仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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桜ノ神の世界
第十七章/桜ノ神の世界


 

 

 

NXカブトの世界を旅立ちカブトの世界へと戻ろうとした零とアズサ。しかし、二人が行き着いた世界はカブトの世界ではなく、全く別の見知らぬ世界であった……

 

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

 

此処は桜ノ町、周りを海と山に囲まれた街。

 

 

何処となく田舎な雰囲気を漂わせるも、様々な人々が行き交うこの街に飛ばされてしまった零とアズサは、取りあえず現状を整理するために落ち着ける場所を探して近くのカフェに訪れていた。のだが……

 

 

 

 

零「…………………………………………………」

 

 

アズサ「零、大丈夫?」

 

 

零「……モーマンタイ……だ……心配するな……」

 

 

今にも泣きそうな声でそう言ってテーブルの上に頭を打ち付ける零だが、どう見ても大丈夫そうには見えなかった。

 

 

何故なら彼の顔中には引っ掻き傷のようものがあり、両頬には赤い手形のようなものが出来ているからである。

 

 

何故こんな顔になってしまっているのかというと、実は先程彼が転移した先である銭湯の女湯が原因だった。

 

 

NXカブトの世界から運悪くそこへ転移してしまった零はあの場にいた女性客達から変態扱いされてしまい、危うく警察に突き出されそうになったところを必死になって逃げてきたのだ。

 

 

顔の傷はその時、逃げる零を捕まえようとした勇敢な女性客達の手によって付けられたものだった。

 

 

顔を引っ掻かれ、本気のビンタを喰らわされ、挙げ句の果てには誰かに背中からドロップキックを打ち込まれてぶっ飛ばされたりなど……肉体的にも精神的にも色んな意味でボロボロになりながら此処まで逃げてきたのである。

 

 

零「何故だ……何故アズサは普通に転移したのに……俺だけっ……俺だけ銭湯の女湯なんかにっ……!」

 

 

余りの理不尽な展開にテーブルにゴンゴンッ!と何度も頭を打ち付けながら血の涙を流す零だが、今はこんな事してる場合ではない。そう思いながら先程の事は早い内に脳裏から消し去り、テーブルから顔を上げてアズサと向き合う。

 

 

零「……取りあえず、今はこの世界について少しでも情報は集めなきゃなんだが……お前の方はこの世界について何か知ってるか?」

 

 

アズサ「?うん、この世界についてはある程度分かるけど……詳しい事までは分からないよ……?」

 

 

零「……まぁ、情報がないよりかはマシだろうな……教えてもらっていいか?」

 

 

またも訳の分からない世界に飛ばされた今、少しでもこの世界についての情報を知らなければならない。そう思いながら零がアズサに問うと、アズサはコクンと頷きながら口を開いた。

 

 

アズサ「まず最初に、この世界の名は……『桜ノ神の世界』」

 

 

零「桜ノ……神?」

 

 

アズサ「うん……アテナやラルク達のように、かつてこの世界を司っていた女神の世界……けど、桜ノ神は大昔にこの世界から消えたみたい……」

 

 

零「消えた?何故だ?」

 

 

アズサ「……分からない……ただ、桜ノ神がこの世界から消える以前にこの世界の人間達を苦しめていた異形の怪物達がいたっていうデータはある……だからもしかしたら、桜ノ神が消えたのはその怪物達が関係しているのかもしれないっていう話もあるけど……」

 

 

零「……桜ノ神に……異形の怪物ねぇ……」

 

 

なんだかまたとんでもない世界に飛ばされてしまったなと内心疲れたように溜め息を吐いてしまうが、其処で零はある疑問を浮かべて訝しげに眉を寄せた。

 

 

零「……ちょっと待て……桜ノ神だとか異形の怪物達だとか色々聞かされたが、この世界はライダーの世界じゃないのか?」

 

 

そう、気になったのは其処だ。桜ノ神や異形の怪物達についての情報は分かったが、ライダーに関する情報は何も出てこなかった。

 

 

ならばこの世界にライダーはいないのか?という意味を込めてアズサに聞き返すと、アズサは若干微妙そうな顔を浮かべながら首を傾げた。

 

 

