仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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キャンセラーの世界
第十四章/キャンセラーの世界


 

 

セイガの世界から次なる世界にやって来た零達一行。次の世界に到着した零達は早速写真館から外へと出ていき、此処から見える海鳴市の町並みを眺めていた。

 

 

零「それにしても、まさか次の世界が祐輔の世界とはな…こればっかりは予想外だった」

 

 

なのは「だよね、この世界は平和そのものの筈なんだけど…」

 

 

フェイト「うん。確かこの世界じゃ怪人はいないはずなのに……やっぱり、この世界にも滅びの現象が?」

 

 

シグナム「それについては分からんが……それより…その格好は一体何なんだ、テスタロッサ?」

 

 

何故怪人もいない筈の平穏な世界に訪れたのか?その事について深く考える零となのはとフェイトだが、シグナムはフェイトの格好を見て訝しげな表情を浮かべていた。何故なら零とフェイト、更になのはとはやての格好はエプロンを身につけた制服のような姿になっていたからである。

 

 

なのは「これって確か……Green Cafeの制服だよね?」

 

 

はやて「そやな…せやけどどういう事やろ?怪人もいない世界で、喫茶店の制服……こないな格好でなにをしたらええんや?」

 

 

ウェンディ「うーん…あ、もしかしてあれッスかね?そのgreen cafeでケーキとか作って皆で食べればいいとか♪」

 

 

ティアナ「そんなわけないでしょ、バカ」

 

 

制服姿に変わった自分達の格好を見てイマイチ役割が分からないなのはとはやてだが、気の抜けた予想を口にするウェンディにティアナが呆れたように溜め息を吐いた。だが……

 

 

零「いや、その可能性は否定出来ないぞ」

 

 

スバル「…へ?どういう事ですか?」

 

 

顎に手を添えながら呟いた零の言葉にスバルが疑問げに聞き返し、その問いを受けた零はゆっくりと口を開いて語り出した。

 

 

零「さっきも言った通り、この世界に怪人と呼べる敵は存在しない。つまり戦うべき敵がこの世界には存在しないという事だ。だから今回は平和的にこの世界のライダーである祐輔の手助け…つまり仕事を手伝い、green cafeを大繁盛させればいいと言う結論になる」

 

 

すずか「そ、そうなの……かな?」

 

 

ディート「なんだか、酷く色々と掛け離れているような気が……」

 

 

零「じゃなきゃ他に考えられないだろう?こんな平穏な世界で何をすればいいのかも分からないし……まあ取りあえず、祐輔の所に行って訳を説明するぞ。話はそれからだ」

 

 

なのは「え?…ま、待ってよ零君!?」

 

 

とにかく祐輔に事情を説明しなければと、一人で勝手に海鳴市の街へと歩き出した零を追ってなのはとフェイトとはやても慌てて駆け出し、残ったメンバーはそんな三人の後ろ姿を見て思わず苦笑いを漏らしていた。

 

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

 

―喫茶店・Green Cafe―

 

 

 

祐輔「――――で、何故か次の世界が僕の世界だった……と」

 

 

零「あぁ…何故か、な」

 

 

数時間後。あの後、街へと出た零達は祐輔が経営するGreen Cafeに訪れ、副店長である祐輔と祐輔の彼女である"ミナ"、ウェンディ(祐輔)を交えて事情を説明していた。そして一通りの事情を説明した後、やはりというべきか祐輔達もかなり戸惑っていた。

 

 

ミナ「けど、どうして私達の世界なんですか?こっちの世界じゃ特に大した異変なんて起きてないし…怪人だっていませんよ?」

 

 

なのは「うん。実際の所、私達もそこが気になってるんだよね…」

 

 

フェイト「零はこの世界での役目がGreen Cafeを繁盛させる事って言ってたけど……本当にそうなのかちょっと微妙なんだ」

 

 

ウェンディ(祐輔)「うーん……でももしかしたら、零の言ってる事の方が合ってるかもしれないッスよ?前にツカサ達がこの世界に来た時も特別大した事件は起きなかったし。今回零達が来たのも別に物騒な事件が起きるから、って訳じゃないかもしれないッスよ?」

 

 

はやて「ふむ…ちゅう事は零君の意見は正しい、って事になるんかなぁ?」

 

 

祐輔が煎れてくれた珈琲を口にしながらそれぞれ話し合う女性陣。それを隣で聞きながら、零と祐輔も話を促していく。

 

 

祐輔「それで、零さん達はこれからどうするんですか?」

 

 

零「…そうだな…出来れば暫く此処で働かせて欲しい。特に何も起きないだろうが、もしかしたらって事もあるかもしれない……それに異変が起きてすぐ動く為にも、写真館よりこっちの方が良さそうだしな」

 

 

