仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
ディケイド『…………………………フェ………イト………?』
彼の目に映るのは、ヴェクタスの剣によって貫かれ、おびただしい量の血を流すフェイトの姿。その光景に彼はただ呆然と少女の名を呟く事しか出来ず、目の前の光景に目を疑うしか出来なかった。
バロン『…そん、な……』
姫華「ぁ……あぁ……」
閃華「フェイ……ト……」
周りから聞こえてくるのは息を拒み、絶句して言葉を失ってしまうバロン達の声。それで今見ている光景が自分の錯覚ではないのだと気付かされ更に目を見開くディケイドだが、フェイトは腹を突き刺されているにも関わらずディケイドの姿を見て安心したように微笑んでいた。
フェイト「ッ………………………良かっ…………た……………間に合った………みたい………だね………」
ディケイド『……ァ………ぁ…………アッ………』
口元から吐血し、それでも優しげに微笑むフェイトの姿を見て脳裏に激しく血が流れ、熱く沸騰していくのが分かる。そんなディケイドにフェイトはゆっくりと手を伸ばし、まるで彼の温もりを求めるように頬に触れようする。だが……
―……ブザァッ!!―
『なっ……!!?』
フェイト「ぁ……………………………………れ………………………………………ぃ…………………」
―……ドサッ…―
ディケイド『………………………………ぇ…?』
フェイトの手がディケイドに届く前に、ヴェクタスが強引にフェイトの腹部から剣を抜き取ったのであった。そしてフェイトの手は彼に触れる事なく宙を切り、先程よりおびただしい量の血を流しながら崩れ落ち、ディケイドの胸の中へと倒れていったのだった……。
ディケイド『…………………………………フェイ………………ト………?』
バロン『………フェ、フェイトォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!』
閃華「フェイトォッ!!!!!!」
姫華「フェイトさんッ!!!!!!」
フェイト「………………………………………ぅ………………ぁ…………」
ディケイド『………………………フェ……イト?……………………………………………………フェイトォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!』
傷口から大量に血を流すフェイトの身体を抱え悲痛な悲鳴を上げるディケイド。そして、フェイトを突き刺した本人であるヴェクタスはつまらなげに剣に付いた血を払っていた。
ヴェクタス『チッ……出来損ないの分際で余計な事を……まあいい。これで漸く邪魔者がいなくなって因子が手に入るのだから、問題はないか……』
ディケイド『フェイト!!フェイトッ!!しっかしろおいッ!!!フェイトォッ!!!!』
フェイト「………ぁ……………………ぅ…………」
ディケイドはフェイトの腹部から大量に溢れる血を抑えながら必死にフェイトに呼び掛けていき、ヴェクタスは今度こそ因子を手に入れようと剣の切っ先をディケイドに向けながらゆっくり歩み寄ろうとした。その時……
バロン『―――それ以上っ……やらせるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!』
『Phoenix Form!』
ヴェクタス『…ッ!』
―ガギイィィィィィィィィィィインッ!!―
背後から聞こえてきた叫びと電子音声。それを聞いたヴェクタスが背後へと振り返った瞬間、先程とは違う別の姿に変わったバロンが剣を振りかぶりヴェクタスを吹っ飛ばしていった。そしてそれを確認したバロン……巨大な赤い羽根を背中に生やし、西洋風の剣を構えた姿となった『バロン・フェニックスフォーム』はディケイドとフェイトの下へと急いで駆け寄っていく。
フェイト「…………ぁ……………………ぅ……」
ディケイド『フェイト!!目を開けろフェイトッ!!頼むから目を開けてくれッ!!!』
バロンP『落ち着け零!!今俺が治療する!!今ならまだコイツの聖なる炎で直ぐに…!!』
バロンPはディケイドを宥めながらフェニックスカリバーの刃に暖かな炎を纏わせ、剣の切っ先をフェイトの腹部の傷口に向けようとする。だが……
