仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
一時間後、桜ノ神社内……
紗耶香「――その……本当にすまなかった……」
絢香「すみません、ちゃんと私が説明してればこんなことには……」
零「いや、別にそんな気にしていないからいいが……というかもう頭上げてくれないか?別にそこまでして謝ってくれとは言ってないぞ(汗)」
取りあえず紗耶香の誤解を解いて神社の中に移動した後、零達はこの神社の巫女である"姫野絢香"と彼女の守護者である"紅刃紗耶香"から改まって謝罪を受けていた。
因みに絢香が軽く頭を下げて謝罪しているのに対し、紗耶香は畳の上におでこを押し付けながら土下座して謝罪している。
流石にそこまでされると逆に自分が悪い事をしているような気がしてならない零は、自分はもう気にしていないと告げて二人に頭を上げさせていく。
絢香「ホントにすみません……でも、なんだか信じられません。貴方達が、別の世界からやって来たなんて……」
零「まぁ、確かにそう思うのも仕方ないが事実だ……さっき戦ってた時の俺達の姿を見ただろう?」
絢香「……そうですね……零さん達が本来この世界に二人しかいない聖者になれた所を見ると、そう納得するしかありませんね」
そう言って瞳を伏せながら小さく頷いて零の話に納得する絢香。因みに聖者とはこの世界での仮面ライダーの総称であり、かつてこの世界に存在していた桜ノ神に幻魔と戦う者として選ばれた戦士としてそう呼ばれるようになったらしい。
零「……それで聞きたいんだが、絢香だったか?何故お前はさっき幻魔の連中に襲われていたんだ?」
絢香「え?えっと……それは……というか、零さんは幻魔の事を知ってるんですか?」
零「…まあな…ある程度のことは大体分かってる」
先程絢香を襲おうとした怪人……幻魔について知っていると告げながら、零は正座していた足をゆっくりと崩して再び語り出した。
零「――かつて戦国の世に突如現れた怪人・幻魔……どうやら人の世を手に入れようと大勢の人間達を襲いまくってるみたいだが、詳しい事まではまだ分かっていない……悪いが教えてもらってもいいか?」
そう言いながら零が絢香を見据えると、絢香は一瞬驚いた表情を浮かべるもすぐに冷静に戻ってそれに頷き返した。
絢香「……かつて、幻魔は幻魔界と呼ばれる魔界からこの世に現れ、私達人間が住む人の世を自分達の物にする為に大勢の人間を殺戮していました……その時に幻魔達を従えていたのが、全ての幻魔を従える幻魔界の神……幻魔神」
アズサ「……幻魔神……」
嘗て大勢の幻魔達を従えて人間達を殺戮しようとしていた幻魔達の神、幻魔神。零の隣で話しを聞いていたアズサは思わずその名を口にし、紗耶香は絢香の話を促すように口を開く。
紗耶香「幻魔神はかつて、多くの人間達に自らの力を与えて幻魔へと豹変させ、この世を支配しようとしていた……かつて天下統一を野望としていた織田信長もその一人だった」
零「織田信長?!……また凄い男を味方に引き入れた物だな、その幻魔神とやらは……(汗)」
絢香「幻魔神の力はそれ程までに強大なのです。信長もその力に魅入られて幻魔に付き、幻魔の力を使って自らの野望を果たそうとしました……ですがこの世界の神……桜ノ神様がそれを阻止するだけの力を与えて下さったのです」
零「っ!桜ノ神が…?」
桜ノ神が幻魔達に対抗する力を人間達に与えた。それを聞いた零は思わず身を乗り出しながら絢香に聞き返すと、絢香はそれに頷きながら紗耶香へと目を向け、紗耶香は無言で先程龍王に変身した時に使った籠手を取り出した。
紗耶香「それがこの籠手、龍王の籠手と此処にはないもう一つの籠手……鬼王の籠手だ」
