仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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第十四章/キャンセラーの世界⑥

 

 

―海鳴市・市街地―

 

 

 

アナザーアギト『羅刹の十三……雷鳴拳!!』

 

 

皇牙『アルト!!』

 

 

AT『revolving・stick』

 

 

戦闘開始の合図と共に皇牙とアナザーアギトが同時に地を踏み、アナザーアギトは右腕に雷を纏わせ、皇牙は瞬時に自身のデバイスであるアルトからカートリッジを一発排出する。そして響く電子音声と共に皇牙の右腕の杭とアナザーアギトの右拳が大きく振り上げられ、互いに目掛けて勢い良く放たれていった。

 

 

―ドゴオォォォォォォンッ!!!―

 

 

皇牙『ッ!へぇ、中々良い拳してるじゃねぇか…!』

 

 

アナザーアギト『てめぇもなっ……まさかこんなやり甲斐のある奴と出会えるだなんて思いもしなかったよ!!』

 

 

杭と拳をぶつけ合いながら、楽しいと言わんばかりに自然と歓喜の笑みを漏らす二人。最初は任務の邪魔をされて不愉快と思っていたアナザーアギトも、目の前の相手と拳を交えていく内に言葉では言い表せない程の高揚感を感じていた。そして皇牙は一度アナザーアギトから距離を離すと左腕に装備されたガトリングを乱射させながら空へと浮上し、アナザーアギトはビルの壁を器用に駆け登りながら銃弾を回避して皇牙の後を追っていった。

 

 

―ガギィッ!!ガァン!!ギィィンッ!!―

 

 

ゼファー『セヤァッ!!』

 

 

ファム『フッ…!』

 

 

その隣では、互いに自分の愛剣をぶつけ合い激突するゼファーとファムの姿があった。そして剣を交えていた二人は間合いを離すようにバックステップして後方へと下がると、ゼファーは自身の愛剣である覇翔剣に闘気を込め、ファムはバイザーの刃に白いオーラを纏わせ、双方は同時に地を蹴り互いに向かって剣を振りかざした。

 

 

ゼファー『砕けろ!!ブレイ・クラッシュッ!!』

 

 

ファム『戦姫八ノ太刀、白神烈火!!』

 

 

―ガギイィィィィィィィィィィィィィィィインッ!!!!―

 

 

ゼファーの剣とファムの剣が激突した瞬間、その衝撃によって二人の周りにあるビルの窓が全て砕けて硝子の雨となり、地上へと降り注いでいった。だが二人はそんな事は関係ないと言わんばかりに距離を離して再びぶつかり合い、その場に何度も巨大な轟音が鳴り響いていたのだった。

 

 

―ズガガガガガガガァ!!ガギィン!ガギィン!―

 

 

オーガS『オラァ!!』

 

 

キャンセラーE's『グッ!ハアァ!!』

 

 

そしてその二人が戦う場所から離れた先には、キャンセラーE'sがオーガSの剣を必死に防ぎながら無数の銃弾を乱射させて攻撃する姿があった。そして何度目か剣を交えた頃、キャンセラーE'sは先程から自分が感じていた疑問を聞き出す為にオーガSと剣を交えたまま口を開いた。

 

 

キャンセラーE's『君達の目的は一体なんなんだ!?何故僕を狙う!?』

 

 

オーガS『行っただろ!!てめぇに話す義理なんてねぇ!!お前はただ、黙って俺達についてくりゃいいんだよ!!』

 

 

オーガSはキャンセラーE'sからの問い掛けには答えず、再び大剣を繰り出してキャンセラーE'sへと斬り掛かっていく。だがキャンセラーE'sはそれを何とか受け流し、バックステップでオーガSから距離を離しオーガSを見据える。

 

 

キャンセラーE's『……なら僕が勝てば、話を聞かせてくれるかな?』

 

 

剣の切っ先をオーガSに向けながら真剣な口調で語るキャンセラーE's。そんな彼から言い知れぬ気迫を感じ取ったオーガSは一瞬たじろいでしまうが、直ぐに立ち直って大剣を構えていく。

 

 

オーガS『あぁ…いいぜ?やれるものなら、やってみろぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーっっ!!!』

 

 