―シュンッ………ガシィッ!!―
バロンP『ッ?!何ッ?!』
ディケイド『ッ?!』
フェイトに向けられようとしたフェニックスカリバーは突如何処からか飛んできた鎖によって捉えられてしまい、バロンPはそのまま鎖に引っ張られて二人から引き離されてしまう。そしてその鎖を放った本人……バロンPに吹っ飛ばされたヴェクタスが左手に持つ鎖でフェニックスカリバーを引き寄せていた。
バロンP『グッ!お前!!』
ヴェクタス『余計な真似はしないでもらおうか?その女には此処で死んでもらわなきゃ、こっちが困るんだよ!!』
―ジャラァッ!!ガギィンッ!ガギィンッ!ガギャアァンッ!!―
バロンP『グッ?!ガアァッ!!』
ディケイド『翔ッ?!』
ヴェクタスはフェニックスカリバーを捉えた鎖でバロンPを強引に引き寄せてしまい、更に剣で斬り付けて地面に叩きつけ追い撃ちを掛けていく。ディケイドはその光景に険しい表情を浮かべ、直ぐさまバロンPの助けに入るため動き出そうとした。その時……
フェイト「……………………れ…………ぃ………」
ディケイド『…ッ?!フェイト?!』
ディケイドが動き出そうとしたその瞬間、腕の中に抱かれていたフェイトが漸く瞳を開き、途切れ途切れで呼吸を行いながらか細い声で零の名を口にしたのである。そしてフェイトは何度か吐血した後、虚ろな瞳でディケイドを見上げていく。
フェイト「こふっ…………ごめん…………ね…………迷惑掛けちゃ…………って…………私が…………こんなん…………じゃ…………なのはや…………零の…………事…………言えない………よね…………」
ディケイド『ッ…いいから喋るな!!クソッ!どうする…!?どうすればっ?!』
溢れ出る血を必死に抑えながらこの傷を治療する方法を思考するが、フェイトは腹部の傷を抑えるディケイドの手に自分の手を重ねていく。しかし、フェイトは自身の手にベットリと付いた紅い液体を見て一瞬何かを悟ったような顔を浮かべ、ゆっくりと顔を上げ蒼い空を見上げていく。
フェイト「…………この空…………子供の頃に見た…………時と一緒…………だね…………なのはや…………零と…………もう一度会おう…………って…………約束した時と…………同じ…………」
ディケイド『ッ!そんな事は今どうだっていいだろう?!いいからもう喋るなッ!!』
口から血を流しながら喋り続けるフェイトにディケイドは悲痛な声を上げて叫ぶが、フェイトは微笑を浮かべながら再び口を開く。
フェイト「…………ふふ…………けど…………なんか…………変な偶然…………だよね………?」
ディケイド『……え?』
フェイト「だって…………ほら…………この場所で…………零…………に…………こうして見送って…………もらえる…………なんて…………変な偶然…………でしょ…………?」
ディケイド『……ッ?!な、何言って……フェイト…?おいフェイトッ?!』
儚げに微笑むフェイトから一瞬嫌な予感を感じ取り、それを振り払うかのように何度もフェイトの名を呼び掛けるディケイド。そして、フェイトはディケイドに向けてゆっくりと手を差し延べ、ディケイドは震える手でその手を掴んだ。
フェイト「…………けど…………少し…………心残りがある…………かな…………皆ともっと旅を…………して…………一緒に…………私達の…………世界を…………救いたかっ…………た…………」
ディケイド『ッ!何馬鹿を言ってる?!勝手に諦めるな!お前は必ず助かる!!だからっ…!!』
フェイトの言葉を否定するようにディケイドは何度も首を振って強く言い放つが、フェイトの表情から次第に生気がなくなり始め、フェイトはディケイドの手を離さないように強く握り締めていく。
フェイト「…………零…………私達の…………世界と…………まだ見付かって…………ない…………エリオと……………キャロを…………私の代わり…………に…………救ってあげて…………私には…………もう…………出来そうにない…………から…………」
ディケイド『ッ?!お、おいっ……ふざけるなっ……勝手な事を言うな!!お前がやらなきゃいけない事はまだ山ほど残ってるんだぞ!?こんなところで寝てる場合じゃないだろう!!だから諦めるな!!頼むからっ!!フェイト!!!』
