仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
第十七章/桜ノ神の世界④
数時間後、アズサ達の様子を見終えた零は取りあえず休息を取ろうと絢香に用意された部屋に戻り、畳の上でねっころがっていた。
零「はぁ……今日は色々ありすぎて疲れたぁ……」
もうクタクタで動けないといった調子で呟きながら、零は寝返りを打って仰向けになっていく。そして午前中の様々な不運に巻き込まれた疲れからか、だんだんと眠気がさしてゆっくりと瞼を閉じようとした。その時……
―ガラァッ―
カリム「……零、少し良い?」
零「……?カリム?」
不意にカリムが部屋の襖を開けて現れ、零は閉じかけていた瞼を開いて身体をけだるそうに起こしていく。
カリム「あ、もしかして休んでた?なら時間を改めて来るけど……」
零「いや、別にいいぞ……それで何だ?何か大事な用でもあるのか?」
カリム「いいえ、そんな大した用じゃないんけど……ちょっと貴方とお話したくなって……」
そう言いながらゆっくりと襖を閉め、何処かソワソワとした様子で零の前に正座して座り込むカリム。零はそんなカリムの様子に首を傾げつつも、同じように座り込んでカリムと向き合っていく。
零「それで、話ってなんだ、カリム?」
カリム「少しね……零達はずっと色々な世界を旅していたと聞いたから、ちょっと話を聞いてみたくなって」
零「ああ、成る程……だけど別にそんな大した事なんてしていないぞ?ただその世界のライダー達にお節介を焼いたりとか、そんなことしかやっていないし……まぁ、元の世界じゃ出来ない色んな体験が出来たっていうのもあるが」
カリム「そう、私やシャッハも似たような感じね……最初は平行世界と聞いて驚いたり戸惑ったりもしたけど、絢香さん達のおかげで此処の生活にも慣れたし。聖王教会にいた時にはできなかった貴重な体験も出来たから………そういえば、はやて達も元気にしてるの?」
零「あぁ、元気だぞ……寧ろ元気過ぎて、こっちは毎日死ぬような思いをしているがな……」
カリム「……そっちも相変わらずみたいね…」
遠い目をしながら明後日の方を見つめる零を見て何か悟ったのか、思わず苦笑をこぼしてしまうカリム。
零「……そういえば、お前はずっと神社の仕事をしながら此処に住んでいたんだろう?どんな仕事をしてたんだ?」
カリム「ん……そうね……けど殆どの仕事はシャッハや絢香さん達がしてくれていたから、私は余り手伝いと言える事はしていないわ。単にお庭の掃除やお花のお手入れぐらいしか出来る事はなかったし……」
零「ほぉ……だがまあ、元の世界じゃ事務とかの仕事が殆どだったし、こういう雑務をやってみるのも悪くはないだろう?」
カリム「そうね……最初はあまり慣れなかったけど、やっていく内に段々慣れて楽しくなってきたし、案外こういう仕事も向いてるのかもしれないわね」
カリムはそう言ってクスッと小さく微笑み、零もそんなカリムに釣られるように思わず笑みを漏らした。
カリム「ふふ……なんだかこうして話してると、貴方と教会を抜け出した時の事を思い出すわね……」
零「…あぁ、なのは達から逃げて教会にやって来た時のあれか?」
カリム「そっ、貴方がいきなり私の執務室の窓から現れた時のあれ……あの時は本当に驚きましたよ。しかもそのすぐ後にミッドに連れていかれるし」
零「あぁ、あの時は一人で逃げるのもあれだからとお前を巻き込んでしまったんだよな……そのせいでお前と俺はシャッハに怒られるし、その後結局なのは達に捕まった上にお前と何をしてたのかと問いただされてOHANASHIされるし……何かホントに悪かったな?」
カリム「い、いえ……私も結構楽しめましたし、それに……良い思い出にもなりましたから……」
零「……はい?」
最後の方だけ小声で呟いたカリムの声が聞き取れず、零が思わず怪訝そうに聞き返した。その時……
―ガランガラァンッ!!―
『……ッ?!!』
不意に何処からか鐘の音が響き、零とカリムは突然のそれに驚愕して思わず立ち上がってしまう。
