仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
数十分後……
零「――なるほど…つまり俺達の世界を滅び現象が襲った時に聖王教会にも怪人が現れ、お前達は他の教会のシスター達と共に避難している最中にこの世界へと飛ばされてしまい、神社の庭で倒れてるところを絢香に助けられた…ってことか」
カリム「え、えぇ……まあそんな感じで……」
あれから暫く時間が経ち、零はカリムとシャッハからこれまでの経緯を聞いていた。どうやら二人も自分達の世界で滅びの現象に巻き込まれ、この世界に飛ばされて絢香達に保護されたらしい。(因みに話しを聞く前にアズサの事を紹介した際、何故かカリムに軽く睨まれたのは別の話)
零「成る程、大体の事情は分かった……だが……」
ある程度話しを聞いた零はそう言いながら軽く溜め息を吐き、両目を細めながらカリムとシャッハの格好を見つめていく。
零「……何故お前等二人はそんな格好をしとるんだ?しかもよりによって巫女服って」
カリム「え?あ、こ、これはそのぉ……」
零に巫女服について指摘されたカリムは急に慌て出してしまい、人差し指をクルクルと回しながら何か思い付いたように語り出した。
カリム「ほ、ほら!此処はミッドじゃなくて地球ですし、街を歩くにしても騎士服で居たら色々と目立つでしょう?それに神社であの騎士服はあまり似つかないですしっ」
零「……まぁ、確かにそれに関しては一理あるが……お前、ホントにそれだけか?」
カリム「……は?え、ど、どういう意味かしら…?」
零「さっきのお前……なんだか聖王教会に居た時より妙に生き生きしていた気がするんだが……それに、別に巫女服じゃなくてももっと色々な服がある筈だろう?お前、そんな格好してるのは他に理由があるんじゃないか?」
カリム「うっ?!うっ……うぅ……」
ジト目で軽く睨みつけながらそう問いかけてきた零にカリムは思わずたじろぎ、目を泳がせて両手の人差し指の先をツンツンと合わせながら呟く。
カリム「――その……こういう服ってミッドじゃ余り見られないから、つい珍しくて着てみたくなったというか……好奇心に押されたというか……」
零「………おいシャッハ……まさかお前もそんな理由で……?」
シャッハ「ち、違います!私はただ此処に住まわせてもらってる以上、何か仕事をお手伝いしようと思って着ているだけです!」
零「……本当かお前?」
シャッハ「本当です!ご、ごうにはごうに従えと言うじゃないですか?!シスターの格好のまま神社で働いていたら怪しまれるでしょうっ?!だからですよ!」
零「…………」
ホントか嘘か判断しずらい反応を見せるシャッハに零も疑わしい目付きでシャッハを見つめるが、まあいいかと溜め息を吐いて絢香と向き合っていく。
零「……とにかく、二人を保護してもらってすまないな絢香?ありがとう……」
絢香「い、いえそんな…!でも驚きましたよ、まさかカリムさん達が零さん達のお知り合いだったなんて…」
零「あぁ、正直俺も驚いてるよ……というより、何故こんなトラブルだらけの世界にコイツ等がいるんだと本気で神を恨みたくなってきたぞっ……」
絢香「……は?」
顔を俯かせて拳を震わせながら呟く零に怪訝そうに聞き返す絢香だが、零は気にしないでくれとだけ告げて再び溜め息を吐いた。
零「取りあえず……悪いが部屋に案内してもらってもいいか?此処に来るまで色々あって疲れてな……正直もう休みたい(汗)」
絢香「あ、そうですね……分かりました、今からご案内しますね?カリムさん、アズサさんに部屋の案内をしてもらってもいいですか?」
カリム「へ?……あっ……うっ……分かりました……」
何処か渋々といった感じに頷いたカリムの返答を聞くと、絢香は部屋の案内の為に零と共に部屋から出て行き、シャッハも紗耶香と共にお茶でも容れようかと台所の方に向かっていった。そして部屋に残されたカリムは軽く溜め息を吐き、アズサはそんなカリムを見て首を傾げながら声を掛けた。
アズサ「カリム……どうかしたの……?」
カリム「…え?い、いえ、何でもないですよ?(焦)」
アズサ「……もしかして、カリムは零と一緒が良かった?」
カリム「…へっ?!そ、そんな事ないですよ?!ほ、ほらっ、私達も早く行きましょう!」