彼女の瞳から徐々に光が失われつつある事に気付いたディケイドは必死になって何度もフェイトに呼び掛けながら手を強く握り締める。それを見たフェイトは瞳に涙を浮かべながら握られた手を強く握り返し……
フェイト「…………ごめん…………ね…………れ……………ぃ…………わた…………し…………なに…………も…………してあげられ…………なく…………て…………」
ディケイド『ッ?!フェイ、ト……?』
フェイト「…………………………わ…………たし……………………を………………許し…………………て………………」
その言葉を紡いだと共に、フェイトは瞳を閉じながら一筋の涙を流し、彼女の手はディケイドの手からスルリと抜け落ち地面に落ちていった……
ディケイド『……………………………フェ…………………イト…………?』
フェイト「……………」
ディケイド『…………………おい…………こんな時になんの冗談だ?……………そんなの………笑えない、ぞ………?』
フェイト「……………」
ディケイド『冗談…………だろ?だって………さっき約束しただろう?元の世界に帰ったら…………お前の写真撮ってやるって……』
フェイト「……………」
ディケイド『なぁ…………嘘…なんだろ?からかってるんだろ?お前が約束破るなんてっ………有り得ないん………だからっ………』
フェイト「……………」
ディケイド『だ……からっ…………だから早くっ…………目を開けろっ…………頼むから開けてくれっ…………嘘っ…………だとっ…………ッ?!』
瞳を閉じたフェイトの身体を力無く揺さぶるディケイドだが、その時、彼女の身体に触れた手からヌルリとした感触を感じた。触れた手は真っ赤な液体に色塗られ、それを見た瞬間、彼の視界が紅色に染まったのであった。
ディケイド『ァ…………ぁ…………ア………』
閃華「ッ…!零ッ!!フェイトッ!!」
姫華「ハァ…ハァ…ハァ…!」
その時、漸くその場に鎖の拘束から逃れた閃華とボロボロの身体を引きずってやって来た姫華が到着した。だが二人はディケイドの腕に抱かれるフェイトを見て表情を一変させ、すぐさまフェイトへと駆け寄り彼女の状態を確認し、更に表情を険しくさせた。
閃華「ッ!マズイわっ……姫華ッ!!貴方の残ってる気や魔力を彼女に与えてあげてッ!!私は何とかして傷の治療をする!!」
姫華「けど、私の力は殆どヴェクタスに吸収されてるっ!今の力だけで足りるかどうか…!!」
閃華「それでもやるしかないわ!!このままだと本当に手遅れになる!!急いで!!」
姫華「ッ…!分かった!!」
姫華はそう言うとフェイトの手を握って自分の中に残った全ての気や魔力をフェイトへと送り、閃華はフェイトの腹部に手を押し当て傷の治療を開始していく。
―…ドグンッ…ドグンッ…ドグンッ…ドグンッ…!―
ディケイド『ぁ……………………アッ……』
その二人の背後では、ディケイドが自分の両手に色塗られた赤い液体を見て呆然としていた。目に映るモノ全てが紅く染まり、全身がまるで沸騰しているかの様に熱くなり、左目の鼓動が先程の比にもならない早さで響いていた。
◆◇◆
ディケイドside
―…ドグンッ…ドグンッ…ドグンッ…ドグンッ…!―
フェイト『昔わたしに言ってくれたよね?今度は誰かからの命令ではなく、自分の意思で、自分を信じて生きてみろって。その言葉を聞いて…私はもう一度自分の意思で生きてみようって思ったの。だからなのはが何度も私に呼び掛けてくれたことや、零のその言葉があったお陰で……私は今も、こうして皆といられるんだなって』
―…ドグンッ…ドグンッ…ドグンッ…ドグンッ…!―
フェイト『そんな事ないよ?零やなのはがいたから、私はもう一度生きようって思えたんだから……私一人の力じゃ……ここまで来る事なんて出来なかった』
―…ドグンッ…ドグンッ…ドグンッ…ドグンッ…!―
フェイト『…だから尚更、私達の世界を救いたいって強く思うの。今の私がこうして変われたのはあの世界があったから。あの世界で感じてきた思いや時間は、何処の世界にもない……私や零やなのは達が積み上げてきた思い出は……あそこにしかないから』
―…ドグンッ…ドグンッ…ドグンッ…ドグンッ…!―
フェイト『ホントに!?じゃあ約束!指切り!』
―…ドグンッ…ドグンッ…ドグンッ…ドグンッ…!―
――――何故だ
何故アイツが傷付いてる?
