仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
番外編/平行する世界。疾風と切り札の物語
街の至る所に風車が建てられた街。零達一行が訪れたライダー少女Wの世界と全く同じ光景が広がるこの街……風都。この街は今、ある事件が勃発して混乱に陥ている最中であった。それは……
―ドゴオォッ!ドゴオォッ!ドゴオォォォォォォオンッ!!―
『きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあッ!!?』
街の大通りの中で宙に舞う無数の車達。中にはビルに激突して大破するものや、道路の真ん中に落ち爆発を起こすものなどがあった。その場に居合わせた者達も混乱状態になりながら逃げようと必死になる中、道路の奥には深紅色の鎧甲冑のような姿をした怪人が破壊活動を行なっていた。
『…消えろっ…全部燃えて消え去ってしまえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえッ!!!』
怪人は身体から深紅の炎を噴き出させて街を焼き払い、身体に炎を纏わせたまま更に街の奥へと進んでいく。そんな時……
「――其処のドーパント、待ちな」
『……ッ!』
燃え上がる大通りの奥から一人の影が現れ、ドーパントと呼ばれる怪人の前に立ち塞がった。WIND SCALEと刻まれた黒い帽子を被り、スタイリッシュなスーツを着込んだ青年。青年は何処かカッコつけた態度を見せながら怪人へと歩み寄っていく。
「これ以上街で暴れ回るのは、止めてもらおうか?」
『ッ!何だお前は?!』
突然現れた青年にドーパントは苛立ちを浮かべながら問い掛け、青年は頭に被る帽子に手を添えながらその問いに答える。
「俺はこの街を愛するただの探偵さ。この街を泣かせる者は誰だって許せねぇ。例えそれが……力に溺れた悪魔だろうと、な?」
俯き加減にドーパントを見据えながら青年はそう強く答え、ドーパントはそんな青年から何かを感じたのか少し後退りしてしまう。のだが……
「(ヨッシャー!今度こそ決まったぜハードボイルドによ!今の俺ってめちゃくちゃイケてるだろ?!)」
……当の本人である青年は心の中で今の自分の台詞に痺れていた。しかしそんな青年の心境も知らずドーパントは身体から深紅の炎を波のように噴き出し青年へと襲い掛かり、青年はすぐに地面を転がるようにそれを回避するとポケットから機械のような物を取り出していく。
「チッ、やっぱもうメモリの力に飲まれてるみてぇだな……ならお前を止めてやる。俺が……いや、"俺達"が!」
青年はそう言って持っていた機械を腹部に当てると、機械はドライバーのようにベルトとなって腰に巻き付いていき、青年は更にコートから一本の黒いメモリースティックのような物……翔子が持つのと同じガイアメモリを取り出し、ボタンの部分を人差し指で押していく。
『JOKER!』
「いくぜ、"アイリス"!」
ガイアメモリから電子音声が鳴り響くと、青年は誰かに向けて呼び掛けながらガイアメモリを構えていった。
◆◇◆
同時刻、とある事務所の隠し部屋……
「―――検索完了、今回も中々興味深い内容だったわ…」
薄暗い部屋で文字がびっしりと書かれたボードの前に立つ分厚い本を持った凜とした顔付きの美少女。白銀のロングヘアーの髪を靡かせながら少女はその場から歩き出し、部屋に備え付けられたソファーに腰を降ろそうとした。その時……
―シュウゥゥゥゥ…パアァンッ!―
「ッ!…どうやら、出番が来たみたいね」
少女の腹部に突然先程青年が装着したベルトと同じ物が現れ、少女は急な出来事に一瞬驚きながらもすぐに事態を把握し、ポケットから緑色のガイアメモリを取り出してボタンを押した。
『CYCLONE!』
ガイアメモリから電子音声が鳴り響くと少女は真剣な表情となりながらメモリを構えていく。そしてドーパントと向き合っていた青年も少女とは逆向きにメモリを構え、そして……
