仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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第十四章/キャンセラーの世界⑦

 

―海鳴市・臨海公園―

 

 

 

バロン『デヤァッ!ハアァッ!』

 

 

―ガキィンッ!ドゴォッ!バキィッ!―

 

 

『ガハァッ!』

 

 

ディケイド『セッ!ハッ!セヤァッ!!』

 

 

―ズシャッ!ズバッ!ザシャァンッ!―

 

 

『ギャアァッ!?』

 

 

一方その頃、臨海公園ではディケイドとバロンが周りに群がるライオトルーパーの軍勢に対しそれぞれ抗戦し、ディケイドの巧みな剣捌き、バロンの素早い剣撃にライオトルーパーの群れは何も出来ず追い詰められ、そして……

 

 

『ハアァァァァァァァアッ!!』

 

 

―ズシャアァァァァァァァァアッ!!―

 

 

『グアァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーッ!!!』

 

 

―ドガアァァァァァァァァアンッ!!―

 

 

二人のライダーのトドメの一撃により、ライオトルーパー達は断末魔と共に爆発し散っていったのであった。だが、大群を倒した二人の前にライオトルーパーの群れが再び現れ立ち塞がり、それを見たディケイドとバロンは背中合わせに立ちながら武器を構え直す。

 

 

バロン『チィッ!一体何体いるんだよコイツ等?!』

 

 

ディケイド『ッ!こういう戦いはレジェンドルガの時に慣れたつもりだったが、やはり何度やっても骨に来るなっ…!』

 

 

辺りに群がって来るライオトルーパーの大群に思わず毒づいてしまうディケイドとバロンだが、そうしてる間にも大群は更に数を増して二人の目の前に立ち塞がり、ディケイドは先に先陣を切ろうとライドブッカーSモードを振り上げて掛け出そうとした。しかし……

 

 

―…………ドグンッ!!―

 

 

ディケイド『…ッッ?!!アッ……ガッ?!』

 

 

バロン『…ッ!零?!』

 

 

フェイト「ッ?!零ッ!」

 

 

大群に斬り掛かろうとしたディケイドは突然左目を抑えながらその場に膝を付いて悶え出し、バロンやその様子を離れて見ていたフェイトは慌ててディケイドの傍へと駆け寄っていく。

 

 

バロン『オイ、どうした?!大丈夫か?!』

 

 

ディケイド『ッ……問題、ない……少し張り切り過ぎただけだっ……気にするな……!』

 

 

フェイト「き、気にするなって…!」

 

 

ディケイドは左目を抑えたまま心配そうに声を掛けてきたバロンとフェイトに何でもないと答えると、ふらつきながら立ち上がりライドブッカーを振り上げながらライオトルーパー達へと突っ込んでいった。

 

 

フェイト「ま、待ってよ!零!!」

 

 

バロン『おい馬鹿!いくなフェイト!!』

 

 

フェイトは大群に突っ込むディケイドを引き止めようと走り出すがバロンに引き止められてしまい、それを見た大群はあらゆる方向からバロンとフェイトに襲い掛かり、バロンは軽く舌打ちしながらフェイトを後ろに下げ大群に抗戦していったのだった。

 

 

―……ドグンッ……ドグンッ……ドグンッ……!―

 

 

ディケイド『グゥッ!ハァ……ハァ……ハァ……ハアァァァァァァァァアーーーーーーッ!!!』

 

 

―ズシャァッ!ズバァッ!ガギィンッ!!―

 

 

『グアァッ!』

 

 

『ガァッ?!』

 

 

その一方で、ディケイドは左目から感じる激しい激痛に耐えながらライドブッカーを必死に振るい、ライオトルーパーの群れを確実に減らしていた。だが、その間にも左目に埋め込まれたソレはまるで心臓のように気持ち悪く鼓動を響かせ、その不快感のせいからとてつもない吐き気と頭痛に襲われてしまい、ディケイドの動きも次第に勢いを失い始めていた。そして……

 

 

―……ドグンッ……ドグンッ……ドグンッ…!―

 

 

ディケイド『グッ……ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……!!』

 

 

―……ドグンッ……ドグンッ……ドグンッ…!―

 

 

ディケイド『うっ……ぐっ……グゥッ!』

 

 

