仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
―バキィッ!ドガアァッ!ガギャアァンッ!!―
ディケイド『グッ?!止せアズサ!!目を覚ませ!!アズサァッ!!』
シュロウガ『…………』
一方、ディケイドはアズサが変身したシュロウガからの容赦ない斬撃を受けながら必死に止めろと呼び掛けていくが、シュロウガはそれに応えることなくディケイドに剣を振りかざしていく。既にディケイドの方はボディの所々が深い斬り傷で傷付き、特に最初の一撃を受けた左胸の部分は大きな窪みが出来てへこんでしまっていた。
ディケイド(クッ!どうすればいい?!どうしたらアズサを止められる?!考えろ!何か方法がある筈だ…!)
それだけ痛々しい姿になるまでボロボロにされながらも、ディケイドは未だシュロウガと戦う事を考えずにどうやってシュロウガを止めるべきかと思考をフルに使って方法を考えていた。しかしそんなディケイドの思いを嘲笑うかのように、シュロウガは両肩と両腰に膨大なエネルギーを集約させていく。そして……
シュロウガ『……トラジック・ジェノサイダー……』
―シュウゥゥゥゥゥゥ……バシュンバシュンバシュンバシュンバシュンバシュンバシュンッ!!!―
ディケイド『なっ…?!』
シュロウガの両肩と両腰の宝球から無数に撃ち出された紅いスフィアの群。それらは変則的な動きでディケイドへと一斉に襲い掛かり、ディケイドは慌ててそれを避けるに横へと転がる。がしかし、ディケイドがやり過ごした紅いスフィア達は突如一斉に方向を変え、そのままディケイドの方へと再び引き返してきた。
ディケイド『(ッ?!この攻撃……まさか誘導型かッ?!)クソッ!』
『ATTACKRIDE:BLAST!』
向かってくるスフィアの群を見たディケイドは直ぐさま一枚のカードをバックルに装填し、ライドブッカーGモードの照準をスフィアの群へと合わせて引き金を引いていった。
―ズガガガガガガガガガガガガガガガガガァッ!!!ドゴオォォォォォォォォォォォォォォオンッ!!!―
ライドブッカーの銃口から撃ち出された弾がスフィアに直撃し、次々に爆発を起こして辺りが灰色の粉塵に覆われていく。粉塵の向こうから追撃が来る様子はない。無事に全部撃ち落としたのだろうと予測したディケイドはおもむろにライドブッカーを下ろしていく。が……
シュロウガ『ラスター・エッジ……ジェノサイドシフト……』
―ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガァンッ!!!―
ディケイド『ッ?!』
背後から感じた静かな殺気と共に聞こえた冷たい声。ディケイドはそれに気付くと共に直ぐさま振り返るが、その先にはベースボールほどの大きさの弾丸が無数に降り注いできていた。
ディケイド(しまっ…?!)
既に弾丸の一つが目と鼻の先まで迫っていた。回避はもう間に合わない。瞬時にそう理解したディケイドは回避を諦めて両手をクロスさせ、何とか弾丸を防ごうと考えた。その時……
『Clock Up!』
―ガキンガキンガキンガキンガキンガキンガキンガキンッ!!!―
ディケイド『……?何…?』
不意に何処からか聞こえてきた電子音声。それと同時に正面から襲い掛かってきた無数の弾丸が、ディケイドの目の前に現れた赤い影によって弾かれ周囲に撒き散らされていった。突然の思いもしない展開にディケイドは構えを解きながら、呆然と目の前に視線を向けると……
『Clock Over!』
カブトR『――よし。零、無事か?』
ディケイド『ッ!光?!』
そう、今の弾丸を全て弾き返した赤い影の正体はクロックアップを使ったカブトだったのだ。ディケイドがカブトを見て驚愕する中、カブトは目の前から剣を片手に歩み寄ってくるシュロウガに目を向けてクナイガンを取り出していく。
カブトR『零、早く構えろ。アズサを此処で食い止めるぞ…』
ディケイド『ッ……』