正直なところ、平穏なこの世界にそんな大それた異変が起きるとは思えないが、同時に戦いとは掛け離れたこの世界にどんな異変が起きるのかも想像付かない。もしも異変が起きて、その異変が今までの非にもならない災厄であるなら後手に回るのは余り好ましくない。その時に備えて、すぐに現場に駆け付けられるような場所に身を置いておくのが一番だろうと思ったのである。写真館は街の外れにある公園の前にあるし……

 

 

祐輔「成る程……分かりました。そういう事情なら構いませんよ」

 

 

零「すまない、迷惑掛けるな…」

 

 

祐輔「いいですよ気にしなくて、もう慣れっこですし。それにもし事件が起きるなら、その時は僕も手伝います」

 

 

零「いや、お前まで戦う必要はないんだぞ?異変を解決するのが俺達の役目な訳だし、お前まで巻き込むのは……」

 

 

祐輔「大丈夫ですよ。僕は一応この世界のライダーなワケだし、実戦経験だって十分あります。それに自分がいる世界が危険なことになってるのに、それを見てみぬ振りなんて出来ませんから」

 

 

零「…………」

 

 

力強く、迷いを感じない瞳で真剣に答える祐輔。その瞳を見た零は心の中でどうしたものかと困りながら頬を掻く。彼がこういう目をした時には何を言おうが梃でも動かない。付き合いが長いせいか、それだけで彼の事が分かってしまうようになったらしい。全く、こんな頑固な若者なんて今の世の中そうそういないぞ?などと年寄り臭いことを考えながら深い溜め息を吐いた後……

 

 

零「――一応言っとくが、あんまり無理はしないでくれよ?お前にもしものことがあれば、巻き込んだ俺がお前の母親に何をされるか分からん…」

 

 

祐輔「アハハハっ。はい、分かりました」

 

 

祐輔の母親……"阿南佐知"に言葉では言えないような悲惨な目に合っている自分の姿を思い浮かべ、表情を青くする零を見て苦笑を浮かべながら頷く祐輔。こうして、零となのはとフェイトとはやての四人は異変が起こるまでの間Green Cafeでバイトする事になったのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

 

―海鳴市・ビルの屋上―

 

 

 

海鳴市に並ぶ市街地。その中に存在する一つのビルの屋上では、黒いスーツを身に纏った二人の青年と一人の少女が街を見下ろす姿があった。その中にいる青年の一人と少女…真也と麻衣は目を深く瞑りながら口を開く。

 

 

真也「北東にでかい気が三つ……一つはロストロギアか?もう一つは零として……もう一つがターゲットの反応だな。そしてその周りに小さな反応が複数、か」

 

 

麻衣「……他にもある……此処からずっと南に比べ物にならない気が一つ……」

 

 

真也「ん?……おいおい、まさかデータにあったターゲットの母親か?また化け物染みた気を……まぁ、アレは動きを警戒しておけば特に問題は起きねぇだろ、多分」

 

 

そんな会話をしながら二人はゆっくりと瞳を開いていくが、真也はフェンスに腰を掛けながらケーキを頬張る青年の姿を見つけ「なっ…」と一瞬驚きながら青年に声を掛ける。

 

 

真也「おいコラ京平!お前そんなところでなにやってんだよ?!」

 

 

恭平「あ~……あえ?なにって、見て分かんないか?ケーキ食ってんの♪」

 

 

真也に怒鳴られた青年……恭平と呼ばれた青年はヘラヘラと笑いながら手に持っているケーキを真也に見せそのままケーキを口の中に放り込み、そんな恭平の姿に真也は額に青スジを浮かべながら怒鳴り出した。

 

 

真也「んなもん見りゃ分かんだよっ!俺が言いてぇのはなんでまだ此処にいるのかって聞いてんだ!お前にはさっき別行動を取るように指示を出しただろ?!」

 

 

恭平「……んむ?んー……そうだっけ?」

 

 

覚えてないなぁ?と小首を傾げながらケーキを食べ続ける恭平。それを見た真也はワナワナと拳を震わせ、隣でそれを見ていた麻衣はどうでもいいのかまったくの別方向を見つめていた。

 

 

真也「こ、この野郎ぉ……とにかく!いつまでも呑気にケーキなんか食ってねぇで、さっさと例の喫茶店に行ってターゲット見張って来い!!」

 

 

恭平「うぇ~?もう行かなきゃダメかぁ?……ならせめてコレ全部平らげてから―――」

 

 

真也「い・い・か・ら!!さっさと行けぇ!!!」

 

 

恭平「……ウィ~ッス」

 

 

未だ呑気なことを口にする恭平に痺れを切らした真也がガーッ!と物凄い剣幕で怒鳴りつけ、それを聞いた恭平は不満げに口を尖らせながら渋々と立ち上がり、背後から現れた歪みの壁を通って何処かへと消えていった。

 

 

真也「……はぁ…ホント、アイツと話してると色んな意味で疲れてくる……」

 

 

麻衣「真也……ドンマイ?」

 

 

真也「そんな可愛そうな物をみるような目で見ないでくれ…」

 

 