―ドシャッ!―

 

 

バロン『ハァッ!……ッ?!零ッ?!』

 

 

フェイト「零ッ!」

 

 

ディケイドは痛みに耐え切れず左目を抑えながら地面に膝を付いてしまったのである。それを見たバロンはライオトルーパー達を斬り伏せながらフェイトと共に慌ててディケイドへと駆け寄ろうとするも、辺りに群がる軍勢のせいで思うように先に進めないでいた。

 

 

―……ドグンッ……ドグンッ……ドグンッ!!―

 

 

ディケイド『クッ……いいからっ……いいから黙っていろ!!お前の力なんていらない!!俺の中から出て来るなッ!!』

 

 

時間が経つ毎に痛みを増し、まるで力を使えとでも訴え掛けてくる左目のソレにディケイドは思わず怒号を響かせる。そしてディケイドは覚束ない足取りで立ち上がると、その苛立ちをぶつけるかのようにライオトルーパー達に向けてライドブッカーを振り上げ走り出そうとした。だが……

 

 

 

 

 

 

―ヒュンッ……ドゴオォォォォォオンッ!!―

 

 

 

 

 

 

 

『ッ?!!』

 

 

ディケイドの真横を何かが通りすぎ、次の瞬間、その何かはディケイドの背後にあったベンチに衝突し爆発を起こしたのである。突然の出来事にディケイドや近くにいたバロンとフェイトも思わず動きがストップしてしまい、一瞬硬直して動かなくなってしまった。

 

 

ディケイド『……ッ?!な、何だ今の…?』

 

 

バロン『な、何かが飛ばされてきたみたいだが……』

 

 

一瞬驚きながらもすぐに我を取り戻したディケイドとバロンとフェイトは瓦礫が吹っ飛んだ場所へと振り返っていく。其処には……

 

 

 

 

 

姫華「う、うぅ……」

 

 

ディケイド『…ッ?!アンタは?!』

 

 

其処にいたのは閃華と共にヴェクタスと戦っていた筈だった異形の姿をした女性……姫華だったのである。その身体にはところどころに深い傷が刻まれて血を流しており、それを見たディケイドとバロンとフェイトは慌てて姫華の下へと駆け寄り身体を抱き起こしていく。

 

 

ディケイド『おい!おいしっかりしろ!大丈夫か?!』

 

 

フェイト「傷が酷いっ……早く治療しないと!!」

 

 

姫華「ッ……わ、私の事はいいからっ……それより、閃華を手伝ってあげてっ……アイツが……ヴェクタスがっ……!」

 

 

バロン『……え?』

 

 

姫華はボロボロになりながらも必死に二人へ何かを伝えようとライオトルーパーの群れの向こうを指差し、ディケイド達はそれを視線で追ってその方向へと振り向く。其処には……

 

 

 

 

ヴェクタス『クククッ…』

 

 

閃華「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ……!」

 

 

バロン『ッ?!閃華さん?!』

 

 

そう、ライオトルーパーの大群の向こうには、互いに向き合って対峙し合う閃華とヴェクタスの姿があったのだ。だが、閃華の身体は姫華のようにところどころがボロボロとなって血を流しており、それとは対称にヴェクタスはまったく傷を負っておらず、余裕そうに剣で肩を叩きながら不気味に笑っていた。

 

 

ヴェクタス『ほら、どーしたぁ?俺はまだまだ本気も出しちゃいないのに、お前等がそんなんでどーする?』

 

 

閃華「ッ!良く言うわよ…こっちの技を全部取り込む上に…その身体を盾にしてる卑怯者が!」

 

 

ヴェクタス『クッハハハハハハハッ!それを言うなら頭脳的って言って欲しいねぇ?それに俺から言わせてもらえば、仲間だの友人だのくだらない物に囚われてるから、そんなボロボロになってんじゃないのかぁ?あぁ?』

 

 

閃華「ッ…戯れ事を!!」

 

 

嘲笑うように語るヴェクタスに激怒したのか、閃華は右手に構える純白の刀……神刀・白夜を振りかざしてヴェクタスに斬り掛かろうと信じられないスピードで突っ込んだ。だがしかし、ヴェクタスは閃華の振り下ろした白夜をアクロバットな動きで回避しながら後方へと跳び、地面に着地すると同時に閃華の足元に巨大な魔法陣のような物を出現させ、其処から呼び出した無数の黒い鎖で閃華の手足を拘束し身動きを封じてしまった。