アズサを食い止める。それは目の前にいるシュロウガと……アズサと戦うという事だ。アズサを傷つけなければいけない。その事実にディケイドの心の中に迷いが生じ、思い詰めた表情を浮かべながら拳を握り締めていく。
カブトR『早くしろ零!!まだアズサは救える筈だ!此処で戦わなければ、アズサを取り返すことは出来ないんだぞ!!』
ディケイド『ッ!………分かった……』
カブトの言う通り、此処で戦わなければアズサを取り返すことなんて出来ない。その為にも今は自分の気持ちを押し殺さなければと、ディケイドはゆっくりと立ち上がりながらライドブッカーから一枚のカードを取り出してシュロウガを見据えていく。
カブトR『同時攻撃だ……いくぞ!』
ディケイド『あぁ…!』
『FORMRIDE:FAIZ!AXEL!』
カブトの呼びかけに応えながらカードをバックルへと装填し、電子音声と同時にディケイドはDファイズ・アクセルフォームへと変身していった。そして変身を終えると共にDファイズは左腕のファイズアクセルのボタンを押し、カブトはベルトのボタンを叩くように押していく。
『START UP!』
カブトR『クロックアップッ!』
『Clock Up!』
二つの電子音声が鳴り響くと共にDファイズとカブトは超高速の世界へと突入し、風を切り裂くように空間を駆け抜けながらシュロウガの左右へと一気に回り込んで渾身の蹴りと拳をシュロウガに放っていった。がしかし……
シュロウガ『……障壁……全包囲に展開……』
―ブオォォォォォォオ……ピキィィィィィィィィィィィィィィィインッ!―
Dファイズ『?!なっ?!』
カブトR『バリアだと?!』
シュロウガが何かを呟いたと共に何処からか漆黒に輝く粒子がシュロウガの周りに集まり、三角形のバリアへと変化してシュロウガを包み込み二人の蹴りと拳からシュロウガを守ったのであった。そして攻撃を弾かれてしまった二人はそれに驚きつつもシュロウガから一度距離を離し、Dファイズはすぐにライドブッカーから一枚のカードを取り出しドライバーへと装填してスライドさせていった。
『FINALATTACKRIDE:FA・FA・FA・FAIZ!』
―シュウゥンッ……バシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュッ!!―
シュロウガ『…!』
電子音声が響くと三角形のバリアを展開したシュロウガの上空に無数の赤いポインターが出現してシュロウガをロックしていき、それを確認したDファイズは銀色の閃光と化して上空へと飛び上がり、そして……
Dファイズ『フッ!ハアァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!』
―ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!ドガアァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!―
Dファイズの放った必殺技、アクセルクリムゾンスマッシュがシュロウガが展開したバリアへと連続で打ち込まれ、最後の一撃が打ち込まれると同時にバリアは硝子のように割れ爆発していったのだった。そしてDファイズは地上に着地すると同時に素早く走り出し、シュロウガを押さえ込もうと試みるが……
Dファイズ『…?!アズサが……消えた…?!』
カブト『何?!』
そう、バリアの中心地点に立っていた筈のシュロウガの姿が何処にもなく、二人の目の前からいつの間にか消えてしまっていたのだ。突然消えてしまったシュロウガに二人も驚きを隠せず、粉塵に覆われた周囲を見渡してシュロウガを探していた。その時……
『…エンブラス・ジ・インフェルノ……』
『ッ?!』
まるでそよ風のように聞こえてきた冷たい少女の声。確かに頭上から聞こえてきたが、二人は振り返るより先に全身に鳥肌が立ち、それで直感的にヤバいと感じ取った。二人は振り返らないままカブトは瞬時に気のバリアを張り、Dファイズはライドブッカーから一枚のカードを取り出してディケイドライバーへと装填しスライドさせた。
