仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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第十六章/NXカブトの世界⑮(前編)

 

 

―機動六課・食堂―

 

 

土手での戦いが終わり、戦闘事後処理を済ませて他の探索メンバーに零の無事を伝えてそれぞれの世界に帰らせると、光達はこの世界のなのは達と共に食堂に集まり、大輝から話を聞いていた。その内容はもちろん、あの濁流に飲まれてから行方知れずになっていた零についてである。

 

 

勇司「――別の世界に……だって?」

 

 

大輝「そ、あの時川に流された零を拾い上げた後、俺はそのままパンデモニウムに彼を連れていったのさ。彼の治療をしにね」

 

 

翔「師匠のところに?!」

 

 

大輝が面倒そうに説明する中、パンデモニウムという単語が出た途端翔達は驚愕の表情を浮かべた。

 

 

大輝の話しによると、どうやらアズサとの戦いで重傷を負って濁流に流された零を助けたのは大輝らしく、そのままパンデモニウムに零を連れていったのも大輝の仕業だったらしい。

 

 

あの時の零はプリーストと因子の力を同時に使ったせいで身体は既にボロボロであり、更にアズサに腹部を刺されたせいで死んでも可笑しくない状態だった。

 

 

特に因子による影響でボロボロになった身体は普通の治療で治すのは不可能な為、治療に詳しいと思われる幸助の下に訪れたらしい。

 

 

ジェノス「そういうことか……じゃあ、俺の検索で零の居場所が分からなかったのは……」

 

 

大輝「そう、君は検索設定をNXカブトの世界だけに絞って零を探していた……それで見付からないのは当たり前さ。この世界の何処にもいない人物をこの世界から見つけられるハズないからね」

 

 

総一「成る程な……てか、そういう事なら何でもっと早く教えに来てくれなかったんだよ?!」

 

 

なのは(別)「そ、そうだよ!私達この一週間、ずっと必死になって零君を探してたのに……!」

 

 

大輝「おいおい、なんで俺が其処までしてやらなきゃいけないんだい?今回俺が零に手助けしてやったのは別に零や君達に善意で手を貸してやった訳じゃない。此処で零に死なれたら俺の都合が悪くなる……だから助けてやっただけさ。別に君達に零の安否を教えても、俺にはなんのメリットもないだろ?勝手に探してたのはそっちなんだし」

 

 

ヴィータ(別)「な、なんだそりゃ?!」

 

 

翔「止めとけ、そいつはそういう奴なんだよ……一々突っ掛かってたらキリがない」

 

 

余りにも非協力的な態度を取る大輝になのは達は不満げな表情を浮かべるが、翔達はそれにもう慣れたのか溜め息を吐いただけでそれ以上は何も言わなかった。

 

 

大輝(…ま、ホントは幸助さん達も零の看病に加えて何度か暴走し掛けてた因子を抑えたり、クロスライドの開発や刹那達の御守りとかでそんな暇がなかっただけなんだけどね。俺もコンプリートフォームの修行とかあったし……まぁ彼等にはこの程度の説明で十分だろう。一から説明するのもめんどくさいし)

 

 

なのは達の不満げな視線を浴びながらそう考えると、大輝は背中を付けていた壁から離れてそのまま食堂の入り口へと向かっていく。

 

 

大輝「ま、彼は届けたんだから俺はこれで失礼させてもらうよ。零には精々次の世界では俺の邪魔をしないようにと伝えておいてくれ。んじゃね♪」

 

 

軽く手を振りながら光達にそう告げると、大輝はそのまま食堂を出て機動六課を後にしたのだった。

 

 

勇司「アイツ…海東大樹並に食えない奴だな……いや、もしかしたらそれ以上か?(汗)」

 

 

光「だが、実際アイツの手によって零が助けられたのは事実だ。さっきの戦闘で助けられたのもな」

 

 

総一「……それが余計に癪なんだよなぁ……(汗)」

 

 

神夜「まあいいじゃない、零もアズサも無事だったんだし。それより今は零達の回復するのを待って、二人を写真館のある世界に届けないと「それなら私がやるわ」……え?」

 

 

零とアズサの二人を写真館に送り届ける話を切り出したと共に、何処からか女性の声が聞こえてきた。その声が聞こえてきた方に振り返ると、其処には何もない空間から一人の女性が転移してきていた。