アズサ「……図星?」
シロ『うにゃ?』
顔を紅潮させて両手を振りながら否定するカリムを見てアズサは首を傾げながらそう呟き、アズサの腕に抱かれる黒猫も片耳を動かしながら鳴き声を上げていたのだった。
◇◆◆
その頃、絢香に案内されて零が行き着いたのは如何にも和風の雰囲気を漂わせる和室だった。そして絢香と共に室内に足を踏み入れた零は部屋の中を見渡しながら関心の声を漏らした。
零「おぉ……如何にもって感じの部屋だな?」
絢香「アハハ……そんな大した部屋でもないですよ。それに最近忙しくて、此処は余り掃除していませんでしたし……(汗)」
零「いや、別にそんなの気にしないぞ?部屋を貸してもらうだけでも有り難いしな……気になる所があったら自分で掃除するし」
絢香「あ、じゃあ掃除用具の場所も教えておきますね?確か、こっちの襖の方に……」
そう言って絢香は何かを思い出すように顎に手を添えながら部屋の隅にある襖へと近づいていき、襖の戸を勢いよく開けた瞬間……
―ガラァッ……ドシャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!!!!―
絢香「ふぇ?…ってうきゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあーーーーーーーーーっっ?!!!!!!」
零「っ?!お、おい!絢香っ?!」
戸を開けた瞬間、それと共に襖の奥から大量の布団と毛布が雪崩のように落ちて絢香を飲み込んでいってしまったのだ。布団の雪崩が起きた衝撃で埃が辺りに蔓延する中、零は慌てて布団の山に埋もれた絢香に呼び掛けると、布団の中からモゾッと頭にシーツを被った絢香が姿を現した。
絢香「イッタタタタッ……あっ?!だ、大丈夫でしたか零さん?!」
零「あ、あぁ……俺は別になんともないが……というかお前こそ大丈夫か?」
絢香「は、はい何とか……でもすみません、お見苦しいところを見せてしまって……(汗)」
零「いや、別に構わないが……だがこれ……布団しかなくないか?」
絢香「へ?」
絢香は零の言葉に間抜けな声を上げると、自分を飲み込んだ布団の山を見渡していく。辺り一面には布団や毛布等しかなく、掃除用具や他の道具などは何処にも見当たらない。
絢香「あ、あれ?可笑しいな?どうして……あ、そうだ……この前の大掃除の時に違う場所に仕舞ったんでした?!私ちょっと見てきますね!」
零「は…?お、おい絢香!ちょっと待て?!」
布団から立ち上がって掃除用具を仕舞った場所に向かおうとする絢香を呼び止める零だが、絢香はそれを聞かずにシーツを被ったまま部屋から飛び出していってしまった。
零「……はぁ……アイツは……というかコレどうしたらいいんだ……?」
そう言って零は畳み一面に錯乱した布団の山に視線を下ろして溜め息を吐き、取りあえず布団を片付けようと一枚のシーツを掴んだ、その時……
『ひにゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあーーーーーーーーーっっ!!!!?』
―ドシャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!!!!―
零「……アイツ……またか……」
何処か遠くの部屋から聞こえてきた絢香の悲鳴と巨大な轟音。それを聞いた零は天井を仰ぎ、疲れたように何度目か分からない溜め息を吐いて部屋から出ていったのだった。
◆◇◆
絢香「――す、すみません……何から何まで、ご迷惑をお掛けして……」
零「いや、別に治療と片付けぐらいで迷惑とは思わんが……」
あれから数十分後、別室でまたも瓦礫の山に埋もれていた絢香を救出した零だが、どうやら絢香が瓦礫の山に埋もれた時に足を切ってしまったらしく、ひとまず治療ついでに休憩をしようと縁側で絢香の足の治療をしていた。
零「ほら、終わったぞ……それにしても、お前いつもあんな感じなのか?」
絢香「あ、あはは……恥ずかしながら……私って結構落ち着きがないですから、何時もあんな目に合っては怪我して、周りにも迷惑掛けてばかりで……(汗)」
零(……成る程……コイツも不幸体質って事か?……いや、それとも単にドジなだけか?)
