仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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第十四章/キャンセラーの世界⑰

 

 

同時刻、とある平行世界の謎の建造内・玉座の間……

 

 

 

裕司「―――以上が、この三人がキャンセラーの世界で行った作戦行動です」

 

 

終夜「……そうか…」

 

 

真也「…………」

 

 

恭平「…………」

 

 

麻衣「…………」

 

 

とある平行世界の建造物内にある玉座の間。其処では今、キャンセラーの世界から戻ってきた真也達が終夜の座る玉座の前に立っており、終夜は裕司が読み上げた報告書の内容を耳にして無表情を浮かべていた。

 

 

終夜「……キャンセラーとの戦闘に敗北し、データも殆ど取る事が出来ず、あまつさえNo.2のヴェクタスを置いて敵前逃亡……無効化の神の実力については眼中に入れていたとは言え、まさか組織の内の三人を向かわせた結果が……これとはな」

 

 

真也「ッ……ワリィ……俺がドジ踏んじまったせいでこうなっちまったんだ……本当にすまねぇ……」

 

 

裕司「謝って済む問題だと思っているのか…?作戦に失敗しただけでなく、お前は自分の正体に繋がる証拠を敵に見られたんだ………もしそれで我々の正体まで知られでもしたら、どうやって責任を取るつもりだっ?!」

 

 

真也「ッ……本当に……すまねぇ……」

 

 

怒りに満ちた目付きで睨みつけてくる裕司に真也もただ頭を下げるばかりであり、真也の後ろに立つ恭平と麻衣もどんな言い訳をするべきか思いつかず口を閉ざしていた。

 

 

裕司「ハァ……終夜、任務の一任を全て任せていたのはコイツです。処分はいかがしますか?」

 

 

恭平「!待ってくれ!責任なら俺らにだって「貴様は黙っていろ」クッ…!」

 

 

どのような処分を真也へと下すかと終夜に問う裕司に思わず抗議する恭平だが、裕司の冷たい一言でそれを口にする隙も与えられず口を閉ざしてしまう。そして終夜は無表情のまま恭平と麻衣を交互に見つめ、最後に真也を見て口を開いた。

 

 

終夜「――真也、何か言いたい事はあるか?」

 

 

真也「………今回の任務が失敗したのは俺のミスだ、この二人は関係ねぇ。処罰は俺だけで受けるよ……」

 

 

麻衣「真也…!」

 

 

終夜「……そうか……良い覚悟だ、ならば心置きなく告げよう。お前に下す処罰は『お待ちください、終夜氏』……ん?」

 

 

真也「……え?」

 

 

終夜が真也へと今回の処罰を下そうとした瞬間、突然それを遮るかのように扉の方から声が響き、其処から一人の人物……キャンセラーの世界にも幾度となく現れたクラウンがゆっくりと歩いてきたのであった。

 

 

真也「お前は…?!」

 

 

終夜「クラウンか……一体何用だ?こちらは今取り込み中だぞ」

 

 

クラウン『あぁ、それは大変失礼しました……ですが終夜氏、どうか真也氏への処罰は大目に見てあげてくれませんかね?』

 

 

『?!』

 

 

終夜「……随分といきなりな発言だな。どういう意味だ?」

 

 

真也への処罰を大目に見て欲しいと告げてきたクラウンに終夜は目を細めながらそう聞き返すと、クラウンは何処からかデータチップのような物を取り出し終夜へと投げ渡した。

 

 

終夜「……これは?」

 

 

クラウン『キャンセラーの世界で真也氏達と戦った時に得た祐輔氏の戦闘データですよ』

 

 

真也「なっ……」

 

 

終夜「ほぉ……わざわざこんな物を寄越して来るとは……一体何が望みだ?」

 

 

クラウン『いえいえ、ただ真也達への感謝の気持ちですよ。結果的に敗北したとは言え、我々ショッカーでも迂闊に手を出せない祐輔氏に深手を負わせ、更には戦闘データまで取らせてくれたのです。我々がそれを手に入れられたのは真也氏達の活躍のお陰ですから、どうか彼等を許してあげて下さい』

 

 

麻衣「……クラウン…」

 

 

クラウン『それに終夜氏?貴方の部下は今別々の任務でほとんどが出払っています。此処で部下の数を減らしてしまえば、今後の任務に支障をもたらしてしまうかもしれません……それは貴方にとってもマイナスになるのではないですか?』

 

 

裕司「ッ!図に乗るな道化ごときが!貴様に我々の事で口を出す権利など「いいだろう」…ッ?!終夜?!」

 

 

真也達を弁解するクラウンに裕司は咄嗟に食いかかろうとするが、終夜は落ち着いた様子でそれを遮ってしまう。

 

 