 

 

閃華「!?これは…!?」

 

 

ヴェクタス『安心しろ……お前とあの女はこの身体の真の力を発揮した時に使う実験体だ、簡単には殺さんさ』

 

 

閃華「くっ…!」

 

 

拘束されてしまった閃華は身体全体を動かして無数の鎖から逃れようとするが鎖はまったくビクともせず、寧ろ抵抗する度に鎖の強度が増して更に壊れ難くなっていた。

 

 

ヴェクタス『止めておけ、そいつは特殊な加工で創られた一級品の品だ。暴れたところで更に逃げられなくなるだけさ』

 

 

閃華「チッ…!」

 

 

ヴェクタス『其処で大人しくしていろ、お前とあの女は後でジックリと料理してやる……先ずは――』

 

 

ヴェクタスは抵抗を続ける閃華から視線を外すと今度はライオトルーパーの大群に囲まれるディケイドに目を向け、右手に持った剣の切っ先をディケイドに向けながら近づいていく。

 

 

ヴェクタス『――先ずは、当初の目的から果たさせてもらおうかぁ…?』

 

 

バロン『ッ……零』

 

 

ディケイド『あぁ、分かっている……フェイト、この人と一緒に下がれ……』

 

 

フェイト「え……う、うん」

 

 

ディケイドとバロンは姫華をフェイトに任せて後ろに下がらせると、それぞれの武器を構えながらヴェクタスと対峙していき、ヴェクタスも足を止めると大群を下がらせ剣を構えていく。そしてヴェクタスと対峙していたディケイドとバロンは同時に地を蹴って飛び出し、ヴェクタスに向かってそれぞれの武器を振りかざしていった。

 

 

ディケイド『ハアァァァァァァァァァァアーーーーーッ!!』

 

 

バロン『デヤアァァァァァァァァァァァアーーーーーッ!!』

 

 

ヴェクタス『フッ……ハァッ!!』

 

 

―ガギイィィィィィインッ!!―

 

 

ヴェクタスは二人の放った武器を剣で受け流すと共に後方へと距離を離しながら左手から無数の黒い炎弾を放ち、ディケイドとバロンは横へと飛び退いてそれを回避すると直ぐさま態勢を立て直してヴェクタスへと再び走り出し武器を振りかざしていった。だが、二人の放つ攻撃はすべてヴェクタスに軽々と避けられてしまい、更にディケイドの方は左目の激痛を抱えている為に素早く剣を振るう事が出来なくなっていた。

 

 

ヴェクタス『ハッハァッ!どうしたんだ零?!もうバテたのか?!それとも、左目のせいでまともに剣も振るえないのかなぁ!?』

 

 

ディケイド『クッ!黙れッ!!』

 

 

左目の事を指しながら挑発的な態度を見せてくるヴェクタスにディケイドはそう言って大きくライドブッカーを振りかざすが、ヴェクタスは空中を回転しながらそれすらも避けてしまう。それを見たバロンはすかさずバロンアローから複数の魔力矢を放ってヴェクタスに追撃し、ディケイドもふらつきつつもライドブッカーをブッカーモードに切り替えて左腰に戻し、一枚のカードを取り出してディケイドライバーに装填しスライドさせた。

 

 

『KAMENRIDE:AGITO!』

 

 

電子音声が鳴るとディケイドは鳴り響くエンジン音と共にDアギトへと変身し、Dアギトは更にもう一枚のカードを取り出しディケイドライバーに装填してスライドさせる。

 

 

『FORMRIDE:AGITO!BURNING!』

 

 

再び電子音声が響くと共にDアギトの身体が激しく燃え上がり、炎が治まるとDアギトの身体は溶岩のように赤熱とした肉体的な赤いボディに赤色に染まって開かれたクロスホーン、オレンジの瞳を持った姿であるアギト・バーニングフォームへとフォームライドしたのであった。そしてDアギトは何処からか薙刀に近い形状をした武器……シャイニングカリバー・シングルモードを取り出しヴェクタスへと斬り掛かった。

 

 

Dアギト『フッ!セアッ!ハァッ!!』

 

