仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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キャンセラーの世界
第十四章/キャンセラーの世界⑫


 

 

―Green cafe―

 

 

祐輔「痛っ…!」

 

 

ミナ「あ、ジッとしてて!ちゃんと消毒しないといけないんだから…!」

 

 

ユウ「……でも酷いな……此処まで手酷く傷を負わせるなんて……」

 

 

響と皇牙に助けられてなんとか店へと戻ってきた祐輔は、今現在ミナと"ユウ"に怪我の治療をしてもらっている最中であった。だが、あの激戦で受けた傷はどれも深いものばかりであり、しかもその量が想像以上に多いせいで治療は中々終わらず時間が掛かっていた。するとそんな時、店の入り口が開いて其処から二人の青年……響と皇牙が現れ、店の中へと入ってきた。

 

 

祐輔「…ッ!二人共!どうだった?!」

 

 

響「ッ……それが…その……」

 

 

皇牙「……悪い。翔達にも手伝ってもらってんだけど、まだ何も……」

 

 

祐輔「ッ……そう……」

 

 

言いにくそうに報告する響と皇牙の言葉を聞いて祐輔はガクリと肩を落としながら椅子に座り込み、ミナとユウも暗い表情を浮かべて顔を俯かせてしまう。

 

 

響「そ、そんな落ち込むなって!きっとその内帰ってくるさ!」

 

 

ミナ「……でも、もう学校終わってからかなり経ってるんですよ?学校や友達の家に連絡してもいないって言うし……なら、一体何処に行っちゃったんですか……」

 

 

皇牙「それは……」

 

 

ユウ「…………」

 

 

顔を俯かせながら重苦しい雰囲気で呟くミナの言葉に響と皇牙も言葉が浮かばず口を閉ざしてしまい、ユウも更に表情を暗くさせてしまう。実は数時間前、学校がもう終わってる時間にも関わらずヴィヴィオ(祐輔)がまだ帰って来ないことに疑問を感じたミナ達は翔達にも協力してもらい、ヴィヴィオ(祐輔)の捜索に当たっていたのだ。だが学校やヴィヴィオ(祐輔)の友達の家、そして彼女が行きそうな場所をどんなに捜索しても一向に見つからず、こうして今も発見出来ないでいたのだ。

 

 

ミナ「どうしよう……まさか、何か事故に巻き込まれたとか?!それとも誘拐?!」

 

 

ユウ「ミ、ミナ!落ち着いて!」

 

 

響「翔達ならきっとすぐ見付けてくれるって!だから冷静になれ!」

 

 

ミナ「ッ……でも……だけど……」

 

 

きっとヴィヴィオ(祐輔)は無事だからと安心させようとする響達だが、胸の不安を取り除けないミナは涙目になりながら顔を俯かせてしまう。そうして店内に重苦しい空気が流れ続ける、そんな時……

 

 

 

 

―カランカラーンッ―

 

 

ルミナ「こんにちわ~♪」

 

 

大輝「ちょっと邪魔するよ~」

 

 

響「…!お前等?!」

 

 

ミナ「だ、大輝さん…?!」

 

 

店の扉が不意に開き、其処から先程祐輔達を助けてくれた大輝とルミナが店の中へと入ってきたのである。突然の二人の来店に思わず驚いてしまうミナ達だが、皇牙は険しい表情で大輝に話し掛ける。

 

 

皇牙「何だよお前等?今度は一体何の用だ?」

 

 

大輝「つれないなぁ。一応君達を助けてあげた恩人なのに、そんな言い方ないんじゃない?」

 

 

響「良く言うよ……お前が助けたかったのは祐輔だけだろ?……それで、一体何の用だ?」

 

 

大輝「別に君達に用はないさ。俺はただ、無効化の青年君に渡す物があって届けにきただけだ」

 

 

祐輔「…?僕に?」

 

 

祐輔に渡す物があると告げる大輝に祐輔達は疑問げに首を傾げてしまい、大輝はそんな一同の反応を他所に胸ポケットから一通の手紙を取り出しそれを祐輔へと投げ付けていった。そして祐輔はそれを受け取ると、手紙を開いて中の文章に目を通していく。其処には…

 

 

 

 

 

―この世界の聖王とお前の母親を預かった。返して欲しければ、一人で町外れにある廃棄工事に来い。さもなければ……お前の大事な家族の命はない―

 

 

 

 

