仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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第二章/クウガ×らき☆すたの世界⑨

 

―灯溶山山頂―

 

 

その頃、灯溶山山頂から発生した黒い煙は徐々に広がっていき、封印されたグロンギを撃退する為に山頂に向かおうとしていた警官達は黒い煙を吸って次々と倒れていく。その中にいた綾瀬も大量に黒い煙を吸ってしまった為、よろめいてしまう。

 

 

「あ、綾瀬……逃げろ……これは……」

 

 

一人の刑事が綾瀬の身を案じそう呼び掛けるも、やがて間もなく息絶えてしまう。

 

 

一方でその頃、綾瀬達が目指そうとしていた山頂の空洞の中にある一つの石碑が崩れ、その中から一体のグロンギが現れた。

 

 

その風貌はまるで狼のように禍々しく、圧倒的な威圧感を放つグロンギが咆哮した瞬間、息絶えた筈の警官達が次々とグロンギとなって蘇っていく。

 

 

綾瀬「人間が、グロンギにッ……?!」

 

 

その目を疑うような光景を前に綾瀬が驚愕する中、そんな綾瀬にグロンギ達が襲い掛かろうとする。しかしその時、突然後ろから誰かに腕を掴まれて後ろに引っ張られた。

 

 

綾瀬「ッ?!ゆ、優矢……?」

 

 

優矢「姐さん!早く、こっちへ……!」

 

 

黒い煙を吸わないように鼻と口を塞ぎながら現れた優矢を見て驚く綾瀬の反応を他所に、優矢は綾瀬の腕を引っ張り急いで山を降りていく。

 

 

そしてグロンギとして蘇った警官達も優矢達を追っていく中、石碑から現れた狼のグロンギ……ン・ガミオ・ゼダも大勢のグロンギが山を下りていく光景を眺め、自身も山を降りようと一歩踏み出そうとした。その時……

 

 

ディケイド『ハアァッ!!』

 

 

―ドゴォオオッ!!―

 

 

優矢の後を追い掛けて灯溶山を登ってきた零が変身するディケイドが飛び出し、ガミオに殴り掛かった。だがガミオはディケイドの拳を受けても何故か反撃せず、何処か声を震わせながら口を開く。

 

 

『バゲゴセパレザレダ……?(何故俺は目覚めた……?)』

 

 

ディケイド『……何?』

 

 

『……俺は二度と目覚めぬ筈だったッ!!』

 

 

ディケイド『……そうかよ。気の毒になぁッ!』

 

 

ガミオが人語を話した事に内心驚くも、表情には出さずに再びガミオに拳を打ち込んでいくディケイド。だがガミオはディケイドの打撃を受けても通用している様子はなく、ディケイドの腕を掴んで無理矢理引き寄せ…

 

 

―ドゴォオオオオオオオオオオオオオオオオンッッ!!!―

 

 

ディケイド『グッ、ガハァアアアアッ!!?』

 

 

ガミオが放ったまるで鉄球の如く強烈な打撃が腹を抉らんばかりの勢いで打ち込まれ、ディケイドはそのまま岩盤に叩き付けられてその場に倒れ込んでしまった。

 

 

『もう遅い……!リントは全てグロンギとなり、この世を究極の闇が覆い尽くすッ!!』

 

 

ガミオはそう言ってその身を黒い煙と化して街へと降りていく。そして黒い煙は徐々に街を覆い尽くしていき、煙を吸い込んだ街の人達も警官達のように続々と息絶えて間もなくグロンギとなり、他の街の人々を襲って殺戮を始めていくのであった。

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

―総合病院―

 

 

なのは「──あの中で、人間がグロンギに変わる……?」

 

 

優矢「……ああ、確かに見た……死んだ筈の人間が、グロンギになって蘇るのを……」

 

 

綾瀬が運び込まれたと連絡を受け、急いで病院に駆け付けたなのは達は優矢から告げられた衝撃的な事実に驚愕と戸惑いを隠せないまま、辺りを見渡していく。

 

 

病院内は既にグロンギの被害にあった者達で溢れ返り、突然の事態に病院側も対応が追い付かず混乱状態に陥っていた。

 

 

そんな中、なのはから連絡を受けて灯溶山から降りてきた零が病院に駆け付けるも、痣だらけのその顔を見たなのはが血相を変え零に駆け寄っていく。

 

 

なのは「零君?!どうしたのその怪我?!」

 

 

零「俺は大丈夫だ。それより……綾瀬は?」

 

 

優矢「……重傷だ……しかも、大量にガスを吸った……このままじゃグロンギにっ……!」

 

 

スバル「そんなっ……」

 

 

