仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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桜ノ神の世界
第十七章/桜ノ神の世界⑩(中編)


 

 

龍王『ダアァァァァァァァァァァァアッ!!!』

 

 

シュロウガ『トラジックジェノサイダーッ!』

 

 

そして同じ頃、桜ノ町では山頂から降りてきた幻魔の大群を相手に龍王とシュロウガが奮戦していた。だがどれだけ倒しても幻魔達の数は減る事なく、寧ろ先程まで百体だった数が今では千体を越えて町の中を埋め尽くし、二人は息絶え絶えの状態で背中を合わせていく。

 

 

シュロウガ『ハァ…ハァ…駄目っ…全然数が減らないっ……』

 

 

龍王『くっ!一体どうなっているんだ……まさか……コレが滅びという奴なのか……?!』

 

 

既に二百を越える数の幻魔と戦ったせいか、今の二人は疲労状態になって立っているのもやっとであった。しかし幻魔達はそんな二人を他所に再び数を増やしていき、獣のような雄叫びを上げながら二人へと一斉に斬り掛かっていった。その瞬間……

 

 

 

 

 

 

 

 

『EXCEED CHARGE!』

 

『Full Charge!』

 

『FINALATTACKRIDE:DE・DE・DE・DEJOBDO!』

 

 

『シャイニング!!カリバアァァァァァァァァァァッ!!』

 

 

『ッ?!ギ、グギャアァァァァァァァァァアーーーーーーーーッ?!!』

 

 

―ズガアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!―

 

 

『…ッ?!』

 

 

シュロウガ達を囲む幻魔達に突然無数の必殺技が降り注ぎ、幻魔達は断末魔の悲鳴と共に爆散していったのであった。シュロウガ達はその突然の攻撃を見て驚愕の表情を浮かべてしまうが、そんな二人の前に数人の戦士が現れた。その戦士達とは……

 

 

 

 

 

 

 

ゼロノス『――何とか間に合ったか』

 

 

エクスL『みたいだな』

 

 

ディジョブド『真打ち登場ってね』

 

 

カイザ『悪いな、ちょっとお邪魔させてもらうぞ』

 

 

シュロウガ『ッ?!侑斗?稟?』

 

 

二人の目の前に現れた数人の戦士達とは、前の世界で行方不明になった零の捜索を手伝ってくれた稟が変身するエクス、同じくアズサにデネブキャンディーをプレゼントしてくれた侑斗が変身する緑色のライダー、『ゼロノス』、キャンセラーの世界で祐輔達の窮地を救ってくれたゼウスが変身するカイザ、零の異世界の友人である紲那が変身するディケイド系のライダー、『ディジョブド』だったのだ。

 

 

龍王『な、何だ?コイツ等は?』

 

 

シュロウガ『皆、どうして此処に……?』

 

 

エクスL『どうしてって、また零さんと君が行方不明になったって聞いて探しに来たんだよ』

 

 

ディジョブド『それでこの世界から二人の気配を感じたからアテナさんの手助けでこっちに送ってもらったんだ。なんか知らないけど、この世界は他の平行世界との繋がりが遮断されてるみたいだからね。普通の方法じゃ転移出来なかったんだ』

 

 

ゼロノス『俺も総一達から黒月を捜すように頼まれたから、それに便乗してゼロライナーでこっちに来たって訳だ。一応神社の方にもデネブと柚子に護衛を任せてきてるから、そっちの方は安心しろ』

 

 

龍王『絢香様達を?!……お前達、一体何なんだ?』

 

 

カイザ『ふむ、そうだなぁ……零殿の台詞を拝借すれば、通りすがりの仮面ライダーといったところだ』

 

 

カイザは龍王の疑問にそう答えるとカイザブレイガンを構えながらゼロノスと共に幻魔の大群へと突進していき、ディジョブドは左腰のディジョブドブッカーから一枚のカードを取り出しドライバーへと装填してスライドさせた。

 

 

ディジョブド『幻魔に相手はコレだな、ジョブ!』

 

 

ジョブ『分かってるぜ相棒!ジョブチェンジハーツ、鬼武者!』

 

 

ディジョブドのドライバー、ディジョブドライバーの掛け声と共にディジョブドの姿が変化していき、戦国時代に出てきそうな赤い鎧を纏った姿……鬼武者へと変化し、腰に刺した刀を抜いて幻魔達へと斬り掛かっていった。そしてエクスもそれを見るとシュロウガと龍王の方へと振り返っていく。