大剣を持ち直したと同時にオーガSは大剣を大きく振るい、巨大な斬撃波を放ち牽制を仕掛けた。それを見たキャンセラーE'sは瞬時に真横へと跳びながら銃を乱射させてオーガSを狙い撃っていくが、オーガSは大剣でそれを防ぎながらキャンセラーE'sへと突進し斬り掛かっていった。

 

 

オーガS『オォォォォォォォォォォオーーーーーーッ!!!』

 

 

―ガギィィィンッ!!ガアァンッ!!―

 

 

キャンセラーE's『フッ!ハアァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーッ!!!』

 

 

―ギンギンギンギンギンギングガアァンッ!!!―

 

 

オーガSの振り下ろした刃をキャンセラーE'sは左手に持つ銃で受け止め、右手に構える剣でオーガSへと斬り掛かっていく。しかしオーガSも負けじと大剣で攻防を切り替えながら応戦していき、一度距離を作るとキャンセラーE'sに向けて左手を翳す。

 

 

オーガS『羅刹の十九……爆王!!』

 

 

―シュウゥゥゥゥ……ズガアァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!―

 

 

オーガSの左手から先程とは比べものにならない大きさの金色の閃光が放たれ、閃光は驚異的なスピードでキャンセラーE'sに向かっていった。だがキャンセラーE'sはそれに対して慌てる事なく、剣を軽く構えながら閃光を見据え……

 

 

キャンセラーE's『……その攻撃はもう……見切った!!』

 

 

―ズバアァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!―

 

 

オーガS『ッ?!何ッ?!』

 

 

閃光はキャンセラーE'sの持つ剣によって真っ二つに斬り裂かれてしまい、二つに分かれた閃光はキャンセラーE'sの真横を通り背後で爆発していった。

 

 

オーガS『クッ!羅刹の二十七、瞬――!!』

 

 

キャンセラーE's『遅いッ!!!』

 

 

『TIME QUICK!』

 

 

―シュンッ……ガギイィインッ!!!―

 

 

オーガS『グッ?!グオォッ!!』

 

 

大剣を構え直して次の技を放とうするオーガSだが、その様子を見たキャンセラーE'sは一瞬でオーガSの目の前に現れ、剣を抜き放ちオーガSをビルの壁際まで吹っ飛ばしていったのである。そしてキャンセラーE'sは追い撃ちと言わんばかりに吹っ飛されたオーガSに向けて銃弾を連射していくが、オーガSは直ぐにその場から跳び退いて銃弾を避けていく。

 

 

オーガS(クッ!どうなってんだ?!さっきとはまるで動きが違う!!)

 

 

銃弾を撃ち続けるキャンセラーE'sを見ながら先程までとは動きが変わった事に戸惑うオーガS。どうなっているのか分からないが、このままではこちらが押し切られてしまう。そう判断したオーガSは銃弾を弾きながらキャンセラーE'sと向き合い、勝負を決めようとオーガセイバーにコードを入力してエンターキーを押していった。

 

 

『EXCEED CHARGE!』

 

 

電子音声と共にオーガSの持つオーガセイバーの刀身が金色のまばゆい輝きを放っていき、オーガSはそれを構えながらキャンセラーE'sへと突っ込んでいく。そしてキャンセラーE'sもそれを迎え撃とうと左手に構える銃の銃口をオーガSへと向けながら呟く。

 

 

キャンセラーE's『キャンセラーシューティング…』

 

 

『CANCELER SHOOTING!』

 

 

電子音声が響くと共に銃にエネルギーが集束されていき、キャンセラーE'sの銃の照準をオーガSに合わせながら構えていく。そして……

 

 

キャンセラーE's『照準固定……シュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーートッ!!!』

 

 

―ドガアァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!ガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!!!―

 

 

オーガS『グゥッ!!ウオォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーッ!!!!』

 

 

キャンセラーE'sが引き金を引くと共に銃口から巨大な閃光が放たれ、オーガSへと向かって発射されたのだった。そしてオーガSは向かってきた閃光に対して回避もせず、真っ正面から大剣で受け止めてぶつかり合っていったのである。

 

 

―ギガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!!!―

 

 

オーガS『グッ!まだっ…だ!!こんな事でぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ……ッ!!!』

 

 

