仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
先程の戦いから二時間後。写真館へと戻ってきた零達は練次となのは(練次)の見送りの為、写真館の前の道路沿いで二人と向き合っていた。因みになのは(練次)は写真館へと戻った練次を見た途端、よほど心配だったのか練次に抱き着いて大泣きした為に目が少し赤くなっている。
練次「…今回の事、本当にありがとうございました」
零「別に礼を言われるような事はしていない…俺達はただ横からしゃしゃり出ただけだ」
練次「それでも、今回の事で色々と気付かされた事もありましたから……ですから本当に、ありがとうございます」
練次はカメラのフィルターを覗き込む零に向けて深く頭を下げて礼を良い、それを見た零は照れ臭そうに頬を掻きながら明後日の方へと目を向けていた。
竜胆「んで、お前はこれからどうするんだ?」
練次「…帰ったら、なのはと色々話そうと思ってます。これからどうしていくかも…俺が決めた思い…ちゃんと」
なのは(練次)「……練次お兄ちゃん…」
竜胆の言葉に対し力強い瞳をしながら答える練次。なのは(練次)はそんな練次を隣で見て優しい微笑みを浮かべ、竜胆も「そうか」と納得したように頷き返していた。そして練次は零の隣に立って顔を俯かせる優矢と向き合い笑みを浮かべていく。
練次「零さん達から話しを聞いていたよ。君も、誰かの笑顔の為に戦っているんだろう?」
優矢「…はい…でもすみませんでした…俺のせいで、練次さんに迷惑を……」
練次「いいや、いいんだよそんな事。それに君だって、闇に飲まれる事なく自分を取り戻した……それは、誰かを笑顔にしたいと信じ続ける君の強さがそうさせたんだ。正直、俺は君のその強さが羨ましいよ」
優矢「……練次さん…」
練次の穏やかな言葉に優矢は俯かせていた顔を上げ、練次はそんな優矢に向けてサムズアップしていく。
練次「また遊びにおいでよ。君にも中々見込みがあるところがあるし、その時には俺が色々と教えてあげるからさ」
優矢「…はいっ!」
優矢は笑顔を浮かべながら練次に向けてサムズアップを返し、そんな優矢の表情を見た練次は満足げに笑いながらなのは(練次)と共に自身のバイクに跨がり、家への家路を走っていったのだった。
竜胆「…んじゃ、俺もそろそろいくとしますか」
零「…?もう帰るのか?」
竜胆「あぁ、また他の世界に行ってチラシをくばんなきゃいけねぇし、祭の準備とかも色々あるからさ」
竜胆は笑ってそう言いながら表に停めておいたバイクに跨がり、頭にヘルメットを被って零達に目を向けていく。
竜胆「それじゃあな!祭には絶対来てくれよ?」
零「あぁ、必ず行く。楽しみにしているから、期待を裏切らないでくれよ?」
竜胆「おう!お前達の期待を越えた祭にして待ってるから、安心して祭に来い。じゃな!」
竜胆は零達に向けて軽く手を振るとバイクを発進させ道路を走っていき、道路の先に出現した歪みの壁を潜り抜けてまた別の世界へと向かっていったのだった。
◆◇◆
―光写真館・零の自室―
それから数十分後。練次達と竜胆と別れを済ませた零達は写真館へと戻り、自室に戻った零は現在はやてに怪我の治療をしてもらっていた。
零「痛ッ!そ、其処はもう少しそっとやってくれ!」
はやて「えぇからジッとして!全く、傷が開いていたのを無視して戦おうてたやなんて……無茶し過ぎやろ……」
零「むぅ……だが、なんでお前が俺の傷の治療をする必要があるんだ?シャマルもいるんだし、お前がそんな事する必要は……」
はやて「……私よりシャマルの方がええんか…?」
零「Σッ?!イ、イヤ…メッソウモナイ…」
ジト目で睨んできたはやてを見て冷や汗を流しながら視線を逸らしてしまう零。はやてはそんな零に一度深い溜め息を吐くと、治療に使ったガーゼや消毒液を救急箱の中に仕舞っていく。
はやて「全く……ホンマに無茶ばっかりするんやから……少しは心配するこっちの身にもなって欲しいで」
零「むぅ…別に俺だって好きで無茶してる訳じゃない。ただそうしなければいけないという状況に合うから仕方なく…」
はやて「それでも無茶していい事としたらいけない事があるやんか!零君は少し周りの人の気持ちを考えなあかんよ?!」
零「グッ…それはそうかもしれんが…だけど…」
はやて「だけどもへったくれもあらへん!今度からは絶対こんな無茶はせんこと!もしまたこんな事したら許さへんからな?!」
零「ウグッ…と、というかお前は何をそんな必死になってるんだ!俺なんかお前を怒らせるような事したか?!」
何処か必死になって身を乗り出し、無茶をするなと怒鳴ってくるはやてに思わず後退りをしながら聞き返す零。そんな零の言葉を聞いたはやては何故か顔を曇らせて俯いてしまい、それを見た零は頭上に疑問符を浮かべた。