 

 

勇司「ラルク?!」

 

 

ラルク「彼等を送り届ける役目、私にやらせてもらえないかしら?」

 

 

光「?何故だ?」

 

 

ラルクと呼ばれた女性が零とアズサを送り届ける役目に名乗り出た事に光は疑問げな表情を浮かべると、ラルクは若干苦笑いを浮かべながら口を開いた。

 

 

ラルク「今回、私は余り光や勇司の力になってあげられなかったからね。だからせめて、あの二人を送り届けるくらいの事はやらせて欲しいのよ。この世界に降り懸かろうとしてた滅びを浄化してくれたお礼も含めてね」

 

 

光「成る程……」

 

 

勇司「そういうことか……じゃあ、零とアズサを送るのはラルクに任せるよ。他の皆もそれでいいか?」

 

 

ラルクからの頼みに勇司も納得して他のメンバーへと質問すると、ジェノス達も別に構わないと応えるように頷いたのだった。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

その頃、医務室では先程の戦闘の後にジェノスや翔達に治療されてベッドで休む零と、ベッドの脇に置かれた椅子に座って黒猫を胸に抱くアズサの姿があった。

 

 

零「―――じゃあ、背中の傷はアテナが?」

 

 

アズサ「うん……さっき会ってすぐに『私に任せておけばもう大丈夫よ♪』って言って、背中の傷を治療してくれたの……」

 

 

そう言ってアズサは零に背を向けて上に羽織っていたパーカーを脱ぐと、さっきモスラワームに毟り取られた純白の翼が綺麗に元通りとなっていた。

 

 

零「そうか……だが、ただ治してもらうだけで良かったのか?アテナに頼めば、その翼を外してもらうことだって出来ただろう?」

 

 

アズサ「……うん……アテナって人にもそう言われた……でもいいの……」

 

 

あのままもう片方の翼を外してしまっても良かったのでは?と質問してくる零にそう応えると、アズサは肩の上に手を置きながら再び語り出す。

 

 

アズサ「零や光達と過ごして、やっと分かったの……例え私がどんな生まれ方をしてどんな姿をしていても、私が私である事に変わりはない……人を殺す為に作られても、誰かとの繋がりを作っていけるんだって……だから外すんじゃなくて、治してもらったの……人とは違っていても、これは私が私である証だから……」

 

 

零「…………」

 

 

アズサの言葉に黙って耳を傾け、零は「そうか……」と微笑を浮かべながらそれ以上は何も言わなかった。彼女は彼女なりに自分に対しての答えを見付けている。それならもう自分がとやかくいう資格はないだろうと思ったからだ。

 

 

零(自分で自分自身の答えを見付けるか……ちょっと見ない内に、いつの間にかアズサに追い越されてしまったな……俺……)

 

 

アズサ「…?どうしたの?」

 

 

零「……ん?ああいや……なんでもない」

 

 

不思議そうに小首を傾げながら質問してきたアズサに零は苦笑いを浮かべながらなんでもないと答えると、自分の手の平を眺めて拳を握ったり開いたりしていく。

 

 

零「……そろそろ体の調子が戻ってきたな……アズサ、悪いが俺の部屋から荷物を持ってきてくれないか?そろそろ写真館に戻ろうと思ってるんだが、頼めるか?」

 

 

アズサ「……ん……分かった……」

 

 

そろそろ写真館に帰る支度をした方が良いだろうと思いアズサにそう告げると、アズサは静かに頷いて椅子から立ち上がって部屋から出ていこうとする。とその前に、アズサは何かを思い出したように足を止めて、ポケットから二枚のカードと足元に置かれたカゴの中からキャンディーのような物を取り出して零に差し出してきた。

 

 

零「?何だそれ?」

 

 

アズサ「こっちのカードはさっきジェノスから零に渡して欲しいって言われたカード、これは侑斗って人が来た時にくれた飴……」

 

 

零「ジェノスと……侑斗?」

 

 

アズサ「うん、岡崎侑斗…総一の友達だって言ってたけど…」

 

 

首を傾げながら疑問そうに聞き返してきた零にそう応えると、アズサは零にキャンディーとカードを手渡していく。そして零はアズサから渡されたキャンディーとストライクのフォームライドカードを訝しげに眺めていると、キャンディーに印刷されたキャラクターの顔…………目茶苦茶見覚えのあるイマジンの顔を見て固まってしまった。

