仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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第十四章/キャンセラーの世界⑪(後編)

 

 

―光写真館・零の自室―

 

 

 

フェイト「……………」

 

 

写真館の中にある零の自室。この部屋の主である零はあの戦闘以降一度も目覚めず、自室のベッドで眠りに付いたままだった。そんな彼が眠るベッドの隣には、備え付けの椅子に座り心配そうに彼を見つめるフェイトの姿があった。

 

 

フェイト「……零……早く目を覚ましてよ……」

 

 

零「…………」

 

 

眠りに付く彼の寝顔を見てか細い声で呟くフェイト。彼の身に一体何があったのか、それは既に大輝や他の平行世界のライダー達から説明され彼女もなのは達も知っている。自分がヴェクタスの刃によって倒れた後、零が破壊者となり掛けて暴走しこの世界を破壊しようとした事を。その事に関して、彼女自身も少なからず罪悪感を抱いていた。

 

 

フェイト「……私のせいだ……私のせいで……零がこんな事になっちゃったんだ……」

 

 

彼は自分の命より、仲間の安全を守ろうとするような人間だ。それを知っておきながら、自分は彼を守る為に命を投げ出そうとした。その選択が、逆に彼を苦しめる事になるとも予想だにせず……。その事で思い詰める彼女を気を使ってか、なのはや優矢達も零の事はフェイトに任せ下のリビングで待ってくれてる。幼いヴィヴィオまでもがそんな彼女に気を使っていたのだから、今の彼女は余程悲愴感に満ちているのだろう。

 

 

フェイト「どうしよう……もしこのまま……零が目を覚まさなかったから……私どうしたら…!!」

 

 

遂にはそんな最悪の展開を想像してオロオロし出してしまい、やはりシャマルを呼ぶべきか、それとも翔の家に滞在してる平行世界の皆を呼んでくるべきかと焦りを浮かべてしまう。その時だった……

 

 

零「…………………ぅ…………ぁ…………」

 

 

フェイト「…ッ?!れ、零?!」

 

 

眠っていた零が息苦しそうに息を漏らし、それに気付いたフェイトは零の傍まで近寄り顔を覗いた。そしてそんな状態が暫く続いた後、漸く零はゆっくりと瞼を開いて意識を取り戻したのであった。

 

 

フェイト「ッ!零っ!良かった……気が付いたんだっ……!」

 

 

零「ッ……………………………フェイ…………ト?…………………ッ?!!」

 

 

―ガバッ!!ガシッ!―

 

 

フェイト「わッ?!れ、零?!」

 

 

意識を取り戻した零はぼんやりとした意識の中で自分の顔を覗き込む人物がフェイトだと理解した瞬間、直ぐさまベッドから起き上がりフェイトの肩を掴んだ。

 

 

零「フェイトッ?!!お前どうして?!怪我はどうしたんだ?!身体は大丈夫なのか?!」

 

 

フェイト「お、落ち着いて!!私は大丈夫だから!!ほら、ねっ?」

 

 

フェイトが生きている事に驚愕して思わずフェイトに詰め寄る零だが、フェイトは零の頬に両手を添えながら自分が無事であると確かめさせて零を宥めていく。そして零もそれで目の前にいる少女が本当にフェイトなんだと理解して落ち着きを取り戻していき、ベッドに腰掛けていく。

 

 

零「そ、そうか……だが、何でだ?お前は確か、あの時俺を庇って……」

 

 

フェイト「うん……その筈だったんだけど……姫華さん達が助けてくれたんだ。他の世界の皆も駆け付けてくれて、皆で私を治療して助けてくれたの」

 

 

零「翔達……が?」

 

 

翔達がフェイトを治療して助けてくれた。そう説明してくれたフェイトの言葉で零はあの闇の世界の事……あの時聞こえた声が見せてくれた光のオーロラの映像を脳裏に思い出していく。

 

 

零(……まさか……あれがその時の映像だったのか?……だとしたら……あの時聞こえた声は……)

 

 

因子の暴走によって自我を飲まれ掛け、全てを諦めかけた時に聞こえてきた少女の声。もしもあれが夢ではなかったとすれば、あの声は……

 

 

フェイト「――――零…?どうかした?」

 

 

零「……ッ!あ、いや……なんでもない……気にするな」

 

 

フェイト「?そう…?」

 

 

フェイトの声で意識を呼び戻された零は一瞬驚きつつも平静を整えながら答え、フェイトも疑問符を浮かべながらも一応納得して椅子に腰掛ける。

 

 

