仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
第三章/キバの世界①
クウガの世界を究極の闇から救う事に成功し、思わぬ形で次の世界に向かった零達。
その一方、墓参りを終えて家に戻った筈の優矢は謎の白いコウモリに呼ばれ、何処かへと連れていかれていた。
優矢「お、おいっ。何処まで行くんだよっ?」
「フフフ……こっちこっち♪」
謎の白いコウモリに誘われ、灰色のオーロラの中を彷徨う優矢は戸惑い気味に白いコウモリに行き先を問うも、白いコウモリは妖艶に笑うだけで何も答えずそのまま何処かへと飛び去っていってしまい、直後に灰色のオーロラが晴れて優矢はいつの間にか西洋風の豪華な部屋の中心に佇んでいた。
優矢「え……ど、何処だよ、此処っ?」
見知らぬ場所に出て、訳も分からず優矢が困惑した様子で部屋の中を見回す中、其処へ突然部屋の扉が開き、部屋の中に青い狼、緑の魚人、紫のフランケンのような怪物達を先頭に数人のメイド達が部屋の中へ入ってきた。
優矢「何だ……人間と……怪物……?」
恐らく普通の人間であろう筈のメイドの女性達と、異形の怪物達が共にいるという普通ならありえない光景を目の当たりにした優矢は呆気に取られ、呆然と立ち尽くす事しか出来ずにいたのだった。
◆◆◇
そして同じ頃、次の世界に訪れた零となのはは一先ず写真館の外に出て周囲を見回し、クウガの世界の時とは明らかに違う街並みを見て零は肩を竦めてしまう。
零「成る程な……どうやらあの背景ロールを使えば、次の世界に着くって仕組みになってるらしい」
なのは「じゃあ、また次の世界に移動したって事なんだ……って、サラッて流し掛けたけどコレって相当なオーバーテクノロジーだよねっ?もしかしてあの背景ロール、実はロストロギアだったりとかするんじゃ……」
光写真館の外観を見上げると、やはり写真館もクウガの世界の時と同様に見た目が変化してしまっている。
一体本当にどういう仕組みになっているのか、並行世界間の移動という超常的に過ぎる現象を前になのはも懐疑的な眼差しを写真館に向ける中、突然灰色のオーロラが二人を包むように通過して過ぎ去り、零となのはの服装がいつの間に礼服に変わり、それぞれの手に黒と桜のバイオリンケースが握られていた。
なのは「え、ええっ?!また変わったっ?!」
零「おいおい、前回だけじゃなかったのかコレ……」
スバル「零さーん、なのはさーん?どうかしましたか……って、また変わってるっ?!」
ティアナ「な、何ですかその格好っ?!」
またもいきなり姿が変わった自分の格好を見て騒ぐなのはの声を聞き付け、遅れて写真館の外に出たスバルとティアナは二人の礼服姿を見て驚愕するも、零は特に動じる様子もなく手に持ったバイオリンケースを肩に担いで溜め息をこぼす。
零「俺にも良く分からんが、前の世界で警官やら学生やらをやらされてた所を踏まえるに、多分これが今回この世界での俺達の役目なんだろう……」
なのは「役割って……私にも?」
零「ああ。ただまぁ、こんな格好で何をしろと……うん?」
役割が分かりやすかった警官と違い、服装を見るに恐らくヴァイオリニストと思われる自身の格好を見てこの世界でやるべき事が読めず困惑する零だが、突然何かに気付いてカメラを構えていき、そんな零を見てなのは達も釣られて零がカメラのレンズを向ける先を追うと、其処には……
スバル「えっ……な、何あれ?!」
ティアナ「ビルに……竜の頭?」
そう、零がカメラを向ける先にあったのは、市街地の中心に建つ一際目立つ高層ビルの中腹から巨大な竜の頭が出ているという目を疑う光景だったのだ。
そのあまりにも突飛な光景になのは達も開いた口が塞がらないでいる中、零は高層ビルから頭を出す竜の写真を何枚か撮影して小さく呟く。