『ATTACKRIDE:BARRIER!』
―シュウゥゥゥゥゥゥ……ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!!!!―
『グゥッ?!!』
Dファイズがバリアを発動させたと同時に、上空から突如漆黒の獄炎が放たれて二人のバリアを易々と飲み込んでいってしまったのであった。バリア越しに上空を見上げてみれば、いつの間にかシュロウガが上空で両手を広げながら全身から漆黒の炎を放っている姿がある。漆黒の獄炎は二人の他に周囲の木々や車などを吹っ飛ばし、ビル等は漆黒の炎に包まれながら音を立てて崩れ去り、更に……
―……ピシッ……ピシピシィッ!―
Dファイズ『なっ?!』
カブトR『バリアが?!』
二人が張ったバリアが獄炎に耐え切れず、全体に皹を入れ始めたのであった。そして……
―ピシピシッ……ドグオォォォォォォォォォォォォォォォオンッ!!!!―
『グ、グアァァァァァァァァァァァァアッ?!!』
『TIME OUT!』
『Clock Over!』
バリアは獄炎に押し負けて砕け散り、二人はそのまま炎に包まれて吹っ飛び変身が解除されて零と光に戻ってしまったのだった。そしてシュロウガはゆっくりと地上に降り立ち、鎧の音を辺りに響き渡らせながら零に歩み寄り胸を踏み付けてしまう。
零「がはぁ!がっ……ぐっ……」
光「くっ…!れ、零…!」
シュロウガに踏み付けられる零を見て光はすぐに助けに入ろうと身体を起こすが、先の攻撃のダメージが響いてるせいか上手く立ち上がれない。そしてその様子を離れて観戦していた鳴滝はこれ以上にない笑みを浮かべながら叫び出す。
鳴滝「そうだ、やれシュロウガ!お前の手で、今度こそディケイドを消し去るのだ!」
シュロウガ『…………』
鳴滝が嬉々とした笑みを浮かべながらそう命じると、シュロウガは鳴滝の命令を遂行しようと剣の切っ先を零の額に向けていく。
光「ッ!よ、止せ!止めろアズサ!!」
シュロウガ『…………』
零「っ……ア……アズ……サッ……」
光は零にトドメを刺そうとするシュロウガを止めようと必死に叫ぶが、シュロウガはそれを聞かずに剣を振り上げ、そのまま刃を零の額に目掛けて振り下ろしていった。もう手遅れなのかと、零は襲い来る刃から目を逸らすように瞼を閉じて諦め掛けた。が……
零「…………………………………………………?」
何故か、いつまで経っても刃が突き刺さるような感覚は襲って来なかった。一体どうなってる?とワケが分からないままゆっくりと瞼を開いていくと、其処には……
シュロウガ『ッ……ウッ………ッ……!』
零「…ッ!アズ……サ?」
其処には、零のこめかみにまであと数センチという所で剣の切っ先を止めているシュロウガの姿があったのだった。剣を掴む手を震わせ、まるで何かからもがくような様子を見せるシュロウガに零や光は呆然となり、鳴滝も予想外というような表情を浮かべていた。
鳴滝「な、何をしてるシュロウガ?!早くディケイドを消せ!!」
シュロウガ『ッ……………………いやっ………』
鳴滝「…何?」
シュロウガ『……私……私はっ……そんなことっ……望んでないっ……!』
鳴滝「?!」
絞り出すように叫んだシュロウガの言葉を聞いて鳴滝は驚愕の表情を浮かべ、シュロウガは剣を投げ捨てながらふらついた足取りで零から離れていく。
零「ッ!ア、アズ『来ないで!』…?!」
自分から離れていくシュロウガを見てアズサが意識を取り戻したのだと思った零はシュロウガに駆け寄ろうと慌てて身体を起こすが、それより先にシュロウガが来るなと零に怒鳴ってそれを止めてしまう。
シュロウガ『ッ……来ないで……お願いだから……私に近寄らないでっ……』
零「な、何言ってる?待ってろ!今お前を助け―バシュンッ!―……ッ?!」
苦しげに体をくの字に折り曲げ、頭を抱えながら来るなと告げてきたシュロウガの言葉を無視してシュロウガに駆け寄ろうとする零だが、それと共に零の頬を物凄いで速さで何かが掠めた。見れば自分の背後にあった電柱が何かの攻撃を受けて吹き飛んでおり、目の前に目を向ければシュロウガがこちらに向けて手の平を翳していた。