フェイト「えと……それで、零は大丈夫なの?何処か変なところとかない?」

 

 

零「あぁ……身体(左目)に少し違和感を感じるが、それ以外は特にないな……」

 

 

フェイト「そ、そっか……大事がなくて良かったね?」

 

 

零「あぁ、そうだな……」

 

 

フェイト「…………」

 

 

零「…………」

 

 

其処で会話が長く続かず途切れてしまい、二人の間に沈黙が流れていく。そしてどちらからも口を開く事なく、暫くそんな状態が続いて妙に気まずくなってきた頃……

 

 

フェイト「――――零……ごめんね……」

 

 

零「……は?」

 

 

ずっと口を閉ざしていたフェイトはいきなり申し訳なさそうに謝り、零に向けて頭を下げたのであった。それを見た零も予想すらしてなかったフェイトの行動に思わず唖然となってしまう。

 

 

零「ごめんって……なんでお前が謝るんだ?」

 

 

フェイト「……だって……私があんな事したせいで、零は破壊者になりかけたんでしょ…?それで……この世界を破壊しようとしたって……」

 

 

零「ッ……!」

 

 

頭を下げたまま暗い表情で呟いたフェイトの言葉に零は驚愕してつい閥が悪そうにフェイトから顔を逸らしてしまうが、一度瞳を閉ざして何かを考えた後フェイトに視線を戻した。

 

 

零「……それは違う。お前が謝る事なんて何一つない……寧ろ、謝らないといけないのは俺の方だ……お前をあんな目に合わせたのに……それなのに俺は何もしてやれず、ただ勝手に暴走して世界を壊そうとしたんだ……本当に、すまなかった……」

 

 

フェイト「ッ?!ち、違う!零は何も悪くなんてない!悪いのは私の方だよ!勝手に戦場に飛び出して、それで勝手な事して死にかけて……零達に……迷惑掛けて……」

 

 

頭を下げる零にフェイトは慌てて否定するも、次第に何を言えばいいのか分からなくなり顔を俯かせて黙り込んでしまう。そして再び二人の間に沈黙が流れると、零は包帯を巻いた両手でフェイトの手を握り締めていく。

 

 

フェイト「!……零…?」

 

 

零「……なんか、少しだけお前達の気持ちが分かった気がするな……」

 

 

フェイト「え?」

 

 

フェイトの手を握りながら苦笑いを浮かべる零の言葉にフェイトは思わず小首を傾げ、零はそんなフェイトに苦笑したまま口を開く。

 

 

零「覚えてるか?昔、俺が無茶をしたせいで一度死に掛けたこと」

 

 

フェイト「!……うん……覚えてる、っていうか……忘れる訳ないよ……あんな事件……」

 

 

フェイトは零が持ち出した話題に暗い表情を浮かべ、零はそんなフェイトの顔を見つめながら再び語る。

 

 

零「……俺はあの時……血に濡れたお前を抱えてた時に、凄く怖いって思ったんだ……お前がいなくなってしまうのが怖いって……その時に思ったんだ。あの時俺が同じ目に合った時も……お前達も、こんな風に思っていたのかなって……」

 

 

フェイト「……零…」

 

 

零「……馬鹿だよな。お前達にこんな思いをさせておきながら、俺はそれを知らずに平気で無茶ばかりしていた……最低だな、俺は」

 

 

フェイト「そ、そんなことない!零がそうやって戦うのも、私達を思ってだから…!―グイッ―……え?」

 

 

苦笑しながら言い放った零の言葉を否定しようとするフェイトだが、その前に零がフェイトを引き寄せ強く抱き締めていた。

 

 

フェイト「れ……い…?」

 

 

零「……俺もまだまだ未熟だな……お前達がどんなに辛かったのか漸く分かったのに……今でもそれをどうしたらいいのか分からないままだ……すまない……」

 

 

フェイト「……ううん……私も、零やなのはみたいに無茶をしたから……多分、おあいこかな……」

 

 

フェイトはそう言いながら苦笑を浮かべ、零の背中に両腕を回し強く抱きしめていく。そしてゆっくりと顔を上げ、零の顔を見上げながら口を開いた。

 

 

フェイト「……だけど……零の事だから多分、きっとまた無茶しちゃうでしょ?そういうところ、中々治らないし」

 

 

零「……多分な……怒ったか?」

 

 

フェイト「ううん……そうなったら少し怖いけど……信じてるから。零は絶対、私達を置いていかないって……約束があるから」

 

 

零「……あぁ……今度こそ守る……絶対に……」

 