『変身ッ!』
二人は同じタイミングで叫ぶと、少女は先にメモリをベルトのバックル部分の右側にセットする。するとメモリはバックルから消え、それと同時に少女は意識を失いソファーに倒れ込んでしまった。
◆◇◆
そして場所は戻り、青年のベルトのバックルの右側の差し込み口に少女がセットしたメモリが現れ、青年はそれをしっかりセットすると次に自分の持っていたメモリをバックルの左側の差し込み口に装填しバックルをWの形に開いた。
『CYCLON!JOKER!』
電子音声が鳴り響くと青年の身体は吹き荒れる風と共に装甲に覆われ、赤い瞳に右側は緑、左側は黒というアンシンメトリーな身体。右側に銀色のマフラーを靡かせる仮面の戦士……以前零達一行が訪れたライダー少女Wの世界に現れた勇樹が変身したのと同じ仮面ライダー、ダブルへと姿を変えていったのであった。そして変身したダブルは左手を前に出し、驚愕して戸惑うドーパントへと指差していく。
ダブル『さぁ、お前の罪を数えろ!』
青年と少女が重なった声で決め台詞を叫ぶと、ダブルは直ぐに走り出しドーパントへと突っ込んでいった。
ダブル『ダァ!オラァッ!』
―バキィッ!ドゴォッ!!―
『ヌグゥッ?!グッ!』
ダブルは華麗な動きで連続キックをドーパントに打ち込んでいき、ドーパントはダブルの動きに翻弄されて吹き飛ばされた。しかし、態勢を立て直したドーパントは身体から溢れさせた炎をダブルに向けて弾丸の如く放っていき、ダブルはそれをなんとかかわしながら後退していく。
ダブル『ッ!クソッ!マグマの時みてぇな攻撃してきやがって!』
ダブル(少女)『めんどくさいわね……翔一、長引く前にさっさと倒すわよ!』
ダブル『クッ!仕方ねぇな…ならやるか!』
ドーパントから放たれる炎を蹴りで弾きながら後方へ下がると、ダブルはダブルドライバーからサイクロンメモリを抜いて金色のメモリを取り出し、ドライバーに装填してWの形へと展開した。
『SHINING!JOKER!』
電子音声が響くとダブルの右半身が白いラインの入った金色のボディーとなった姿、シャイニングジョーカーへとハーフチェンジしたのである。そしてダブルは身体全体に金色のオーラを纏って炎を弾き返し、そのままドーパントへと勢いよく走り出した。
ダブル『ハアァァァァァ…オラアァッ!!』
―シャバババババババババババババババッ!!ドガアァァァァァァァァァァァァアンッ!!―
『ギガアァッ?!』
炎の雨をかい潜ったダブルがドーパントへと左手を突き出した瞬間、左手から放たれた金色のオーラがドーパントの身体を包み込み、ドーパントは身体から無数の火花を散らせながら吹き飛んでいった。だが……
『ヌ、ヌウゥゥゥゥゥ……ハッ!』
―バサアァッ!!―
ダブル『ッ?!なに?!』
このまま戦っても自分に分が悪いと感じたのか。ドーパントは突如背の部分から二対の炎の翼を生やし、そのまま翼を羽ばたかせるとジェット機の如く上空へと飛んで逃げ出してしまったのである。
ダブル『お、おいコラっ?!逃げんなこの野郎ッ!!』
ダブル(少女)『マズイわね…このままだと確実に逃げられるわ。しかもあそこまで距離を離されたらトリガーでも届かないっ…』
ダブル『チッ!それなら…コイツの出番だ!』
このままでは逃げられてしまうと聞いたダブルは直ぐさまダブルドライバーからジョーカーメモリを抜き取り、今度は薄い赤色のメモリを取り出してドライバーへと装填し、Wの形に展開した。
『SHINING!ARCHER!』
電子音声が鳴り響くと同時に今度はダブルの左半身が薄い赤色の身体と、右手に薄赤色と黒の混じった巨大な弓を持った姿……シャイニングアーチャーへと姿を変えていった。そしてダブルはダブルドライバーからアーチャーメモリを抜き、アーチャーアローへと装填していく。
『ARCHER!MAXIMUM DRIVE!』
