仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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第十四章/キャンセラーの世界⑬(前編)

 

 

―海鳴市・廃棄工場―

 

 

一方その頃、ヴェクタスが祐輔に来るように指定した廃棄工場では、上の階にある一本の鉄骨に鎖で巻き付かれたヴィヴィオ(祐輔)と彼女の側に立つオーガ達と複数のライオトルーパー、そして下には祐輔の到着を待つB佐知の姿があったのである。

 

 

ヴィヴィオ(祐輔)『ひぐっ……ぐすっ……にぃっ……ミナぁ……』

 

 

オーガ『ッ………』

 

 

ファム『……真也…』

 

 

アナザーアギト『チッ……おいヴェクタスっ!いつになったらターゲットは来るんだよ?!』

 

 

涙を流して怯えるヴィヴィオ(祐輔)にオーガが悲痛な表情を浮かべるのを見たアナザーアギトは、若干苛立ちを込めた口調でB佐知へとそう問い掛ける。それを聞いたB佐知は口元を歪めながら三人の方へと顔を上げていく。

 

 

B佐知『まあそう急かすな。この女とその小娘は、ターゲットにとって大事な物らしいからな…嫌でも来るに決まってる』

 

 

オーガ『……なら、その女だけで十分じゃなかったのか?なんでこんなガキまで巻き込む必要があんだよ……』

 

 

B佐知『奴が確実に一人で来るにはその必要があったからだ。その小娘が人質となっていると分かれば、他のライダー共もおいそれと動けないだろう?なんせ、アイツ等は正義感しか頭にない馬鹿共だからなぁ』

 

 

B佐知はそう言って両腕を組みながら愉快げに笑い声を漏らすが、オーガ達はそんなB佐知を険しい顔付きで睨みつけていた。

 

 

B佐知『……ん?何だその目は?言っておくが、これはお前達の為にしてることなんだぞ?』

 

 

オーガ『ッ……別にお前の力なんか借りなくたって、俺らだけでどうにか出来たさ!お前が横からしゃしゃり出て来なければっ…!』

 

 

B佐知『だが、実際お前等には他に手立てはなかったのだろう?それとも、あのまま俺の手を借りずに任務が失敗しても構わなかったとでも言うのか?そうなれば、お前達の願いは叶えられないというのに…』

 

 

オーガ『…ッ!』

 

 

B佐知のその言葉にオーガは口を閉ざして何も言わなくなってしまい、B佐知はそんなオーガを見た後何かに気付いたように入り口の方へと振り返り、口の端を歪めながらオーガ達の方へと顔を向ける。

 

 

B佐知『…とにかくお前等は、黙ってその娘のお守りでもしてろ。お前等が倒せなかった無効化の神は、この俺が潰してやる…』

 

 

『クッ…!』

 

 

自信ありげに笑うB佐知を見てオーガ達は更に表情を険しくさせ、B佐知はそれに構わず工場の入り口の方へと向き合っていく。そして入り口の扉が独りでに開いていき、其処には……

 

 

祐輔「…………」

 

 

険しい顔付きをした祐輔が静かに立ち構え、ゆっくりと工場の中へと入って来ていたのであった。

 

 

ヴィヴィオ(祐輔)「ッ…!にぃ!!」

 

 

祐輔「…ッ?!ヴィヴィオッ!!」

 

 

祐輔が工場の中へと歩いて来る姿を見付けたヴィヴィオ(祐輔)は泣きながら祐輔を呼び、それを聞いた祐輔は鎖で縛られるヴィヴィオ(祐輔)の姿を見てすぐさま走り出そうとするが、そうはさせまいと祐輔の目の前にB佐知が立ち塞がってしまう。

 

 

祐輔「ッ?!か、母さん?!」

 

 

B佐知『オイオイ……折角パーティーに招いてやった本人を無視するなんて、少し失礼じゃないかぁ?』

 

 

祐輔「ッ!……違う……母さんじゃない……君は一体……?」

 

 

不気味に笑うB佐知を見て自分が知る佐知ではないと感じ取った祐輔は、敵意を込めた目でB佐知を睨みつけながら身構えていき、それを見たB佐知は口元を歪めながら口を開く。

 

 

B佐知『俺の名はヴェクタス……まぁ、あそこにいる奴らの上司みたいな物だ』

 

 

祐輔「ヴェクタス…?まさか……翔兄達が言っていたライダーって……」

 

 

B佐知『ほぉ……奴らから事前に聞いていたか?まあその様子だと、俺がお前の母親の身体を使ってるってことは聞いてなかったようだな……』

 