絢香「この籠手を授かった二人の聖者は籠手の力を使って本能寺で織田信長を討ち、幻魔神にも挑みましたが……やはり外道とは言え相手は神。強大な力を持つ幻魔神に二人の聖者は勝つことは出来ませんでした。しかし……」
紗耶香「その時に桜ノ神様が現れ、自らのお力を使って幻魔神と全ての幻魔達を封印されたのだ……そしてそれと共に……桜ノ神様はこの世界から姿を消してしまった……」
零(……成る程、桜ノ神が消えたのにはそういう経緯があったのか……)
アズサからあらかじめ大体の話しを聞いていたために納得した表情を浮かべる零だが、そこで一つ疑問が浮かび上がった。
零「――ちょっと待て……桜ノ神が幻魔達を封印したなら、何故今幻魔達がこの世界にいるんだ?」
そう、気になったのはそれだ。桜ノ神が幻魔達を封印したのなら、何故今も幻魔達が暴れているのか?零がその事を疑問げに質問すると、絢香は少し暗い表情を浮かべながら顔を俯かせてしまう。
絢香「……実は一人だけ、桜ノ神様の封印を免れていた幻魔、ギルデンスタンという幻魔がいたんです」
アズサ「ギルデンスタン?」
紗耶香「幻魔界の科学者だ……桜ノ神様の封印を免れた奴は幻魔界に戻り、長い時間を掛けて大量の人造幻魔達を造り出し、再びこの世界に攻め込んできた」
絢香「私達はなんとかギルデンスタンと彼が引き連れてきた人造幻魔達を倒しました……しかし、彼は私達との戦いの中で桜ノ神様が封印していた幻魔神以外の幻魔達の封印を解き、再びこの世に放ってしまったのです……」
零「……はた迷惑な幻魔だな、そのギルデンスタンとやらは……」
厄介事を残して自分は先に死んでいくとは、どれだけはた迷惑な奴なんだ?と、零は呆れたような深い溜め息を吐いてしまい、絢香はそんな零の様子に苦笑しながらゆっくりと立ち上がると部屋の奥にある仏壇へと近づき、仏像の下に置かれた小さな黒いつぼを持って元の場所に腰を下ろした。
絢香「そしてこれが、おそらく私が幻魔達に襲われた原因……かつて桜ノ神様が幻魔神を封印したツボです」
零「?幻魔神を封印したって……まさか?!」
絢香「はい。全ての幻魔達を統べる者……幻魔神は今もこのツボの中に封印されています」
そう言って絢香は幻魔神が封印されているという黒いツボを零達の前に置いていき、零は若干驚いた表情のままツボを手に取ってそれを眺めていく。
零「……そういう事か……つまり、幻魔達はコレを狙ってさっきお前を襲ってきた訳か?その幻魔神とやらを復活させるために……」
絢香「えぇ、簡潔にいえばそんな感じですね」
零「成る程……んで、アンタは俺がこのツボを狙って絢香を襲いに来た幻魔だと勘違いしたって事か」
紗耶香「だ、だからすまないと言っているだろう?!それにあの時は……絢香様が幻魔に殺されているだろうと言われて私も焦っていたんだ……」
絢香「……え?言われてって、どういう事ですか?」
紗耶香の言葉に怪訝そうに聞き返すと、その問いを受けた紗耶香は少し言い淀みながら再び口を開いた。
紗耶香「……実は、町へ買い出しに行ってる時に会ったんです……奴と」
絢香「?奴って……まさか?!」
紗耶香「はい……町の中でいきなり仕掛けてきたので何とか撃退したのですが、奴が去り際に言っていたんです……『今頃絢香は幻魔に殺されてツボを奪われているでしょうね』……と」
絢香「……そん……な……じゃあ、さっきの幻魔達を差し向けたのは……あの人……?」
零「……?あの人?」
思い詰めた表情でポツリと呟いた絢香の言葉に、疑問げに首を傾げる零。そんな零の様子に気付いた絢香は言うべきかどうか迷って口ごもるが、紗耶香が険しい表情で代わりに話し出した。
紗耶香「……さっき話しただろう?私が持つのとは別の籠手、鬼王の籠手のことを」
零「?あぁ、龍王とは別のライダー……じゃないか、もう一人の聖者が使うって奴だろう?」