電子音声が響くとダブルはアーチャーアローの矢の先を上空へと向けながら弓を引いていくと、アーチャーアローに金色の光が集まり巨大な矢を形成していく。そして完全な矢の形に形成されるとダブルはアーチャーアローの照準を空へと逃げ去るドーパントに向けていき、そして……
ダブル『アーチャーレイドオルタァッ!ハッ!!』
―ググッ…ドゥシュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥウッ!!!―
『ッ?!グ、グオォォォォォォォォォオーーーーーーーッ!!?』
―ドッガアァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!―
アーチャーアローから撃ち出された金色の矢は音速を越えた閃光となって遥か上空へと逃げたドーパントに迫っていき、ドーパントの身体を貫き爆発していったのだった。そしてドーパントが爆発して起きた爆煙の中から粉々に砕け散ったメモリが飛び出して地上へと落ち、その近くにあるビルの屋上の柵にはドーパントに変身していたと思われる男性がぶら下がっていた。
ダブル『ヘッ、キマッたぜ…』
ダブル(少女)『みたいね…後の事は警察に任せておけば大丈夫でしょう』
ダブル『あぁ。そんじゃ、警察が来る前にさっさとトンズラしますか』
右半身に宿る少女の精神と会話しながらダブルは変身を解除しようとダブルドライバーに装填されたメモリを抜き取ろうとし、バックルに装填されたメモリに手を伸ばしていく。だが……
ダブル『…っと、そうだった。お前に伝言があったの忘れてたぜ』
ダブル(少女)『…?伝言?』
ダブルは突然何かを思い出したかのように声を上げ、それを聞いたダブル(少女)は疑問そうにダブルに聞き返していく。
ダブル『あぁ。ワリィけど、これからちょっと用事があるんだ。だから多分帰り遅くなると思うから事務所の留守番頼むわ』
ダブル(少女)『…?だから何なのよ、その用事って?まだ他に依頼でもあるの?』
ダブル『いや、実はこれから明日葉との買い物に付き合わなきゃいけねぇんだよ』
ダブル(少女)『……は?』
明日葉との買い物に付き合わなきゃいけない。ダブルのその言葉にダブル(少女)は訳が分からないといったように疑問の声を上げ、ダブルはそれに気付かず更に続ける。
ダブル『さっき調査の途中に明日葉から電話があってな?これから買い物に付き合って欲しいって頼まれちまったんだよ。いやぁー、モテる男はツライねぇ~♪なんつって』
ダブル(少女)『…………』
冗談っぽく言いながら頭を掻くダブルだが、ダブル(少女)は何も言わずにただ無言でいた。そして右半身は何処からか『調子に乗んじゃねぇー鈍感野郎!』と刻まれた緑色のスリッパを取り出し、ダブルの左半身をぶん殴った。
―パコォンッ!!―
ダブル『ってぇ?!な、何すんだよいきなり?!』
ダブル(少女)『……フン。そんなに明日葉との買い物が嬉しいなら、そのまま明日葉の家に泊まりにでも行けば?多分その方が明日葉も喜ぶんじゃないかしら?』
ダブル『…は?何言ってんだお前?』
いきなりスリッパで殴られた上に訳が分からない事を言われダブルは意味が分からないと言った顔を浮かべるが、ダブル(少女)は構わず冷たい口調で言い返す。
ダブル(少女)『なんなら、そのまま帰ってこなくてもいいわよ?別に私には関係ない事だし……じゃあね』
ダブル『あ?……お、おいアイリス?アイリスッ?!』
ダブル(少女)が言いたい事だけ言って最後にそう言うとダブルは変身が強制的に解除されて青年へと戻り、青年は自分の姿を見て困惑の表情を浮かべた。
「ちょ、何なんだよ一体?!何でいきなり怒ってだよォォォォォォォォォーーーーーーーーっっ!!?」
何故自分の相棒がいきなり不機嫌になったのか分からない青年は自分の本心を全力で叫び、風が吹く風都に彼の虚しい叫びが木霊したのであった。てか、ハードボイルドは何処いった……?
平行世界のW。遠い未来、彼等が世界の破壊者と物語を交える日が来るとは……まだ誰も知らない。