仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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第十四章/キャンセラーの世界②

 

 

 

―ガギャギャギャギャギャギャギャギャギャッ!!!ズガアァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!―

 

 

ヴェクタス『アッハハハハハハハハハハハッ!!やるじゃないか?!オマエ本当に人間かぁ?!』

 

 

佐知「よく言われるけど、れっきとした人間よ!!」

 

 

戦闘が始まってから一時間弱が経った頃。ヴェクタスは自身の愛剣であるデトラインペルで佐知へと何度も斬りかかり、佐知は余裕を持ってそれを回避しながらヴェクタスの隙を突いて刀を振りかざす。だが、ヴェクタスは佐知の刀を剣で軽く弾きながら一気に間合いを詰めて剣を振りかざし、佐知は瞬時に身体全体を後ろへと持っていくように飛び退きながら剣を回避して距離を作っていく。

 

 

ヴェクタス『ハッ!そんな逃げてばかりで、本当に俺をやれるとでも思ってるのかぁ!?』

 

 

ヴェクタスは佐知の行動に鼻で笑うと佐知との距離を詰めていき、佐知はすぐに左手の刀を投げ捨てコートから一丁の銃を取り出してヴェクタスを迎え撃った。

 

 

―ダンダンダンダンダンダンッ!!ガギィィィィィィィィィィンッ!!―

 

 

ヴェクタス『へぇ、そんなものまで扱えるのか?』

 

 

佐知「えぇ…主に刀しか扱わないから、こういうのはあんまり使わないんだけど……ねっ!!」

 

 

―ガアァンッ!!ギィンッ!!ガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガアァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!―

 

 

刀と剣をせめぎ合わせていた二人は一旦距離を離したと共に再びぶつかり合い、激しく火花を散らせながら激突していく。その中で、佐知はコートの中から札のようなモノを貼付けた数本の短刀を取り出しヴェクタスに向けて投げつけた。

 

 

ヴェクタス『ハッ、そんなものでぇ!!』

 

 

が、ヴェクタスは鼻で笑いながら剣を一振りしただけで短刀を全て弾き落とし、再び佐知へと突っ込もうと腰を屈める。しかし……

 

 

―…………ボッ!!―

 

 

ヴェクタス『…ッ?!!』

 

 

―ドガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!―

 

 

ヴェクタスが弾き落とした短刀に貼り付けられていた札に灯が灯り、それと同時に短刀が全て爆発してヴェクタスを飲み込んでいったのだった。そしてそれを見た佐知は乱れた息を整えながら剣を地面に突き刺し、先程使った銃の弾を交換していく。

 

 

佐知「(……今の起爆札はなのはちゃんのシールドすら軽く壊せる特色なもの……これで少しはダメージを与えられた筈……今の持ち合わせで何処まで通じるかはわからないけど……このまま押し切る事が出来れば倒せない相手じゃない!)」

 

 

弾の交換を終えると共に剣を抜き取り、左手に剣、右手に銃を構えながらヴェクタスが消えていった爆煙を睨みつける佐知。さすがにライダーとは言え、今のをもろに受けたからには無事で済むとは思えない。倒せてはいないだろうが、あれだけの爆発に巻き込まれたからにはなにかしらの傷を負ったはず。それならあの力を使わずとも倒せるだろう。そう考えた佐知は敵の姿が見えれば直ぐに動けるよう腰を徐々に屈めていく。だが……

 

 

 

 

―…………………………………ドバアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!―

 

 

 

 

佐知「…ッ?!」

 

 

爆煙の中心から突如衝撃波が巻き起こり、佐知は衝撃波と共に流れてくる爆煙により視界を遮られ硬直してしまう。そして徐々に視界が戻って爆煙も晴れていくと、目の前には黒いオーラを身に包んだヴェクタスが静かに宙に浮いていた。しかもその身体には目立った外傷も何もない……全くの無傷だった。

 

 

佐知「なっ……無傷……ですって……?」

 

 

ヴェクタス『……ククッ…アッハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!!やはり面白いなお前!!?この力を使うのは終夜以外でお前が初めてだよ!!!アッハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!!』

 

 

目を見開いて驚愕する佐知を他所に、狂った笑い声をあげながら身体をのけ反るヴェクタス。そして……

 

 

ヴェクタス『クククッ……この力を使わせた褒美だ。お前も……闇に墜ちろォッ!!!!』

 

 

ヴェクタスは身体から黒いオーラを勢いよく噴出させながら自身の足元にある影へと飛び込み、影の中へと姿を消していった。

 

 

佐知「?!影に……潜った?!」

 

 

