仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
カラフィナ「馬鹿なっ……ディケイドですって……」
『くっ!どうしてアイツがこんな所に?!』
零「…………」
突如現れた零にカラフィナとモスラワームは驚きが隠せず動揺し、対して零はカラフィナ達を睨みつけていた視線を背後のアズサへと移していく。
アズサ「……れ……い……?」
零「…………」
背後に振り向いた零の目に映ったのは、痛々しい姿で地面に倒れて見上げてくるアズサの顔。
全身傷と泥だらけの身体……
翼を毟り取られ、背中から夥しく流れる赤い血……
自分の姿が映る瞳から頬を伝って流れる大粒の涙……
そんな痛ましい姿となったアズサを見て零の中の怒りが更に込み上げ、血が噴き出しそうな程手の平を握り締めながらカラフィナ達を睨みつけていく。そんな零の視線を受けて思わず怯む二人だが、先に落ち着きを取り戻したカラフィナは笑みを浮かべながら口を開いた。
カラフィナ「驚いたわ……まさかあの濁流に飲まれて生きていたなんてねぇ?」
零「あぁ、生憎あの程度で死ぬような身体はしてないんでな……そう簡単にはくたばらんさ」
そう言って零は二人を睨む目付きを更に鋭くさせていくが、完全に落ち着きを取り戻したカラフィナはそれに臆する事なく余裕の表情を浮かべながら零に向けて身構えていく。
アズサ「……零……なの……本当に……?」
その一方で、アズサは未だ我が目を疑うかのような顔で零を見上げながら呟き、零は僅かに顔だけ動かして口を開いた。
零「あぁ……帰りが遅れてすまなかったな、アズサ……」
アズサ「……本当……に?本当に零……なの…?」
詫びるように謝る零の声を聞き、目の前の零が幻ではなく本物だと、本当に帰ってきてくれたのだと理解したアズサは不覚にもまた涙を流していく。だが、其処でふとアズサの脳裏にある疑問が思い浮かんだ。
アズサ「でも…どうして零が此処に?だって、さっき食堂ではやてが零の遺体をって「あれはただの偽物だ」……え?」
先程食堂ではやてが発見したと言っていた零の遺体について疑問を口にしようとしたアズサだが、それを遮るように声が響き渡った。一同がその声が聞こえてきた方に振り返ると、其処には一人の青年……光が歩み寄ってくる姿があった。
『ッ!お前はっ……カブト?!』
零「光……」
光「……零、生きてたなら何故連絡してこなかった?みんな心配してずっとお前を探していたんだぞ?」
零「あぁ……すまない……ちょっと此処最近まで昏睡していたらしくてな。昨日やっと目を覚ましたんだが……まあ詳しい話しは後で探す。今は……アイツ等をどうにかしないとな」
そう言って零はカラフィナとモスラワームを見据えて視線を鋭くさせ、光も零の背後で倒れるアズサの姿を見て状況を察し、カラフィナ達を睨みながら零の隣に立っていく。
アズサ「光……どういう事……はやてが言ってた零の遺体が偽物って……」
光「言葉の通りの意味だ。アレは零の遺体等ではなく、コイツ等が用意した別の人物の遺体……お前を機動六課の外に誘い出す為の罠だったんだ」
アズサ「え……?」
何かを見抜くように二人を睨みながら光がそう告げるとアズサは呆然となり、モスラワームは驚いたように息を呑んだが、カラフィナは冷静な態度を一切崩さなかった。
光「妙だと思ったんだ。俺達が一週間掛けて零の捜索をしていたにも関わらず、何故川辺なんて簡単な場所で見付かった?あれだけの日数と捜索メンバーが持つ能力を使っても、遺体の影すら掴めなかったのに……」
カラフィナ「…………」
光「そして遺体の特徴についてもそうだ。はやてからは遺体の特徴が成人男性である事と服装が零のものと酷似している部分があるとの事だったが……アズサに刺されたという腹の刺し傷については何も聞かされなかった。それだけあれば零と思われる遺体でなく、零の遺体だという確かな証拠になるのにだ」
『っ…!』
光がカラフィナ達を睨みながらそう告げると、モスラワームが息を拒んで僅かに後退りした。そんな反応を見せたモスラワームを見て光が言っていることが本当なんだと、アズサは驚いた表情を浮かべていく。
アズサ「じゃあ……はやてが言っていた遺体は?アレは一体……」
光「アレはワームに擬態されて殺された本局の管理局員らしい。本局になら訓練で鍛えられた魔導師達が手に余る程いる……其処から零と体格が近い魔導師を見つけるのも不可能ではないだろう……後は影で局員を殺して顔を潰し、コイツの服装に近い服を遺体に着させればダミーの出来上がりという事だ。局員の方は擬態したワームを入れ変えさせておけば、誰もその局員が死んだなんて思う筈ないしな」
『なっ…何でアンタがそんな事まで知ってるのよ?!アレは私と姉さんしか知らない筈じゃ?!』
光「此処に来る前に、此処の場所を教えてくれた怪盗から話を聞いただけだ……因みにあの局員に擬態したワームもそいつが既に片付けたらしいぞ?」
カラフィナ「なっ……」
零(……海道の奴……また恩着せがましいことを……昨日は風麺の一週間タダ働きを命じてきた癖に、次は何を言ってくる気だ?)