 

祐輔「ッ?!」

 

 

B佐知がそう言うと、祐輔は目を見開いて驚愕の表情を浮かべてしまう。手紙の内容から佐知が捕われてしまった事は知ったが、まさか佐知の身体が敵に利用されているとは予想もしてなかったのだから当然の反応だろう。そしてそんな祐輔の反応を見たB佐知は再び薄気味悪い笑みを浮かべて語り出す。

 

 

B佐知『まあそう心配するなよ。お前の母親は、これからも俺が大事にしながら有効に使わせてもらうからさ……まぁ、飽きたら捨てるかもしれんがなぁ?アッハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!』

 

 

祐輔「…………」

 

 

顔を片手で覆い隠しながら愉快げに笑うB佐知を見て祐輔は更に表情を険しくさせ、全身から先程の非にもならない殺気を撒き散らしていく。それを見た周りのライオトルーパーの軍勢も恐怖のあまり思わず後退りをしていく。

 

 

B佐知『ほう……中々良い殺気じゃないか?クククッ……成る程。この女の知能から知ったが、阿南の戦闘本能とやらも中々興味深い。流石のお前でもその血には逆らえんようだなぁ?』

 

 

祐輔「…………煩い…」

 

 

『――相棒、俺に行かせろよ……俺がコイツ等全員、皆殺しにしてやるッ!!』

 

 

怒りで完全に正気を失った祐輔の心の中に響いた怒気の篭った声……祐輔のもう一つの人格である"祐闇"はそう言って表に出ていこうとする。だが、それに気付いたB佐知は素早く左手を上げ、それに応えるようにヴィヴィオ(祐輔)の両脇に立つライオトルーパー達はそれぞれの武器をヴィヴィオ(祐輔)の首に突き付けた。

 

 

ヴィヴィオ(祐輔)「ひっ……!」

 

 

祐輔「…ッ?!」

 

 

B佐知『おっと……その中の奴は出すんじゃないぞ?ソイツに出て来られたら色々と面倒だからな……もしも出したら、その瞬間あのガキの首を跳ねてやるから覚悟しとけ?』

 

 

祐闇『ッ!野郎ッ…!』

 

 

祐闇を表に出した瞬間ヴィヴィオ(祐闇)を殺す。そう告げられた祐闇は迂闊に表に出る事が出来なくなって舌打ちしてしまい、B佐知は祐闇が出て来る気配が消えたことに気付くとほくそ笑み、腰にベルトを出現させていく。

 

 

B佐知『安心しろ、別にあれを使ってお前を潰そうとは思っていないさ……もし俺との一騎打ちに勝てば、この女とあのガキを解放してやってもいい……ゲームはフェアじゃないと面白くないからなぁ。俺、優しいだろぉ?』

 

 

祐輔「…………」

 

 

薄気味悪い笑みを浮かべて言い放ったB佐知の言葉に祐輔は何も答えず、無言のまま腕に巻いた腕時計に手を掛け、そして……

 

 

祐輔「……変身…」

 

 

『GATE UP!CANCELER!』

 

『TIME QUICK!』

 

 

―シュンッ!―

 

 

『ッ?!』

 

 

祐輔はキャンセラーに変身したと同時に物凄い速さで動き出し、オーガ達の視界から一瞬で消えてしまったのだった。そして、タイムクイックを発動させたキャンセラーはライオトルーパー達の間をもの凄い速さで駆け抜け、一気に上の階にいるヴィヴィオ(祐輔)の下まで向かおうとした。だが……

 

 

 

 

『――やはりな。青二才の考えることは分かりやすい…』

 

 

キャンセラー『…ッ?!』

 

 

嘲笑うような声と共に頭上からしっかりと感じ取った寒気。キャンセラーは直感でそれ感じ取り咄嗟にその場から離れるように後ろへと跳んだ。その瞬間……

 

 

―シャバババババババババババババババババババァッ!!!!ドッガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!!!―

 

 

キャンセラーが立っていた場所に巨大な四つの閃光が降り注ぎ、轟音を響かせながら大爆発を巻き起こしていったのである。キャンセラーは爆風に吹っ飛ばされないように耐えながら右手に持つ刀を力任せに振るい、周りを覆う爆煙を払って視界をクリアーにさせる。その時……

 

 

―ブォンッ……ザバアァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!―

 

 

ヴェクタス『ハアァァァァァァァァァァァアッ!!』

 

 

キャンセラー『ッ?!』

 

