仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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???の世界
第十六章/???の世界


 

 

カブトの世界での役目を終え、着実にライダーの世界を巡り続ける零達。しかし、突然ハイパーゼクターのハイパークロックアップにより何処かへと飛ばされてしまった零と優矢。果たして、彼等が次に向かう世界とは……

 

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

 

―???の世界・ミッドチルダ―

 

 

 

とある別世界に存在するミッドチルダ。様々な人達が街の中を行き交う一方で、街角にある小汚い路地裏には全くといって人気がなかった。やはり誰しもが好き好んでこんな薄暗い場所に来るハズもなく、そんな物好きがいるとすれば人目を避けたいという目的で来るカツアゲとその被害者しかいないだろう。しかし……

 

 

 

 

 

―……キイィィィィィィィィィィィィィインッ!!―

 

 

 

 

 

誰もいない路地裏の上空に突如まばゆい光りが集まり始め、薄暗い路地裏を緑色の輝きで光り照らしていく。突然起きた不可解な現象に路地裏の片隅にあるゴミ箱の上に乗っていた野良猫は驚きのあまり何処かへと逃げていき、そして……

 

 

 

 

 

 

―キィィィィィィィィィィィィンッ……カッ!!―

 

 

零「うおぉ!!?」

 

 

―ガシャアァァァァァァァァァァァアンッ!!!―

 

 

緑色の光が徐々に収まって消えていくと、光の中から出て来た一人の青年………ハイパークロックアップによって何処かに飛ばされてしまった零が上空から落下し、そのまま路地裏の一角に置かれていたゴミの山へと落ちてしまった。

 

 

零「ぐっ……くっ……な、何なんだ一体……何が起きたんだ……」

 

 

ゴミの山に埋もれながら零は後頭部を摩り、状況が理解出来ないままふらつきながら起き上がって周囲を見渡していく……頭にバナナの皮が乗っかっているのに気付いてないようだが。

 

 

零「……?此処は……もしかしてミッドチルダか?」

 

 

零は周囲を見渡し、路地裏の壁に貼られてるボロボロのチラシや何処となく自分が良く知る雰囲気から此処がミッドチルダだと気付いた。そして零は何故自分が此処にいるのかと疑問げに首を傾げ、腕を組みながら此処へ訪れる前の記憶を掘り起こしていく。

 

 

零「俺は確か……そうだ、確かあの時ハイパーゼクターがいきなり暴走し出してハイパークロックアップが……まさか、あれのせいで強制的に異世界に飛ばされたのか?」

 

 

記憶を掘り返して徐々に今までの事を思い出していくと、零は険しげにそう呟きながら再び辺りを見渡していく。

 

 

零「……見たところ、此処に飛ばされたのは俺だけみたいだな……クソッ!何で俺はこう毎回毎回面倒事に巻き込まれるんだ…?」

 

 

なんか本当に嫌なものでも憑いてるんじゃないのか?と片手で軽く背中を払いながら愚痴る零だが、次第にそんな事をしてる自分を虚しく感じ溜め息を吐いた。

 

 

零「はぁ……とりあえず、今は写真館があるカブトの世界に帰る方法を見つける方が先だな……」

 

 

こんな路地裏で溜め息なんか吐いてる場合じゃない。そう思いながら、零は服のポケットの中に入っているモノを全て取り出し自分の持ち合わせを確認する。

 

 

零「バックルにカード……それにカメラと財布に智大から貰ったメモリガジェットに……風麺のサービス券?」

 

 

……取りあえず必要な物は一通り揃っているようだ。それを確認した零は取り出したモノを再びポケットの中へと仕舞っていく。

 

 

零「………とにかく、今はこの世界について調べないとな。写真館に戻る方法を早く探さないといけないし……とりあえず、この世界に誰か知り合いがいないか探してみるか」

 

 

幾ら単体で次元を越える力を持っていようと、何処かも分からない見知らぬ世界から転移すれば何処に跳ぶか分からない。ただでさえ自分で行き先を決める事が出来ないのだから尚更だ。取りあえずこの世界のミッドチルダが知り合いがいる世界だと祈って街に出ようと足を進めた、その時……

 

 

―……カチャッ―

 

 

零「……む?」

 

 

不意に零の足先に何かが当たり、その不自然な感触に零も僅かに眉を寄せて視線を下ろし足元を見た。すると足元には、何やら銀色のカブトムシのような姿をした機械……この世界に零を飛ばした原因であるハイパーゼクターが転がっていたのである。

 

 

零「コイツ……まさか一緒に跳んできたのか?全く、よくもまあ厄介事に巻き込んでくれたモノだな」

 

 