影の中へと姿を消していったたヴェクタスを見て佐知は思わず身を乗り出すが、その直後……

 

 

―……………ブォンッ……ザバアァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!―

 

 

ヴェクタス『ハアァァァァァァァァァァァアッ!!』

 

 

佐知『…ッ?!!』

 

 

突如佐知の足元にある影からヴェクタスが姿を現して飛び出し、下から剣を突き出して佐知へと不意打ちを仕掛けたのであった。

 

 

佐知「クッ!!そんなことでぇ!!」

 

 

だが、佐知は直ぐに身体の重心を後ろへと傾けてヴェクタスの剣をギリギリ回避し、態勢を整えて右手の刀でヴェクタスの身体を勢いよく横一文字に斬り払っていった。しかし……

 

 

―ザバアァァッ!!!………………ブォンッ…―

 

 

佐知「?!…消え…た?」

 

 

そう、確かな歯ごたえを感じたにも関わらず、佐知の刀がヴェクタスの身体を真っ二つした瞬間、ヴェクタスは固まったように動かなくなったかと思えば幻のように消え去ったのである。その瞬間……

 

 

『……見切ったッ!!』

 

 

佐知「?!」

 

 

背後から聞こえた声と確かに感じ取った気配。それを感じ取った佐知は直感に任せてその場から飛び退くと、何もない上空からヴェクタスが降下しながら現れ、佐知がいた場所に勢いよく剣を振り下ろして地面を沈没させてしまった。

 

 

佐知「ッ!!残念だったわね!その首っ……もらった!!」

 

 

そしてその攻撃を回避した佐知は直ぐさま刀を握り直し、地を蹴って未だ剣を振り下ろしたままのヴェクタスへと走りヴェクタスの首を刈るように刀を斜めに振るった。が……

 

 

―ズバアァァッ!!!………………ブォンッ―

 

 

佐知「…?!また幻影?!」

 

 

佐知が斬ったヴェクタスは再び幻となって消え、またも歯ごたえを感じて倒したと思った佐知はそれを見て一瞬動きを止めてしまった、その時……

 

 

 

 

『―――闇龍拳(あんりゅうけん)』

 

 

 

 

佐知「?!クッ!!」

 

 

再び背後から聞こえた声。それを聞いた佐知はすぐに片手に持つ銃を投げ捨て、振り返りながら刀を盾にするように構えたその瞬間……

 

 

―ドッグオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオンッ!!!!―

 

 

佐知「グゥッ!!」

 

 

不意に襲い掛かった巨大な衝撃と共にビリビリと感じる両手の痺れ。刀と、刀とぶつかり合った何かが衝突したと同時に佐知の身体を衝撃波が突き抜け、思わず後退りをする佐知。そして刀とぶつかり合ったモノの正体は……紅い炎を纏ったただの拳。その拳を突き出した本人……先程佐知の刀で消え去ったハズのヴェクタスは、動きを止めた佐知へと更に追撃を仕掛けた。

 

 

ヴェクタス『ダアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!!』

 

 

―ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!!!!!―

 

 

佐知「クッ!グッ!!!」

 

 

目にも見えない速さ…それこそ正に音速を越えた速さで次々に拳を繰り出すヴェクタス。あらゆる武道を身につけ戦い慣れした彼女ならこのぐらいのスピードの拳は直感だけで問題なく刀で防げるが、後手に回ったせいか反撃する間もなく、ただ隙もなく襲い掛かる拳を防ぐのが手一杯であった。そして……

 

 

 

 

―………………ピシッ……パキィィィィィィィィィィィィィィィインッ!!―

 

 

佐知「…ッ!?」

 

 

最早何十もの拳を防いだかわからなくなった頃、佐知の持つ刀はヴェクタスの拳を受け止めたと同時に音を立てて砕け散った。それを見た佐知は直ぐさま折れた刀から手を離しコートから新たな武器を取り出そうとするが、ヴェクタスはそんな隙は与えまいと無防備になった佐知の腹目掛けて拳を放った。

 

 

ヴェクタス『ハアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!!!』

 

 

―ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガァ!!!!!!―

 

 

佐知「ぐっ―――ごふっ!」

 

 

武器を取り出す暇も、回避する暇すら与えない。ヴェクタスは神速を越えた拳の嵐を佐知の腹へと問答無用で打ち込んで吹き飛ばし、ヴェクタスはそのまま吹っ飛ばされる佐知へと突っ込みながら両手で玉を包み込むような形を作ると、その中に黒い炎の玉を形成し、そして……

 

 

ヴェクタス『―――黒龍咬(こくりゅうこう)……』

 

 