光の言葉でカラフィナとモスラワームが絶句する中、零は爽やかな笑みを浮かべる大輝の顔を思い浮かべながら呆れたような表情を浮かべるが、すぐに真剣な顔付きに戻っていく。
光「お前達はあの遺体を零だと偽装して俺達を混乱させ、その隙にアズサを手に入れようとしたみたいだが……残念だったな?お前達の策は失敗だ」
零「これ以上、コイツには指一本触れさせはしない。アズサを傷付けただけでなく、関係ない筈の人間を殺してその遺骸まで利用した……お前達の行った行為を許しはしない」
そう言って零と光はアズサを庇うように構えてカラフィナとモスラワームと対峙していく。だが……
カラフィナ「――愚かね。貴方達、自分が何を守ろうとしているのかちゃんと分かってるの?」
零「……なんだと?」
カラフィナが零と光の背後で倒れるアズサを見て可笑しそうに笑い、それを聞いた零と光は眉間に皺を寄せていく。
カラフィナ「その子はあの預言者の手によって貴方を殺す為に造られた人造人間……生まれながらにして、人を殺す運命を背負ったただの道具なのよ?つまり、貴方は何時自分を殺すか分からない道具を守ってるってこと」
アズサ「っ…!」
カラフィナ「今は貴方の手によって無力化されているけど、何時また貴方を殺しに掛かるか分からない……そんな物を守ってもなんの価値もないでしょ?どうせその子は存在する価値のない造られた生命……生きる価値すらもないのだから」
カラフィナは嘲るように笑いながらアゲハワームへと姿を変え、モスラワームと肩を並べながら零達に近付こうとする。だが……
零「――生きる価値のない命なんか、そんなもの何処にも在りはしないっ!」
『……なに?』
零と光はアゲハワーム達を強く睨みつけながら身構え、零のその言葉を聞いたアゲハワームとモスラワームは思わず足を止めた。
零「コイツは確かに造られた存在だ……だがそれが何だ?コイツの命は俺達と何処も変わらない、同じ尊いものだ!何かに喜び、何かに悲しみ、喜びで笑う事も、悲しみで涙を流す事も、俺達と何処も変わらない。ただの人間だ!」
『…ハッ、なにを言い出すかと思えばくだらない……それも所詮はプログラムでしょう?何をそんなムキに……』
光「それも違うな。コイツは自分の正体を知っても、与えられた使命を果たそうとせず、零を守る為に自分から消えようとした。やり方は関心出来るものではなかったが……コイツが誰かを守ろうとした心は本物の筈だ!」
零「何時か俺を殺すかもしれない?上等だ、その時はまた俺が止める。俺はコイツの居場所になると決めたんだ……だから絶対に見捨たりはしない。何故ならコイツは……アズサは!俺の仲間だからだ!!」
アズサ「っ!…零…光…」
零と光が力強くそう告げるとアズサは思わず息を呑み、泥だらけとなった自分の手の平を見つめて拳を握り締めると、ふらつきながら身体を起こし零と光の間に立っていく。
光「…っ!アズサ?」
アズサ「……私も……戦う……誰かを傷付ける為じゃない……零や光、私の大切な物を守る為に……この力を使う……!」
零「…フッ…生意気なこと言いやがって…」
迷いのない瞳でそう告げたアズサに零と光は微笑すると、零はライドブッカーからディケイドのカードを取り出して構え、光は上着を翻して腰に巻いたベルトを露出させ空から飛んできたカブトゼクターを掴み取り身構える。そしてアズサは腰にベルトを出現させるが、それはシュロウガのモノとは違う白とピンクを基礎に金の装飾を纏ったベルトとなっていった。
『っ!偉そうなことばかり……貴方達、何なのよ?』