呆れたように溜め息を吐きながらそう言うと、零は足元に転がっていたハイパーゼクターを乱暴に掴み取りジト目でハイパーゼクターを睨みつける。が、其処で零の脳裏にある考えが思い浮かんだ。

 

 

零「待てよ?……確かコレのハイパークロックアップでこの世界に飛ばされた訳だから……コイツを使えば元の世界に帰れるんじゃないのか?」

 

 

…………………有り得る。其処まで考えた零は早速というようにハイパーゼクターを弄くり始めていった。

 

 

零「此処か?此処を押すのか?それとも此処か?……ええい!フェイトがいればビートに変身してもらってハイパークロックアップを使ってもらうってだけで話は済むのにー!!」

 

 

こうなればカブトにカメンライドして自分が使うか?とまで考えるが、それ以前にベルトが別物な以上どう考えてもそれは不可解だろう。分かってるよちょっと考えてみただけだヨー!と半ば自棄になりつつも零はハイパーゼクターを弄くりまくる。しかし……

 

 

 

 

 

 

―………………バチッ……バチバチィッ……―

 

 

 

 

零「……………おう?」

 

 

 

 

…………なーんか目茶苦茶聞き覚えのある不自然な音が聞こえた。『何だ何だ?今度は何が起きんだぁ?』と周りの野良猫達の視線が集まってくる中、零はゆっくりと自分の手に視線を向けていく。その瞬間……

 

 

 

 

 

 

 

 

『Hyper Clock Up!』

 

 

 

 

零「ッ?!」

 

 

やっぱり目茶苦茶聞き覚えのある電子音声がハイパーゼクターから鳴り響いたのであった。それを聞いた零が慌ててハイパーゼクターから手を離すと、ハイパーゼクターは地面に落ちると同時にまばゆい輝きを放ち始めていく。

 

 

―シュバアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!!―

 

 

零「ま、まさかっ……またハイパークロックアップの暴走か?!」

 

 

冗談じゃない!これ以上訳の分からない世界に飛ばされてたまるモノか!と零はまばゆい輝きを放ち続けるハイパーゼクターから慌てて距離を離して身構えていき、周りにいる野良猫達も『何だ何だぁー?!』と慌てて路地裏から逃げ出していった。そして……

 

 

 

 

 

 

―シュバアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ…………バチバチィッ……―

 

 

 

 

 

 

零「…………?何だ?」

 

 

 

 

ハイパーゼクターから放たれていた光が何故か徐々に弱まり、何事もなかったかのように収まっていったのだ。だが、変化が全くないのかといえばそうではない。何故なら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―………チリンッ―

 

 

「………………」

 

 

 

 

 

 

零「……おん……な…?」

 

 

 

 

何故か地面に転がっているハイパーゼクターの隣には先程まで其処にいなかったはずの人物……首に鈴の付いた首輪のようなモノを身に付けた、碧銀の髪の少女が静かに眠っていたのだから――――

 

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

 

―???―

 

 

零が訪れた世界の何処かにある薄暗い部屋。其処には二人の男性が向き合い話をしている最中だった。その二人の内の一人……デスクに腰を掛けた男性はデスクに膝を付きながら口を開いていく。

 

 

「ほぉう……世界の破壊者ですか」

 

 

鳴滝「そう、奴は次にこの世界を破壊しようとするだろう。そうなる前に君の手で、奴を消し去って欲しいのだよ」

 

 

「ふむ……成る程、確かにその破壊者とやらには興味ありますね。それに、この世界を破壊されるのは私にとっても都合が悪い」

 

 

鳴滝「だから私もそうなる前に、私が造り出した人造人間に奴の抹殺に向かわせている。それにこの世界のライダー達にも奴を倒す様に伝えてはあるが……あの反応を見る限り、余り期待出来そうにない」

 

 

男性……鳴滝は忌ま忌ましげに告げると、もう一人の男性は顎に手を沿えながら答えていく。

 

 

「……良いでしょう。私もその破壊者とやらには興味がある。貴方の頼みを聞きましょう」

 

 

鳴滝「そうか、それを聞いて安心したよ。ではよろしく頼む」

 

 

男性の返答に満足したのか、鳴滝は妖しげな笑みを浮かべながら背後に出現した歪みの壁を通り何処かへと消えていった。そして部屋に残された男性はフゥ、と軽く息を吐くとデスクにあるパソコンと向き合っていく。

 

 

「――全く、あの預言者は思ったより使い物にはなりそうにないですね。協力を頼んできておいて、自分は人造人間一体を放つだけとは」

 

 

『あの男はそういう男だ。奴の力は頼りにならんさ』

 

 

「どうやらそうらしいですね……ああそうだ。それより、貴方から提供して頂いた戦力については感謝していますよ。終夜殿」

 

 