 

 

エクス『取りあえず、二人にも治療しておかないとな……具現【インバディ】!ケアルガ!』

 

 

高らかに叫びながらエクスが右手を掲げると、シュロウガと龍王の頭上から暖かな光が降り注ぎ二人を包み込んでいった。そして光が徐々に晴れていくと、二人の体に蓄積されていた疲労もなくなり完全回復していた。

 

 

龍王『ッ!これは……身体の疲労が取れた……?』

 

 

エクス『回復は俺に任せて下さい。でもあんまり無茶はしないように。アズサもな?』

 

 

シュロウガ『ん……ありがとう、稟』

 

 

シュロウガはエクスに礼を言うとデスディペルを構え直して再び幻魔達へと突進していき、エクスと龍王もそれに続くように幻魔達に斬り掛かっていった。

 

 

 

 

 

◆◆◇

 

 

 

 

 

その頃、山頂の空洞内では先程まで聞こえていたディケイドの絶叫が聞こえなくなり、不気味な静寂に包まれていた。その理由は……

 

 

 

 

 

 

ディケイド『…………………………………………』

 

 

 

 

 

 

何故なら空洞にはとてつもない深さの巨大なクレーターが出来ており、その中にはディケイドがグッタリとした様子で倒れていたからだ。片方の複眼は粉々に砕け、ボディは所々が砕けて火花を散らし、胸部には何かに踏まれたような足跡が幾つもあった。そしてその近くにはディケイドを踏み付ける異形……フォーティンブラスが退屈そうに欠伸をしていた。

 

 

『何だ、もう死んだのか?この我の鬱憤すら晴らせないとは……使えん蟲よなぁ?』

 

 

ゴミでも見るような視線でディケイドを見下ろしながらそう呟くと、フォーティンブラスはディケイドの片足を軽々と持ち上げて宙吊りさせていくが、ディケイドからは何も声が返って来ない。

 

 

『他人を守ろうとして自分が犠牲になるとは、とんだ偽善者だな。さっさとあの蟲共を放って逃げておけば良かったものを……全く、やはり蟲という存在はどいつもこいつも馬鹿のようだなぁ?』

 

 

フォーティンブラスはピクリとも動かないディケイドを見てあざけり笑い、もう興味がないとディケイドの片足から手を離そうとした。その時……

 

 

 

 

 

 

 

 

『SPELLRIDE:MASTER SPARK!』

 

 

『……あ?』

 

 

ディケイド『――っ!!!くたばれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっ!!!』

 

 

―ズガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!!!!!!―

 

 

 

不意を突くように突然電子音声が鳴り響き、それと共に今まで動かなかったディケイドがライドブッカーの銃口をフォーティンブラスの顔面に向け、零距離から最大出力の弾幕を放ったのであった。そしてディケイドはその隙にフォーティンブラスの腕から脱出して跳び上がり、クレーターから出て片膝を付いた。

 

 

ディケイド『ハァ……ハァ……どうだ糞神がっ……これで少しは一泡噴いただろうっ……』

 

 

さっきのマスタースパークは魔里沙が使うオリジナルと同じ威力の弾幕。あれを零距離から喰らえばいくら奴でもダメージを負うだろうと、ディケイドは爆煙が巻き上がるクレーターを見つめながらボロボロの身体を抑えていた。が……

 

 

 

 

 

 

『――そうだな……少しは痒く感じたぞ?まあ、あれなら蚊に刺されてやった方が痒い方だがなぁ?』

 

 

ディケイド『――っ?!』

 

 

再び耳に聞こえてきたのはフォーティンブラスの嘲笑うような声。しかしその声は爆煙が巻き上がるクレーターからではなくディケイドの背後から聞こえ、その声を聞いたディケイドが慌てて背後へと振り返ると、其処には退屈そうにディケイドを見下ろす人物………マスタースパークを受けた筈のフォーティンブラスが全く無傷の状態で立っており、フォーティンブラスはそのままディケイドの首を掴み軽々と持ち上げていった。

 

 

ディケイド『ぐっ?!馬鹿な……無傷だと……?!』

 

 

『フン、あんなモノでこの我に傷を付けられるとでも思っていたのか?ははは!ホントに貴様等蟲は考えることが甘い……攻撃というものは―――』

 

 