苦笑しながら見上げてくる絢香を見つめながらそんなことを思い、軽く息を吐きながら絢香の隣に腰をかける零。そしてぼんやりと庭を眺めていると、零は此処から見える花壇の花を見つけて首を傾げた。
零「……?あれは……」
絢香「え?……あぁ、あれはうちの花壇ですね。結構色んな花がありますよ」
絢香が花壇を見て小首を傾げる零にそう説明すると、零はゆっくりと縁側から腰を上げて花壇へと近づき花を眺めていく。すると、零は様々な種類の花の中から一つの花……白、赤、黄、紫など様々な色を彩った花を見てポツリと呟く。
零「これは……ヒャクニチソウか」
絢香「?零さん、お花に詳しいんですか?」
零「まぁ少しはな……それにしても立派だな。これ、お前が育てたのか?」
絢香「え……あ、いえ……それは……」
ヒャクニチソウの花を見て問いかけてきた零に絢香は何故か急に言い難そうに口ごもり、そんな絢香の様子に零も頭上に疑問符を浮かべてしまう。そして絢香は暫くそんな様子でいると、ヒャクニチソウを見つめながら口を開いた。
絢香「……その花は……私じゃなくて、あの人が育ててたんです……」
零「?あの人って……もしかして……」
絢香「はい……先程もお話した……鬼王の籠手を持つ聖者……私達の仲間だった人です……」
そう言った絢香の顔は何処か悲しげなものに見えた。鬼王の籠手を持つ聖者と言えば、先程紗耶香からも聞かされたかつての絢香達の仲間であり、二人を裏切った人物の事だ。それを聞いた零は険しげに眉を寄せ、絢香はヒャクニチソウの花を見つめながら語り出す。
絢香「――あの人と最初に出会ったのは、ギルデンスタンとの戦いの中でした。人造幻魔達に紗耶香さんが追い詰められて、ホントにもう終わりだって思った時に……あの人が現れて助けてくれたんです」
零「……………」
絢香「最初は私達と一緒に戦うことを拒んで、いつも一人で幻魔達と戦う一匹狼みたいな人でした。だけど戦いの中で、あの人ととも次第に和解して、漸く仲間になれた………その花も、あの人が此処に住み始めてから育て始めた花なんです」
そう言って絢香はゆっくりと花壇の前で腰を下ろし、ヒャクニチソウの花に指で触れていく。
絢香「あの頃は、ホントに楽しかった……此処であの人と一緒にお花の手入れをしたり……あの人と紗耶香さんの稽古を見て応援したり……一緒に町に出掛けたりして……本当に楽しくて幸せな毎日でした……なのに……」
途中で言葉を区切り、静かにヒャクニチソウから指を離して膝を抱え、顔を俯かせてしまう絢香。
絢香「……なのにあの人は……今は私達の敵になってしまった……そしてさっきも、あの人は私を殺そうと幻魔達を差し向けてきたんです……」
零「……絢香」
絢香「あはは……どうしてこうなっちゃったんでしょ……私達は同じ物を見て、いつも笑い合っていたのに……あの人は敵になってしまった……ホント、神様って意地悪ですよね?巫女の私がそれ言ったらおしまいですけど……そう思いたくもなりますよ……」
泣きそうになるのを必死に堪えるように苦笑して呟く絢香。それを隣で聞いていた零は一度空を仰ぐと、首に掛けたカメラのレンズをヒャクニチソウに向けながらシャッターを切った。
零「――絢香……お前は今でも、ソイツを信じたいと思っているのか?」
絢香「……信じたいですよ……あの人は今でも仲間だと思ってますから……だから私を殺そうとしたのも、何かの間違いだと思いたい……けど……」
零「……そうか……お前がそう思うなら、もう少し信じてみたらどうだ?」
絢香「……え?」
零のその言葉を聞き絢香は思わず顔を上げて零に聞き返し、零はファインダーから目を離してヒャクニチソウを見つめる。
零「俺も上手くは言えんが……前に俺の幼なじみが言っていたんだ……例え俺が何処へ消えても、皆と一緒に何処までも追い続ける。例え俺に拒まれても、何度でも手を伸ばす……とな」
絢香「…………」
零「この言葉を言われる前、俺も色々と迷ってた事があってな……このまま戦い続ければ、いつかはアイツ等の敵になってアイツ等を傷付けるかもしれない……そう思ってた俺にアイツが言ったんだ。例え俺が皆の前から消えても……自分達との絆は壊れる事はないと……アイツはこんな俺を信じてくれてるんだ。だから俺も、そんなアイツの思いを応えようと思った」
