仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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第十四章/キャンセラーの世界⑩(前編)

 

 

 

不気味な暗闇に包まれた無の世界……

 

 

一筋の光すら射さない闇と静寂に支配された空間……

 

 

その場所に彼……黒月零は一人佇んでいた。

 

 

零「…………此処………………は…………」

 

 

漸く気付いたというように虚ろな瞳で自分が立つ場所を呆然と見渡すが、其処が何処なのかは分からない。

 

 

そもそも、何故自分がこんな闇に包まれた世界にいるのかすら覚えていない。

 

 

零「……………なんで……こんなところに……」

 

 

思わず今一番自分が感じている疑問を口にしてしまう零だが、それに答えてくれる人物は何処にもいない。

 

 

微塵の風すら感じない世界を暫く呆然と立ち尽くしていた零だが、ふと自分の手に感じたヌルリとした感触に思わず自分の体を見下ろし、胸と両手にネットリと付いた紅い液体を見て自然と様々なことを思い出していく。

 

 

零「…………あぁ…………そうか…………俺は…………因子を使ってしまったんだったな…………」

 

 

両手に付いた紅い液体を見下ろしながら、悲痛な表情を浮かべてポツリと呟き、今まで起きた出来事を思い出していく。

 

 

ヴェクタスとの戦い

 

苦戦していた中で駆け付けてきた翔達

 

ヴェクタスに佐知の身体を乗っ取られた衝撃的な事実

 

因子を埋め込まれた左目の激痛

 

 

そして……

 

 

 

零「…………そうだ…………俺はフェイトを…………見殺しにしてしまったんだ…………」

 

 

 

自分の腕の中で泣きながら息を引き取ったフェイト。

 

 

それによって自分の理性が消え、使わないと決めていた因子を使ってしまった事も思い出していくが、それ以上の事は思い出せない。

 

 

恐らく因子を使っていく内に、因子の力に飲まれて意識を失ってしまったのだろう。

 

 

だとすれば……此処にいる自分は多分、因子に飲み込まれてしまった自分の自我なのだろう。

 

 

零「………ハハ…………何をやっているんだ俺は…………使わないと決めた力を使って暴走なんかして…………フェイトも助けられず見殺しにして…………俺は…………何をしてるんだ…………」

 

 

今の自分の有様に嘲笑を浮かべるが、その顔から生気を感じられずまるで死人のように無気力な表情をしていた。

 

 

今でも目に浮かぶのは、血に濡れて涙を流すフェイトの顔……。

 

 

それを思い出す度に、今にでも泣きたい衝動に駆られてしまう。

 

 

零「…………また…………守ってやれなかったっ…………俺が隙を見せたせいで………フェイトを殺してしまったんだっ…………」

 

 

あの時ヴェクタスの前で膝を付いたりしなければ、こんな事にはならなかった。

 

 

フェイトが自分を庇って、犠牲になる必要なんかなかった筈だ。

 

 

全ては、自分の愚かさ故に生み出してしまった結果。

 

 

どんなに悔いても、既に遅い。

 

 

例えヴェクタスを倒して彼女の仇を討ったとしても、彼女は二度と戻っては来ない。

 

 

その事実に零は深い絶望に打ち付けられ、その場に力無く膝を付いてしまう。

 

 

零「…………どうしてだ…………何で俺はっ…………同じ過ちばかりを繰り返すんだっ…………アリシアも…………リインフォースも…………フェイトも…………アイツも…………守ると言っておきながら…………結局誰も守れていないじゃないかッッ!!!」

 

 

悲痛な叫びを上げながら、血の付いた拳で地面を殴り付けた。

 

 

何度も何度も、自分の無力さを悔いるように……

 

 

だがそんな事にすら次第に虚しさを覚え、零は顔を俯かせながら唇を噛み締める。

 

 

零「…………もう誰も失わない為に…………アイツ等の為にこの力や過去と向き合って、戦うと決めて…………それでも結局…………フェイトを守れず死なせてしまった…………俺の覚悟なんて…………この程度の物だったのかっ…………」

 

 

力無く、それこそ正に死人のような表情を浮かべて、闇に包まれた虚空を見つめる零。

 

 

そしてそんな時、突如この世界を支配する闇が零の体を足元から包み込んでいき、徐々に身体全体を浸蝕していく。

 

 

まるで、零を完全に取り込んでしまおうとするように……

 

 

零「…………そうか…………そういうことか…………なら…………このまま闇に解けてしまうのも…………いいかもな…………」

 

 

自身の身体を包み込んでいく闇から何かを感じ取ったのか、零は力無く笑いながら闇に身を委ねていく。

 

 

零「……フェイト……許してもらわないといけないのは俺の方だ……こんなことでしか……お前に謝れない俺を……許してくれ……」

 

 

そう言いながら零はゆっくりと瞳を閉じ、全身の力を抜いて完全に闇に身を委ねていく。

 

 