零「……はやて?」
はやて「……だって…そう言わんと……零君また無茶ばっかするやんか……あのライダー達との戦いの時みたいに……」
零「…………」
顔を少しだけ上げて不安げな表情で見つめてくるはやての言葉に零は口を閉ざしてしまう。はやてが言っているのは、おそらくスバル達を助けに向かおうとした途中で襲い掛かってきた謎のライダー達と戦い、その中ではやてを庇おうした時の事だろう。
零「……あれはどちらかと言えば、お前の方が無茶しただろう?ライダーにもならずに生身で飛び出してくるなんて…」
はやて「それは……反省しとるよ……二人を助ける事ばかり考えて飛び出して、逆に迷惑掛けてしもうたし……せやけど……せやけどな……」
はやてはそこで一度言葉を区切ると、おもむろに零の手を両手で包みながら再び語り出す。
はやて「―――怖いんよ……こんな無茶ばっかして……零君が……またあの時みたいにいなくなるんやないかってっ……」
零「…ッ!」
切なげに呟いたはやてに零は思わず息を拒み、あの時の事件が脳裏に過ぎった。数年前に起きた…あの忌まわしきロストロギア事件。彼はその事件で命を落とし掛け、彼女は傷付いた彼を見て涙を流した。彼にとっても彼女にとっても、あの時の事件は決して忘れる事の出来ない記憶となっている。
はやて「あの頃からずっと……私は零君が無茶するのが怖く感じるようになったんや……私だけやない……なのはちゃんもフェイトちゃん達も、きっと同じ事を思ってると思う……」
零「…………」
あの時の事件は、アースラのクルー達にとって二度と忘れられない事件となった。その中にいた彼女もその事件でなんらかのトラウマを心に抱え込んでしまっている。そのトラウマがなんなのかまでは彼には分からないが、それが過去の自分が生み出してしまった業の一つであることは分かっている。
零「……あの頃の俺は必死だったんだ……もうあんな思いをしないように……誰も失わないように……力を求めて……求め続けた……誰も守れない自分が許せなかったから……だから」
はやて「うん、分かっとる……零君が、私の為にリインフォースを留める方法を探してくれたり……なのはちゃんがあの事件で大怪我を負った事に負い目を感じとった事も……」
零「…………」
はやて「…せけど…それは零君が責任を感じる必要なんてあらへん。前にも言うたと思うけど…それは私等の責任でもあるんや…私等のせいで、零君を其処まで追い詰めてしもうたんやから……」
零「…ッ?!それは違う!俺はただっ…!」
罪悪感を感じさせるはやての言葉を慌てて否定する零だが、その後にどんな言葉を紡げばいいか分からず黙り込んでしまう。否定したくても、実際過去の自分のあの行動がはやてやなのは達に関係しているのは事実だ。だからハッキリと否定することは出来ない。否定してしまえば、それは彼女達の為に強くなろうとした自分がしてきた事も、彼女達を守ろうとした自分をも否定する事になるのだから…。頭の中で必死に言葉を探す零を見たはやては一瞬辛そうな表情を見せ、零の頬に手を差し延べた。
零「!…はやて…?」
はやて「……私等は別に、零君に何も求めてへん……ただ一緒にいてくれるだけでええんや……たったそれだけで…ええんやから…」
切なげな表情で小さく呟きながら、はやては俯かせていた顔を上げ零の顔をジッと見つめていく。
はやて「(……零君は自分では壊れんけど……私たちのせいで壊してしまう事はありえへん話やないんや…せやから私が……私達が傍におらんと……そやないと……)」
零「……はやて?」
はやて「(そやないと零君は……いつか必ず壊れてしまう……)」
鳴滝の言葉を信じている訳ではない。だがもしも、彼が本当に世界の破壊者になってしまうとしたら……それは自分達が原因でそうなってしまうかもしれない。だから決して、彼から離れてはいけない。彼を隣で支えていけるのは……自分達しかいないのだから。
零「……おい、どうした?いきなり黙ったりして?」
はやて「……ううん、何もあらへんよ♪さ、はよ下に戻ろう?早く次の世界に向かわんとあかんしな♪」
零「は?…あ、あぁ」
だから今は彼を信じ、彼を支えて共に歩んでいこう。それだけがきっと……この旅の中で自分達が彼にしてあげられる事だと思うから。
◇◆◆
―海鳴市・郊外の山―
ベリアル『ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……!』
その頃、先程ディエンド達とクラウンが戦っていた郊外の山の付近にある荒地では、ディケイド達との戦いで逃げたはずのベリアルがふらつきながら歩いていた。
ベリアル『…ハァ…ハァ…思いの力?人の思いだぁ?ふざけやがってっ…そんなものが闇の力に敵うはずがねぇだろうがっ…!』