 

 

零「……………………」

 

 

アズサ「?どうしたの?」

 

 

零「……いや……ちょっと以前会ったバカ共のことを思い出しただけだ……」

 

 

アズサ「……?」

 

 

何処か遠くを見つめながらハハハッと乾いた笑い声を漏らす零だが、アズサにはその意味が良く分からず不思議そうに首を傾げていたのだった。

 

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

 

それから数時間後、身体の調子を完全に取り戻した零は写真館に戻る為の支度を終えアズサと共に機動六課の玄関前にまでやって来ていた。其処では二人の見送りをする為に光と勇司、そしてこの世界のなのは達も集まってきていた。

(因みに翔達は零の世界のなのは達へ事情を説明しに先に光写真館へと行っている)

 

 

零「何か、長いこと世話になってしまったな」

 

 

光「気にするな。俺達も、お前と過ごせてイロイロと楽しめたしな」

 

 

勇司「また遊びに来てくれよ?それと、もし何かあったら呼んでくれよ?すぐに駆け付けるからさ♪」

 

 

零「あぁ、その時は頼りにさせてもらうよ」

 

 

フェイト(別)「アズサも元気でね?」

 

 

シャマル(別)「体には気をつけてね?また遊びに来るの待ってるから♪」

 

 

アズサ「うん……ありがとう……みんな……」

 

 

ラルク「それじゃあ、そろそろ向こうのカブトの世界と繋げるわね?」

 

 

零達と光達がそれぞれ別れを済ませると、ラルクは何もない場所に向けて右手を伸ばし虹色に輝くゲートの様な物を出現させていく。それを見た零は足元に置いてあった自身の荷物を肩に掛けてゲートに近づくが、途中で足を止めてポケットの中に入っていたハイパーゼクターを取り出し、そして……

 

 

零「……光!」

 

 

―ブンッ!―

 

 

光「っ?!」

 

 

―パシィッ!―

 

 

零は振り向き様にハイパーゼクターを光に向けて投げ、光は一瞬それに驚きつつもハイパーゼクターをキャッチした。

 

 

光「…ハイパーゼクター?」

 

 

零「それはお前が持ってろ……多分、そいつはお前達に出会う為に俺をこの世界に呼び寄せたのかもしれない……だからお前が持っていた方が良い気がする」

 

 

光「っ!いいのか?」

 

 

零「あぁ、俺が持ってても意味はなさそうだしな……代わりにお前達が使ってやってくれ」

 

 

光「……分かった……なら、コイツは大事に使わせてもらう」

 

 

そう言って光は零から受け取ったハイパーゼクターを零に見せ、零はそれに頷きながら笑みを浮かべた。

 

 

零「じゃ、俺達はそろそろ帰るよ」

 

 

勇司「……また、すぐに会えるよな?」

 

 

零「あぁ、旅を続けている限り……きっとな」

 

 

光「またいつか、何処で会おう。必ず」

 

 

零「あぁ、いつか……必ずな」

 

 

零は微笑しながらそう告げるとアズサと共に光達から背を向けて歩き出し、片手を上げながらゲートの奥へと足を踏み入れ姿を消していったのだった。

 

 

勇司「……行っちまったな……」

 

 

光「あぁ……だがきっと、また会えるだろう……」

 

 

勇司「……そうだよな……きっと……」

 

 

勇司はそう呟きながら徐々に小さくなって消えていくゲートを眺め、光も零から受け取ったハイパーゼクターを力強く握り締めながらゲートを見つめていた。そしてゲートがあと少しで消え始めたところで、光達が六課に戻ろうとゲートから背を向けた、その時……

 

 

 

 

 

 

―…………バチッ……バチバチバチッ……―

 

 

 

 

 

 

ラルク「……え?」

 

 

勇司「……ん?どうした、ラルク?」

 

 

ラルク「……あ、いえ……なんでもないわ……(今の感じ……何?何か一瞬嫌な予感がしたような……気のせいかしら?)」

 

 

 

 

 

一瞬嫌な予感を感じ取ったラルクはゲートの方に振り返り首を傾げるが、ゲートには特に異常は見られず、きっと自分の気のせいだと思い光達と共に機動六課へと戻っていったのだった。

 

 

 

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