悔しげに拳を握って俯き、辛そうに答える優矢の口から聞かされた綾瀬の容態の重さに一同の空気も更に重くなる中、零は目を細めて淡々と語る。

 

 

零「グロンギは戦闘しか考えられない種族だったな。人間全てがそれに変わっちまえば、世界は……終わりだ」

 

 

優矢「ッ!ゲゲルは失敗したんだろッ?!一体どういう事なんだよッ!!」

 

 

やまと「先輩!落ち着いて!」

 

 

綾瀬を助けれなかった自分に対する怒りや悔しさを抑え切れず、堪らず零の胸倉を掴んで行き場のない怒りをぶつけてしまう優矢。そんな優矢をやまとも何とか落ち着かせようとするが、対する零は優矢の手を掴んでゆっくり下ろさせ、優矢の目をまっすぐ見つめていく。

 

 

零「元々奴は目覚める筈のなかった存在だ。だが、この世界にも俺達の世界と同じ……滅びの現象が起き始めてるんだ」

 

 

優矢「……俺達の、世界?」

 

 

スバル「……私達は、別の世界から来たんです。私達の世界を、救う為に……」

 

 

やまと「世界を……救う?」

 

 

自分達が違う世界から来た存在である事を正直に伝える零達だが、いきなり告げられたそんな突拍子のない話に優矢もやまともどんな反応を返せばいいか分からず戸惑ってしまい、その間にも病院内は外から次々と運び込まれる患者で溢れ、院内はさながら戦争状態になりつつあった。極め付けは……

 

 

「ガスで亡くなった患者を運び込まないでっ!!」

 

 

「でもまだ微かに息はあるんですっ!!」

 

 

「未確認になって暴れ出すんでしょうっ!?警察に運んでくださいっ!!」

 

 

「お願い助けてっ……!せめてこの子だけでもっ!!」

 

 

「ぁぁっ……ぅうっ……」

 

 

「綾瀬さんの容態がっ!!」

 

 

優矢「あ……あぁ……」

 

 

黒い煙を吸ったが為にグロンギになる事を恐れて患者の受け入れを拒否する医者、泣きながら助けを求める遺族達、看護師から伝えられる綾瀬の容態の急変、テレビで流されるグロンギ達の殺戮の光景と人々が恐怖する悲鳴に足がすくみ、優矢は怯えて立ち尽くしてしまう。

 

 

優矢「俺は……戦えないっ……」

 

 

やまと「先輩……」

 

 

零「…………」

 

 

混乱と絶望、あまりにも多くの死が渦巻くこの状況を前に戦意を失って俯いてしまう優矢。零はそんな彼を一瞥するも何も語ろうとはせずただ瞼を伏せ、グロンギ達を倒す為に病院の入り口に向かって歩き出していく。

 

 

なのは「ま、待って零君っ!今行ったら零君もグロンギにっ!」

 

 

零「いや、俺はこの世界の人間じゃない……もしかしたらって事もあるさ」

 

 

心配するなと、不安を帯びた顔で必死に止めるなのはの肩を叩いてそう言いながら病院を出ようとする零だが、その時……

 

 

スバル「……あれ?今のって……?」

 

 

現場の状況をテレビで見ていたスバルが不意にそんな呟きを漏らし、それに気付いた零となのははスバルの方に振り返り首を傾げた。

 

 

なのは「スバル?どうかしたの……?」

 

 

スバル「いえ、今テレビに見覚えのある人が映ったような……」

 

 

零「何?」

 

 

スバルにそう言われ、二人も彼女の視線を追うようにテレビを見ていく。其処には迫りくるグロンギ達から必死に逃げ惑う人々の姿が映し出されており、その中に……

 

 

なのは「……っ?!あ、あれって……?!」

 

 

スバル「……ティア?ティアです!ティアが彼処にっ!」

 

 

そう、グロンギ達の攻撃から必死に逃げ続ける人々の中に三人の見覚えのあるオレンジ色の髪の少女……零達の仲間であり、スバルのパートナーである"ティアナ・ランスター"の姿があったのだ。

 

 

テレビの中でグロンギに追われるティアナの姿をスバルが指差すと、なのははテレビと零を交互に見ながら焦りと共に叫ぶ。

 

 

なのは「で、でも、何でティアナがあんな所に?!」

 

 

零「……そうか……!アイツの言っていた、"他の世界に飛ばされた"ってのはこういう意味か!」

 

 

旅に出る前にあの謎の青年が言っていた言葉を思い出し、そういう事かと得心を得た零はすぐさまテレビの中継場所を確認する。どうやらこの病院からさほど距離は離れていないようだ。

 

 

零「とにかく今はグロンギよりティアナが先だな……行ってくる!」

 

 

スバル「あっ、待って下さい零さんっ!私も行きますっ!」

 