零「ア、アズサ…?」
シュロウガ『ッ……やっと思い出した……私が取り戻したかった記憶……やっと取り戻した本当の自分……でも……それは私が望んだものじゃなかったっ……』
零「……え?」
シュロウガ『私は……私は人間じゃない……私はただ……貴方を殺す為だけに造られた存在……ただの……殺人兵器だった……』
零「ッ!」
絞り出すように呟いたシュロウガの言葉に零は思わず口を閉ざしてしまう。今の言葉で彼女が今何を思っているのか分かってしまったからだ。
シュロウガ『こんなの……こんなの違う……私が取り戻したかった記憶……私が取り戻したいと望んだ自分は……こんな物じゃなかったのにっ!!』
零「…アズサ…」
あれだけ取り戻したいと願っていた記憶と本当の自分。だがそれは、零達との絆を築いた今のアズサを絶望へと堕とすだけの物でしかなかった。
人間ではなく、人造人間として造られた自分。そしてその造られた理由が、記憶喪失となった自分を支えてきてくれた零を殺すという事。その事実を知った今のシュロウガの心には喜びや希望など微塵もなく、ただ深い絶望と悲しみ、そして記憶を取り戻したことに対しての後悔しか存在していなかったのだ。
零「だったら……だったら止めてしまえばいいだろう!お前自身に俺を殺す理由がないのなら、お前が戦う必要もない筈だ!だから!」
戻って来いと、シュロウガに向けて手を差し伸ばす零。だが……
シュロウガ『……駄目……私はもう……貴方の所には帰れない……』
シュロウガは首を左右に振り、その手を掴む事を拒んだのであった。
零「帰れない……だって?」
シュロウガ『……今の私はもう……自分で自分を抑える事が出来ない……次第に私の意思は消えて……貴方を殺すまで戦い続ける人形になる……貴方の傍にいれば……何時か貴方を殺してしまう……だからもう……零と一緒にいられない…』
零「……そんな……馬鹿な……」
シュロウガ『……だから……お願い……そうなる前に……』
シュロウガ『……私を……殺して……零……』
『ッ?!』
誰かを殺してしまう前に、自分を殺してくれと。自らの死を零に望んだシュロウガに零達は驚愕してしまう。
零「殺してくれ……だと……?」
シュロウガ『……私は……もう零達が知ってるアズサに戻れない……今の私は、誰かを殺すまで止まらない殺人人形になってしまった……でも私は……零を殺したくなんかない……だから……』
殺してと、ただそれだけを彼に望み続けるシュロウガ。だが、零がそれに首を縦に振るはずもない。
零「……ふざけるなっ……出来る訳がないだろう?!お前を殺して!それでお前を殺した俺にどうやってこれからを生きていけと言うんだ?!」
シュロウガ『…………』
零「約束しただろうっ?!記憶を取り戻すまでとは言ったが、お前を守ると!!そうお前に言ったじゃないか!だから!!」
傷付いた身体の事も忘れ、零は必死になりながら叫び続ける。そんなことを言い放った零にシュロウガも仮面越しに何処か驚いたような顔を浮かべ、ゆっくりと顔を俯かせていく。
シュロウガ『……やっぱり……零は破壊者なんかじゃないね……』
零「……え?」
シュロウガ『何時もぶっきらぼうで……素直じゃないけど……本当は優しくて……何時も誰かのことを気にかけてる甘い人……でもだからこそ……そんな零を傷付けたくない……守りたい……』
零「……アズサ…?」
何かを呟いてるようだが、此処からでは何を言ってるのか分からない。声を聞き取ろうと零が怪訝な表情でシュロウガに歩み寄ろうとしたその時、シュロウガの背後に突如歪みの壁が発生した。
零「ッ?!アズサ…?!」
シュロウガ『…………』
歪みの壁を見て零は思わず叫ぶが、シュロウガは何も答えないまま変身を解き、アズサに戻って顔を上げると……
アズサ「……ありがとう、零……貴方に出会えて……ホントに良かった……」
零「ッ?!!待てっ……アズサァァァァァァァァァァァァァァァッ!!」
