士がベリアスを殴り付けて河の近くへと吹き飛ばしていき、少女は目の前に現れた赤い戦士…クウガに変身した優矢を呆然と見つめていた。
クウガ『よし、間に合ったか…!』
「………お…お兄ちゃん?練次お兄ちゃん…なの?」
クウガ『え?お兄ちゃんって………ッ?!』
呆然と少女が言葉にクウガは疑問符を浮かべて少女の方へと顔を向けるが、その少女を見た途端その表情が驚愕のものへと変わった。何故ならその少女は……
クウガ『な、なのはさん?!何やってんだこんなところで?!』
なのは?「……へ?」
そう、クウガが助けた少女は茶髪の髪をポニーテールに纏めた見覚えのある少女…自分の仲間であるなのはと同じ顔をしていたのだ。何故こんな場所になのはがいるのかと動揺してしまうクウガだが、その時クウガに殴り飛ばされたベリアスが起き上がりクウガを襲い始め、クウガはそれを受け止めるとなのは?から離れるようにその場から走り出しベリアスに殴り掛かる。
クウガ『ダァッ!ハッ!』
―ドグォッ!!ドシャアァッ!!―
『グゥッ?!……バズガゼネグ、ゼズダババルクウガッ!』
クウガ『!クウガだって?!―ドゴオォッ!!―ガッ?!』
クウガの名を口にしたベリアスにクウガは一瞬攻撃の手を止めてしまい、ベリアスはその隙を突いてクウガを柱へと蹴り飛ばしてしまう。そしてちょうどその時、優矢を追ってきたスバル達が漸くその場に到着し、ベリアスに吹っ飛ばされたクウガを見て驚愕の表情を浮かべた。
ティアナ「優矢さん?!」
クウガ『グゥッ!皆!俺がアイツを引き付けるから、その隙になのはさんを頼むっ!』
ヴィヴィオ「え?なのはママ?」
その場に到着したばかりで状況が飲み込めないスバル達だが、クウガはなのはを頼むとだけ告げると地面に落ちていた木の棒を拾い、ベリアスと再び対峙する。
クウガ『(力はアイツの方が上だ…正面から殴り合っても意味はない…なら!)超変身ッ!』
ベルトに片手を添えて叫ぶとクウガは銀色の鎧に紫のラインが入った姿……タイタンフォームへとフォームチェンジし、右手に持った木の棒もタイタンソードへと変化してそれを構える。そしてそれを見たベリアスは一瞬鼻で笑うとクウガに向かって走り出し、クウガもそれを迎え撃とうとタイタンソードを両手で構えていく。そして……
『ヌアァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!』
クウガ『フッ!うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!』
―ズガアァァァァァアンッ!!―
『グゥッ?!』
クウガは態勢を屈めてベリアスの拳をかわすと、ベリアスの腹にタイタンソードを突き刺しカラミティタイタンを炸裂させ、ベリアスは拳を突き出したまま動かなくなってしまった。
クウガ『よしっ…!』
スバル「やったっ!」
ギンガ「優矢君の勝ちね!」
なのは?「…す…凄い…」
動かなくなったベリアスにクウガは確かな手応えを感じて勝利を核心し、スバル達もクウガが勝ったのだと喜びを露わにする。が……
『……………………フッ』
―ガシッ!ググググッ!―
『ッ?!』
クウガ『な、何ッ?!』
倒したと思われたベリアスはタイタンソードを腹部に刺したまま突然動き出し、それを見たクウガとスバル達は驚愕の表情を浮かべた。そしてその間にベリアスは自身の腹に刺さったタイタンソードを掴むと、タイタンソードは灰と化し風に吹かれて消え去ってしまう。
クウガ『なっ―ガシッ!―ガッ?!』
『フン、グネベザギギガ、ガズデマブルズッ!』
タイタンソードが灰と化して消えてしまったのを見て驚愕してしまうクウガだが、ベリアスは関係ないと言わんばかりにクウガの首を掴んで締め上げて投げ飛ばし、クウガはそのショックで元のマイティフォームへと戻ってしまった。
クウガ『ガハァッ!!ガッ…ぐッ…!』
ギンガ「ッ!優矢君ッ!」
ティアナ「そんなっ…優矢さんの攻撃が通じないなんて?!」
必殺技も通用せず、吹っ飛ばされてしまったクウガを見てギンガとティアナ達は信じられない物を見たような表情を浮かべ、ベリアスはそんなクウガから興味をなくしたように視線を逸らしてスバル達と向き合っていく。
『ベベザダヂルザ、ゴルゼジズバグ……オォォォォォォォォォォォォオッ!!』
―…バチッ…バチバチバチバチバチバチィッ!!!―
ベリアスは唸り声をあげながら右手を掲げると全身に生えた角から黒い雷が発生し、ベリアスの右手にエネルギーを集束させると黒く輝き出していく。
ギンガ「ッ!あ、あれはっ…?!」
ティアナ「…まさか…私達を狙ってる?!スバル!ギンガさん!なのはさんとヴィヴィオを連れて此処から離れるわよ!!」