 

―ガギィッ!ガギャンッ!ググググッ…ギギャアァンッ!グガァンッ!!―

 

 

ヴェクタス『ハッ!パワーだけは大したもんだなぁ?だが動きが鈍いぞぉッ!!』

 

 

Dアギト『チィッ!』

 

 

破壊的な威力を持った一撃を何度も繰り出して攻め続けるDアギトだが、ヴェクタスは直撃を受けないように敏感な動きで回避をしながら反撃していき、二人の戦いを見ていたバロンはバロンアローの照準をヴェクタスの背中に向けていく。そして……

 

 

ヴェクタス『フンッ!ハアァァァァアーーーーーーッ!!』

 

 

バロン『…そこだッ!!』

 

 

―バシュンバシュンバシュンバシュンッ!!―

 

 

ヴェクタス『…ッ?!グオォッ!!?』

 

 

バロンはヴェクタスが剣を振り上げた瞬間を狙って魔力矢を撃ち放ち、不意打ちを受けたヴェクタスは態勢を崩して怯み、大きな隙が生まれたのである。

 

 

バロン『よし…!今だ零!やれ!!』

 

 

Dアギト『ッ!ナイスだ翔!もらったッ!!』

 

 

バロンの作ってくれた好機を利用してDアギトは瞬時にヴェクタスの背後へと回り込み、シャイニングカリバー・Sモードを大きく振り上げヴェクタスに斬り掛かろうとした。だが……

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴェクタス『……フッ』

 

 

―パアァァァァァァアンッ―

 

 

Dアギト『…ッ?!』

 

 

バロン『なッ……?!』

 

 

フェイト「えッ…?!」

 

 

『ッ!』

 

 

Dアギトのシャイニングカリバーがヴェクタスの目前まで迫った瞬間、ヴェクタスは突然変身を解除し一人の女性へと戻ったのである。Dアギトとバロン、その戦いを離れて見ていたフェイトもヴェクタスに変身していた女性を見て信じられないものを見たように驚愕し、閃華と姫華は苦々しい表情を浮かべて女性を睨み付けている。そしてDアギトとバロンは驚愕の表情を浮かべたまま女性に向けて口を開いた。

 

 

Dアギト『ア、アンタは……?!』

 

 

バロン『……さ、佐知……さん……?』

 

 

佐知?『…………』

 

 

Dアギトとバロンはヴェクタスに変身していた女性…佐知?に向けて呆然と語りかけるが、佐知?は不気味な笑みを浮かべながら手に持っていた剣でDアギトに斬り掛かった。

 

 

Dアギト『グアァッ!!』

 

 

バロン『零ッ?!』

 

 

佐知?『余所見してる場合か?』

 

 

佐知?の不意打ちを受けて吹っ飛ばされたDアギトを見て動揺してしまうバロンだが、その横から佐知?がバロンを容赦なく斬りつけてしまう。

 

 

バロン『ガハァッ!!』

 

 

閃華「翔ッ!!」

 

 

佐知?『クククッ…こんな単純な手に引っ掻かるなんてなぁ?本当に馬鹿な奴等だ……』

 

 

フェイト「さ、佐知さん?!何でこんな事を?!」

 

 

倒れるDアギトとバロンを見下しながら愉快げに笑う佐知?にフェイトは驚愕しながら問い掛けるが、鎖に縛られた閃華は敵意に満ちた瞳で佐知?を睨みながらそれを否定した。

 

 

閃華「違うわフェイト!!そいつは佐知なんかじゃない!!」

 

 

フェイト「……え?」

 

 

Dアギト『ッ……どういう事だっ…?』

 

 

閃華の言葉にDアギトは顔を上げながら疑問げに聞き返すと、姫華はふらつきながら身体を起こし佐知?を睨みつけたまま語る。

 

 

姫華「ッ……奴は佐知ではなく、佐知と融合したヴェクタス……つまりヴェクタスが佐知の身体を取り込んで自分の物にしてしまったのよっ……佐知の中に秘められた力、戦神の力を手に入れる為に!」

 

 

バロン『ッ?!何だって…?!』

 

 