 

先ずはティアナの救出を先決して急いで病院を飛び出す零を、スバルも慌てて後を追い掛ける。そして二人が駐車場に停めておいたディケイダーに乗って現場に急行する中、そんな三人のやり取りを離れて見ていた優矢は何も言えず、ただその場から逃げるように綾瀬の病室へ早足で歩き出していった。

 

 

 

 

◇◆◆

 

 

 

 

陵桜学園付近の商店街。この場所も未だ増え続ける多くのグロンギ達で溢れる中、逃げ惑う人々の中に混じってティアナも必死にグロンギ達から逃げ続けていた。

 

 

ティアナ「ハァッ、ハァッ……ど、どうなってんのよ一体っ……!いきなり知らない場所に飛ばされたかと思えば変な怪物に襲われるしっ、クロスミラージュも動かない上に六課と通信も繋がらないっ……!何が起きてるのっ?!」

 

 

自分が立たされる今の状況を掴み切れていないのか、混乱した様子で他の一般人達と共にグロンギ達から逃げて走り続けるティアナ。その時……

 

 

「きゃあっ!」

 

 

「ッ?!ゆたかっ!」

 

 

ティアナ「?!」

 

 

ティアナと一緒に逃げていた少女が突然足を挫いて転んでしまい、もう一人の少女がその少女に慌てて駆け寄る姿を視界の端に捉え、ティアナは踵を返して二人の少女の下に駆け寄っていく。

 

 

ティアナ「大丈夫ですか?!」

 

 

「あ、す、すみません……!ゆたか、立てるっ?」

 

 

「う、うん、大丈夫だよみなみちゃんっ。これぐらい……痛ッ!」

 

 

「ゆたか?!」

 

 

ティアナ「……もしかして……ちょっと、ごめんなさい!」

 

 

心配を掛けまいと笑って立ち上がろうとする少女だが、足を抑えて痛がるその様子を見てティアナが彼女の靴と靴下を脱がしていくと、少女の足は腫れて青く変色しつつあった。

 

 

ティアナ「(やっぱり足を捻挫してる……!これじゃ立ち上がって歩くのはとてもっ)……取り敢えず、此処は危険ですから急いで離れましょう。私が肩を貸しますから、貴方はそっちを──」

 

 

「──っ?!う、後ろっ!」

 

 

ティアナ「?!」

 

 

とにかく急いで此処を離れる為に自分も肩を貸そうとするティアナだが、少女が恐怖の悲鳴を荒らげティアナの背後を指差し、慌てて振り返ると、其処には数体のグロンギがジリジリと迫る光景があった。

 

 

「「あ……あぁ……」」

 

 

ティアナ「クッ!(まずい、怪我人を抱えたままじゃ逃げられない……こうなったら、私が囮に──!)」

 

 

迫るグロンギ達を前に二人の少女は恐怖で動けなくなり、ティアナはそんな二人を守ろうと少女達の前に立って構える。そして一体のグロンギが片手を振り上げてティアナに襲い掛かり、ティアナが目をつぶって顔を逸らした瞬間……

 

 

『──ティアナ!と他二名!伏せろッ!』

 

 

「「「……え?!」」」

 

 

三人の背後から突然そんな声が響き、ティアナはいきなりの事に戸惑いながらも反射的に動き、言われた通り二人の頭を屈ませて伏せた。その時……

 

 

『ATTACKRIDE:BLAST!』

 

 

―ズガガガガガガガガガガガガガガガガガァッ!!―

 

 

『『ッ?!ゥッ……グォオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ?!!』』

 

 

電子音声と共に三人の頭上をマゼンタの銃弾が飛び越えてグロンギ達に撃ち込まれていき、グロンギ達は断末魔と共に爆発を起こし完全に消滅していったのであった。

 

 

ティアナ「ッ……い、今のは……?」

 

 

『ティアナ!無事か?!』

 

 

グロンギ達が爆散した跡の炎を呆然と見つめ何が起きたのか分からず困惑するティアナの下へと、今の銃弾を放った人物……零が変身したディケイドが駆け寄っていき、ディケイドを見たティアナは目を見開いて慌てて身を起こした。

 

 

ティアナ「あ、アンタは夢に出てきた?!というかその声って……もしかして、零さん?!」

 

 

ディケイド『?何だ夢って……いや、今はそれどころじゃないか。とりあえず無事だな?』

 

 

ティアナ「え、あ、は、はい……でも、この子が──」

 

 

ディケイドに変身しているのが零だと気付いて一瞬動揺を浮かべながらも、それより今は少女の怪我について説明をしなければと気を取り直そうとするティアナだが、其処へ……

 

 