絢香「……信頼し合ってるんですね。零さんとその人は」
零「仲間だからな……信じ合えなきゃそれで終わりだろう?」
そう言いながら零は苦笑いを浮かべると、ヒャクニチソウの花に手を伸ばし花に触れていく。
零「絢香……お前、ヒャクニチソウの花言葉って知ってるか?」
絢香「?ヒャクニチソウの花言葉……ですか?」
ヒャクニチソウの花言葉。それを問われた絢香は少し首を捻らすが、分からないと首を左右に振った。零はそれを見ると苦笑したまま立ち上がり、ヒャクニチソウの花達を眺めながらポツリと呟く。
零「―――幸福、不在の友を思う、友への思い……そして、絆……だそうだ」
絢香「……絆……」
零「…この花は、ソイツが此処に住み始めてから育て始めたんだろう?だからきっと、ソイツもその頃からお前達の事を大切に思っていたんだろ……多分な」
そう言うと零はヒャクニチソウから視線を逸らし、隣にいる絢香の顔を見つめながら再び語り出す。
零「こんな花を此処まで育てるような奴が、何の理由も無しにお前等を裏切る筈もない……きっと何かあるんだろう。だからお前も、諦めずに信じてみたらどうだ?お前がまだ、ソイツを仲間だと思えるなら……ソイツとの絆がまだ壊れていないと信じられるなら」
絢香「……零さん……」
まだその聖者のことを仲間と思えるなら、信じ続けてみろと。そう言われた絢香はそよ風に揺れるヒャクニチソウをジッと見つめた後、何かを決心したかのように深く頷きながら立ち上がり零と向き合っていく。
絢香「――分かりました、信じてみます……そして、もう一度あの人に会って話してみます。あの人は私の……私達の、大切な仲間ですから」
零「あぁ、そうしてみろ。諦めさえしなければ、ソイツもきっとお前の思いに応えてくれる……きっとな」
絢香「はい!」
まるで子を見守る父のように穏やかな笑みを浮かべる零に、先程の暗い雰囲気を一切感じさせない笑顔で頷く絢香。そんな絢香の顔を見た零も小さく頷くと、首に掛けたカメラを構え絢香の写真を撮っていく。
零「――思った通り、良い顔で笑うじゃないか」
絢香「へ?……あ……も、もしかして変でした?」
零「む?いいや、そんな事ないぞ?寧ろこう……うん……綺麗だと思うが?」
絢香「ッ?!き、綺麗?!」
首を傾げながらそう告げた零に絢香は驚愕の顔を浮かべ、みるみる内に顔も紅くなって真っ赤になっていった。
絢香「も、もう!からかわないで下さいよ!き、綺麗とかそんなこと…!!」
零「……は?別にからかったつもりはないぞ?お前が本当に綺麗な顔で笑うから綺麗だと言っただけなんだし……」
絢香「ッ?!」
怪訝そうに眉を寄せながらそんなことを口にした零にボンッ!と顔から湯気を出してしまう絢香。元々この神社で女仲間といることが多く男に関わってこなかったせいか、異性から綺麗などと言われたことがない為に動揺を隠せない絢香なのだが、この超絶鈍感馬鹿がそんな事に気付く筈もない……
零「お、おい、大丈夫か?顔真っ赤だぞ……?」
絢香「……へ?い、いえ!何でもないですよはい!!気にしないで下さい!全然大丈夫ですから!!」
零「?……まあお前がそう言うなら気にしないが……まだ外は暑いから日射病になることもあるだろうし、そうなる前に早く中に戻れよ」
顔が紅いまま両手を全力で振って必死に大丈夫だと叫ぶ絢香に疑問を覚えつつも、取りあえず零はアズサとカリム達の様子でも見て来ようと絢香の頭をポンッと軽く叩いた後に神社の中に戻っていった。そして庭に残された絢香は……
絢香「――うぅ……まだ顔が熱いっ……何やってるんだろう私っ……」
真っ赤になった頬に両手を添えながら、零の前で何という醜態を晒してしまったのかと恥ずかしさのあまり自己嫌悪になっていた。そして絢香は深い溜め息を吐くと、先程零に触れられた頭にソッと手で触れていき……
絢香「……でも……あの人に頭を触れられたのは……嫌じゃなかったかな……」
顔を紅潮させながら頭に手を添えて、クスッと小さく微笑みを漏らしていたのであった。
因みに零は……
零「………………………………………はて……………此処は一体何処だ……?」
アズサ達のいる部屋までの場所が分からず、神社内で迷子になっていたのだった。因みに何度も迷走を続けてあちらこちらを行ったり来たりして迷った結果、約一時間弱掛けて漸く部屋に辿り着いたそうな……