仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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第十七章/桜ノ神の世界⑨

 

 

それから翌日の朝……

 

 

桜ノ神の世界に訪れた始めての朝。神社内にある一室では、起床した零達全員が集まって朝食を取りながらこれからどうするか話し合っている所だった。

 

 

晃彦「それで零、これからどうするつもりだ?」

 

 

零「……一先ず様子見って所だな。いつまた幻魔が動き出すか分からない以上、何時でも動けるようにしておかないと……」

 

 

勇二「でもそれじゃ、いつ写真館に帰るんですか?」

 

 

零「さあな……だが当分はまだ此処に残るつもりだ。あの冥華って女が言っていたこの世界に起こる滅びとやらも気になる……それを確かめるまで戻る気はない」

 

 

昨日公園で紫音冥華が去り際に言っていたこの世界で起こる滅び。それを放って写真館に戻る訳にはいかないと告げた零に晃彦と勇二もそれ以上は何も言わなくなるが、その時絢香が口を開いた。

 

 

絢香「あの、零さん。後で少し町に出掛けたいんですが、良かったら付き合ってもらっても良いですか?」

 

 

零「ん?なんだ、何か買い出しにでも行くのか?」

 

 

絢香「いえ、そうではなくて……その……桜香さんを捜しに行こうと思ってるんです」

 

 

紗耶香「…っ!」

 

 

町に行って桜香を捜しに向かう。そう提案した絢香に隣で食事していた紗耶香は思わず息を拒み、零も僅かに眉間に寄せていた。

 

 

絢香「あれからずっと考えたんですけど……やっぱり、桜香さんとちゃんと話さなきゃって思ったんです。幻魔神を復活させようとしたのも、きっとそうしなければならない理由があったからだと思うから……」

 

 

零「…………」

 

 

絢香「だから私、桜香さんと話したいんです。自分の気持ちだけじゃない、ちゃんとあの人の想いも聞いて受け入れないといけないって……そう思いましたから……」

 

 

紗耶香「……絢香様……」

 

 

顔を俯かせながらポツポツと語っていく絢香。それを聞いた紗耶香は複雑な表情を浮かべ、零は静かに味噌汁を手に取りながら口を開いた。

 

 

零「――そう思うのなら、アイツの事は放っておけ」

 

 

絢香「……え?ど、どうしてですか?」

 

 

零「アイツが何も話さずにお前の前から消えたということは、まだ理由を話せない事情でもあるんだろう。だったら向こうから話しに来るまで会おうとするのは止めておけ」

 

 

絢香「?……もしかして、零さんは何か知ってるんですか?桜香さんのこと」

 

 

零「…………」

 

 

小首を傾げながら桜香について何か知っているのかと問い掛ける絢香だが、零はその問いを受けてもなにも答える様子を見せず、ただ無言で味噌汁を啜っていた。そんな時……

 

 

アズサ「?ねえ……もしかして、これがヒメの言ってた東の霊山?」

 

 

『…………え?』

 

 

TVのニュースを見ていたアズサが告げた言葉に一同は疑問の声を上げ、アズサが見ていたTVのニュースへと視線を移していく。それには……

 

 

 

 

『霊山の山頂に正体不明の銀色のオーロラの様な現象が発生し、それと共に突如無数の怪物達が現れ桜ノ町に向かっている模様です!現在警察隊が怪物達と戦闘を開始しましたが、怪物達の進行が止まることなく……!』

 

 

 

 

勇二「?!これは?!」

 

 

絢香「げ、幻魔?!しかもこんな大群が?!」

 

 

TVのニュースに映っていたのは、東の霊山から波のように押し寄せてくる大量の幻魔達と警察が戦闘を行うという映像だったのだ。そのニュースを見た零達は急いで玄関から外へと飛び出し此処から見える霊山を見ると、霊山の上空に銀色のオーロラが浮かび上がる光景が一同の目に飛び込んできた。

 

 

紗耶香「な、何だアレはっ?!」

 

 

絢香「銀色のオーロラ…?で、でもどうしてあんな物がいきなり……?」

 

 

零(あれは、滅びの現象?という事はまさか、あれが冥華の言っていたこの世界の滅びか……?!)