何故アイツが血を流してる?
何故アイツが涙を流してる?
何故――――
なぜ――――
ナゼ――――
―ガギャアァンッ!!ガギャアァンッ!!ガギャアァンッ!!―
バロンP『ウグアァッ!!ガハァッ!!』
ヴェクタス『アッハハハハハハハハハハハッ!!!!ほらどーしたぁ?!もっとやり返せよ?!じゃなきゃあの失敗作みたいにあの世逝きだぞぉ?!アハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!!』
―…ドグンッ…ドグンッ…ドグンッ…ドグンッ!!―
―――――ナゼ、オマエガワラッテイルッ!!!!!
フェイト『ふふっ♪ちゃんと約束したからね?』
リィル『だから、嘘ついたらダメだよ?』
フェイト/リィル『約束だよ♪』
―…ドグンッ…ドグンッ…ドグンッ…ドグンッ………ピシィッッッ!!!!―
ディケイド『―――貴様ァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッ!!!!!!!!!!!』
ディケイドside End
◆◇◇
―ガギャアァッ!!ギィンッ!!グガアァンッ!!!―
バロンP『グゥッ!!クッ……ガハッ!!』
ヴェクタスと刃を交えて激しくぶつかり合うバロンPだが、愛剣であるフェニックスカリバーは激突の中で地面に叩き落とされてしまい、ヴェクタスに首を締め上げられ電灯の下に抑え付けられていた。そしてヴェクタスはバロンPを締め付けたまま背後へと視線を向け、閃華と姫華に治療されるフェイトを見て不気味な笑みを浮かべていく。
ヴェクタス『おやおや……どうやらあの出来損ないは死んでしまったようだなぁ?』
バロンP『ッ?!なんッ…だと…?!』
ヴェクタスの言葉にバロンPは信じられないといった表情を浮かべながらフェイトに視線を向け、ヴェクタスは嘲笑いを浮かべながらバロンPの首を更に強く締め上げていく。
バロンP『グッ?!アガァッ…!』
ヴェクタス『さぁて、次はお前の番だが……その前にお前の力を頂こうか?』
バロンP『ッ……な、に……?』
意味深な発言をするヴェクタスにバロンPは険しげに聞き返すが、ヴェクタスは何も答えないままバロンPを掴む右腕に赤黒いオーラを纏い、バロンPからエネルギーを吸収していく。
バロンP『ウアッ…?!グアァッ?!』
ヴェクタス『お前のその力は中々面白い物だ……特にお前が持つ癒しの炎は中々興味深い……その力、俺が貰おうッ!!』
ヴェクタスは高らかに笑いながらバロンPを掴む腕に力を入れ、バロンPは苦しげにもがきながらも何とかそれから逃れようとするが、ヴェクタスの力が強すぎる為にそれも叶う事が出来ない。そしてある程度力を吸収したヴェクタスは左手に剣を出現させておもむろに掲げ、トドメを刺そうと剣を振りかぶった。その時……
ディケイド『―――貴様ァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッ!!!!!!!!!!!』
―シュウゥゥゥゥゥゥ……ドグオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッッッッ!!!!!!!!!!!―
『ッ?!!!』
背後から鳴り響いた怒りの叫びと地震にすら近い巨大な地響き。それと共に発生した巨大な衝撃波がこの場にいる者全員が立つコンクリートの地面全体に巨大な皹を入れ、周りにある木々は地面ごとえぐり取られるように次々と吹っ飛ばされていく。だが、衝撃波によって巻き起こる土煙により視界が遮られ、何が起きているのか確認出来ない。
バロンP『な、何なんだ…これはッ?!』
ヴェクタス『……これは……そうか……やっとか……やっと……クククッ……』
突然起こった事態にバロンPは状況が飲み込めず驚愕し、ヴェクタスだけはその中で平然と立ち構え、何も見えない衝撃波の向こうを見つめて狂気に満ちた笑みを浮かべていた。その時……