目の前にいる佐知は佐知の身体を乗っ取ったヴェクタス。それを知ったバロンは驚愕の表情を浮かべながら佐知を取り込んだヴェクタス(以後B佐知)を見ると、B佐知は薄気味悪く微笑みながら語り出した。

 

 

B佐知『クククッ…そう、この戦神の力は神の力さえ凌駕する最強の力だ。この力さえあれば、俺は無敵の戦士となる!そしてこの力を完全に使いこなしたその時こそ、俺は最強のライダーとして君臨するのだ!!』

 

 

Dアギト『ッ!何を勝手な事を…!』

 

 

バロン『そうだ!佐知さんの身体を返せッ!!』

 

 

Dアギトとバロンは直ぐ様立ち上がってB佐知を押さえ込もうとするが、B佐知はそれよりも早くヴェクタスへと変身して二人を斬り伏せてしまい、その衝撃でDアギトはディケイドへと戻ってしまった。

 

 

バロン『ウグァッ!!』

 

 

ヴェクタス『アッハハハハハハハハハハッ!!無駄だ無駄ぁ!!今の俺の戦闘力はこの女の身体能力をそのまま反映してる!!戦神の力はまだ使えんが、お前等雑魚が幾ら集まろうが俺には勝てんのだぁ!!』

 

 

ディケイド『ッ…貴様ぁ!―ドグンッ!!―……ッ?!アッ……ガァッ?!』

 

 

フェイト「ッ!れ、零?!」

 

 

佐知の身体を道具のように扱うヴェクタスに激怒してもう一度立ち上がろうとするディケイドだが、左目に走った突然の激痛に悶えて再び倒れ込んでしまう。

 

 

ディケイド『(な、何だ?!左目の痛みがっ……さっきより激しくっ?!)』

 

 

ヴェクタス『ククッ…そうだ、それでいい!もっと怒れ!もっと憎め!その負の感情がお前の因子の覚醒を早める!そしてその因子は……今此処で俺の物となる!!』

 

 

ヴェクタスは狂気の笑みを浮かべながら左目を抑えて苦しむディケイドに剣の切っ先を向けながらゆっくりと歩み寄っていくが、ディケイドは痛みを増していく左目のせいで周りに意識が向けられないでいた。

 

 

バロン『や、止めろッ!!クソッ!動けっ…!動けって言ってんだ!!』

 

 

閃華「クッ!後少しでっ…外れるのに!!」

 

 

姫華「零!早く逃げなさい!!零!!」

 

 

ディケイドへと近づいていくヴェクタスを見てバロンと姫華は何とか起き上がろうとするもダメージを受け過ぎたせいか全く動かず、閃華は全身に力を込めもうすぐ鎖がちぎれかけるが、その間にヴェクタスはディケイドの目前まで迫り剣を突き付け、そして……

 

 

ヴェクタス『残念だったな零……お前は此処で、終わりだあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーッ!!!』

 

 

ディケイド『……ぁ…』

 

 

『零ィッ!!!!』

 

 

ヴェクタスはディケイドに向けて剣を突き放ち、ディケイドは朦朧とする意識の中で漸く今の状況に気付くも既に回避は間に合わず、そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ドシュウゥッ!!―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『なっ…………』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴェクタス『……なん……だと……?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ディケイド『…………?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何かが突き刺さる音が確かに聞こえてきた。だがディケイドには想像した痛みはいつまで経ってもやって来ず、次に聞こえてきたのはバロン達と目の前のライダーが息を呑む声だけだった。そして状況が理解出来ないまま、ディケイドがゆっくりと顔を上げると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ピチャッ……ピチャッ……ピチャッ……―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ディケイド『………………………………ぇ…?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目の前に映った光景。それを目にしたディケイドは一瞬何が起きてるのか分からないという表情を浮かべるが、朦朧とする意識が段々とクリアになって目の前の光景がハッキリしていく。そして意識が完全に戻ったディケイドは目の前の光景を再び目にして瞳を大きく見開き、絶句した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ピチャッ……ピチャッ……ピチャッ……―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ディケイド『…………………………フェ………イト………?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フェイト「ッ………………………良かっ…………た……………間に合った………みたい………だね………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして彼は、震える声で、自分に向けられた筈の刃を腹に深く突き刺され、おびただしく血を流す少女の名を呟いたのだった……

 

 

 

 

 

 

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