―シュンッ…………ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガァァァァァァァァァァァンッ!!!!―

 

 

佐知「がはっ……!!」

 

 

―ガシャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!!―

 

 

ヴェクタスは佐知との間合いを一瞬で詰めると同時に両手で包んだ炎の玉を佐知の腹部へと押し付け、玉は風船のように膨らんで弾けると共に爆発し、佐知はその衝撃で後方へと更に吹き飛び屋上の壁に叩き付けられていった。

 

 

佐知「ぐっ―――こふっ…」

 

 

壁に叩き付けられズルズルと地面に座り込むと同時に佐知は口から吐血し、顔を俯かせたまま動かなくなってしまう。そしてそんな佐知へとゆっくりと歩み寄るヴェクタスだが、何故か不機嫌な口調で語り出した。

 

 

ヴェクタス『……おい、いつまでそうして手加減してるつもりだ?こっちはお前の力を確かめたくて戦っているっていうのに、お前がそんなんじゃ意味がないだろう?さっさと見せろよ…『戦神』の力を!!!』

 

 

佐知「……………………」

 

 

顔を俯かせる佐知に向けて怒りを露わにして叫ぶヴェクタス。その声がちゃんと届いていたのか、佐知はめんどくさいといった感じに溜め息を吐いて口から流れる血を拭き取り、おもむろに立ち上がっていく。

 

 

佐知「……ハァ、やっぱり気付いてたわけか……私が手加減してたの」

 

 

ヴェクタス『当然だろ…?さぁ、早く俺に見せろ!!『戦神』の力を!!!』

 

 

佐知「ふぅ……何でそんなにあの力にこだわってるかは知らないけど、いいわ。手加減してたとは言え、私に此処までのダメージを与えたんだから……ご褒美として見せてあげる。貴方が見たがっていた、『戦神』の力を……」

 

 

前髪を掻き分けながらそう言うと、佐知は一歩前に出ながらヴェクタスを軽く睨みつける。

 

 

佐知「先に言っとくけど、力を出すのは少しだけよ。余り出し過ぎるとこっちも疲れるんだから、文句は言わないでよ?」

 

 

ヴェクタス『……フンッ、良いだろう。此処まで来たからには、この際どちらでもいい……早く見せろ』

 

 

佐知「そう……なら、後で後悔しても知らないわよ?この力……冥土の土産に見せてあげる!!」

 

 

足幅を開き、瞳をつぶりながら全身に力を込めていく佐知。するとその直後、佐知の身体からオーラのようなモノが徐々に溢れ出していき、佐知とヴェクタスの周りを包み込んでいった。

 

 

―…………ゾワァッ!!―

 

 

ヴェクタス『ッ?!(これは……これが戦神の力!!ほんの一部しか発揮していないというのにこれだけの力を……ククッ……やはり素晴らしい……この力さえあれば!!)』

 

 

全身に突き刺さる寒気を感じながらも内心では歓喜に震えるヴェクタス。そして、身体からオーラを放ちながら佐知が深く息を吐いたその瞬間……

 

 

 

 

―…………フッ…―

 

 

 

 

ヴェクタス『ッ!?―ドグオォンッ!!!―ガッ?!』

 

 

佐知の姿がそよ風のように消えた瞬間、ヴェクタスの顎に突然衝撃が走り上空へと吹き飛ばされていったのである。そしてその衝撃を与えた人物……いつの間にかヴェクタスが立っていた場所でアッパー気味に腕を上げていた佐知はコートの中から一本の長剣を取り出し、上空に投げ出されたヴェクタスに向かって勢いよく跳んだ。

 

 

佐知「でえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇいっ!!!!!」

 

 

―ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!!!ドオォンッ!!ドオォンッ!!ズバアァァァァァァァァァァァアンッ!!!!―

 

 

ヴェクタス『グガッ!!?グッ!!ガハァッ!!!』

 

 

次々に繰り出される打撃と剣撃の嵐。放たれる拳、蹴り上げられる足、疾風の如く振られる剣。正に一種の演舞にも見えるその光景を第三者が見れば間違いなく見とれるものだろう。その嵐を受け続けるヴェクタスも身体の至る所を破損させながら更に上空へと上がり、佐知も一瞬でヴェクタスの真上へと移動しコートを勢いよく広げる。その瞬間佐知のコートの中から無数のナイフが一斉に放たれてヴェクタスへと降り注ぎ、そして……

 

 

―ズザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザッ!!!!!!!!!!!―

 

 

ヴェクタス『グオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーっっ!!!!!!』

 

 