零「今の音は…?!」
カリム「今のは確か、神社の敷地に見知らぬ人間が入ってきた時に鳴る警鐘の音……まさか、侵入者?!」
零「ってことは、幻魔達が攻めてきたのか?!カリム!」
カリム「ッ!はい!」
警鐘の音で幻魔達が攻め込んできたと予想した二人は互いに顔を見合わせて頷き、急いで幻魔神が封印されたツボがある部屋へと向かっていった。
◆◇◆
数分後、二人はツボのある部屋へと向かっている最中に同じく騒ぎを聞き付けた絢香、紗耶香、シャッハ、アズサ達と合流を果たし、ツボのある部屋の前にまでやって来ていた。
零「此処だな……みんな、注意しろ」
アズサ「うん…!」
シャッハ「騎士カリムは私にお任せを…!」
紗耶香「絢香様、下がっててください……」
絢香「はい……紗耶香さんも気をつけて……」
零達は何時でも変身出来るようにベルトと籠手を装着し、非戦闘員である絢香とカリムはシャッハの背後にまで下がらせている。それを確認した零と紗耶香は襖の両側に立って互いにアイコンタクトで合図を送り、襖を勢いよく開けて中へと踏み込んでいった。其処にいたのは……
大輝「――おや、来るのが少し遅かったなぁ。零?」
ルミナ「――あれ?アズサじゃない!久しぶり~♪」
零「ッ?!お前は……海道?!」
アズサ「ルミナ……お姉ちゃん?」
そう、其処にいたのは二人の男女……大輝とルミナだったのだ。大輝達を見た零とアズサは驚愕の表情を浮かべてしまい、そんな二人の反応を見た絢香達は頭上に疑問符を浮かべていた。
絢香「零さん?お知り合いなんですか…?」
零「……別に知り合いと呼べる仲ではないが……てか、侵入者はお前等だったのか?こんなところで何をしてる?」
大輝「あぁ、ちょっと気になる物があってね?それを頂こうと思って参上したってところさ」
ジト目で睨みつけてくる零の視線を軽く受け流しながらそう言うと、大輝は片手に持ったある物……幻魔神が封印されている黒いツボを零達に見せ付けていく。
絢香「そ、それはっ…幻魔神を封印したツボ?!」
大輝「世界全体を震撼させる災いを招いた幻魔神が封印されたツボ……興味深いじゃないか。神が封印されているっていうのも中々の品物だし、コレは頂いていくよ♪」
紗耶香「なっ?!ふざけるな!それがどういうものなのか分かっているのか?!ツボを返せっ!!」
ツボを頂くと告げた大輝に紗耶香は怒りの表情を浮かべ、腰に納めていた真剣を鞘から引き抜き大輝とルミナへと斬り掛かっていく。だが、大輝はルミナと共にそれを軽く受け流して紗耶香から距離を取り、何処からかディエンドライバーを回転させながら取り出した。
大輝「返せと言われて大人しく返すほど俺は優しくないんでね。この辺で失礼させてもらうよ。じゃあね♪」
―ズガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!―
『なっ?!』
大輝は爽やかな笑みを浮かべながら天井に向けてディエンドライバーを乱射し、天井を破壊して零達を怯ませてしまう。その隙に大輝とルミナは部屋の窓をぶち破って脱出し、神社から抜け出していったのだった。
◆◇◆
それから数十分後、神社を抜け出した大輝とルミナは近くの公園の中に逃げ込んでいた。大輝は自分達が逃げてきた道を振り返り零達が追ってきていないことを確認すると、一息吐いてベンチに腰掛けていく。
大輝「ふぅ……何とか巻いたみたいだね」
ルミナ「やりましたね師匠!今度こそお宝GETですね♪」
大輝「ま、幻魔対策の結界もそんな大したものじゃなかったし、今回は結構簡単だったな」
お宝GETしたことに対してルミナは明るい笑顔で大いに喜び、大輝も笑みを浮かべながら黒いツボをボールのように扱って遊んでいた。そんな時……
「――そう思ってるところで悪いが、それもすぐぬか喜びになるだろうな……」
『ッ?!』