フォーティンブラスは自分の腕から逃れようともがくディケイドを見て愉快げに笑い、もう片方の手をディケイドの胸に翳して神氣を集約させていき……

 

 

ディケイド『―――っ?!まず――?!』

 

 

『……こういうものだ』

 

 

―ドバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!!!!―

 

 

ディケイド『――!!』

 

 

フォーティンブラスは手の平に集約させた神氣のエネルギー波を放ち、ディケイドはエネルギー波に飲み込まれながら爆発を起こして吹き飛び、そのまま壁へと激突して倒れてしまった。

 

 

ディケイド『ぐ……ぁ……くうっ……!』

 

 

『フン、どうした蟲?我は其処で寝ている女の時からまだ一割の力しか使っておらんぞ?まだまだやり返す余地はあるであろう?』

 

 

ディケイド(……?!あの力で……まだ一割だと……?!)

 

 

桜香を赤子の手を捻るように倒し、晃彦と勇二を軽く蹴散らし、先程全力で放ったマスタースパークも無傷で受け止め、それでもまだ一割程度の力。ならばこれ以上力を上げられたら一体どうなるのか?

 

 

ディケイド(っ……殺されるな……間違いなく……)

 

 

酷く冷静になって考えてみれば、最後に考え着くのはそれしかない。このまま策も無しに戦っても殺されるだけだ。ならば此処は一度態勢を立て直す為に桜香を連れて逃げる方が得策だと思えるが……

 

 

ディケイド(クソッ……逃げ切れるのか……この身体でっ……)

 

 

先程フォーティンブラスに何度も馬鹿力で踏み付けられたせいで、身体のあっちこっちが既にボロボロ、更にアバラも何本か逝ってしまってかなりキツイ。この状態で桜香を担いで逃げても何処まで行けるか分からない。しかも相手は腐っても規格外の神なのだから、どんな方法を使って追ってくるか予想も出来ない。

 

 

『どうした?そちらから来ないのなら……こちらからゆくぞ?』

 

 

ディケイド『クッ!(仕方がないっ……次で一撃を決めたらすぐに桜香を連れて逃げる……今はそれしか手はないっ!)

 

 

こんな状態では奴に一撃を与えるだけでも難しいが、今はそうも言ってられない。悠然とした足取りでゆっくりと近づいてくるフォーティンブラスを睨みつけながら、ディケイドは左腰のライドブッカーから一枚のカードを取り出した。その時……

 

 

 

 

 

 

 

 

「――其処までだ、フォーティンブラス」

 

 

 

 

『……?!』

 

 

 

不意にフォーティンブラスの背後から凜とした女の声が響き渡り、ディケイドとフォーティンブラスは互いに動きを止めて声が聞こえてきた方へと振り返った。すると其処には胸の前で印のようなものを結びながらフォーティンブラスを睨みつける女性……姫が静かに佇んでいた。

 

 

ディケイド『なっ……木ノ花?!』

 

 

『ほお……誰かと思えば、お前だったか……桜ノ神』

 

 

姫「久しぶりだな、フォーティンブラス……まさかとは思ったが、やはり蘇っていたのか」

 

 

『ああ。長い間窮屈だったぞ?おかげで身体が鈍ってしまったが……まあ、この蟲共と遊んだおかげで大分マシになったがな?』

 

 

姫「…………」

 

 

親しげに言いながらフォーティンブラスはボロボロの姿で倒れ込むディケイドを見下し、姫はそんなディケイドの姿を見て内心フォーティンブラスに怒りを覚えるが、フォーティンブラスはそんな事に気付かずに姫へと歩み寄っていく。

 

 

『そんな事より、良く来てくれたな?漸く我の物になる気になったか?』

 

 

姫「馬鹿を言うな。以前も言った筈だぞ?私はお前のような人を人とも見ない奴のモノになる気はない……とな」

 

 

『何だ、未だ覚悟が出来ていないだと?たわけた女だ……本当に理解に苦しむ。お前ほど神ならば、この我に選ばれる事がどれほどの価値か判ろうに』

 

 

姫「世迷い事をっ……神だからと言って、何もかもが自分の思い通りになるとでも思っているのか?!」

 

 

『当然だろう?我々は総ての存在の頂点に立つ存在。この世の全ては、我等神という存在が在ってこそ成り立ってる。其処に転がっている屑共が存在していられるのも、我等という存在が有るからこそだ』

 

 

ディケイド『くっ……なんだとっ……』

 

 