先程の戦いでディケイドが言っていた言葉を思い出し何度もそれを否定しながら歩み進めていくベリアル。そして暫くすると、ベリアルは破片のような物が落ちている場所……粉々に砕け散った天の石の破片がある場所に着き、破片を全て手に取っていく。
ベリアル『…コイツかぁ…こんだけ無惨に砕け散ってもまだ微かに力は残ってるみてぇだな……クククッ…こんだけありゃ十分か…』
微かに白色の光を放つ破片に不気味な笑みを浮かべていき、ベリアルはそのまま破片を全て"喰らって"いってしまう。そして……
―…ドオォンッ!!!!―
破片を全て喰らった瞬間、ベリアルの身体から凄まじいエネルギーが溢れ出し、ベリアルが立っていた地面はその衝撃でひび割れ沈没してしまったのだった。
ベリアル『ハアァァァァ…次会った時には教えてやるよ破壊者…闇の力は絶対だ!人の思いなんてものは、それの前じゃ無力だって事をなぁっ!!』
高らかに叫ぶとベリアルは背後から出現した歪みの壁を通り抜けて消えていってしまい、後に残されたのはベリアルから噴出した力の影響で無惨な姿となった大地だけであった……
◆◆◆
―風麺―
やまと「……それで、奴らは結局そのまま帰ったわけ?」
「まあな…どうやらアイツ等が任務内容にはない行動をした事でNo.3が出てきたらしい。ディケイドに深手を負わせちまえば任務に支障が出る……そう判断してあの三人を引かせたんだろう」
ベル「成る程……完全にはメンバー達を統率しきれてはいないって訳ね、あちら側のボスは」
夕暮れ時となった海鳴市の街中に存在する風麺と呼ばれる一台の屋台。そこでは今、クラウンとの戦いを終えたベルとやまと、そしてエクスプロードに変身して謎のライダー達と戦っていた青年が難しげ表情で会話をする姿があった。
やまと「……まぁ取りあえず、この話はここまでにしましょう。いい加減アレとの戦いや山登りとかの疲れて喋るのもしんどくなってきたし」
ベル「……それもそうね。こんな話いつまで続けても埒が明かないし……取りあえず何か食べましょうか?大輝!ラーメン三つお願い――――――大輝?」
取りあえず今は何か食べようと大輝にラーメンを注文するベルだが、大輝からは何の返事も返って来ない。ベルはそれに疑問符を浮かべながらテーブルから立ち上がり、屋台の奥を覗いてみると……
大輝「俺のお宝俺のお宝俺のお宝俺のお宝俺のお宝俺のお宝俺のお宝俺のお宝俺のお宝―――――」
ルミナ「し、師匠?!どうしたんですか?!…ハッ!まさか悪い物食べちゃったんですか?!お腹痛いんですか?!バ〇ァリン飲みますか?!�」
ベル「…………………」
……屋台の陰で体育座りをしながらブツブツと何かを呟く大輝と、そんな大輝に何故かバファ〇ンを差し出しながら涙目になっているルミナの姿があったのだった。
やまと「……ベル、まさかまだ?」
ベル「…えぇ、まだあの石のこと引きずってるみたいね……でもまさか此処まで落ち込むなんて、よっぽどあの石が欲しかったって事かしら?」
「んー、そーいやさっき調べたんだけどさ?あの天の石とかいうの、どうやらこのセイガの世界にしか存在しないレアなお宝だったらしいぜ?他の平行世界には存在しないお宝らしいし、だからそんなに落ち込んでんじゃねぇの?」
青年が軽くそう説明するとベルとやまとは納得したかのような声を漏らしながら頷いていく。それ程のお宝だったなら彼があそこまで落ち込むのも納得出来る。しかもそれ程レアなお宝を自分の手で壊してしまったとなればそうなっても仕方がないだろう。そう思ったベルは一度深い溜め息を吐くと屋台の奥へと足を踏み入れ、大輝を宥めるルミナを退けて大輝に耳打ちしていく。
ベル「―――――――――――、―――――――?」
大輝「――ッ?!……マジ?」
ベル「マジよ、だからさっさと元気出してラーメン作んなさい。さもないと……今の約束はなかったことにするわよ?」
大輝「!!!」
妖艶な笑みを浮かべながらベルがそう呟くと、大輝は直ぐさま立ち上がり目にも止まらぬスピードでラーメン作りを始めていった。
ルミナ「し、師匠?!…ス、スゴイですよベルさんっ!一体どうやって師匠を復活させたんですか?!」
ベル「クス、別に大した事はしてないわ。ただすこ~し…アイツに魔法の呪文を掛けてやっただけよ」
ルミナ「Σ魔法っ?!ベルさん魔法使いだったんですか?!凄いです!憧れちゃいます!!」
ベルの言葉にルミナは尊敬の眼差しをベルに向けながら興奮している。そんなルミナの反応に満足したのかベルは笑みを浮かべながらテーブルへと戻っていき、そんな光景にやまとと青年は呆れたように深い溜め息を吐いていたのであった。
そしてそれから数十分後、三人とルミナは完全に機嫌を取り戻した大輝の作ったラーメンを食した後、軽い雑談をしてからそれぞれの世界へと戻っていったのであった……