ディケイド『ウアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーッッッッッ!!!!!!!!!!』
―ドグオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォオンッ!!!!!!!―
ヴェクタス『ッ?!!グアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァアーーーーーーーーーーーーッッ!!!!!!?』
バロンP『ッ?!』
突如衝撃波の向こうから信じられないスピードで現れたディケイドがヴェクタスの顔面を殴り飛ばし、不意打ちを受けたヴェクタスはそのまま数十メートル先にある森林の奥まで木々を倒しながら勢い良く吹っ飛ばされていった。
ディケイド『ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…!!!』
バロンP『……ッ?!れ、零……?』
驚愕するバロンPは目の前立つディケイドを見て呆然と呟くが、目の前のディケイドの姿に戸惑いを隠せずにいた。禍禍しい形状へと変化した紫色に輝く複眼、ディケイドの身体から溢れ出る黒いオーラ……目の前にいるディケイドは、彼が知る姿とは全く別の姿へと変わっていたのであった。そしてフェイトの治療をしていた閃華と姫華もバロンP同様、驚愕の表情を浮かべてディケイドを見つめていた。
姫華「あ、あの姿は…?!」
閃華「(……あの力……響と同じ破壊の力?……いえ違う……響の破壊よりも特化して……もっと禍禍しい……これは……!)」
驚愕する姫華の隣で閃華はディケイドから何かを感じ取り険しい表情を浮かべていく。そしてその間に森林の奥からディケイドに吹っ飛ばされたヴェクタスが姿を現すが、ディケイドに殴られた箇所である仮面部分が崩れ落ち、不気味に笑うB佐知の顔が露出していた。
ヴェクタス『――ククッ……漸く"芽"を出したみたいだなぁ…?やはり、あの女を殺しておいて正解だったかぁ』
ディケイド『ッ!!貴様ぁ……貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!』
ヴェクタス『アッハハハハハハハハハハハハッ!!!なにをそんなに怒る必要がある?!あんなモノは所詮、プレシア・テスタロッサが娘を無くした哀しみを慰める為に造ったただの玩具だ!!造られた役目も果たせなかった欠陥品を処分してやったんだから、寧ろ感謝して欲しいねぇ!!?』
ディケイド『ッ!!!!』
蔑むように笑いながらそう告げたヴェクタスの言葉に、ディケイドは脳裏に涙を流して自分に謝るフェイトの顔を思い出し、それと共に自分の内からとてつもなく大きい何かが込み上げてくるのを感じた。
フェイトを傷付けただけでなく、フェイトの存在までも愚弄した……
こんな奴のせいで……こんな奴が……
ディケイド『―――――て……やる……し……る……殺してやる……殺してやる……殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやるッッ!!!!!!貴様だけはァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!!!!!!!』
―ドグオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッッッッ!!!!!!!!!!!―
怒りの咆哮と共にディケイドの瞳が紫色に輝き出し、それに呼応するかのように大地が……世界が激しく震える。まるで、憎悪と殺意に支配された彼を恐れるかのように――――
世界の破壊者、ディケイド…………覚醒。