 

苦笑を浮かべつつも、必ずと守ると強く断言する零。そんな彼の答えに安心したのか、フェイトは優しげに微笑みながら深く頷き、零はそんな彼女の表情に微笑を浮かべながらあることを思う。

 

 

零(……リィル……お前が誰なのかは、まだ全部は思い出せない。だがお前が言っていた通り、コイツ等は絶対に守る……だからもう少し待ってくれ……お前の事も……俺の過去も……必ず思い出してみせるから)

 

 

腕の中で微笑むフェイトを見つめながら、静かな決意を胸の内に秘める。守るべき物がまた一つ、彼の中で生まれた瞬間だった……

 

 

 

 

 

◇◆◆

 

 

 

 

 

―海鳴市・路地裏―

 

 

 

そしてその頃、街中にあるとあるビルの路地裏では、完全に体調が回復して身体の調子を調べる真也。そしてその真也の様子を離れて確認する恭平と麻衣の姿があった。

 

 

真也「……うしっ!身体はもう大丈夫そうだな」

 

 

恭平「だな。こっちでも特に目立った問題があるようには見えなかったし、正に完全復活だな♪」

 

 

麻衣「……だな」

 

 

恭平は調子の戻った真也を見てヘラヘラとした笑みを浮かべ、麻衣も安心してかいつもの無表情ではあるも少し緩んでように見える。真也もそんな二人に向けて微笑を浮かべながらスーツの乱れを直し、すぐにまた真剣な表情を浮かべる。

 

 

真也「さて……そんじゃあそろそろ本題に入るぞ?あの無効化の神にどうやって対抗するかをな」

 

 

恭平「つってもなぁ~……お前さっきアイツに負けたばっかじゃねぇーか?しかもお仲間さんまでご到着しちまったし……もうこっちには殆ど勝機はねぇぞ?」

 

 

麻衣「うん……今度は多分、フルボッコ……かも」

 

 

真也「……確かにな。もう真っ正面から向かっていくのは無謀なだけだと思うし、羅刹ももう使えねぇ……どーしたもんか」

 

 

祐輔に敗北し、更には平行世界の仲間達までこの世界に集結した以上、このまま正面から向かっていくのは命を捨てにいくようなものだ。ならば此処からはどう動くべきかと考えていると、恭平が何かを思い付いたようにポンッと手の平を叩いた。

 

 

恭平「じゃあさじゃあさ!こういうのはどうだ?!古典的な罠で、落とし穴~♪」

 

 

真也「却下だ…そんな幼稚な罠に引っ掛かるわけねぇだろ!!」

 

 

麻衣「じゃあ……これで足を滑らせて頭を強打させ、気絶したところを連れ去る……」

 

 

真也「ΣΣバナナの皮なんかで足が滑るか!!というかそんなん真顔でいうもんでもねぇぞ?!」

 

 

恭平「そんじゃあこれだ!道迷った通行人のフリして一人にさせる!んで、後ろからこのハンマーでガツ~ンっと♪」

 

 

真也「……俺ら全員顔見られてんだろ?」

 

 

麻衣「じゃあ…………お色気?」

 

 

真也「ハ?……プッ!アッハハハハハハハハハハハハハハッ!!おいおい、お前みたいな幼児体型の何処にお色気なんか…………イヤスマンセン、アナタモジュウブンミリョクテキデス、ハイ�」

 

 

麻衣の作戦を笑いながら否定しようとする真也だが、ズモモモモッ…と無表情のまま威圧感を漂わせてカードデッキを取り出す麻衣に即座に土下座。隣でそれを見てた恭平ですら若干顔を引き攣らせていた。

 

 

真也「ん……ゴホンッ!!と、とにかくもっとちゃんとした作戦じゃないとダメだ。あっちは大人数に対し、こっちはたったの三人。迂闊に仕掛けらんねぇんだから、機転の効いた作戦とかじゃねぇと……」

 

 

恭平「うーん……機転の効いた作戦ねぇ?」

 

 

そうは言っても、そう簡単に考え付くなら苦労はしないだろう。どんなに考えても中々良いアイデアは思い浮かばず、完全に途方に暮れていた。その時……

 

 

 

 

 

 

『――――フン、様子見に来てやってみれば……どうやら何の結果も残せていないようだな』

 

 

 

 

 

 

『…ッ?!』

 

 

路地裏に鳴り響いた不気味な含み笑い。三人はすぐにそれが聞こえてきた路地裏の奥の方へと振り返ると、奥からゆっくりと一人の黒いライダー……先程ライダー達から免れたヴェクタスが姿を現したのであった。