スバル「う、うん!!」
ベリアスの標的が自分達だと気付いたティアナ達は、未だ恐怖で動けないなのは?とヴィヴィオを連れてその場から走り出した。が、右手にエネルギーを溜め終えたベリアスは走り去っていくスバル達に向けて右手を翳していく。そして……
『ゼジゼベルガグ…ヌアァッ!!』
―ズドォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!!―
『ッ?!』
ベリアスの手の平から黒い雷撃が発生し、スバル達へと向かって黒い閃光が撃ち出されていったのだった。そして黒い閃光は信じられないスピードでスバル達との距離を一瞬で詰め、それを避けられないと悟ったスバル達は自身の身体で壁を作ってなのは?とヴィヴィオだけでも守ろうとする。だが…
―ズババババババババババババババババァッ!!!―
クウガ『グゥッ!!ウアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!』
『…なっ?!』
五人の前にクウガが立ち塞がり、スバル達を庇うようにベリアスの放った閃光を受けていったのであった。そして閃光を受けたクウガは身体から煙を立たせながら力無く地面に倒れ込んでしまった。
ギンガ「ゆ、優矢君?!しっかして優矢君ッ!!」
ティアナ「目を覚まして下さい!優矢さんッ!」
クウガ『……………』
ギンガ達はすぐさまクウガへと駆け寄り必死に身体を揺らさぶっていくが、クウガからは何も返事が返ってくる様子はなかった。するとその様子を見ていたベリアスは不気味な笑い声を漏らしていく。
『ゼガボギレ、オンドルドザクウガ……フンッ!』
―ザパアァッ!!―
スバル「あ、逃げた?!」
ティアナ「今はほっときなさい!ヴィヴィオ、早くKナンバーで零さん達に連絡して!」
ヴィヴィオ「う、うん!」
ベリアスは河へと飛び込んで何処かへと逃げ出してしまうが、ティアナは一刻も早く零達に連絡をしなければと思い、ヴィヴィオに頼んでKナンバーで連絡させようとする。とその時……
クウガ『…………………………………ッ……ウッ…………アッ……』
スバル「…ッ?!優矢さん!」
ギンガ「良かったっ…気が付いたのね!」
息苦しそうに声を漏らしたクウガにスバル達は安心したように吐息を吐き、張り詰めていた肩を落とした。しかし……
クウガ『……アッ……ガッ……アァァァァッ……!』
ティアナ「?優矢さん?」
スバル「あの、どうしたんですか?」
何故かクウガは自分の肩を抱きしめながら苦痛の声を漏らし、スバル達はそんなクウガを心配して手を伸ばしていく。が…………
―………ドグンッ!―
クウガ『…ッ?!グァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!?』
―バシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!―
『ッ?!ウアァァァァァァァァァァァァァアッ!!?』
クウガは突然断末魔にも似た叫び声をあげながら身体をのけ反り、それと同時にクウガの身体から黒い衝撃波が噴き出しスバル達を吹っ飛ばしていった。そしてクウガは黒いオーラを溢れさせながらその姿を徐々に変えていき、全く別の姿へと変化していったのである。
スバル「…ッ?!ゆ、優矢…さん?」
ティアナ「…な…なんなのよ……アレっ……」
クウガ『ウァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーッ!!!?』
黒い衝撃波が辺りに巻き起こる中、スバル達は姿を変えて咆哮をあげるクウガに呆然とした表情を浮かべてしまう。赤い装甲から黒と金の装甲となり、両足には金の足甲を纏い両手の手甲に『雷』の古代文字を刻み、ベルト部に金の装甲を身に付けまがまがしい黒い瞳を持った姿…アメイジングマイティフォームとなった姿を見て―――
◆◇◆
―海鳴市・市街地―
零「ハァ…この辺には何もなさそうだな……」
竜胆「みたいだな…」
一方その頃、優矢達とは別ルートでこの世界の海鳴市を探索していた零達だが、やはりこちらでもヒントらしきものは見つからず悪戦苦闘してる最中であった。
はやて「もう、一体何処にあるんやろう?私等がこの世界で果たすべき使命って…」
零「さあな。それが分かればこんな苦労せずに済むんだが…そう簡単に見つかる訳もないか…」
竜胆「やっぱ、地道に探し回るしかないよなぁ……」
長い事街の中を歩き回っている三人だが、ヒントどころか手掛かりらしき手掛かりすらも見つからず、三人のモチベーションも段々と下がり始めていた。だがそんな時、竜胆があるコトに気付き零とはやてに話し掛ける。