 

祐輔「ッ?!これ……は…」

 

 

手紙に書かれていた内容とは、この世界の聖王と祐輔の母親を預かったという文章だったのだ。それを見た祐輔が表情を険しくさせていく中、隣で祐輔の様子を見ていたミナ達も手紙を横から覗き込み、その文章を読んで驚愕の表情を浮かべた。

 

 

皇牙「こ、これは…?!」

 

 

ユウ「この世界の聖王と母親って………もしかして、ヴィヴィオと佐知さんのこと?!」

 

 

ミナ「そ、そんなっ…一体誰がこんなこと?!」

 

 

響「ッ!お前っ…どうしてこの手紙を?!」

 

 

大輝「俺の店に変な使い人がやって来てそれを置いてったのさ。手紙の内容からして犯人は間違いなく……君達と零達を襲った例のライダー達だろうね。おそらく君達平行世界の住人達が現れた事に焦りを感じて、あっちも強行手段に出たって所だろう」

 

 

祐輔「…………」

 

 

手紙の内容に驚愕するミナ達の隣で、大輝は何でもないように言いながら近くのテーブルの椅子に腰を下ろしていく。そして、祐輔は前髪で目元を隠しながら手に持つ手紙をクシャッと握り潰し、それを乱暴に投げ捨てて椅子から立ち上がりそのまま店を出ようと歩き出した。

 

 

ミナ「ゆ、祐輔?!」

 

 

皇牙「お、おい待て!何処に行く気だ?!」

 

 

祐輔「………決まってるでしょ……二人のとこにいく……」

 

 

皇牙「なっ…馬鹿言うな?!どう考えても罠って分かってんだろ?!」

 

 

響「それにお前もまだ怪我が治ってないだろう?!あの二人のことなら俺達が助けるから、お前は此処で大人しくしてろ!」

 

 

怪我の治療もまだ終わっていないのに手紙で指定された場所にいくと告げる祐輔を引き留めようと、響は慌てて祐輔へと駆け寄り肩を掴んだ。しかし……

 

 

 

 

 

 

祐輔「―――――邪魔……しないでよ……」

 

 

―………ゾワァッ!!!―

 

 

響「……ッ!!?」

 

 

凍てついた一言と共に祐輔から殺気染みたオーラが放たれ、それを感じ取った響は恐怖のあまり思わず手を離し後退りをしてしまい、背後にいたミナ達もそれを感じ取ったのか恐怖で顔を引き攣らせながら祐輔を見ていた。

 

 

皇牙「お、おい…祐輔さん…?」

 

 

祐輔「―――ジッとしてるなんて、無理に決まってるでしょ……僕だけ狙って来るなら別に構わないよ……だけど、関係ないはずの母さんとヴィヴィオまで利用してきたんだ……それを黙って見てるなんて……出来るはずないじゃない……」

 

 

ミナ「ゆ…祐輔……」

 

 

淡々と感情の篭っていない言葉を紡ぎながら信じられない殺気を放ち続ける祐輔に、ミナ達は恐怖のあまり声を出すことすらままならないでいた。そして祐輔はそんなミナ達を無視して店の扉を開き、外へ飛び出すと手紙で指定された場所である廃棄工事へと向かっていった。

 

 

皇牙「……い、今の…………ホントに祐輔さん…………なのか……?」

 

 

 

響「っ……なんて殺気なんだ……身体の震えが止まんねぇっ……」

 

 

ミナ「…………あ、あそこまで怒った祐輔………私も初めて見た………」

 

 

ルミナ「あわ、あわわわわわ……」

 

 

祐輔が出ていった後もミナ達は祐輔の放った殺気に当てられたせいでガクガクと身体の震えが全く止まらず、大輝も若干顔を引き攣らせながら祐輔が出ていった扉を見つめていた。

 

 

大輝「これは驚いたな……普段の彼を見てるせいか、流石の俺もあんな青年君には恐怖を感じたよ……」

 

 

響「……って、呑気なこと言ってる場合じゃねぇだろ?!どうすんだよ!お前のせいで祐輔が行っちまったじゃないか!!」

 

 

大輝「そんなこと言われてもねぇ……手紙には青年君一人で来いって書かれてたんだから、どっちみち彼に見せないといけないだろ?……それとも、君はあのままあの二人が殺されても良かったと?」

 

 