大剣で閃光を受け止めて何とか耐えて見せるオーガSだが、次第に閃光の勢いに押され後方へと下がりつつあった。そんなオーガSを見たキャンセラーE'sはマスク越しに瞳を閉じると、真剣な表情を浮かべながら引き金に力を込めて瞳を開いた。

 

 

キャンセラーE's『……これで、終わりだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーッ!!!!』

 

 

―ガガガガガガガガッ…!ドガアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!!―

 

 

オーガS『グッ!?グアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!?』

 

 

キャンセラーE'sが引き金を強く引くと閃光の勢いが更に増し、閃光と正面から激突し合っていたオーガSを飲み込み数十メートル先まで吹っ飛ばしていったのであった。

 

 

キャンセラーE's『……僕の……勝ちだ』

 

 

オーガS『ガハッ!!クッ……クソッ……こんなっ……馬鹿なぁ……!』

 

 

構えを解いて静かに呟いたキャンセラーE'sに対してオーガSは未だ自分の敗北が信じられず起き上がろうとし、キャンセラーE'sはそんなオーガSへとゆっくり歩み寄っていく。

 

 

キャンセラーE's『さぁ、約束通り話を聞かせてもらうよ?君達は一体―カチャッ―……ん?』

 

 

話を聞き出そうとオーガSへと歩み寄っていくキャンセラーE'sだが、その途中で足元に何かが当たり自分の足元に視線を下ろすと、そこには水色のペンダントのような物が落ちていたのだ。それを見たキャンセラーE'sは疑問符を浮かべながら身を屈めてペンダントを拾って眺めると、裏側に写真が入っている事に気付きペンダントの裏を見た。

 

 

キャンセラーE's『…ッ?!こ、これは?!』

 

 

ペンダントの裏を見たキャンセラーE'sは、その写真に写った三人の人物を見て驚愕の表情を浮かべた。

写真に写る一人は目の前にいるオーガに変身した真也と思われる十四歳くらいの少年。

もう一人は漆黒の髪に真紅の瞳をした中学生くらいの少年。

そして最後の一人はその二人の間に立って満面の笑みを浮かべる黒髪の小学生くらいの少女。

真也と少女の二人と一緒に写る少年……それは間違いなく自分が良く知る人物、黒月零だった。

 

 

キャンセラーE's『な、なんで…零さんが…?!』

 

 

オーガS『……ッ!それに障るなぁッ!!』

 

 

―ブォンッ!ズバアァァッ!!!―

 

 

キャンセラーE's『ッ?!ウワァッ!』

 

 

ペンダントの写真に写る零を見て驚愕していたキャンセラーE'sだが、オーガSの放った斬撃波の不意打ちを受けてペンダントを宙に放り投げてしまい、オーガSは宙に投げられたペンダントを何とかキャッチしてキャンセラーE'sを睨みつける。

 

 

オーガS『ッ!テメェっ…見やがったなっ…!』

 

 

キャンセラーE's『ッ……ど、どういう事?なんで君と零さんが……?』

 

 

オーガS『テメェには関係ねぇ!!こいつを見たからには、テメェをこのままにしておくわけには……くっ……かはっ!?』

 

 

キャンセラーE's『ッ?!』

 

 

ペンダントの写真を見られた事に激怒して再び立ち上がろうとするオーガSだが、オーガSは突如仮面の下から大量の血を吐いて膝を付いてしまい、変身が解除されて地面に力無く倒れ込んでしまった。

 

 

キャンセラーE's『なっ?!』

 

 

アナザーアギト『ッ?!真也?!』

 

 

ファム『真也!!』

 

 

突然血を吐いて倒れた真也を見てキャンセラーE'sは状況が理解出来ず唖然としてしまい、それを見たアナザーアギトとファムは自分達と戦っていたゼファーと皇牙から背を向けて真也へと駆け出し、真也の身体を抱き起こしていく。

 

 

ファム『真也!真也!!』

 

 

真也「がっ……くそっ……こんな時にっ……ごふッ!」

 

 

アナザーアギト『馬鹿!!羅刹を使い過ぎだ!!麻衣、此処は一旦引き上げるぞ!!』

 

 

ファム『ッ!うん…!』

 

 

ゼファー『なッ…!おい!待ちやがれ!!』

 

 