突如横から聞こえてきた聞き覚えのある声。逃げ切れたと安心し切っていた二人が慌ててそれが聞こえてきた方へと振り返ると、其処にはいつの間にか大輝達を追ってきた零とアズサの姿があり、更にその反対の方には紗耶香と絢香、カリムとシャッハが立って大輝達を挟み撃ちにしていた。
ルミナ「か、囲まれちゃってる?!」
大輝「へぇ、良く此処が分かったねぇ?」
零「甘くみるなよ?お前がどんな行動を起こすかぐらい大体予想出来てたんだ。だからお前が天井を壊してすぐ、ソイツを付けさせてもらったよ」
大輝「?」
悪戯っ子のような笑みを浮かべて自分の靴の側面をトントンと叩く零に怪訝な顔を浮かべつつも、自身の靴の側面に視線を下ろす大輝。すると其処には淡い点滅を繰り返すマーカーのようなモノ……零のスパイダーウォッチの追跡用マーカーがいつの間にか大輝の靴の側面に付いていたのであった。
大輝「成る程、君も中々頭が回るようになったって事か」
零「そういうことだ。さ、さっさとそのツボを返してもらおうか?」
絢香「それは本当に危険なモノなんです!もし幻魔神の封印が解けてしまえば、世界は大変なことになってしまう!お願いだから返して下さい!」
大輝「おいおい、さっきも言っただろう?返せと言われて返すほど、俺は優しくないってね。どうしても返して欲しいなら……力付くで奪ってみろ!」
そう言いながら大輝とルミナはディエンドライバーとベルトを出して戦闘態勢に入り、それを見た零達も仕方がないとベルトと籠手を取り出して装着し、五人が変身して激突し合おうとした。その時……
―ズダダダダダダダダダダダダダダダンッ!!!―
『ッ?!』
突如何処からか無数のエネルギー弾が放たれ、零達の足元に撃ち込まれていったのだ。そして突然のそれに零達が驚愕して思わず辺りを見回していくと、一同の周りには足軽のような姿をした不気味な異形達の軍団……幻魔達が一同を囲んでいたのであった。
シャッハ「幻魔?!しかもこんな数が……?!」
絢香「な、なんでこんな時にこれだけの幻魔が?!」
大輝「ふむ……参ったな。まさかこっちの騒ぎに便乗して奇襲を掛けてくるなんてね」
零「…なに?どういう意味だ「そうね、貴方が騒ぎを起こしてくれたおかげで、こちらも動きやすくなったわ。監視を付けておいたのも無駄じゃなかったみたいだし」……っ?!」
顎に手を添えて意味深な事を告げた大輝に思わず聞き返そうとする零だが、それを遮るように突然女性の声が響き渡った。そしてそれと共にその声が聞こえてきた幻魔の軍団の中から一人の女性が現れ、その女性を見た絢香と紗耶香、零とアズサは驚愕の表情を浮かべた。
絢香「あ、貴女は?!」
「……久しぶりね絢香……紗耶香は昼間にも会ったわよね。絢香が無事なところを見ると、どうやら幻魔達から救えたみたいね?」
紗耶香「貴様っ…!」
零「……お前……は……」
女性を見た絢香は絶句した顔を浮かべ、紗耶香は絢香を守るように前に出ながら女性を鋭い目で睨み付けていき、零はその女性を見て驚愕したまま震える声で口を開いた。
零「――何で……何故お前が此処にいる?!桜香!」
桜香「…………」
零が女性……昼に街を歩き回ってる最中にアズサと共に助けた人物である土御門桜香を見据えながら叫ぶが、桜香はそんな零を横目で見るだけでなにも言わず、大輝に向けて手を伸ばしていく。
桜香「さて、そのツボを渡してくれるかしら、泥棒さん?それは私の目的の為に必要なモノだから」
大輝「へぇ……嫌だと言ったら?」
不敵な笑みを浮かべながら大輝がそう告げると桜香の表情が冷たい物へと変わっていき、何処からか紗耶香の龍王の籠手に似た黄金の籠手を取り出すと右腕へと装着し、そして……
桜香「断るというなら、力付くで奪い取るだけよ……変身ッ!」
高らかに叫ぶと同時に籠手から蒼い炎が勢いよく噴き出し、桜香の身体を包み込んでいった。そして炎に包まれていた桜香が右手で炎を払うような動作をすると、桜香は鬼を象ったような蒼い鎧と赤い瞳、右手に桜の花びらの絵が描かれた蒼い刀のような武器を持った亜人……仮面ライダーへと姿を変えたのであった。
零「なっ……あれは?!」