終夜「確かにこの状況で、メンバーの数を減らすのは余り宜しくはない……それで任務に支障が出てしまえば、今回のように失敗するケースが多くなる可能性もある……我々の任務は失敗が許されない任務が殆どだからな……クラウンの言葉にも一理ある……」

 

 

真也「しゅ、終夜……」

 

 

恭平「それって、もしかして…?」

 

 

終夜「…………その道化に感謝しろ。だが次に失敗した場合は、容赦はせんから覚悟しておけ……」

 

 

淡々とした口調でそう言うと終夜は玉座に背中を付けて座り込み、それと同時に恭平が気が抜けたように立ち尽くす真也へと抱き着き大いに喜んでいたのであった……

 

 

 

 

 

◇◆◆

 

 

 

 

 

それから数分後、玉座の間を後にしたクラウンは建造物内にある長い廊下を歩いていた。するとそんな時、クラウンが歩く廊下の先から一人の青年……真也が姿を現しクラウンの目の前に立ち止まった。

 

 

クラウン『…おや、真也氏ではありませんか?』

 

 

真也「……一体なんの真似だよ?俺を庇ったりするなんて……どういうつもりだ?」

 

 

クラウン『どういう、ですか……そうですね。強いていうならば、貴方方を気にいったから……ってところですね』

 

 

真也「……気にいった?」

 

 

クラウンの言葉に真也は訳が分からず首を傾げるが、クラウンは構わず更に続けて語り出す。

 

 

クラウン『貴方達は祐輔氏の世界のヴィヴィオ嬢を傷付ける事なく、命令違反だと分かっていながら彼女を解放した……そんな貴方達の情が気にいっただけですよ』

 

 

真也「……別に、俺はただ好き勝手にやっただけだ……そんな大それたもんじゃねぇし……そんな情なんてとっくの昔に捨てちまったよ……」

 

 

そう言って真也は何処か寂しげな表情を浮かべながら壁に背中を預け、何処からか水色のペンダントを取り出し中に入った写真を眺めていく。

 

 

クラウン『………妹さんの写真ですか』

 

 

真也「あぁ……瑠璃って言ってな……俺のたった一人の家族だ……」

 

 

クラウン『―――成る程。その妹さんが、貴方が組織に入った理由という訳ですか……零氏達と敵対してまで取り戻したいもの……』

 

 

水色のペンダントに入った写真に写る少女……瑠璃を見つめながらクラウンがそう呟くと、真也はペンダントを閉ざして仕舞い天井を見上げていく。

 

 

真也「…こういうのを等価交換って言うんかな……アイツ等との絆を保ったまま瑠璃を取り戻すなんて出来ない……だから、すべてを犠牲にしなければいけないんだ……俺にはアイツしかいないから……」

 

 

クラウン『友人達との絆より、たった一人の家族の為に…ですか。そんなことをしても、貴方は明るい未来を手に入れる事は出来ないのでは?』

 

 

真也「……俺はもう、未来なんて欲しくはねぇんだよ……ただ瑠璃を取り戻せればそれでいい。その為だったら、こんな命だってくれてやるさ……」

 

 

真也はそう言い残すとクラウンから背を向けてその場から去っていき、残されたクラウンは真也が去っていった方を見つめながら口を開いた。

 

 

クラウン『―――真也氏、貴方のその生き方は零氏達にも、妹さんにも悲しみを与えるだけです……ですが、全てを捨てる覚悟で戦う彼の意志は……生半可な物ではありませんね。悲しいくらいに』

 

 

クラウンはそう言うと真也が去っていった方とは逆の方向へと歩いていき、出現した歪みの壁を潜って何処かへと消えていったのだった。

 

 

 

 

 

◆◆◇

 

 

 

 

 

丁度同じ頃、キャンセラーの世界で決戦の地となった廃棄工場も夕暮れ色に染まり、普段から感じられない人気も完全になくなり静まり返っていた。しかし……

 

 

―……………………………………ザッ…………ザザッ……ザアァァァァァァァァァァァアッ―

 

 

工場の外のあっちこちに転がる何かのカケラのようなものが突然独りでに動き出し、そのまま一カ所に集まり出したのである。そしてカケラ達は独りで集まると赤い火花を巻き散しながら足、胴体、腕と人の形をしたなにかを形作っていき、最後に仮面のようなものを被った頭を再構築して完全に人の形を作り上げていったのだった。その正体は、先程この場所でディケイドとキャンセラーによって倒されたハズの人物……仮面ライダーヴェクタスだったのだ。

 

 

ヴェクタス『――――どうやら、僅かにストックを残しておいたのは正解だったようだな……まったく、俺も馬鹿な事をした物だ……自ら死期を早めるような事をするとは……』

 