いつもは無表情なのにこんな時だけ哀れむような目で見つめてくる麻衣に、真也は本気で泣きたい気持ちになる。だがそんな隙もないのですぐに動かなければと思い、真也は思考を切り替えて麻衣と共に動き出そうとする。とそんな時……

 

 

 

 

―ザアァァァァァ……!―

 

 

 

 

『…ッ?!』

 

 

突如真也と麻衣の周りが黒い歪みに包まれ、それを見た二人は思わず後退りしながら身構えていく。そして歪みが徐々に薄れて消えていくと、歪みの中から黒いライダー……ヴェクタスがゆっくりと二人の目の前に姿を現したのである。

 

 

真也「ッ?!お、お前…?!」

 

 

麻衣「ヴェクタス…?!」

 

 

ヴェクタス『―――よぉ、暫くぶりだなぁ二人共?』

 

 

突如姿を現したヴェクタスを見て真也と麻衣は驚愕の表情を浮かべながら後退り、ヴェクタスはそんな二人の反応を他所に軽く挨拶しながら二人へと歩み寄っていく。

 

 

真也「な、何でお前がこの世界にいんだよ?!確か別の任務の為に他の平行世界に向かってたんじゃ…?!」

 

 

ヴェクタス『そっちは既に終えている……だからこうして此処に来たのさ。奴を鍛える為にな』

 

 

麻衣「奴って……まさか、零を?」

 

 

未だ驚愕の表情を浮かべる真也の隣で麻衣が落ち着いた表情で聞き返し、ヴェクタスはそれに肯定の意味を込めて頷いた。

 

 

ヴェクタス『お前等のやり方は甘すぎる……そんな事じゃ、いつまで経っても奴の因子を覚醒させるなんて無理な話だ。だから、こうして俺が出て来たんだよ』

 

 

真也「っ、言ってくれるじゃねぇかよ……。そこまで言うなら、お前は奴の因子を覚醒させられるんだろうな?!」

 

 

ヴェクタス『さあなぁ?それはアイツ次第だ。まぁ、そういうワケだから俺は奴と戦わせてもらう。お前はせいぜい手柄を立てて終夜の機嫌を取ることだな』

 

 

真也「クッ…」

 

 

ヴェクタスは見下すような口調でそう言うと二人から背を向けて歩き出し、真也はそんなヴェクタスを睨みつけながら悔しげな表情を浮かべる。がその時、ヴェクタスは何かを思い出したかのように立ち止まり二人の方へと振り返った。

 

 

ヴェクタス『あぁそれと、お前達のターゲットの母親…阿南佐知とか言ったか?もしアイツと戦う時には手を出すなよ?あの女は俺が相手をする』

 

 

真也「はぁ?……まさかとは思うが、てめぇ…あんな化け物を倒すとか言い出すんじゃねぇだろうな?」

 

 

阿南佐知とは自分が戦う。そんな事を言い出したヴェクタスに訝しげな顔をしながら問い掛ける真也だが、それを聞いたヴェクタスはクツクツと仮面の奥で笑っていた。

 

 

ヴェクタス『ククク…倒すだと?馬鹿な事を言う……あれだけの力を持った人間を無に帰すなど、もったいないじゃないか?』

 

 

真也「……なんだと?」

 

 

ヴェクタス『あの女は人間とは思えない強靭な身体と神をも圧倒する力を持っている……しかも中々面白い力を秘めているようだ……"使い捨て"にするのももったいないぐらいに……とは思わないかぁ?』

 

 

愉快、実に愉快だと言わんばかりに不気味な笑い声を漏らすヴェクタス。そんな彼から放たれる薄気味悪い雰囲気を肌で感じ、真也と麻衣は額から冷や汗を流していた。

 

 

真也「……またそれかよ。お前のソレもいい加減趣味がわりぃぜ……てか、その前にあの女に消されねぇように気をつけねぇとやべぇだろ?」

 

 

ヴェクタス『ハッハハッ!そいつは面白そうだなぁ?だがどんなに殺されようが……死ぬのは俺ではなくコイツ等だ。"ストック"は充分にあるから安心しな……』

 

 

ヴェクタスは自分の胸を叩きながら真也にそう言うと、再び二人から背を向けて歩き出し、目の前に出現した黒い歪みの壁を通って何処かへと消えてしまった。その背中を見送った真也は溜め息を吐きながらヴェクタスが消えた場所から目を逸らし、海鳴市の街を見下ろしていく。

 

 

真也「何であんなのが組織に居んだろうな……今でも納得出来ねぇぞ、俺」

 

 

麻衣「……仕方ないよ……ヴェクタスがいないと……揺り篭が真の力を発揮した時困るんだから……」

 

 

真也「そりゃそうだけどさ……俺、多分どんなに長く付き合ってもアイツだけは好きになれねぇわ……」

 

 

何だか酷く疲れたと言うように真也は何度目か分からない溜め息を吐き、麻衣はそんな真也に向けて哀れみの目を向けていたのだった。

 

 

 

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