 

爆煙が晴れた瞬間にキャンセラーの足元の影から突如ヴェクタスが飛び出し、剣を突き出してキャンセラーへと不意打ちを仕掛けた。だが、いち早くそれに気付いたキャンセラーは直ぐに後ろへとジャンプしてそれを回避し、勢いよく地を蹴ってヴェクタスへと斬り掛かっていった。

 

 

―ガギイィッ!グガァンッ!ガァンッ!ギギィッ…!ガギャアァンッ!!―

 

 

ヴェクタス『ハッ!どうしたッ?!もっと見せてみろ!お前の血、阿南の戦闘本能とやらをなぁ!?』

 

 

キャンセラー『ッ……煩い!!』

 

 

―ギギギギッ……シュババババババババババババババババババババッ!!!!!ドグォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!!!―

 

 

ヴェクタス『!!グォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!?』

 

 

―ガシャアァァァァァァァァァァァアンッ!!―

 

 

キャンセラーはカッ!!と両目を見開くと同時に自身の刀とせめぎ合わせていたヴェクタスの剣を力任せに押し切り、それと共に信じられない速さの斬撃でヴェクタスの身体を何度も容赦無く斬り刻み、最後には隅にある廃棄物の山へと勢い良く吹っ飛ばしていったのだった。

 

 

ヴェクタス『ッ……成る程……まさか……これほどとはっ……』

 

 

キャンセラー『ハアァァァァァァァァァァアーーーーーーーッ!!』

 

 

廃棄物の山に埋もれたヴェクタスは全身から血を流しながら苦痛に満ちた様子でそう呟き、そんなヴェクタスから好機を感じたキャンセラーは刀を両手で構えヴェクタスへと突っ込み、トドメを刺さんと言わんばかりに上段から勢いよく刀を振り下ろしていった。だが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―……カシュッ!―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

B佐知『―――祐輔、助けてっ……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キャンセラー『ッ?!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴェクタスは自分の顔ギリギリの所でキャンセラーの刃が振り下ろされた瞬間、突然仮面を開いて苦しげに涙を流すB佐知の顔をキャンセラーへと見せたのである。それを見たキャンセラーは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ガギャアァンッ!!―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キャンセラー『…ッ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

B佐知『……祐輔……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キャンセラーが振り下ろした刀はB佐知には当たらず、B佐知の顔の横ギリギリの壁へと突き刺さったのであった。キャンセラーは刀を握る手を震わせながらB佐知を見下ろし、B佐知は優しげな笑みを浮かべながらそんなキャンセラーへと手を伸ばし……

 

 

 

 

 

 

B佐知『……馬鹿め…』

 

 

 

 

 

 

―シュウゥゥゥゥ……ドグォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!―

 

 

 

 

 

 

キャンセラー『ッ!!ウアァァァァァァァァァァァァァァアッ?!!』

 

 

ヴィヴィオ(祐輔)「ッ?!にぃッ!!!」

 

 

B佐知は右手の手の平をキャンセラーの腹へと翳し、左手から巨大な黒い閃光を放ってキャンセラーを吹っ飛ばしてしまい、そのショックでキャンセラーは変身が解除され祐輔へと戻ってしまったのであった。

 

 

ヴィヴィオ(祐輔)「にぃ!にぃ!!しっかりしてにぃ!!」

 

 

祐輔「ッ……あ……れ…?僕っ……何をっ……」

 

 

変身が解けてしまった祐輔はヴィヴィオ(祐輔)の声を聞いてゆっくりと顔をあげていくが、怒りで我を忘れてしまっていたために何故自分が地面に転がっているのか分からずにいた。そしてそんな祐輔を見たB佐知は仮面を展開し、再びヴェクタスへと戻ると身体の傷を再生させながら祐輔へと歩み寄っていく。

 

 

ヴェクタス『フンッ。どうやら阿南の血を引いてるとは言え、お前はまだ家族への情を捨て切れてないようだな……殺しとは掛け離れた世界で平凡に育ったとはいえ、暴走してもこんな物ではこの女より優れてるとは言えんな……』

 

 

祐輔「ッ!暴……走……?―ドゴオォッ!―アグッ?!ウアッ…!」

 

 

ヴィヴィオ「にぃっ?!」

 

 

ヴェクタスが口にした暴走という言葉に反応し呆然と顔を上げる祐輔だが、ヴェクタスは高らかに笑いながら祐輔へと近付き、地面に倒れる祐輔の背中を踏み付けてしまう。

 

 

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