『分かるであろう桜ノ神?この世に這い蹲い、世界を汚すことしか知らんこの屑共を生かすも殺すも我々の意思次第。これで思い通りでないと言うのなら、一体なんだと言うのだ?』

 

 

姫「黙れっ……神としての誇りを失った貴様はただの愚か者だ!貴様も神と呼ばれる身なら、何故人間を蟲呼ばわりする?!何故人々を救おうとしない?!」

 

 

『ハ、勘違いするな。救わないのではない、この屑共に救う価値がないから救わないだけだ』

 

 

姫「……何?」

 

 

フォーティンブラスの発言に姫は表情を顰めて思わず聞き返し、フォーティンブラスは倒れるディケイドと桜香を見下ろしながら語り出した。

 

 

『考えてもみろ。何故我等がこんな下等な屑共を救わねばならんのだ?人間同士で争い、いがみ合い、殺し合い、罪を犯し、欲望に塗れ、我が封印されてた間に此処まで自然を壊し、世界をこんなにまで汚した……そら、こんなどうしようもない屑共の何処に救いを与える価値がある?寧ろ一人残らず消えてなくなってしまえば、今よりは世界もマシになるであろう?』

 

 

姫「…………」

 

 

『思い出してみろ桜ノ神?かつてお前が救いを与えた蟲共が、お前に何をしてくれた?縋るだけ縋って醜い醜態を曝し、都合が悪くなれば手の平を返して全ての責任をお前に押し付けた。偉そうに自分達がすべての生物達の中で一番だと思い込んでるこの屑共を生かしておいて、何の得がある?分かるだろう?懲りもせずに過ちを繰り返すコイツ等こそが世界の敵!傲慢なこの蟲共に救いを与える価値は無い!我等こそが世界に相応しい存在なのだ!』

 

 

姫「……だから、人間達を全て滅ぼすというのか……人間達が世界の敵だから」

 

 

『間違えるなよ桜ノ神……必要なのは善悪の手段ではない。どう事を運ぼうがそんな物はただ結果への過程にしか過ぎんのだ。今世界に必要なのはもっと根本的なもの、世界に害を及ぼす存在が一人残らず消え去るという結果だけだ。そうすれば争いもなくなり、世界が混沌に包まれることもない。世界を真に平和にしたいのであれば、この蟲共を殲滅するのが一番手っ取り早いであろう?』

 

 

姫「黙れ……数百年間封印されて少しは考えを改めてるのではと期待していたが、やはり無駄だったようだな……ならば!』

 

 

今まで印を結んでいた姫の両手が別の印を結び出した。それに呼応するかのようにフォーティンブラスの足元に巨大な桜色の魔法陣が展開され、其処から無数の鎖が飛び出しフォーティンブラスの身体を縛り付けていった。

 

 

『これは……』

 

 

姫「そう、嘗てお前を封印した時に使った術だ。もう一度冥府の境に封じられるがいいフォーティンブラス。今度こそ、永遠に!!」

 

 

力強く叫ぶと共に姫は最後の印を結んでいき、それと同時に魔法陣から更に無数の鎖が伸びてフォーティンブラスを繭のように縛り上げ、そのまま鎖の繭に包み込まれたフォーティンブラスを魔法陣の中へと沈ませていく。が……

 

 

 

 

 

 

 

『―――砕けろ』

 

 

―……ピシッ……バリイイイイイイイィィィィィィィィィィィィィィィインッッ!!!!―

 

 

『なっ……?!』

 

 

 

フォーティンブラスが完全に魔法陣の中へと沈み掛けた瞬間、突如フォーティンブラスが自身を包んでいた無数の鎖を力付くで払い、そのまま魔法陣から飛び出して姫と対峙していったのだ。

 

 

姫「馬鹿な……封印が効かない……?!」

 

 

『フ、馬鹿はお前だろう?この幻魔神が、そう何度も同じ手を喰らうとでも思っていたのか?』

 

 

姫「ッ!クッ……ならば、力付くで封印するまでだ!」

 

 

封印を簡単に払い退けてしまったフォーティンブラスに驚愕しながらもすぐさま正気に戻り、姫は両手両足に桜色の神氣を纏って地を蹴りフォーティンブラスへと鋭く殴り掛かっていく。だが、フォーティンブラスは次々と放たれる拳や蹴りを軽く受け流し、姫が放った右腕を掴んで引き寄せてしまう。

 

 