アズサ「ううん、この世界にもライダーはいると思うけど……其処までの情報は私にも分からない。此処は九つの世界や外史のライダーの世界と余り深く関係していないようだから、あの人も念入りには調べていなかったんだと思う……」

 

 

零「ふむ……」

 

 

どうやらこの世界にも仮面ライダーはいるらしいが、どんなライダーがいるのかまではアズサにも分からないらしい。ならば此処からは自分の足で探すしかないだろうと考え、零はさっき頼んだドリンクを飲み干してテーブルから立ち上がっていく。

 

 

零「取りあえず、もう少しこの世界についての情報を集めてみるとするか……いくぞアズサ」

 

 

アズサ「うん……」

 

 

シロ『うにゃー』

 

 

とにかく今は少しでもこの世界の情報を集める方が先だろうと、零は勘定を済ませてアズサと共にカフェを出て街へと向かっていったのだった。

 

 

 

 

 

◇◆◆

 

 

 

 

 

それから数時間後……

 

 

 

―バッシャアァンッ!!―

 

 

零「ぶはあぁっ?!」

 

 

「――あ……ご、ごめんなさい?!大丈夫ですか?!」

 

 

零「……いや……気にしないで下さい……」

 

 

二人が情報収集の為に街へと出てから暫く経った頃、零は街の中で一人の女性が道路に巻いていたバケツの水を被って水浸しになっていた。

そうして何度も平謝りしてクリーニング代を払うと告げてくる女性に気にしないでくれと告げると、零は水浸しの身体を適当に払いながらアズサと共に街中を歩いていく。

 

 

アズサ「……零、ホントに大丈夫?」

 

 

零「あぁ……大丈夫だから気にしないでくれ……何かそんな優しい言葉を掛けられると余計に泣きそうになるか―ドガアァァッ!!―ガハアァッ?!」

 

 

背後から心配して声を掛けてくるアズサに気にするなと告げようとする零だが、その直後、突如二人が通りかかった公園からベースボールが飛んできて零の頭部へと見事に直撃し零をぶっ飛ばしていってしまった。

 

 

そしてそれと共に公園からボールの持ち主と思われる野球のユニフォームを着た女性が二人の下へと駆け寄ってきた。

 

 

「す、すみませーん!大丈夫ですかぁー?!」

 

 

零「ごおぉぉぉぉぉっ……ぐっ……ハ、ハハハハ……大丈夫大丈夫……この程度なんともっ……」

 

 

アズサ「……そんな今にも泣きそうな顔で言われても説得力ないと思う……」

 

 

シロ『んにゃー』

 

 

女性にボールを返しながら今にも泣きそうな表情を見せる零を見て一言告げるアズサ。

 

 

どうやら今の女性はソフトボールの練習をしていたらしく、零からボールを受け取って戻っていく公園には同じユニフォームを着た女性達が何人か見られた。

 

 

恐らく何処かの女子ソフトボール部かなんかだろうか?と何となく予想しながら零はふらつきながら立ち上がり、肩を落として再び街の中を歩いていく。

 

 

零「クソッ!何故だ?ただ街を歩いているだけで何故こんなトラブルばかりに巻き込まれるんだ…!」

 

 

アズサ「今までのトラブル……特に女性関係のものは今ので五回目……前に光達の世界で見たコントみたい」

 

 

零「だが殆ど現実にやったら普通に死ぬようなもんばっかりじゃないかっ……特に三回目辺りは本気で死ぬかと思ったぞっ……」

 

 

カフェを出てからというもの、零は此処までずっと誰かに仕組まれたかのようなトラブルに外れることなく巻き込まれてばかりだった。

 

 

一回目は自転車に乗った女の子に轢かれたり、二回目はたまたま通りかかった公園で女の子が蹴ったサッカーボールが溝に打ち込まれたり、三回目はマンションの上から女性が手入れしていた花瓶が落ちてきて危うく頭に激突しそうになったりなど……段々と命の危機に瀕するようなレベルへと上がってきているような気がする。

 

 

しかもその全部が女性絡みというから尚のことタチが悪い。

 

 

零「マズイぞっ……なんか段々と死が近づいてきてるような気がするのは俺の気のせいか?」

 