 

 

真也「ヴェクタスッ?!」

 

 

ヴェクタス『……ぶざまな姿だなぁ?まさか、ただやられてきただけで何も出来なかったのか?情けない奴らめ……』

 

 

真也「っ……うっせーよ。てか、そういうお前はどうなんだよ?此処にまだ残ってるってことは、てめぇも失敗して来たんじゃねぇのか?」

 

 

相変わらず見下すような口調で言い放つヴェクタスに真也は睨みを効かせながらそう言い返すが、ヴェクタスはビルの壁に背中を預けながらそれに鼻で笑う。

 

 

ヴェクタス『お前達なんかと一緒にするな。予想外のアクシデントこそ多かったが、ちゃんと奴に力は使わせておいた。恐らく覚醒率も上がってる筈だろう』

 

 

『ッ…?!』

 

 

平然とした態度で言い返してきたヴェクタスの言葉に三人は驚愕の表情を浮かべた。前の世界で真也と麻衣が出来なかった事を果たしたというのだから、それも当然だろう。そしてヴェクタスは腕を組みながら再び口を開いていく。

 

 

ヴェクタス『それで?そっちの状況は一体どうなってるんだ?詳しく聞かせろ』

 

 

真也「ッ……麻衣」

 

 

麻衣「……分かった」

 

 

状況説明を要求してくるヴェクタスに真也は悔しげな表情を浮かべながら麻衣に説明を頼み、麻衣は渋々と自分達の方で起こった状況を詳しく説明する。

 

 

ヴェクタス『……情けないにも程があるな……結局はお前が足を引っ張ったせいで状況が悪化したという事だろう?使えない奴め』

 

 

真也「ッ……」

 

 

麻衣「ッ!真也をこれ以上を侮辱しないで!!」

 

 

真也「止せ麻衣!奴の言ってることは確かだ……今こんな状況になっちまったのも、全部俺が原因なんだからよ……」

 

 

麻衣「ッ……真也っ」

 

 

恭平「…………」

 

 

思い詰めた表情を浮かべてそう告げる真也に、麻衣も何処か悲しげな顔を浮かべながら真也の顔を見上げ、恭平は無表情のままそんなやり取りを見つめていた。そしてヴェクタスは一度間を置いて何かを思考すると、三人と向き合って口を開いた。

 

 

ヴェクタス『……いいだろう。今から俺が、お前達に手を貸してやるよ』

 

 

恭平「…?手を貸す?」

 

 

ヴェクタス『あぁ、今から俺の考えたプランの通りに動け。そうすれば間違いなく、無効化の神は俺達の手に落ちるだろう』

 

 

真也「……お前が考えたプラン?」

 

 

ヴェクタスが言うプランとやらに真也達は怪訝そうに小首を傾げ、ヴェクタスは不敵な笑みを浮かべながら自身が考えたプランを真也達に説明していく。

 

 

真也「――――ッ?!なん……だって?」

 

 

恭平「…おい…それマジで言ってんのか?」

 

 

ヴェクタス『当然だろう?これなら奴とて簡単に手は出せないはずだ。そうすればお前達の任務は無事完遂出来る。良い話だろ?』

 

 

麻衣「…………」

 

 

ヴェクタスの話したプランに真也は驚愕したような顔を浮かべ、恭平と麻衣は気に入らない物を見るような目で静かにヴェクタスを睨みつけていた。そして気を取り直した真也も二人と同じような目付きでヴェクタスを睨みながら叫んだ。

 

 

真也「ふざけんなよっ……何でそんなきたねぇ真似しなきゃいけねぇんだ?!第一ターゲットは一人だけだ!それ以外の別世界の人間には必要以上に干渉しねぇのがルールだろ?!」

 

 

ヴェクタス『ほう……ではお前は、それ以外になにか良い作戦でもあるというのか?』

 

 

真也「ッ!それ…は…」

 

 

真也はヴェクタスの言葉に何も言い返せず口を閉ざしてしまい、ヴェクタスはそれに構わず更に続ける。

 

 

ヴェクタス『よく考えてみろ……お前達にはどうしても叶えたい望みがあるんだろう?それを叶える為に、自分の手を汚さないなんて甘い考えが通るとでも思っているのか?あぁ?』

 

 

真也「ッ…!」

 

 

麻衣「っ………」

 

 

恭平「…………」

 

 