零「通りすがりの仮面ライダーと……」
光「天の道を往き、全てを司る男だ」
『憶えておけ!変身ッ!』
アズサ「変身っ…!」
『KAMENRIDE:DECADE!』
『Henshin!』
『Cast Off!Change Beetle!』
『CHANGE UP!ANGELG!』
電子音声と共に零はディケイド、光はカブト、アズサはベルトから放たれた純白の光りに包まれてピンクと金で彩られた鎧と緑の瞳を持ち、背中に天使のような純白の翼を持ったライダー……『アンジュルグ』へと変身していった。
『生意気なっ……姉さん、もうコイツ等全員潰しちゃおう!』
『えぇ、格の違いという物を思い知らせてあげるわ…覚悟なさい!』
ディケイド『それはこっちの台詞だ……光、アズサ、いくぞ!』
カブトR『あぁ!』
アンジュルグ『うん…!』
ディケイドはカブトとアンジュルグに呼び掛けながら両手を叩くように払い、二人と共に無数のサナギ体のワーム達を呼び出して身構えるアゲハワームとモスラワーム達に向かって突っ込んでいったのだった。
◆◇◆
一方その頃……
鳴滝「くっ!まだしぶとく生き長らえていたのか……おのれディケイドっ!」
近くの大橋の上からディケイド達が戦う光景を忌ま忌ましげに見つめる男性……鳴滝はそう呟き、険しげに眉を寄せていた。
鳴滝「ちっ!こうなれば、βを影で回収してもう一度―ストンッ!―…ッ?!」
鳴滝はワーム達と戦うアンジュルグを眺めながらもう一度アズサを回収しようと企むが、それと共に鳴滝の足元に一本のナイフが飛来して地面に突き刺さった。驚く鳴滝がそれが放たれてきた方に振り返ると、其処には銀髪の男性……アレンが悠然と佇む姿があった。
鳴滝「なっ…貴様は?!」
アレン「……また、零君を消す為にアズサちゃんを利用するつもりですか?鳴滝さん」
鳴滝「っ……当然だ、アレは元々その為に生み出したのだ!それに命と引き換えにディケイドを消せば、βは世界を救った英雄にもなれるのだぞ?!ディケイドを倒す為に死ねるのなら、βも本望だろう?!」
アレン「……そうですか……貴方の考えが良く分かりましたよ……」
例え死んでも、ディケイドを倒した英雄となれるのだからアズサも本望だろうと。高らかにそう告げた鳴滝にアレンも瞳を伏せながらポツリと呟き、何処からかナイフを取り出して鳴滝に切っ先を向けていく。
鳴滝「っ?!き、貴様……なんの真似だ?!」
アレン「鳴滝さん……貴方が行ってきた行為、陰ながら見させて頂きましたよ。だからはっきりと言わせて頂きますが……貴方に零君を破壊者と非難する資格も、アズサちゃんの命を弄ぶ資格も到底ありません」
鳴滝「な、なに?」
アレンの言葉が予想外だったのか、鳴滝は若干戸惑ったように後退りしていく。対してアレンは以前アズサに向けていた優しげな瞳を微塵も感じさせない、冷たい目付きで鳴滝を見据えながらもう片方の手で仮面を取り出した。
アレン「貴方がまたアズサちゃんを利用し、あの子をこれ以上苦しめると言うならば……私は全力でそれを阻止し、あの子を守ります」
そう言ってアレンは片方の手で持っていた仮面を頭に被っていき、鳴滝は後退りをしながら動揺した様子で口を開いた。
鳴滝「貴様っ……とうとう狂ったか?!クラウン!」
クラウン『――いいえ……私は元々狂っていますよ。ですが、今回ばかりは貴方を制裁しなければ気が済みません。元神父ですが……貴方を裁かせて頂きます、鳴滝氏』