響「っ……そうじゃないけど、それでも祐輔に見せる前に俺らでどうにか出来たかもしんないだろ?!」

 

 

大輝「それでも結局は同じだよ。彼等はあの青年君にあれだけの深手を負わせた手練れなんだ。例えどんな小細工を用意しておこうが、それを使う前に簡単に見破られて二人が殺されるだけさ」

 

 

響「っ…!」

 

 

冷静にそう告げる大輝に響は言葉を飲み込んで黙ってしまい、大輝はそんな響を見ると椅子からゆっくりと立ち上がり、店の中を歩き回りながら再び口を開く。

 

 

大輝「取りあえず今は、青年君とあの二人を救い出す方が先なんじゃないかな?……そうだろ、零?」

 

 

『……え?』

 

 

店の窓から外を眺めながら大輝が呟いた名前にミナ達は思わず疑問そうな声を漏らし、それと同時に店の扉が開いて其処から零とフェイトが入ってきた。

 

 

皇牙「れ、零?!」

 

 

響「お前等…いつから其処に?!」

 

 

零「……そこの二人が店に入ってきたところからだ。取りあえず大体の話は、外の方で聞かせてもらった」

 

 

大輝「あらら……立ち聞きなんて流石の俺でも感心しないよ、零?」

 

 

零「誰のせいだ!お前達が先に店に入ったせいで、こっちは入るタイミングが掴めなかったんだだろう!」

 

 

フェイト「ちょっ、零!今はそんなこと言ってる場合じゃないでしょ?!」

 

 

爽やかに微笑む大輝の言葉に零は思わず食いついてしまうが、フェイトに宥められて何とか気を取り直し、一度咳払いをしながら再び口を開いた。

 

 

零「…とにかく今は、祐輔とあの二人をどうにかするべきだろう。流石の祐輔とはいえ、母親と妹を人質に取られていてはまずいだろうし……なにより、もしもあのライダーが出て来るとなると厄介だ」

 

 

大輝「―――仮面ライダーヴェクタスか。確かにあの青年君でも、アレの相手は少々手こずるだろうね」

 

 

ミナ「…?どういう事ですか?そのヴェクタスって、そんなに強いんですか?」

 

 

二人揃って険しい表情を浮かべる零と大輝に、ミナは二人が厄介だというヴェクタスについて疑問そうに聞き出す。だが、それを聞いた零は驚愕の表情を浮かべながらミナの方に顔を向けた。

 

 

零「お前等……まさか、翔達から何も聞いてないのか?」

 

 

ミナ「え?あ、いえ。そのヴェクタスっていうライダーと零さん達が戦ったことは聞いていたんですけど、詳しく聞く前にヴィヴィオの学校から連絡があって聞きそびれちゃって……あの、もしかして何かあったんですか?」

 

 

零の表情から何か良からぬ事を感じ取ったミナは真剣な口調で聞き返すが、零とフェイトはどう説明するべきかと迷ってしまう。すると、そんな二人を見兼ねた大輝は肩を竦めながら口を開いた。

 

 

大輝「そのヴェクタスっていうライダーに変身してるのは……敵さんに捕われた佐知さんなんだよ」

 

 

『……え?』

 

 

フェイト「ッ!ちょ、大輝?!」

 

 

大輝の口から告げられた予想外の人物の名にミナ達は思考が停止して呆然としてしまい、いち早く気を取り直したユウは血相を変えて口を開いた。

 

 

ユウ「ど、どういうこと?!佐知さんが敵のライダーって?!」

 

 

大輝「言葉通りの意味さ。ヴェクタスは佐知さんの体を取り込んで自分のものにしてしまったんだよ。それに今もまだ佐知さんは奴に捕われたままだし……この手紙を送り付けて来たのも、多分奴だろうね」

 

 

ミナ「そ、そんなっ…?!それじゃあ?!」

 

 

大輝「―――間違いなく、指定された場所に佐知さんの身体を使うヴェクタスが待ち伏せていて、青年君はそいつと戦うことになるだろうね」

 

 

『ッ?!』

 

 

真剣な口調でそう言い放った大輝の言葉に、ミナ達は驚愕のあまり息を拒んでしまう。佐知とヴィヴィオが敵に捕われてるだけでなく、敵は佐知の身体を使って祐輔と戦おうとしている。家族を自身の命より大事にしている祐輔からすれば、自分の母親を相手にするならいざ知らず、母親を本気で倒せる筈がない。もしもそんな戦いの中で、ヴェクタスが佐知の身体を人質にして祐輔を戦えなくさせてしまったら……