スバル「ティーーアァァーーーーーーっっ!!!!」

 

 

ティアナ「え……ってスバルッ?!何でアン、ゴッハァッ?!」

 

 

突然聞こえた聞き慣れた声に釣られて思わず振り返ると、其処にはディケイドと一緒に駆け付けたスバルが勢いよく飛び込んでくる姿があった。

 

 

しかし勢いを付け過ぎたのか、スバルはそのまま驚くティアナに抱き着きながらも彼女の土手っ腹にタックルをかましてしまい、ティアナはそのまま女の子らしからぬ悲鳴と共に倒れるだけでなく、地面に思いっきり後頭部を打ち付けてしまった。

 

 

ディケイド(……oh……今とんでもない音がしたぞ、オイ……)

 

 

スバル「うぇえええんっ……ティア〜!無事で安心したよ〜!見付かって良かっだ〜!」

 

 

絶対に大丈夫とは言い難い鈍い音を立てて倒れたティアナを見てディケイドも仮面の下で顔を引き攣る中、スバルの方は自分がそんな大ダメージをティアナに与えているとも露知らず、倒れるティアナに抱き着いたまま滝のような勢いで涙を流し再会を喜んでいたが……

 

 

ティアナ「…………な…………け…………」

 

 

スバル「……へ?」

 

 

ティアナ「無事な訳あるかァァああああああああああああああああっっ!!!!」

 

 

ガバァアアッ!!と、そんな憤怒の雄叫びと共にティアナが上に乗っかるスバルを押し退ける勢いで立ち上がったのだった。

 

 

スバル「ひぃいいッ?!ど、どうしたのティアっ?あっ、もしかして何処か怪我してたとかっ?!」

 

 

ティアナ「今したわァっ!!頭に怪我っ!!アンタが抱き着いたせいでそのまま倒れてゴツンッ!ってぇっ!!」

 

 

スバル「え……あ、それは……えっと……ごめんっ」

 

 

ヒリヒリと痛むたんこぶが出来た頭を抑えて怒るティアナに怒鳴られ、申し訳なさそうに目を泳がせながら謝罪するスバル。そしてそんな二人のやり取りを無言で静観していたディケイドは呆れるように溜め息を吐き、変身を解除し零に戻っていった。

 

 

零「それだけ元気なら、とりあえずは大丈夫そうだな……無事で安心した。グロンギに襲われてると知った時は流石にヒヤッとしたぞ」

 

 

ティアナ「あ……零さん、あの、此処は一体……?というか今何が起きてるんですか、これっ?」

 

 

零「説明したいのは山々だが、悠長に話してる時間がない。詳しい話はなのはから聞いてくれ。今は……」

 

 

と、零は其処で一拍置くと、何が起きたのか分からず困惑した様子で零達を見つめる二人の少女に目を向けていく。

 

 

零「あの二人は?」

 

 

ティアナ「あっ、あの二人は一般人で、一人はあの怪物達から逃げてる時に怪我をしたみたいです」

 

 

零「そうか……ティアナ、これを」

 

 

ティアナ「え?」

 

 

僅かに何かを考える素振りを見せた後、零は懐から何かを取り出してティアナに手渡していき、ズッシリと重みを感じるその感覚にティアナが驚いて手元を見下ろすと、それは鈍い光を放つ黒い拳銃だった。

 

 

ティアナ「これ……?」

 

 

零「お前、今デバイスが使えないだろう?奴らを倒すのは無理でも怯ませる事ぐらいは出来る筈だ。それであの二人を連れてこの先の病院まで逃げろ」

 

 

スバル「えっ?れ、零さんはどうするんですかっ?というかこんなのいつの間に手に入れて……?!」

 

 

零「あぁ、それは綾瀬刑事からパクッ……んんっ……借りただけだ」

 

 

スバル(……今パクったって言おうとしたんじゃ……)

 

 

ティアナ(絶対に言おうとしたわよね、パクったって……)

 

 

あからさまに咳払いして言い直す零を見て冷や汗を流してしまうスバルとティアナ。

 

 

まあ実際のところは廃寺院での戦いでクウガが使っていた拳銃を零がたまたま拾って返しそびれたというのが真相なのだが、今は其処まで説明している時間はないと近くに停めておいたディケイダーへと近付き、マシンに跨っていく。

 

 

零「まぁ、病院に着いたら綾瀬刑事に返しておいてくれ。俺はこのままあの煙の中心に向かう……そっちは任せたぞ」

 

 

スバル「あっ、零さん?!」

 

 

慌てて呼び止めるスバルだが、そんな制止の声も聞かずに零はディケイダーを再び発進させて走り出し、未だに黒い煙が広がる街の中心へと向かっていったのだった。

 

 

 

 

 


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