口から血を吐き出す真也を抱えて逃げようとするアナザーアギトとファムを見たゼファーはそうはさせまいと剣を構え直し二人に突っ込もうとする。だがそれを見たファムは右手を掲げてゼファーとファム達の間に歪みの壁が発生させ、そこから大量のライオトルーパーを呼び出してゼファーを止めてしまう。そして三人はその隙に背後から現れた歪みの壁を通り抜け、何処かへと消えていってしまった。

 

 

ゼファー『チッ!逃げられたっ…!』

 

 

皇牙『逃げた奴の事なんかほっとけ!今はそれより、コイツ等をどうにかしねぇと…!』

 

 

ゼファーはファム達に逃げられた事に悔しげな表情を浮かべるが、皇牙はそんな事より今は自分達の周りを包囲するライオトルーパーの大群をどうにかせねばと思い身構えていく。そしてキャンセラーE'sもそれに同意する様に頷き銃を構えていくが、突然脇腹を抑えながらその場で膝を付いてしまう。

 

 

ゼファー『ッ?!祐輔?!』

 

 

キャンセラーE's『ッ…!ゴメン……ちょっと、ダメージ受けすぎたかな?何かもう限界みたい…�』

 

 

そう言いながら笑ってごまかすキャンセラーE'sだが、実際今の彼はかなりのダメージを蓄積してしまっている。この二人が来るまでたった一人でオーガS達と戦い、驚異的な威力を持つ技をあれだけ受けたのだから無理もないだろう。そんなキャンセラーE'sを見た二人はキャンセラーE'sを守るように構え、未だ増え続けるライオトルーパーの大群と対峙していく。

 

 

キャンセラーE's『…ッ?!な、何してるんだ二人共?!僕のことはいいから、早く逃げて!!』

 

 

皇牙『冗談!アンタを放って逃げられる訳ないだろ?!』

 

 

ゼファー『あぁ、この程度の雑魚共……お前を守りながらでも5分で片付けられるさ!』

 

 

そう言いながら二人はそれぞれ武器を構えていくが、ライオトルーパーの大群はまだまだ増え続けてあっという間に三人の周りを埋め尽くしてしまう。これだけの数を相手にしながらキャンセラーE'sを守れるか?と問われれば、やはり少し難しいかもしれない。そう思いつつも二人は武器を握る手を緩めず、ライオトルーパーの大群は徐々に三人へと押し寄せていく。その時……

 

 

 

 

 

 

 

『EXCEED CHARGE!』

 

 

―シュンッ……シュパァッ!!―

 

 

『…ッ?!』

 

 

突如その場に電子音声が鳴り響き、それと共に何処からか黄色いポインターマーカーが発射され、ライオトルーパーの大群の一角の前に円錐状に展開されライオトルーパー達の身体を拘束していったのだ。それを見た三人は突然の事に驚愕してしまい、更に……

 

 

 

 

 

 

『デヤアァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!』

 

 

『グ、グオォォォォォォォォォォオーーーーーーーッ!?』

 

 

―シュンッ!ドッガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!―

 

 

『なっ……?!』

 

 

上空から現れた謎の人物がマーカーへと突入してライオトルーパーの大群に跳び蹴りを放ち、大群の一角は断末魔を上げながら爆発して散っていったのだった。その光景を見た三人は状況が理解出来ず唖然としてしまうが、その間にも大群が爆発して起きた爆煙が少しずつ晴れて視界が回復していく。其処にいたのは……

 

 

 

 

 

 

『…………………』

 

 

 

 

 

 

皇牙『…ッ?!あれは?!』

 

 

ゼファー『……カイザ……だと?』

 

 

そう、其処にいたのは以前キバの世界で零となのはに襲い掛かったライダーと同じ紫の瞳を輝かせる戦士…カイザだったのだ。三人は目の前に立つカイザを見て思わず身構えながら後退りをしていくが、ライオトルーパーの大群はそんな事は関係ないと言わんばかりに三人の背後から奇襲を仕掛けようと飛び掛かった。その瞬間……

 

 

 

 

 

 

『ATTACKRIDE:BLAST!』

 

 

―ズガガガガガガガガガガガァッ!!―

 

 

『グッ?!ウワアァァァァァァァァァアーーーーーーッ!?』

 

 

―ドゴオォォォォォォォォォォォォオンッ!!―

 

 

『ッ!?』

 

 