 

 

―ガシッ!―

 

 

零「ッ?!」

 

 

ミナ「お、お願いします!佐知さんとヴィヴィオを!祐輔を助けて下さい!!」

 

 

ユウ「ミ、ミナ!」

 

 

響「お、おいミナ!落ち着けって!!」

 

 

最悪の展開を想像してしまったミナは、いきなり零の両腕を掴んで必死に祐輔達を助けてくれと頼み込み、それを見たユウと響は慌ててミナを零から引き離そうとするも、ミナは一向に零から離れようとせず泣きながら顔を俯かせてしまう。

 

 

零「……ミナ?」

 

 

ミナ「お願いしますっ……祐輔にとってっ……二人は……家族はっ……ホントに大事な存在なんですっ!!だからもしかすると、あの二人の為に命を投げ出す事だってあるかもしれない……万が一、本当にそんな事が起きて祐輔に何かあったら……私っ……わたしっ……!!」

 

 

ユウ「……ミナ…」

 

 

大粒の涙を流しながら、それでも必死に祐輔達を助けて欲しいと頼むミナにユウ達も何も言えなくなる。そして零はそんなミナを見た後、自分の首に下げられた祐輔の父親のカメラに目を向けて瞳を閉じると、ミナを離れさせてユウに預けていく。

 

 

ミナ「ッ…零さん…?」

 

 

零「……この店は、俺達にとっても大事な居場所だ。様々な世界からやって来た奴らが此処で色んな奴らと出会い、絆を作り、繋がりを手に入れる………だから―――」

 

 

其処で一度言葉を区切り、零は首に掛けるカメラを手に持ちながら……

 

 

零「――――その居場所がなくなってしまうような事は、俺達が絶対にさせはしない」

 

 

真摯の篭められた瞳で、確かに力強くそう答えたのであった――。

 

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

 

―海鳴市・市街地―

 

 

そしてその頃、ヴィヴィオ(祐輔)の捜索で街へと出ていた閃華と姫華はユウからの連絡を受け、祐輔が単独で向かったという町外れの廃棄工場に向かってビルの屋上から屋上へと駆け抜けていた。

 

 

閃華「まったく……あの子も以外と無茶なことするわね……!」

 

 

姫華「仕方ないわよ。大切な家族を人質に捕られてしまったら、私だってきっとそうするもの……それが煌一だったら塵も残さず消し去ってやるけど……」

 

 

閃華「……貴方のそういうところに関しては、佐知や祐輔に匹敵するわね」

 

 

若干ドス黒いオーラを噴き出す姫華に閃華も思わず冷や汗を流しながら苦笑いを浮かべる。そして十個目のビルの屋上を通りすぎた後で、姫華はふとある疑問を思い浮かべて口を開いた。

 

 

姫華「……ねぇ閃華?あのヴェクタスっていう奴……何だか少し気にならない?」

 

 

閃華「……えぇ、私もよ。何だかアイツ……他の世界のライダー達や、ダークライダーとかいう奴等とは別の感じがするのよね」

 

 

姫華「それだけじゃないわ……覚えてる?零の暴走が治まった時に起こった光を見た時の、アイツの言葉……『またそうやって邪魔をするのか』……って」

 

 

閃華「えぇ……それにアイツが言っていた、『魔女』っていうのも気になるわね……あれは一体、誰の事を指していたのかしら?」

 

 

零に関して意味深な言動を見せたヴェクタスについてそれぞれの疑問を口にする二人だが、ビルを駆け抜けていく最中で、閃華はある可能性に気付いて口を開いた。

 

 

閃華「……一応これは仮説なんだけど……もしかするとあのヴェクタスっていうライダーは、零と何か関係があるんじゃないかしら?」

 

 

姫華「…?零との、関係?」

 

 

閃華「えぇ……例えば何だけど……もしかしたらヴェクタスは、記憶を失う前の零と何か関わりを持っていたんじゃないかって…」

 

 

姫華「ッ!」

 

 

ヴェクタスは、記憶を失う前の零に出会っていたのではないか?そんな予想を口にする閃華に姫華も思わず息を呑み、それを口にした閃華も険しい表情を浮かべていた。そんな時……

 

 

 

 

 

 

―ブオォォォォオンッ…―

 