紗耶香「そう、その籠手を使う人間はかつて私達と共にギルデンスタンと戦った仲間……仲間だった……」
アズサ「……だった?」
何故か過去形で話す紗耶香に零とアズサは首を傾げて疑問げに小首を傾げると、暗い表情で顔を俯かせていた絢香がゆっくりと顔を上げながら喋り出した。
絢香「……その人は、ギルデンスタンとの戦いの後に姿を消し……また私達の前に現れたんです……幻魔達を連れて……」
零「?!それは……まさか……」
紗耶香「そう……そいつは寝返ったんだ……幻魔側にな」
『ッ?!』
絢香と紗耶香の仲間が幻魔に寝返った。それを聞いた零達は驚きを隠せず息を呑み、零は険しい顔付きのまま口を開いた。
零「何故だ?そいつはお前達の仲間だったんだろう?なのになんで幻魔なんかと……」
紗耶香「…さあな…理由を聞こうとしても何も話しもしない……だから私も既に見限った。奴はもう仲間でもなんでもない……ただの裏切り者だとな……」
絢香「…………」
そう言って紗耶香は怒りに満ちた表情で拳を強く握り締め、絢香も暗い雰囲気を漂わせながら再び顔を俯かせてしまう。そんな二人を見て零達も掛ける言葉が見つからず口を閉ざしてしまうが、重い空気が流れ始めたところで絢香が笑みを浮かべながら声を上げた。
絢香「そ、そうだ!零さん達はこれからどうするんですか?」
零「ん?あぁ、そうだな……今日は適当に宿でも見つけて泊まろうかと考えてるが……」
絢香「それなら、今日はうちの神社に泊まっていってくれませんか?先程助けてもらったご恩もお返ししたいですし」
零「いいのか?……なら、お言葉に甘えさせてもらっていいか?正直に言えば、今の有り金を考えるとその方が助かる」
絢香「はい、喜んで♪それに零さん達にまだ紹介していない人達がいますからこの際……ってあれ?紗耶香さん、お二人はどうしたんです?確か一緒に買い出しに行った筈じゃ……」
紗耶香「は?……ハッ?!しまった?!すっかり忘れてました?!」
絢香「へ?……ちょ、もしかして置いてきたんですか?!」
紗耶香「す、すみません!何分急いでいましたので、ついすっかり……!」
絢香「うっかりではありません!あの二人はまだこの町に慣れていないんですよ?!と、とにかく早く探しに行かないと…!!」
零「……何なんだ一体?」
アズサ「さぁ…?」
何やら騒々しく辺りを駆け回る絢香と紗耶香に零達は不思議そうに首を傾げるが、取りあえず紗耶香が誰かを町に置いてきぼりにして今から探しにいこうとしてるらしい。ならば自分達も行った方がいいかと絢香に声を掛けようとした。その時……
―……ガラァッ!!ドタドタドタドタッ……!!―
アズサ「……?誰か来た?」
紗耶香「玄関から?……もしかしてあの二人か?!」
絢香「よ、良かったぁ……無事に帰ってきたんですね(汗)」
零「例の二人という奴か?……それにしてもバタバタと騒がしいな……もう少し静かに出来ないのか?」
玄関からこちらに向かって誰かが走ってくるような音に零は呆れるように溜め息を吐きながら言うと、先程絢香が出してくれたお茶をズズズッと口の中に流し込でいく。その時……
―ドタドタドタドタッ……バンッ!!!!―
シャッハ「ハァ…ハァ……見付けましたよ紗耶香!!」
カリム「酷いじゃないですか?!私達を置いてきぼりにするだなんて!」
紗耶香「す、すまない!!ホントに悪かったカリム!シャッハ!υυ」
零「ブフウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ?!!!!」
シロ『うにゃあ?!』
アズサ「あっ……零がお茶噴き出した……」
襖を勢いよく開けて現れた絢香と同じく巫女服を着た二人の女性……"カリム・グラシア"と"シャッハ・ヌエラ"を目にした瞬間、零は口の中に流し込んでいたお茶を勢いよく噴き出していったのだった……