先程の物とは違う別の電子音声が響き、それと同時に上空から青い弾丸が雨の様に降り注ぎライオトルーパー達を撃退していったのである。そしてそれに気付いた三人がライオトルーパー達が爆散した場所の方へと振り返ると、爆煙の奥から一人のライダーがゆっくりと現れ、三人の目の前に姿を現した。

 

 

 

 

ディエンド『…やぁ♪暫くぶりだね無効化の青年君?元気にしてたかい?』

 

 

皇牙『ッ!お前…!?』

 

 

キャンセラーE's『だ、大輝さん!?』

 

 

そう、キャンセラーE's達の目の前に現れたライダーとは零達が旅する世界の先で現れる青年、海道大輝が変身したディエンドだったのである。

 

 

ゼファー『お、お前…どうして此処に?!』

 

 

ディエンド『俺もたまたまこの世界に来てただけさ。それと一応言っとくけど、別に君達二人を助けに来たわけじゃないよ?無効化の青年は俺が頂くんだからね、それを横取りされないように彼を守りに来ただけさ♪』

 

 

皇牙『……はぁ……相変わらずだなお前�』

 

 

キャンセラーE'sに指鉄砲を向けながら爽やかに笑うディエンドにゼファーと皇牙は相変わらずだと呆れたように溜め息を吐き、キャンセラーE'sもどう言えば分からず苦笑を漏らしてしまう。

 

 

ゼファー『……それじゃ、あのカイザはお前が呼び出したのか?』

 

 

ディエンド『いいや、あの人達は別世界からの助っ人さ。今回ばかりは少しヤバそうな気配がしたからね、一応連絡して来てもらったんだよ』

 

 

キャンセラーE's『……?あの人達……?』

 

 

ディエンドの説明に何か引っ掛かる部分があったのか、キャンセラーE'sは疑問げに呟きながら首を傾げてこちらを見つめるカイザに視線を向けるが、ディエンドは三人の目の前に立ってライオトルーパー達と対峙していく。

 

 

ディエンド『さてと、それじゃあお供その一君とその二君?何だか青年君は怪我をしてるみたいだし、早く青年君を安全な場所まで運んでいってくれるかな?』

 

 

皇牙『Σ誰がお供だ!?』

 

 

ゼファー『いいからいくぞ皇牙!早く手を貸せ!!』

 

 

皇牙『ぐっ……わ、分かったよ�』

 

 

お供と呼ばれた事に不満げな叫びを上げる皇牙だが、ゼファーに早く手を貸す様に促されてそれ以上言えなくなり、渋々とキャンセラーE'sの肩を担ぐとGreen Cafeに戻る為この場を後にした。

 

 

ディエンド『……後はあの二人に任せておけば大丈夫かな……それじゃ、後始末の手伝いお願いしますね。お二人さん?』

 

 

カイザ『――ふぅ……残り物の処分なんて余り気が乗らないが、一度引き受けた依頼を無下にするのは紳士的じゃないか……』

 

 

『なら早く片付けちゃえば問題ないわ……行くわよ、ゼウス?』

 

 

カイザ『あぁ、了解だクライシス!』

 

 

カイザはベルトから聞こえてきた女性らしき声にそう答えながら右腰に装備したカイザブレイガンを取り出し、バックル部分の携帯にあるメモリーを抜き取ってカイザブレイガンに装填していき、ディエンドは左腰のカードホルダーから二枚のカードを取り出してディエンドライバーに装填しスライドさせていった。

 

 

『Ready!』

 

 

ディエンド『此処は、彼女から貰ったカードの出番かな?』

 

 

『BRAVERIDE:GREGA!HEROINERIDE:NIGHT FARUZA!』

 

 

二つの電子音声が響くと、カイザの持つカイザブレイガンに黄色の輝きを放つ刃が現れ剣に切り替り、ディエンドはディエンドライバーの引き金を引くと辺りに複数の残像が駆けて二ヵ所に重なっていき、一つはグレイガ、もう一つはナイトファルザーとなって姿を現していった。そしてディエンドとカイザ、グレイガとナイトファルザーはそれぞれの武器を構えてライオトルーパー達へと突っ込んでいった。

 

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

 

―海鳴市・路地裏―

 

 

 