 

『ッ?!』

 

 

十八個目のビルの屋上へと降り立った瞬間、突如二人の目の前に歪みの壁が出現し、それを見た二人は驚きつつもその場で立ち止まり警戒して身構えていく。そして歪みが徐々に晴れていくと……

 

 

 

 

 

 

鳴滝「――やぁ。こんにちは、式 閃華に御薙姫華」

 

 

閃華「ッ?!貴方は…?!」

 

 

姫華「鳴滝っ…!」

 

 

そう、二人の目の前に姿を現したのは、先程臨海公園にも現れて姿を消した筈の鳴滝だったのである。鳴滝の突然の登場に二人も驚愕してしまうが、鳴滝はそれに構わず二人に歩み寄っていく。

 

 

鳴滝「今日は君達に大事な話があってきた。少し時間を頂いてもよろしいかな?」

 

 

閃華「……姫華、貴方は先に行きなさい。此処には私が残るわ」

 

 

姫華「ッ?!でも閃華…!」

 

 

閃華「私なら大丈夫よ……それにコイツと話してる間にも祐輔の身に危機が迫ってるかもしれない。だから今は、祐輔の方を優先しなければいけないわ。それは貴女も分かってるでしょ?」

 

 

姫華「ッ……わかったわ…気をつけてね?」

 

 

鳴滝が現れた事も気になるが、今は祐輔の方を優先にしなければいけない。閃華にそう促された姫華は一瞬迷いを見せるもすぐに決心して頷き、鳴滝の真横を通りすぎて先に目的地へと向かっていた。そしてそれを確認した閃華は、めんどくさそうに深い溜め息を吐きながら鳴滝へと目を向けていく。

 

 

閃華「それで、話って何かしら?……まあどうせディケイド、零がどうとかって話でしょうけど……」

 

 

鳴滝「そうだ、話が早くて助かるよ。あの悪魔を……ディケイドを倒すには君達の力が必要なのだ。だから君達の力で、あの悪魔をこの世界から消し去って欲しい!全ての世界の為にも!」

 

 

ディケイドを倒して欲しいと両手を広げながら高らかに叫ぶ鳴滝。そんな鳴滝を見た閃華は両腕を組みながら肩を竦め、前髪を片手で払いながら再び口を開いていく。

 

 

閃華「そうね……でも悪いけど、私は零を消すつもりなんてこれっぽっちもないわ」

 

 

鳴滝「ッ?!何故だ?!君達も見ただろう?!あの破壊本能に目覚めた悪魔の姿を!!あれこそが奴の本性なのだ!!奴が完全に力を取り戻してしまえば、君達の世界も奴に破壊されてしまうのだぞッ?!」

 

 

鳴滝は閃華の返答に予想外だと言う表情を浮かべながら必死に説得を試みるが、閃華は聞く耳持ちませんといった態度を取りながら鳴滝の隣を通りすぎていく。

 

 

閃華「……もしそうなってしまったら、私や響達が零を止めてみせるわ……絶対にあの子を破壊者になんてさせない」

 

 

鳴滝「ッ!馬鹿な……何故其処までして奴を庇い立てする?!奴は所詮、ただ全てを破壊する事しか出来ない化けも―バギイィッ!!―ヌグゥッ?!」

 

 

零を庇う閃華に鳴滝は苛立ちを浮かべながらなにかを叫ぼうとするが、その前に閃華が鳴滝を裏拳で殴りつけ吹っ飛ばしていった。

 

 

閃華「口には気をつける事ね……あの子が何者であろうと、あの子はれっきとした人間よ。例え貴方の言うように零が破壊者になったとしても、あの子を信じる仲間達が零を救ってくれるわ……絶対にね」

 

 

閃華は怒りに満ちた目付きで鳴滝を見下ろしながらそう告げると、鳴滝から背を向け姫華の後を追うようにビルの屋上から飛び出していった。そして一人残された鳴滝は、閃華に殴られた箇所を抑えながらゆっくりと立ち上がっていく。

 

 

鳴滝「愚かなっ……君達は何も分かっていないっ……奴は世界を破壊する事しか出来ない殺戮者だ……奴と君達が分かり合う事など、決して出来はしないっ!」

 

 

鳴滝は閃華が去った方向を見つめながら吐き捨てるように告げると、目の前から現れた歪みの壁を通り何処かへと消えていったのだった。

 

 

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