仮面を被ったアレン……クラウンは低い声で告げると共に何処からか数本ナイフを取り出して両手の指の間に挟み、未だ戸惑う鳴滝と対峙していった。
鳴滝「くっ!道化師めっ……ならば貴様はコイツ等の相手でもしていろ!!」
鳴滝はクラウンから後退りしながら目の前に歪みの壁を出現させ、其処から二人のライダーを呼び出した。一人は両手にギロチンの様な巨大な武器を装備し黄色いラインの入った緑の鎧と赤い瞳を持ったライダー。もう一人は全身傷だらけとなり、肩に巨大なハンマーを担いだ黒いライダーだった。
クラウン『!彼等は……』
鳴滝「αとβの先行試作型として作り出したライダーだ。問題点が多すぎる為に封印していたが……貴様が相手となれば仕方あるまい。いけ!コルニクス、ゴーマ!」
コルニクス『アッハハハ!ピエロさん、君はグチャグチャに斬り刻んで肉片にしてあげるよ♪』
ゴーマ『命令だ……死んでもらう……』
クラウン『……最後まで他人頼りという訳ですか……良いでしょう。そちらのお二人も、私がお相手して差し上げます』
クラウンは鳴滝が呼び出した二人の仮面ライダー……『コルニクス』と『ゴーマ』を見据えながらそう告げると、両手のナイフを構えながら戦闘態勢に入った。そしてそれを合図にコルニクスとゴーマはそれぞれの武器を構えながらクラウンに飛び掛かり、武器を振り下ろそうとした。次の瞬間……
『ATTACKRIDE:BLAST!』
―ズガガガガガガガガガガガガガガァンッ!!―
コルニクス『ウワァッ?!』
ゴーマ『ヌッ?!』
鳴滝「っ?!何?!」
クラウン『ッ!この攻撃は……』
クラウンに襲い掛かろうとしたコルニクスとゴーマに突如無数の青い銃弾が降り注ぎ、二人を吹っ飛ばしていったのだ。突然の展開にクラウンと鳴滝は驚愕し、それが撃たれてきた方へと振り返っていく。其処には……
ディエンド『…………』
鳴滝「なっ…貴様は?!」
クラウン『!…大輝氏?』
そう、其処にはディエンドライバーの銃口をコルニクス達に向けるディエンドに変身した大輝が悠然と佇んでいたのだった。
クラウン『大輝氏……貴方は……』
ディエンド『勘違いしないでもらおうかな?別に君に手を貸す訳じゃない。此処で零を殺されたら彼の因子が暴走する可能性が高いからね。そうなったらこっちの都合が悪くなるから……仕方なくさ』
ディエンドは嫌々とそう応えながら吹っ飛ばされたコルニクス達の目の前まで近付いて二人と対峙していき、コルニクスとゴーマもふらつきながら起き上がっていく。
コルニクス『イッタタ……もう!よくもやったなぁ?!お前もそいつと一緒に斬り刻んでやる!!』
ディエンド『あぁ悪いね?生憎そんな趣味は持ち合わせていないんだ……だから、返り討ちにさせてもらうよ?』
ゴーマ『増援……だが任務に支障はない……戦闘を続行する……』
コルニクスは突然乱入してきたディエンドに怒りながら両手のギロチンを構え直し、対してゴーマは淡々とした態度でハンマーを肩に担ぎ直していく。そしてクラウンはディエンドの隣にまで歩み寄り、ディエンドと肩を並べてコルニクス達と対峙する。
クラウン『まさか、貴方とこうして共に戦う日が来ようとは……流石の私も予想していませんでしたね』
ディエンド『俺としては虫ずが走る展開だけどね……不本意ながら、目的が一緒らしいからこんな事になったけど……』
クラウン『フフッ……では行きますよ、大輝氏!』
ディエンド『君の指図は受けないよ!』
ディエンドとクラウンは軽くそう言い合いながら同時に地を蹴ってコルニクスとゴーマへと突っ込み、二人に向けて銃弾とナイフを放っていったのであった。