 

 

霊山の上空に浮かび上がるオーロラを見て険しげな顔を浮かべながら冥華の言葉を思い出す零だが、霊山を見上げていく内にある事を思い出した。

 

 

 

 

―……一先ず幻魔退治でもしながら、此処から東にある霊山にでも行ってみようかと思ってる。彼処は昔幻魔神が根城にしていた山でもあるから、何か手掛かりが掴めるかもしれないし―

 

 

 

零(ッ!そうだっ……確か彼処には桜香が?!クソッ!!)

 

 

晃彦「…?!お、おい零!何処に行く気だッ?!」

 

 

確か桜香が幻魔神の手掛かりを調べる為にあの霊山に向かうと言っていたはず。それを思い出した零は血相を変え、晃彦の静止も聞かずに東の霊山に向かおうと神社の階段を駆け降りていった。

 

 

晃彦「チッ!勇二、俺達も行くぞ!」

 

 

勇二「分かってる!紗耶香さん!アズサ!二人は町に向かって幻魔達を食い止めてくれ!俺達は零さんを追う!」

 

 

紗耶香「ッ!分かった!」

 

 

アズサ「うん…!」

 

 

紗耶香とアズサにそう言うと勇二は晃彦と共に零の後を追って霊山へと向かい、紗耶香とアズサも町に攻め込んでくる幻魔達を食い止める為に町へと向かっていったのだった。

 

 

絢香「皆さん……」

 

 

姫「…………」

 

 

神社に残った絢香はそんな一同の背中を心配そうに見送り、姫も険しい顔付きで銀色のオーロラが発生する霊山へと視線を戻していく。がその時……

 

 

 

 

―………ゾワァッ!!!―

 

 

 

姫「――?!こ、この感じは……」

 

 

絢香「……?姫様?どうかしましたか?」

 

 

霊山を再び見た瞬間、突然姫の体をとてつもない寒気が襲い、姫は心配そうに顔を覗き込む絢香に気付かないまま信じられないように霊山を見上げた。

 

 

姫「ま、まさかそんな……この気配……『奴』が……?!」

 

 

絢香「え?……って、姫様?!何処に行くんですかっ?!待って下さいっ!!」

 

 

信じられないような表情を浮かべたまま姫は突然走り出し、呼び止める絢香の声も無視して神社の階段を駆け降りていったのだった。

 

 

 

 

 

◇◆◆

 

 

 

 

 

その頃、霊山山頂に発生した銀色のオーロラは徐々に広がり、山頂付近から発生した闇の中から次々と幻魔の大群が現れ町に向かって進軍を開始していた。現場に到着した警察官達は何とか幻魔達を食い止めようとするも、幻魔達は警官達が放つ銃弾をものともしていなかった。

 

 

『キシャアァァァァァァァァァァァァァァアッ!!』

 

 

「う、うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあーーーーっっ?!!」

 

 

「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあーーーーっっ!!!」

 

 

「く、クソッ!退却だ!!此処は一度引け!!」

 

 

幻魔達は立ち塞がる警官達を斬り捨てて町へと下りていき、警官達も此処で幻魔を食い止めるのは無理だと判断して下がっていった。そしてその頃、山頂にある空洞の中にある一つの石碑が崩れ、その中から一体の異形が姿を現した。

 

 

『―――フン。久々の外の世界だが……空気は最悪だな……封印されていた間、また蟲共が世界を汚したか……』

 

 

身体全体に蛇のような白い鎧を纏った異形はそう言いながら不愉快な表情をすると、自分の周りに闇を発生させて大量の幻魔を呼び出し、そのまま幻達達を引き連れ山を降りようとする。だが……

 

 

 

 

 

『――鬼戦術、炎龍ッ!!』

 

 

―ズガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!―

 

 

『?!ギッ!ギャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ?!!』

 

 

『……ん?』

 

 

突然異形達の真横から獄炎が放たれ、そのまま異形の周りにいた幻魔達を飲み込み焼き尽くしていったのだ。そして獄炎が放たれてきた方には紅い大剣を構えたライダー……鬼王に変身した桜香が異形を睨みつけて立っていた。

 

 

『貴様は……』

 

 