雨の如く降り注いだナイフはヴェクタスの身体に突き刺さっていき、ヴェクタスはナイフの雨を受けながら地上へと叩き付けられる様に落下していったのだった。そしてそれを見た佐知はゆっくりと地上へと降りていき、肩で息をしながら仰向けに倒れるヴェクタスへと近寄っていく。

 

 

佐知「ハァ…ハァ…ハァ…ハァ……終わった…みたいね……」

 

 

ヴェクタス『――――――――――――』

 

 

息を乱しながらも、佐知はヴェクタスの姿を見て安心したように気を抜いた。赤い液体の海の中に沈む斬り傷が目立つボディ、腕や足に胴体などに突き刺さり、人間にとって致命傷である心臓がある左胸に複数突き刺さるナイフ。更には仮面部分にナイフが深く刺さっている辺り、ヴェクタスは間違いなく―――死んでいた。

 

 

佐知「ハァ…ハァ…それにしても、ちょっと力を使っただけでこんなに疲れるなんてね……いい加減、コレに慣れる特訓でもした方がいいかしら?」

 

 

地面に倒れる死体にすら目も向けず、額から汗を流しながらパタパタと手で顔を扇ぐ佐知。そしてそのまま死体から背を向けて歩き出すが、一度足を止めて首だけを動かし仰向けに倒れるヴェクタスだったモノに目を向ける。

 

 

佐知「……貴方が何をしたかったのか知らないけど、私は貴方を殺した事に後悔はないわ。私の家族に手を出そうとするモノはすべて排除する……それが、私の決めた生き方なんだからね」

 

 

冷たい風に当たりながらも静かに呟く佐知だが、既に彼には聞こえていないだろう。そう思いながら佐知は再び歩き出し、今度こそこの場を去ろうと歩き出していった。が…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『――――――ククッ……アハッ……アッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!!!』

 

 

 

 

佐知「…?!!?!」

 

 

背後から聞こえたのは聞こえてくるはずのない狂った笑い声。……ありえない。佐知の脳裏にその五文字が浮かび、ゆっくりと背後へ振り返っていった。其処には……

 

 

 

 

 

 

ヴェクタス『クククッ……ハハッ……アハハハハッ……アハハハハハッ……』

 

 

 

 

 

……体中にナイフを突き刺したまま、血を流しながら立ち上がって笑うヴェクタスの姿があったのだった。

 

 

佐知「なっ……あ……」

 

 

ヴェクタス『いぃ…いぃじゃないかぁ……その力ぁ……その身体ぁぁぁぁ……アハッ……アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!!!!』

 

 

目の前に映るそのありえない光景に、佐知もただ言葉を失うばかりだった。

 

 

体中に、それも心臓や頭部などにナイフを刺したまま平然と立って笑うヴェクタスのその姿は余りにも異常過ぎる。

 

 

何故生きている?何故あれだけの姿になりながらも生きて平然と笑ってる?

 

 

脳裏に疑問を浮かべながら佐知が硬直する中、ヴェクタスは不気味に笑いながら身体に刺さるナイフをすべて抜き取っていく。すると、ヴェクタスが抜いたナイフが刺さっていた箇所は赤い火花を散らせながら徐々に復元されていた。

 

 

佐知「?!傷が消えて……まさか、貴方も不老不死っ?!」

 

 

ヴェクタス『――あ?ふろうふしぃ?……あぁ、あの永遠の命と若さがって奴か……残念だがそんな大それたモノじゃないさ。まあ…似たようなものではあるがなぁ…』

 

 

気を取り直した佐知からの問いにそう答えながら、ヴェクタスは最後の一本を抜き取り、完全に身体を復元させたヴェクタスはゴキッと首を鳴らしながら佐知へと歩み寄っていく。

 

 

ヴェクタス『そんな事より、やはり俺の目は間違っていなかったようだなぁ……ククククッ……お前は合格だよ……阿南佐知ィィィィィィィィィィィィィィィーーーーーーーーーーーーッッッ!!!!!』

 

 

佐知『!!クッ!!』

 

 

ヴェクタスは歓喜の叫びを上げながら佐知へと勢いよく走り出し、佐知は直ぐにコートの中から残ったナイフを全て取り出しヴェクタスへと投げつける。が……

 

 

―ザシュザシュザシュザュシザュシザュシザシュザシュザシュザシュッ!!!!―

 

 

ヴェクタス『アハハハハハハハハハハハハハッ!!!ほらどうしたぁ?!もっと殺せぇっ!!殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せコロセぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッッ!!!!!!!』

 

 

佐知「クッ?!こんのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

 

 