竜胆「…なあ、お前等が今まで果たしてきた役目ってその世界のライダーが殆ど関係してんだろう?なら、今回もこの世界のライダーであるセイガが関係してるんじゃないか?」
そう、一行が今まで旅してきたライダーの世界の殆どの役割がそのライダー達に関係している。ならばこの世界のライダーであるセイガを捜せば、この世界での役目を見付けられるのではと竜胆は口にするが……
零「あぁ、俺も最初はそう思ったんだが……その肝心のセイガに変身する人間が何者か分からないんだ。多分優矢のように警察に協力している人物だと思うんだが、それが一体どんな人物なのかも分からない…」
はやて「うん…唯一確実に接触出来るんはベリアスが現れた時だけなんやけど、私等は警察に目ぇ付けられとるやろ?だから……」
竜胆「例え現場に現れたとしても、警察がいるんじゃやすやすと姿を現す訳にはいかないか……思ったより難しい問題だな…」
セイガが変身する人間が誰でどんな人物なのか。それが分からない以上、セイガと接触するにはベリアスが現れのを待つしかない。しかも警察に攻撃されるのを覚悟してだ。中々良い方法が浮かばない三人は難しげな表情を浮かべながら考え込んでしまう。とそんな時……
―PPPP…PPPP…PPPP…―
竜胆「ん?何の音だ?」
零「…?あ、俺のビートルフォンか?」
零のポケットに仕舞っていたビートルフォンが不意に鳴り出し、零はすぐにポケットからビートルフォンを取り出し通話ボタンを押して耳に当てる。
零「もしもし?黒月だが…『零さんっ!!零さんですかっ?!』ッ!その声……ティアナか?」
ビートルフォンから大音量で聞こえてきた声…三人とは別行動を取っていたティアナの声だったのだ。だがその声には何処か余裕がなく、何かに追い詰められている様な切羽詰まっているような感じがした。
ティアナ『今何処にいますかっ!?お願いです!早くこっちに来て下さいっ!!優矢さんが!優矢さんがっ!!』
零「ッ?!お、おい落ち着けティアナッ!優矢が何だ?!一体どうしたんだ!?」
ティアナ『わ、私にも分からないんですっ!優矢さんが突然『ウアァァァァァァァァァァァァアッ!!!』ッ!?スバルッ!!』
―ブツンッ!ツー…ツー…ツー…―
零「お、おいティアナ!?スバルがどうした!?ティアナ!ティアナ!!…クソッ!」
ティアナからの通話が切れ零はビートルフォンを乱暴に閉じて毒づき、そのまま近くに停めておいたディケイダーへと駆け寄り跨がっていく。
はやて「ちょ、零君どないしたんや?!ティアナに何かあったんか?!」
零「俺にも分からん!だがアイツ等の身に何かあったらしいっ…とにかく今はアイツ等の所に向かうぞ!」
竜胆「あ、あぁ!分かった!」
余裕のない表情を浮かべる零を見て余程マズイ状況なのだと悟った竜胆はディケイダーの隣に停めておいた自身のバイクに跨がり、はやてもディケイダーの後ろに乗っていく。そして零と竜胆は自身のバイクを発進させ、ティアナ達を探しに向かうのであった。
真也「…へぇ?思ったより良い仕事してくれるじゃん、あの黒いライダー。まさかクウガを古代の闇の力で暴走させるなんてさ」
そして零達が走り去った後、近くの建物の陰から先程セイガが戦う現場の近くにいた真也と麻衣がゆっくりと姿を現し、真也は陽気な笑みを浮かべながら零達が走り去った方を見つめていた。
真也「さてと…奴が動いたとなると、そろそろ俺達の出番かもな?」
麻衣「………やっぱり……戦うの?零達と……」
真也「しゃーねぇさ、任務を遂行しねぇと終夜の奴が後からこぇーし……それにアイツ等を足止めするだけなんだから、俺達が手加減してやれば大丈夫さ。いくぜ、麻衣?」
麻衣「………分かった…」
麻衣は真也にそう言うと懐から白いカードケースの様な物を取り出して目の前に突き出すと麻衣の腰にベルトが出現し、真也もそれに続くようにコートを翻すと腰に装着したベルトを露出させ、ポケットから取り出した黒い携帯を開き000と番号を入力した後エンターキーを押した。
『Standing by…』
真也「変身ッ!」
麻衣「…変身」
『Complete!』
携帯を閉じてベルトにセットすると電子音声が響き、それと同時に真也の身体に黄金の閃光が浮かび、麻衣も変身の構えと共にケースをバックルにセットすると姿を変えていった。真也は黄金の閃光が晴れるとギリシャ文字のΩを模した姿をした黒いライダー『オーガ』へと変身し、麻衣は白いマントを翻し、白鳥を模した姿をした白い女ライダー『ファム』へと変身したのであった。
オーガ『んじゃ、ちょっくら突いてくるとしますか…麻衣?』
ファム『うん……いく』
変身を完了した二人は互いに顔を見合わせて頷くと、背後から出現した歪みの壁に飲まれて何処かへと消えていってしまった。