 

そう言いながら身体の調子を確かめるように身体全体を軽く動かすヴェクタスだが、その雰囲気は先程までの狂気に満ちた物ではなく、何処か落ち着いた大人びた物へと変わっていた。

 

 

ヴェクタス『……『死の淵から蘇る事で、更なる力と思考を手に入れて成長する身体』……全く、能力を上げるには度々死ななければいけないなんて、あの女も面倒な身体に作ってくれたものだ』

 

 

誰かに向けてそう愚痴りながらヴェクタスは全身に力を込め、突然足元から溢れ出した闇で身体を包み込んでいってしまった。そして闇が晴れて完全に消え去ると、其処には鎧甲冑に似た禍々しい鎧と鋭い角のような装飾が施された黒い仮面、そして背中には身の丈を越える鎖を巻き付けた巨大な大剣が担がれていた。

 

 

ヴェクタス『―――これが新しい姿か……悪くはない……だが―――』

 

 

ヴェクタスは一度言葉を区切ると左手で背中に背負った大剣の柄を掴み、そのまま大剣を持ち上げると視界に入った工場に向けて軽く振るっていく。その時……

 

 

 

 

 

―……………ピシィッ……ドガシャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!!―

 

 

大剣から放れたそよ風程度の風が工場に触れた瞬間、工場の建物全体に皹が入り始めそのまま音を立てて崩れ去っていったのである。

 

 

ヴェクタス『………やはりまだ、手に入れたばかりの力が身に染みていないようだな……慣れるには時間が掛かるか』

 

 

ヴェクタスは崩れた工場の後を他人事のように見つめながら大剣を背中に戻し、目の前に一枚の電子パネルを出現させた。其処には謎の建造物内にいる筈の青年……終夜の顔が映し出されいた。

 

 

終夜『――ヴェクタスか。もう身体の再生は終わったのか…?』

 

 

ヴェクタス『あぁ、お蔭様でな……以外と死んでみるのも悪くはない……まぁ、実際死んでいるのは俺ではなくストックの方だが』

 

 

終夜『そうか、それはなによりだ……だがお前の今回の行動は問題が多過ぎる。重要な目標にまで手に掛けようとしたみたいじゃないか』

 

 

ヴェクタス『あぁ……それについては素直に謝ろう。前の俺は感情的になり易い部分が多過ぎて問題があった……まぁ、人間で言えばまだ子供だったわけだから仕方がないさ』

 

 

軽く睨み付けてくる終夜にヴェクタスは肩を竦みながらそう言うと、終夜は軽く息を吐いた後再び語り出した。

 

 

終夜『まあいいだろう……お前と奴には因縁がある。そうなるかもしれないとは大体予想はついていた……それで、奴はどうだった?』

 

 

ヴェクタス『まずまず、といったところだな……力を一時的に解放した事で因子の覚醒が早まっているとは思うが、それはアイツ次第だろう』

 

 

終夜『―――成る程、暫くは様子を見ていた方が良さそうだな……今回の件が我々にとって吉と出るか凶と出るか、見極める為にも』

 

 

ヴェクタス『となると……暫くは奴等を放っておくのか?』

 

 

終夜『奴の因子の状態が確認出来なければやすやすとは動けない……奴等が九つの世界を回り切るまで様子を見た方がいいかもしれんからな。その時に奴自身にも何らかの変化が起きる可能性は高い。それにお前が送ってきたデータにあった内容…奴が【二つの因子】を所持しているという件も気になる』

 

 

ヴェクタス『その件については俺の方で調べておこう。お前達にはまだ揺り篭の改修とスカリエッティ一味の発見が残っているのだろう?』

 

 

終夜『……あぁ。揺り篭はまだ当分修復が完了しそうにないし、スカリエッティが持ち去ったアークキバットも回収せねばならない。やることはまだ山ほどあるからな……すまないが頼めるか?』

 

 

ヴェクタス『了解した……どうせまたストックを集めに他の平行世界を回らなければいけないからな。調べた情報については追ってそちらに連絡する。ではな』

 

 

そう言ってヴェクタスは通信を切ってパネルを消し、軽く首を鳴らしながらその場から歩き出していく。

 

 

ヴェクタス『……黒月 零、リィル・アルテスタ……何処までも俺の邪魔ばかりする奴らだ。お前達から受けた屈辱……必ず晴らしてやる……必ずな』

 

 

何処か怒りを含んだ口調でそう呟くと、ヴェクタスは目の前から現れた黒い歪みを潜って何処かへと消え、ヴェクタスがいなくなったその場には無惨にも崩れ去った工場の瓦礫が残されていたのだった。

 

 

 

 

 

 

第十四章/キャンセラーの世界END

 

 

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