そしてそれを合図だと言う様に、闇が零の身体を包み込もうとした。その時……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『――――ダメだよ。因子の力に……自分に負けてはダメ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零「……………ぇ?」

 

 

 

 

 

 

暗闇を突き抜けるように聞こえてきた暖かな声。

 

その声に反応した零は閉じていた瞳を開き、目の前に広がる闇の世界を見つめた。その瞬間……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―シュウゥゥゥゥゥゥ……シュパアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!!!―

 

 

零「…ッ?!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如闇の向こうから、まばゆく暖かな一筋縄の光が溢れ出し、零を包み込もうとした闇を打ち消していったのである。

 

 

そして一筋縄の光は零を照らし、まるで彼を導くように闇の奥で輝いていた。

 

 

 

 

 

 

零「……あの光は……」

 

 

 

 

 

 

『さぁ、行って。あの光が……貴方を出口まで導いてくれるから』

 

 

 

 

 

 

零「ッ!……誰だ?何処にいる……?」

 

 

 

 

 

 

『私の事はいいから………さぁ、早く行って。あの光を辿っていけば、この世界から抜け出せる……』

 

 

 

 

 

 

零「…………」

 

 

 

 

 

 

光を辿ってこの世界を出ろと告げる少女の声に、零はジッと自身を照らす一筋縄の光を見つめる。

 

 

だが、何故か零はそこから一歩も歩き出そうとはしなかった。

 

 

 

 

 

 

『?……どうしたの?』

 

 

 

 

 

 

零「………戻る……なんて……そんなの出来るわけがないだろう……」

 

 

 

 

 

 

『え……?』

 

 

 

 

 

 

零「……俺は……俺はフェイトを見殺しにしてしまったんだぞ……そんな俺が……どうして一人だけ助かるなんて出来る?……アイツを守ってやれなかった……こんな俺が……」

 

 

 

 

 

 

『…………』

 

 

 

 

 

 

フェイトを助けられなかった自分だけ、何故のこのこ助かるなんて出来るのか。

 

 

それが許せない零はこの世界から抜け出す事を拒み、此処に残ってその罰を受けようとしていたのである。

 

 

そんな零の真意を知った声は何も答えず、突然零の目の前に光のオーロラを出現させていく。

 

 

 

 

 

 

零「…!何だ…?」

 

 

 

 

 

 

『良く見て?貴方のその目で……外の世界にいる彼等と……彼女の姿を……』

 

 

 

 

 

 

零「……え?」

 

 

 

 

 

 

声の言葉に零は思わず疑問げに聞き返すが、声はただ光のオーロラを見ろと告げるばかりで何も言わず、零は言われるがままにおそるおそるオーロラを覗いていく。其処には……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コスモス『グッ!グゥッ!』

 

 

ゼウス『クッ!クライシス!!もっとだ!もっと力を上げろ!!』

 

 

クライシス『分かってるわ!!』

 

 

エデン『ッ…!フェイト、戻って来い!!此処だ!!お前が帰るべき場所は此処にある!!』

 

 

閃華『フェイト!!』

 

 

フェイト『…………………………………………ッ……………………………』

 

 

姫華『…ッ?!フェイト?!』

 

 

バロンP『ッ!よしっ…!もう少しっ……もう少しだ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零「…ッ?!みんな……フェイト?!」

 

 

 

 

 

 

そう、光のオーロラには、平行世界の仲間達と仲間達に治療されて今にも息を吹き返そうとしてるフェイトの姿が映し出されていたのであった。

 

 

それを見た零は驚愕の表情を浮かべながら思わず身を乗り出し、そんな零の様子を見た声は優しげな微笑みを漏らしながら語る。

 

 

 

 

 

 

『今この時も、貴方の仲間とあの子は必死に頑張っているの。だから貴方も……こんなところで諦めたりしないで。あの子達との約束を……守るんでしょ?』

 

 

 

 

 

 

零「ッ……お前は…一体?―ドンッ!―っ?!」

 

 

 

 

 

 

自分を導く声は何者なのか。そう言いかけた零の背中を不意に誰かが押して足を進ませ、再び少女の優しげな声が鳴り響く。

 

 

 

 

 

 

『もう、自分を見失ったらダメだよ?そして忘れないで……例え貴方が破壊者になったとしても……それで貴方の居場所がなくなったりしない………繋がる絆がある限り……そこが貴方の居場所になり、力になるんだから……』

 

 

 

 

 

 

零「…………繋がる絆が…………俺の居場所…………俺の力…………」

 

 

 

 

 

 

声の言葉を心に染み渡らせるように、ポツリと小さく呟いた零。

 

 

そして、一筋縄の光が闇の世界と零を覆い、暖かな光が辺りを包み込んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『大丈夫……貴方はもう、誰かの人形なんかじゃない……私にしてあげられなかった事を……あの子達に……してあげて?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零「……………おまえ………………は…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『約束だよ―――零』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零「…………リィ…………………ル……………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――広がっていく光。闇を照らす光の先で、いつかの少女の笑顔が在った……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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