そしてその頃、街中にあるとあるビルの路地裏では、先程戦場から逃げて変身を解除した恭平と麻衣が未だ吐血し続ける真也に付き添う姿があった。

 

 

真也「グッ…ゲホッゲホッ!!ハァ…ハァ…!!」

 

 

麻衣「真也!しっかりして真也!!」

 

 

麻衣は口から血を吐く真也の手を力強く握りながら必死に呼び掛け、恭平は慌てた様子で自分のスーツの中を漁っていくと一本の液体のような物が入ったビンを取り出し、蓋を開けてビンの飲み口を真也の口へと近づける。

 

 

恭平「ほら薬だ!早く飲め真也!!早くッ!!」

 

 

真也「ぁ……ぐっ……んぐっ……ぐっ……」

 

 

真也は朧げな瞳をしたまま差し出されたビンをくわえ、中身の液体を少しずつ飲み干していく。そして液体を飲んでから暫く経つと、真也の表情はだんだんと落ち着きを取り戻して吐血も止まり、恭平と麻衣はそれを見て安心したようにホッと一息吐いた。

 

 

恭平「よし、間に合ったみたいだな。後は少し休ませておけばもう大丈夫だろ」

 

 

麻衣「うん……良かった……ホントに……」

 

 

真也「ッ……悪い恭平……麻衣……俺のせいで……お前等に迷惑掛けてっ……」

 

 

恭平「全くだぜ…この借りはケーキで返してくれよ?それもとびっきりの高級な奴な?」

 

 

真也「あぁ……わぁーてるよ……」

 

 

いつものように冗談っぽく言いながら笑う恭平に真也は苦しげではあるも苦笑いを浮かべる。そして恭平はそんな真也の調子を見て後は大丈夫だろうと判断し、真也に付き添う麻衣に目を向ける。

 

 

恭平「麻衣、お前は此処で真也に付いててやってくれ。俺はそこらのコンビニで何か買ってくっからさ……お前何がいい?」

 

 

麻衣「……何でもいいよ……恭平に任せる……」

 

 

恭平「そっか……んじゃ、適当に何か買ってくっから此処で待ってろよ?」

 

 

麻衣「うん……気をつけてね……」

 

 

麻衣がそう言うと恭平は背中を向けて軽く手を振り、路地裏を抜けてコンビニを探しに何処かへと向かっていった。麻衣はそれを見るとスーツの中からハンカチを取り出し、真也の口に付いた血を拭き取っていく。

 

 

麻衣「真也……もう痛いところ……ない?」

 

 

真也「ッ……あぁ……けど、情けねぇよなぁ……力を使いすぎたってだけで……こんなザマになるなんてさぁ……」

 

 

麻衣「……仕方ないよ……羅刹は副作用が多い危険な力だって綾も言ってたし、私の戦姫みたいに突然変異が起きれば……真也と恭平ももっと楽になるのに……」

 

 

真也「……んな辛気臭い顔すんなって……これは俺等が望んで選んだ力なんだ……だからお前が気にする事なんて、何もねぇよ……」

 

 

真也は暗い表情を浮かべて顔を俯かせる麻衣の頭をポンと弱々しく叩き、麻衣も少しは元気を取り戻したのか微かに微笑を浮かべる。そして真也はそんな麻衣の表情を見て安心したように笑うが、すぐに身体を壁に預けて眠たげに瞼を何度も開閉させる。

 

 

真也「ッ……ワリィ麻衣……ちょっち眠くなってきた……少し、寝かせてもらっていいか……?」

 

 

麻衣「……うん……恭平が帰って来たら起こすから……寝てていいよ……」

 

 

真也「あぁ……ワリィな……じゃあちょっとだけ……寝かせてもらうわ………」

 

 

真也は眠たげにそう言うとゆっくりと瞼を閉じて眠りに付き、麻衣は真也が眠ったのを確認すると真也の手の中に握られるペンダントに入った写真を見て静かに呟く。

 

 

麻衣「大丈夫……因子を手に入れて……封印を壊して……揺り篭が動けば……私達の願いは叶う……瑠璃も……お父さんとお母さんも……皆生き返る……皆……幸せだった頃に戻れる……だから、大丈夫……」

 

 

麻衣は切ない表情で水色のペンダントに写る少女……瑠璃を見つめながらそう呟き、血に濡れた真也の手を優しく握り締めていた。

 

 

 

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