零「キャッスルドラン……キバの世界か……」
なのは「……え?零君、何であれの名前知ってるの?」
初めて訪れた世界である筈なのに、高層ビルから頭を出す竜……キャッスルドランの名前をまるで知っているような口ぶりで語る零になのはが疑問げに問い掛けるが、写真を撮り終えた零はファインダーから顔を離して暫し考える素振りを見せた後……
零「…………忘れた」
「「「ええぇっ……」」」
何かありそうな間を意味深に空けておきながらそんな呆れた返事を返され、思わず肩からずっこけにそうになるなのは達。とその時、突然強い風が零達の周りに吹き上がり、その風に乗って一枚のチラシが飛来しスバルの顔に巻き付いてしまう。
スバル「ぶぁうっ?!な、何これっ?!」
ティアナ「ハァッ……何やってんのよアンタは……ん?」
チラシが巻き付いただけで忙しなく慌てふためくスバルを見て呆れながらも、彼女の顔に纒わり付くチラシを取って上げるティアナ。
だが其処でチラシの内容が目に映って紙を読み始めていくと、ティアナは驚きで目を見開きながら零に慌ててチラシを見せていく。
ティアナ「れ、零さん!コレ、見て下さい!」
零「?」
スバル「ど、どうしたのティア?」
何やら急に慌て出したティアナの反応を見て訝しげに首を傾げながらも、零はティアナから受け取ったチラシを開きなのはとスバルと共に内容に目を通していくと、其処には……
スバル「"ファンガイアと人間の共存の手引き"……?」
チラシに書かれていたのは、人間とファンガイアと呼ばれる異形が交流を深めて町を盛り上げようという内容のものだった。しかも一緒に記載されている写真には、人間とファンガイアが仲良く笑い合う姿が映った集合写真が載っていた。
零「ファンガイアと人間の交流?何だこりゃ……どうなってんだ一体っ……?」
チラシに書かれた内容を見て零も手で口を覆い戸惑いを露わにするが、なのは達はその内容の意味がよく分からず首を傾げてしまう。
なのは「ねぇ零君、ファンガイアって一体何?」
零「……人間のライフエナジー……簡単に言えば命だな。ソイツを吸って人間を殺す怪物、分かりやすく言えば吸血鬼みたいな怪人達の事だ」
スバル「……あれ……?なのはさん、このファンガイアって確か、私達の世界で滅びの現象が起こった時にも現れたのと同じ怪人じゃ……?」
なのは「え?……ッ!そうだ……!確かあの時にも、ライフエナジーを寄越せって私達も襲われたんだ……!」
ティアナ「……じゃあホントに、この世界じゃ人間と怪人が一緒に暮らしてるってこと?」
見覚えのあるステンドグラスのような模様が特徴的なファンガイア達を見て元の世界で襲われた事を思い出し、人を襲う筈の存在がこの世界ではその人と共存しているという事実になのはとスバルは動揺し、ティアナも驚く中、零はチラシを折りたたんで胸のポケットに仕舞いながら市街地の方に視線を向けていく。
零「とにかく、この世界についてもう少し調べてみる必要があるな……よし、此処からは二手に別れるか。なのは、いくぞ」
なのは「え、ちょ、ちょっと待って!それじゃえっとっ、二人は聞き込みをお願い!何かあったら私達に連絡して!すぐに駆け付けるから!」
表に停めておいたディケイダーにさっさと乗って準備する零を慌てて追いつつ、なのははスバルとティアナにそう言いながらマシンの後部座席に乗り、ディケイダーで零と共にキャッスルドランが見える市街地の方へと向かっていった。
スバル「行っちゃった……えーっと、私達はどうしよっか……?」
ティアナ「どうするって……取り敢えず、私達は私達でこの世界の事を調べるしかないでしょ。ほら、行くわよ!」
スバル「えっ、ま、待ってよ!ティア~ッ!」
残された二人も、なのはから言い渡された指示通りに動くべく、情報収集の為に取りあえず近隣の人達から話を聞き出そうと歩き出していくのであった。