男性は妖しげな笑みを浮かべながらパソコンの画面に映る青年……終夜にそう告げると、終夜は表情一つ変えないまま口を開く。

 

 

終夜『貴様から提供してもらったアレの借りを返しただけだ。貴様から礼を言われる筋合いなどない』

 

 

「フフ、相変わらず警戒心がお強いですね……貴方達から頂いたライオアクセルとフライングアタッカー。有効に使わせて頂きますよ」

 

 

終夜『勝手にすればいい。それより、奴には必要以上に手を出すなよ?もし余計な事をするようなら……』

 

 

「ご心配には及びませんよ。貴方達の恐ろしさは良く分かっていますからね……私もまだまだ死にたくないですから」

 

 

終夜『……フンッ……本当に裏が見えん男だな、貴様は……』

 

 

気に入らないというようにそう告げると共に終夜の顔はパソコンの画面から消え、男性はパソコンの画面を見つめながらゆっくりと語り出す。

 

 

「……私から見れば、貴方も十分裏が読めませんよ。終夜殿」

 

 

男性は最後にそう呟くとデスクからゆっくりと立ち上がり、そのまま部屋を出て何処かへと向かっていった。

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

その頃、とある平行世界にある建造物内・玉座の間。其処には男性との通信を終えた終夜が、無表情のまま玉座に座っていた。

 

 

終夜「これで準備は整ったか……後は奴があの世界での役目を終えてくれれば、問題はない」

 

 

『――まぁ、その前に奴があの預言者とやらに消されなければの話だがな』

 

 

終夜の呟きに答えるように入り口から聞こえてきた声……以前零と祐輔によって倒されたヴェクタスがゆっくりと暗闇の中から姿を現し、終夜が腰を降ろす玉座の前にまで歩み寄っていく。

 

 

終夜「ヴェクタスか……どうだ、椋達と奴らは?」

 

 

ヴェクタス『聞くまでもないだろう?戦況は完全にこちらが圧倒している、向こうが崩れ落ちるのも時間の問題だろうさ』

 

 

終夜「なら戦闘機人の二人は生かしておけよ?奴らからはスカリエッティの居場所を聞き出さなければならないからな……これ以上、この件を面倒にさせたくはない」

 

 

ヴェクタス『裏切り者の無限の欲望には死を、か……容赦ないな。せめて女子供にくらい優しくしてやったらどうだ?』

 

 

終夜「ハラオウンを手に掛け、キャンセラーの世界の聖王のクローンを誘拐させた貴様に言えたことではないだろう」

 

 

ヴェクタス『おっと、そういえばそういう事もあったか。まぁ、過ぎた事を一々気にしてても仕方ないだろ?』

 

 

そういう問題ではない、と全く詫びれた様子もなく肩を竦めるヴェクタスに終夜も静かに溜め息を吐いていく。

 

 

ヴェクタス『そんな事より……さっきのはまた例の奴か?』

 

 

終夜「……あぁ、以前提供してもらったアレの借りを返しにな。それ以上の事は何もない」

 

 

ヴェクタス『随分と信用していないんだな……まぁ、お前はそういう奴だからな。仕方がないか』

 

 

終夜「我々に必要なのは、組織の役に立つかどうかのたったそれだけだ。異世界の組織など、信用する価値はない」

 

 

ヴェクタス『利用するだけ利用して、価値がなくなればすぐに捨てるか。そして組織に敵対、またはこちらに危害が及ぶをような動きを見せるなら――』

 

 

終夜「面倒事に発展する前にすぐに殺す……後腐れが残らないようにな……」

 

 

ヴェクタス『容赦ないねぇ……まあいいさ。それでこそお前だと言えるからな、俺がどうこう言うつもりはない』

 

 

終夜「…………」

 

 

茶化すような口調でそう告げるヴェクタスだが、終夜はそれに構わず王座から立ち上がりそのままヴェクタスの横を通り過ぎていく。

 

 

ヴェクタス『――それと、どうだ最近は?闇のキバの力の影響に関しては?』

 

 

終夜「……問題ない。くだらない事で一々呼び止めるな」

 

 

ヴェクタス『一応これでも心配してるのさ。ファンガイアでもないただの人間が、闇のキバの力に耐え切れている事に今でも信じられないんだからな』

 

 

終夜「…………」

 

 

妖しげな笑みを漏らすヴェクタスに終夜は無表情のまま何も答えようとはせず、そのまま王座の間から出ていった。

 

 

ヴェクタス『……ホントに面白い奴だよ、お前は……やはり使えるな……』

 

 

終夜が出ていった入り口の方を見つめながらそう呟くと、ヴェクタスは目の前から現れた黒い歪みの壁を通り何処かへと消えていったのであった。

 

 

 

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