鬼王『……やっと見付けた……捜したわよ。幻魔神、フォーティンブラス!!』

 

 

鬼王は敵意を込めた目付きで異形……幻魔神・フォーティンブラスに向けて大剣の切っ先を突き付けていき、フォーティンブラスはそんな鬼王を見て何かを思い出したように不気味な笑みを浮かべた。

 

 

『ああ……誰かと思えば、昔我が遊んでやった玩具の一人か。中身は違うようだが……そうか、アレの後継者か?』

 

 

鬼王『黙りなさい!アンタと話す事は何もないっ……今度こそ、此処でアンタを殺して全てを終わらせるっ!!天双刃ッ!!』

 

 

鬼王は見下すように笑うフォーティンブラスに怒鳴りながら紅い大剣に黄金の光を纏わせ、二振りの双剣に変化させて両手に構えていき、そのままフォーティンブラスへと突っ込み双剣を振りかざした。が……

 

 

『……フッ』

 

 

―シュンッ!―

 

 

鬼王『?!なっ―ズガアァッ!!―ウアァッ?!』

 

 

フォーティンブラスは鬼王の双剣が当たる寸前に突然瞬間移動し、鬼王の背後に現れて何処からか取り出した大剣で斬り裂き吹っ飛ばしてしまったのだ。そしてフォーティンブラスは再び瞬間移動して怯んだ鬼王の背後に移動し、大剣で勢いよく突きを放ち吹っ飛ばしてしまう。

 

 

鬼王『アウッ!』

 

 

『フンッ、どうした?威勢良く吠えておいてその程度かぁ?』

 

 

鬼王『ぅ……クッ!調子に乗るなぁ!!』

 

 

欠伸でもしてしまいそうにつまらげに言うフォーティンブラスに挑発され、鬼王はふらつきながら立ち上がり双剣を構え直してフォーティンブラスに斬り掛かるが、フォーティンブラスは再び瞬間移動を使って少し離れた場所に移動し、右腕に風のエネルギーを纏わせていく。

 

 

『まあいい、貴様のような蟲でも準備運動ぐらいにはなるだろう。簡単に倒れるなよ?』

 

 

―シュウゥゥゥゥゥゥ……ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!!!!!!―

 

 

鬼王『くっ?!キャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアーーーーーッ?!!!』

 

 

フォーティンブラスの右腕から放たれた巨大な竜巻が鬼王を飲み込んで斬り刻んでいき、最後は巨大な爆発を起こし鬼王を飲み込んでいったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな二人が戦う場所から離れた所では……

 

 

慎二「―――漸く始まったか。さて、零先輩はアレを相手にどう戦うかな?フフフフッ……」

 

 

鬼王とフォーティンブラスの激闘を静かに観戦する一人の青年……慎二は不敵な笑みを浮かべると、サングラスを取り出して掛けその場から歩き去っていった。

 

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

 

同じ頃、紗耶香とアズサが町に着いた頃には、市街地で霊山から下りてきた幻魔の大群が人々を襲いながら暴れ回っていた。既に辺りは瓦礫の山で埋め尽くされ、怪我人も絶えず次々と救急車で運ばれている始末であった。

 

 

アズサ「酷いっ……」

 

 

紗耶香「クッ!これ以上奴らに好き勝手させる訳にはいかん……アズサ!」

 

 

アズサ「うん……!」

 

 

幻魔達の被害に遭って目茶苦茶にされてしまった町を見て顔を険しくさせながら、紗耶香とアズサはそれぞれ籠手とベルトを装着していく。

 

 

『変身ッ!』

 

 

『CHANGE UP!SYUROGA!』

 

 

二人は高らかに叫ぶと共に龍王とシュロウガへと変身していき、それぞれ武器を構えながら幻魔の大群へと突っ込んでいったのだった。そして近くの建物の屋上では……

 

 

 

 

 

 

鳴滝「――遂にこの世界にも滅びが訪れてしまった……これも全てディケイドのせいだ……ディケイドの!」

 

 

二人の戦いを建物の屋上から見下ろす男性……鳴滝は忌ま忌ましげに言いながら顔を上げ、今もなお銀色のオーロラに包まれる霊山を睨みつけていた。

 

 

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