アズサ「紗耶香の龍王に似てる?……もしかして……あれが……」
絢香「……はい。あの人が嘗て桜ノ神様から授かった鬼の力を持つ聖者の子孫、そして私達と共にギルテンスタン達と戦った聖者……鬼王です」
紗耶香「そして……幻魔に付いた裏切り者だっ!」
鬼王『随分な言われようね……ま、否定する気もないわ。実際に裏切って幻魔に付いたのも事実なんだし』
非難するように叫ぶ紗耶香に軽い口調でそう言うと、桜香が変身したライダー……『鬼王』は右手に持った蒼い刀を振るうって大輝に近づいていくが、それを遮るように絢香が鬼王の前に出た。
絢香「いけません!止めて下さい桜香さん!!」
鬼王『――絢香、私の邪魔をしないで。私はそのツボ……ツボの中に封印された幻魔神を復活させないといけないの』
絢香「そんな……そんなのダメです!幻魔神は嘗ての聖者達でも勝つ事が出来なかった神なんです!桜ノ神様でも封印する事がやっとだった彼を復活させてしまえば……この世界は本当に幻魔達のものになってしまいます!」
鬼王『…………』
絢香「お願いです!もうこんな事は止めて帰ってきて下さい!もし何か幻魔に付かなければいけない理由があるなら、教えて下さい!私達が桜香さんの力になりますから!だから――!」
鬼王に向けて必死に叫び、帰ってきて欲しいと説得をしていく絢香。それを聞いた鬼王は僅かに顔を俯かせ……
鬼王『――絢香……貴方は何も分かってないわ……』
絢香「……え?」
鬼王『私の力になるですって?笑わせないでちょうだい……幻魔神の復活に反対している時点で、私の力になる気なんて全然ないじゃない……』
絢香「え……ど、どういう意味……ですか?」
鬼王『……もういいわ……貴方と話す事は何もない。そこを退きなさいッ!!』
―ズバアァッ!!―
絢香「?!!」
絢香の言葉を聞いた鬼王は怒鳴り声を上げながら刀を振るうって絢香に斬撃破を放ち、自身に迫る斬撃破を見た絢香は驚愕して身体が硬直してしまう。だが、斬撃破が絢香に直撃する前に紅い戦士……龍王に変身した紗耶香が絢香の前に飛び出し斬撃破を防いでいった。
絢香「紗耶香さん?!」
龍王『クッ!桜香、貴様ぁ!!』
鬼王『ふんっ……今は貴方の吠えなんて聞いてる暇はないのよ……さっさとそのツボを渡しなさい!!』
『シャアァァァァァァァァァァアッ!!』
鬼王は敵意を込めた目で睨んでくる龍王の視線を鼻で笑いながら受け流し、刀の切っ先を零達に向けて幻魔の大群を放っていった。そして零達は幻魔達を殴って怯ませながら後退していき、大輝もルミナと共に幻魔の攻撃をかわしながらディエンドライバーにカードを装填しスライドさせる。
大輝「チッ!めんどくさい事になったな……変身ッ!」
ルミナ「師匠の邪魔をする敵は私が倒す!変身ッ!」
『KAMENRIDE:DI-END!』
『CHANGE UP!ASTRAEA!』
電子音声が鳴り響くと共に大輝はディエンド、ルミナはアストレアへと変身し、二人はツボを死守しながら幻魔達と戦闘を開始していった。それを見た零も幻魔の一体を蹴り飛ばしながらライドブッカーからディケイドのカードを取り出し、絢香とカリムを守る龍王とシャッハに呼び掛けた。
零「紗耶香!桜香は俺が抑える!お前はその隙に海道からツボを取り返せ!シャッハはその間カリムと絢香を頼む!」
龍王『ッ!分かった!』
シャッハ「はい!」
龍王とシャッハは零に頷き返すと龍王は幻魔の大群と戦うディエンドの方へと向かい、シャッハはカリムと絢香を連れ木の陰へと誘導していく。それを確認した零はディケイドのカードを構え、アズサも腰にベルトを出現させる。
零「いくぞアズサ!」
アズサ「うん…!」
『変身ッ!』
『KAMENRIDE:DECADE!』
『CHANGE UP!ANGELG!』
電子音声が鳴り響くと共に零はディケイド、アズサはアンジュルグへと変身していき、アンジュルグは左腕からミラージュ・ソードを取り出して幻魔の大群へと突っ込み、ディケイドはライドブッカーをSモードに展開して鬼王へと突進していったのだった。