胴体、肩、腕、そして急所である心臓や頭部にナイフが刺されているにも関わらず、狂った笑みを止めずに佐知へと拳を突き出すヴェクタス。佐知はそんな彼の姿に戸惑いながらも身体を屈めて拳をかわすと、ヴェクタスに向けて右拳を叩き込んだ。しかし……

 

 

―ブォン…ゴボォッ!!―

 

 

佐知「…ッ!なっ?!」

 

 

なんと、佐知の拳はヴェクタスの身体に触れると共に飲み込まれてしまい、そのまま腕ごと飲み込まれヴェクタスの身体から抜けなくなってしまったのである。そしてヴェクタスは自身の身体に飲み込んだ佐知の腕を逃がさないように左手で抑えながら不気味に笑う。

 

 

ヴェクタス『捕まえたぁ…もう逃がしはしないッ!!』

 

 

佐知「クッ!このっ…離しなさいッ!!」

 

 

片腕を飲まれた佐知は残った左腕でヴェクタスを全力で殴り付けるが、その左腕もヴェクタスの身体に触れると共に飲み込まれてしまい、それを見た佐知はすぐに両腕を抜こうとするも両腕はまるで泥に捕われたかのようにビクともしない。そしてヴェクタスは捕らえた左腕を右手で抑えると共に、身体から闇を溢れさせ佐知と自身の周りを包み込ませていく。

 

 

佐知「ッ!?これは…貴方、一体何を!?」

 

 

ヴェクタス『フッ……俺ではどうやってもお前には勝てない……だが、俺は最初からお前に勝つ気なんてなかったんだよ……俺の目的はただ一つ―――』

 

 

そう呟きながらヴェクタスは佐知の首を掴み、そのまま佐知の顔を自身に近付けさせて不気味に語る。

 

 

ヴェクタス『―――お前の身体に秘められたその戦神の力を手に入れる事…それが俺の目的だったのさ』

 

 

佐知「グッ!戦神のっ……力をっ…?」

 

 

ヴェクタス『そう…だからその為に、お前の中の闇を浮き出させる必要があった……何故なら――』

 

 

其処で一度言葉を区切るとヴェクタスは佐知の胸部に目を向けると、佐知の胸に浮かぶ小さな闇の灯に向けて右手を振り上げていき、そして……

 

 

―……ドシュウッ!!!―

 

 

佐知「ッ?!!アッ…なっ…?!」

 

 

ヴェクタス『―――お前のその闇が、我が器となるのだからなぁ!!』

 

 

ヴェクタスが佐知の胸に浮かぶ闇に向けて右手を突き出すとヴェクタスの右手は佐知の胸の中へと飲まれていき、それと同時に周りに発生した闇が佐知とヴェクタスを包み込んでいった。そして闇が薄れて徐々に消えていくと……

 

 

 

 

 

 

 

 

佐知『…………………』

 

 

 

 

 

 

 

 

其処にはヴェクタスの姿はなく、瞳を閉じて顔を俯かせる佐知の姿だけがあったのである。そして佐知は俯かせていた顔を上げながらゆっくりと瞳を開いていくが、その瞳は怪しく輝く金色の瞳となっており、佐知は自分の身体を見下ろすと口の端を吊り上げ不気味な笑みを浮かべていく。

 

 

佐知『……クッ……ククッ……やっとだ……やっと手に入れた!戦神の力を秘めた身体を!!アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!!』

 

 

不気味な笑い声を上げながら佐知……否、佐知と融合したヴェクタスは両手を広げながら歓喜に震え、クツクツと笑みを浮かべたまま腰にまがまがしい形状をした赤黒いベルトを出現させていく。そして……

 

 

佐知?『変っ……身ッ!』

 

 

『DARKNES FORM!』

 

 

電子音声が鳴り響くと同時に佐知?の身体を闇が包み込んでいった。そして闇が弾けるように消え去ると、佐知?は赤と黒のアンダースーツと黒い仮面を身につけたライダー……ヴェクタスへと変身したのだった。そして変身を終えたヴェクタスは右手に剣を出現させて歩き出し、ビルの屋上から海鳴市の街を見下ろしていく。

 

 

ヴェクタス『……南北の方に真也のターゲットの気と恭平の気が二つ、その先に真也と麻衣の反応。そして東の方に――零の反応か。ククッ……ちょうどいい、新しい身体の調節も兼ねて、奴を鍛えてやるかぁ……』

 

 

ゴキッと首の骨を鳴らしながら不気味に笑い、ヴェクタスは前方から現れた黒い歪みの壁を通り何処かへと消え去っていった。そしてヴェクタスが去ったビルの屋上には、二人が戦った後と佐知が使っていた武器が無造作に転がっていたのであった……

 

 

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