 

アズサ「ん……だったら、さっき聞いた神社に言ってみる?あそこに行ってお賽銭をあげたら、厄を払って幸運を呼び寄せてくれるって聞いたし……」

 

 

零「……?神社って、例の桜ノ神を讃えてるっていう桜ノ神社か?情報収集している時にも何度か聞いたが、確か彼処は評判が悪いんじゃなかったか?」

 

 

桜ノ神社というのは街の奥にある山の上に立つ神社らしく、先程カフェでアズサから聞いた桜ノ神を讃える場所でもあるらしい。

 

 

一種のパワースポットとしても有名らしいが、この街の住民はその神社を毛嫌いしてるようだ。

 

 

その理由というのが、桜ノ神社が讃えている桜ノ神が原因だとか。街の住民に話しを聞いたところによると――

 

 

 

 

 

『桜ノ神は昔、大勢の怪物達をこの地に招いて災厄を齎した疫病神なんだ。だからアンタ等もあんな場所でお参りなんてしない方がいいよ?桜ノ神に呪われたくなきゃな』

 

 

『お参り?いいえ、あんな神社にお参りしに行った事なんてないわ。だって気味悪いでしょう?今でも何かあそこに怪物が現れるって噂があるし、それに疫病神なんかに入れるおさい銭だってないしね』

 

 

 

 

 

などと、街の住民の桜ノ神や神社に対する印象は最悪だった。なのであの神社に行くのは少々気が引けるのだが、アズサは此処から見える神社が建つ山を眺めて口を開いた。

 

 

アズサ「でも、私はあそこに行ってみたい……少し気になる事もあるから」

 

 

零「?気になる事?」

 

 

アズサ「うん……何だか、あの山の周りに普通とは違う気配を感じるの……神々しいけど、何処か寂しさを感じるみたいな……」

 

 

零「…………」

 

 

山を眺めながらそう告げたアズサの言葉を聞いて零も山の方へと振り返って山を眺めていく。確かに普通とは違う神々しい気配を感じるが、アズサが言うような寂しさなどは感じられない。もっと近くに行かなければ分からないのだろうか?と怪訝そうな顔をすると、溜め息を吐きながらアズサの方へと顔を戻す。

 

 

零「…ま、どの道あの神社も調べる予定だったしな…お参りついでに行ってみるか?」

 

 

アズサ「!いいの?」

 

 

零「あぁ、それにあそこに行けばその桜ノ神とやらについて何か分かるかもしれないし……行ってみて損はないだろうからな」

 

 

アズサ「……うん、分かった」

 

 

噂の事はともかく、桜ノ神の世界と言うようだから、その神様と関わりがあるあの神社に行けばもっと多くの情報が得られるかもしれない。そう考えた零はアズサと共に桜ノ神社がある山に向かおうと歩き出した、その時……

 

 

 

 

 

―ドサッ!―

 

 

 

 

 

アズサ「……え?」

 

 

零「……ん?」

 

 

不意に背後から何かが倒れるような音が聞こえ、それを耳にした零とアズサは思わず足を止めて背後に振り返った。其処には……

 

 

 

 

 

 

「うっ……うぅ……」

 

 

 

 

 

 

零「……なっ?!」

 

 

其処には、一人の青い髪をした女性が全身傷だらけの姿で地面に倒れている光景があったのだ。それを見た零は一瞬呆然となってしまうが、すぐさま正気に戻り女性の下に駆け寄って身体を起こしていく。

 

 

零「おいっ!どうした?!しっかりしろおい!」

 

 

「くっ……ぅ……」

 

 

アズサ「傷が酷い……早くちゃんとした治療をしないと……!」

 

 

零「チッ!次から次へと何なんだ……アズサ、お前はコイツを安静に出来る場所に連れていけ!俺は必要な薬と包帯を買ってくる!」

 

 

アズサ「っ!うん…!」

 

 

女性の容態を見てマズイと悟った零はアズサに女性を任せ、必要な薬と包帯を買いに此処から二百メートルほど離れた先にある薬局に向かって走り出し、アズサも女性を抱えて近くのベンチに女性を寝かせていったのだった。

 

 

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