ヴェクタス『クククッ……分かったらさっさといけ。俺や終夜の命令を聞いてれば、揺り篭はお前等の願いを聞き入れてくれる……必ずな』

 

 

ヴェクタスが不気味な笑みを浮かべながらそう告げると、真也達は険しい表情のまま路地裏を出て何処かへと向かっていった。そしてそれを確認したヴェクタスはビルの壁に背中を預け、先程の戦いで突然起きた光の現象を思い出していく。

 

 

ヴェクタス『……ホントに驚いたよ。まさか今になってまでお前に邪魔されるなんてなぁ……何処までもうっとうしい女だ……』

 

 

忌ま忌ましげに舌打ちしながら毒づくヴェクタスだが、すぐに不気味な笑い声を漏らしていく。

 

 

ヴェクタス『―――三つ目の因子……"再生の因子"。まさか、自分の"心臓"を零に移植していたとはなぁ?だからあの時、奴は死ななかった訳か……成る程……中々味な真似をしてくれるじゃないか、リィル・アルテスタ?……クククッ……ハハッ……アッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!!』

 

 

ヴェクタスは狂気に満ちた笑い声を上げながら路地裏の奥へと歩き出し、目の前に出現した黒い歪みの壁を潜って何処かへと消えていった。

 

 

 

 

 

◇◆◆

 

 

 

 

 

―海鳴市・市街地―

 

 

 

ヴィヴィオ(祐輔)「~♪」

 

 

その頃。市街地にある商店街では、このキャンセラーの世界のヴィヴィオが聖祥大附属小学校の授業を終えてGreen Cafeへと帰宅している最中であった。

 

 

ヴィヴィオ(祐輔)「えへへ♪にい達、これ見たら喜んでくれるかなぁ~♪」

 

 

ヴィヴィオ(祐輔)は上機嫌に手に持つ画用紙……学校の友達と一緒に書いた祐輔達の似顔絵とGreen Cafeの絵が書かれた紙を見て微笑みを漏らしていた。

 

 

ヴィヴィオ(祐輔)「ふふ、早くにい達に見せてあげよ~♪」

 

 

自分の絵を見た祐輔達の顔を想像して自然と足取りも速くなっていき、早く祐輔達に見せてあげたいと一心でいつの間にか小走りになっていた。そして、目的地であるGreen Cafeが肉眼で見えるところまでやって来た。その時……

 

 

 

 

―………ガバァッ!!―

 

 

ヴィヴィオ(祐輔)「…?!んっ?!んんっ?!!」

 

 

背後から突然誰かにハンカチで口を塞がれてしまい、ヴィヴィオ(祐輔)は突然のそれに驚いてしまうがハンカチについた眠り薬によって気を失ってしまったのであった。そしてヴィヴィオ(祐輔)を眠らせた人物とは……

 

 

真也「……………」

 

 

黒いスーツを身体に纏った男性……先程ヴェクタスに命令されて路地裏を出た筈の真也だった。そして真也はヴィヴィオ(祐輔)を腕の中に抱き、そんな真也の下に影で様子を見ていた麻衣と恭平も歩み寄っていく。

 

 

恭平「……真也、どうだ?」

 

 

真也「……あぁ……ぐっすり眠ってるよ…………けどさ……」

 

 

真也は恭平にそう答えながら腕の中に抱くヴィヴィオ(祐輔)に目を向けていくが、その顔は何処か悲痛な物のように見えた。

 

 

真也「……なんで……なんでこんな小さいガキまで、巻き込まなきゃいけねぇんだよ……俺達の世界の住人でも、任務とも全然関係ない……こんなガキが……」

 

 

麻衣「……真也」

 

 

真也「……あぁ……分かってるさ……俺達が歩む道は外道の道……アイツのためならなんだってするし……すべてを捨ててみせる……俺は……そう決めて組織に入ったんだ……」

 

 

恭平「…………」

 

 

真也は腕の中で眠るヴィヴィオ(祐輔)を見つめながらまるで自分に言い聞かせるように呟き、ヴィヴィオ(祐輔)の髪を軽く撫でながら口を開いた。

 

 

真也「……ごめんな?全部終わったらちゃんと帰すから……ちょっとだけ怖いの我慢してくれ……」

 

 

ヴィヴィオ(祐輔)「………………」

 

 

恭平「……真也、いくぞ」

 

 

真也「……あぁ」

 

 

真也はヴィヴィオ(祐輔)をちゃんと抱えると、恭平と麻衣と共に背後に出現した歪みの壁を通り、何処かへと消えていったのだった。

 

 

 

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