零が目にしたのは、綺麗な赤い瞳から涙を零しながら微笑むアズサの顔。まるで永訣を連想させるその笑みに、零はいつの間にか駆け出してアズサに手を伸ばしていた。がそれより先に、アズサは背後から歪みの壁に飲まれて何処かへと消え去り、零の伸ばした手は宙を切りそのまま力無く倒れてしまった。
光「ッ!れ、零っ…!」
倒れた零を見て光はふらつきながら起き上がり、身体を抑えながら零へと近づき身体を起こさせていく。
光「大丈夫か零?しっかりしろっ…!」
零「ッ……何でだ……どうして……こんな事にっ……」
光「…………」
身体を起こさせてみれば、零は悔しげに唇を噛み締めて額を抑えていた。そんな零の姿を見て光も顔を曇らせるが、とにかく今は傷の治療をせねばと思い零の肩を担いで歩き出そうとするが……
鳴滝「チッ…さっさとディケイドを倒せば良かった物を。使えない人形だ……」
光「…!鳴滝…!」
二人の前に今までの戦いを観戦していた鳴滝が立ち塞がり、それを見た光は鳴滝を睨みつけながら身構えていく。だが鳴滝はそんな光に興味を向けず、光に担がれる零を見て不敵な笑みを浮かべた。
鳴滝「まあ良いだろう……心配せずともβはまたお前の前に現れる。その時が来たら、β共々貴様をあの世に送ってやる」
零「…ッ?!」
光「アズサ共々……だと?どういう意味だ?!」
意味深な発言をした鳴滝に光は内心動揺しつつも思わず聞き返し、鳴滝は笑みを浮かべたままそれに答えていく。
鳴滝「βにはディケイドを倒す為のと、以前のαの時のような裏切りをしない為の二重の意味を込めた自爆装置を積んであるのだよ。もし貴様に敗れた時、或はβが私を裏切った時に起動する仕組みになっている。貴様を道連れにする為にな」
光「なっ……」
零「自爆……装置だと?!」
もしもの時の対策として、アズサには自爆装置を積んである。そう聞かされた零と光は絶句して言葉を失ってしまうが、その時二人の脳裏に先程のアズサの顔が横切った。
光「まさかっ……アズサは最初からそれを知ってて…?!」
鳴滝「当然だ。恐らくは、どうせ死ぬならそこの悪魔の手で死にたいと望んだのだろう。全く、抹殺対象にそんなことを望むなど……呆れた物だ」
零「てめぇっ……どうしてそんな事が出来る?!俺を消す為なら、他人の命まで犠牲にするのか?!アズサはなにも関係ないだろうッ!!」
鳴滝「βやαが生まれたのは、元を辿れば貴様のせいだ!貴様という異物が存在するから、彼女達のような者が生まれる!既に九つの世界もあと一つだけになり、世界の崩壊も間近となった!世界を破壊する貴様を倒せない欠陥品など必要はないし、世界を救う為なら人造人間の命一つや二つなど安いものだ!」
零「ッ!!?ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!」
世界の危機を救えるなら、アズサの命など安いもの。何の罪悪感もなくそう告げた鳴滝に零も我慢の限界を越えて鳴滝に殴り掛かろうとするが、そんな鳴滝の前に歪みの壁が出現し、零の拳は歪みの壁によって遮られてしまった。
鳴滝「βを死なせたくないのなら、貴様が消えろ!貴様という存在がある限り、βのような不幸な存在が絶える事なく生まれてくる。貴様は全ての災いの元なのだからな…」
鳴滝は歪みの壁に拳を打ち付ける零にそう告げると、歪みの壁に呑まれて何処かへと消えていってしまった。そしてそれと共に、零は力無く地面に両腕と両膝を付いてうなだれてしまう。
光「……零…」
零「くそっ……くそっ……クソォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!!」
アズサが自分を消さなければアズサは死んでしまう。
使命を捨てて鳴滝を裏切っても、アズサは死ぬ。
例えアズサと戦って勝ったとしても、自分を道連れにする為にアズサが犠牲になる。
どうやってもアズサを救えないという事実を突き付けられた零は悔しさのあまりアスファルトの地面を殴りつけ、別れを告げて消えてしまったアズサの泣き顔を思い浮かべて悲痛な叫びを木霊させたのであった……