『ははは!抵抗しない方が良いかもしれんぞ?お前は俺のように戦う事に徹した神ではない。どうせお前の本当の力は、お前自身では使えんのだからな……』

 

 

姫「くっ!黙れッ!!」

 

 

不快な表情で怒鳴ると共に姫はフォーティンブラスの顎に膝蹴りを打ち込もうとするが、フォーティンブラスはそれを読んでいたように顎を上げて膝蹴りを回避し、姫はその隙にもう片方の足でフォーティンブラスの胸を蹴り、その反動を利用して後方へと距離を離していった。

 

 

『……まだ抗うつもりか?いい加減に諦めて我の女になればいいものを……主の前に頭を垂れ、仕え、尽くすのが女の幸せであろう。だというのに何を拒む?我の女になるのがそんなに恐ろしいか?』

 

 

姫「っ!ふさげるのも大概にしろっ……私は腐ってもこの世界の神……この世界の人々を守る責務がある。だが貴様を野放しにしておけばこの世界は再び混乱に陥てしまう……それが許せないだけだ!」

 

 

『……ほう……この世界の人々を守る……か』

 

 

真剣な表情で力強くそう告げる姫。だがフォーティンブラスはそんな姫の言葉を聞いて隅に倒れるディケイドと桜香を横目で見つめ、口元を歪めながら左手に膨大な量の神氣を集約させていく。

 

 

『――ならば見せてみろ。かつてお前に縋り付き、薄汚い醜態を曝したこの蟲共を……どのように守るのかをなぁッ!!』

 

 

―シュウゥゥ……ドバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!!―

 

 

ディケイド『?!なっ……』

 

 

姫「何ッ?!」

 

 

フォーティンブラスは神氣を収束させた左手を姫にではなく、ボロボロでまともに動くこともままならないディケイドと桜香に向けて巨大な閃光を放っていったのだ。

 

 

その大きさはなのはのスターライトブレイカーを軽く上回り、空洞内を消し去りながらディケイド達へと一直線に向かっていく。

 

 

怪我で動けないディケイドや気絶している桜香にその砲撃を避ける術があるはずもなく、ディケイドはせめて桜香だけでもと無理矢理身体を動かし、桜香の上に覆いかぶさっていった。が……

 

 

 

 

 

 

―ガキイイイイイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィインッ!!!!!!!!―

 

 

 

 

ディケイド『……?』

 

 

 

不意に鉄と鉄が激突し合うようなけたたましい轟音が背中から響き渡り、ディケイドは頭上に疑問符を浮かべて桜香に覆いかぶさったまま背後へと振り向いた。其処には……

 

 

 

 

 

 

―ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!!!!!!!―

 

 

姫「ぐうぅっ!!うああっ……!!」

 

 

ディケイド『?!咲夜?!』

 

 

ディケイド達の背後には、桜の花弁のような盾を展開してフォーティンブラスの放つ閃光を必死に防ぐ姫の後ろ姿があったのだ。だが閃光を防ぐ盾は力負けして徐々にヒビが入っていき、姫の両腕からも血が噴き出し赤色に染まりつつあった。

 

 

ディケイド『な、馬鹿止せ?!それ以上はお前が!!』

 

 

姫「っ……構う物かっ……君達を守るのが、私の役目なんだ!だからこんなっ……!」

 

 

『―――茶番は……終わりだ……』

 

 

両腕から血を噴き出しつつも必死にディケイドと桜香を護ろうとする姫。しかしそんな姫の頑張りを嘲笑うかのように、フォーティンブラスは左手から放つ閃光に更に神氣を込めて勢いを上げた。その瞬間……

 

 

―…………ビシッ……パキパキパキッ……バリイイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィンッ!!!!!!!!―

 

 

姫「……っ?!」

 

 

ディケイド『なっ……さっ――?!』

 

 

閃光を防いでいた盾は遂に耐え切れなくなって硝子のように砕け散ってしまい、閃光はそのままディケイドの目の前に立つ姫に迫り、そして……

 

 

姫「―――あ……」

 

 

ディケイド『咲夜ああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーっっ!!!!!』

 

 

―チュドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーオォンッッ!!!!!!!!!!―

 

 

――閃光は無慈悲にも姫とディケイド達を意図も簡単に飲み込み、ディケイド達がいる霊山の山頂は巨大な爆発を発生し跡形も残さずに消し飛んでいったのだった……

 

 

 

 

 

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