仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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第三章/キバの世界⑧

 

 

それから数時間後、港区。

 

 

ティアナ「…ここまで来れば大丈夫ですかね…」

 

 

ヴィータ「あぁ、一先ずは此処で身を隠すぞ。優矢にも此処の場所は教えてあるから、合流したら一度写真館に戻る。いいな?」

 

 

『はい!』

 

 

ワタル「………」

 

 

キャッスルドランからどうにか無事に脱出し、港区の倉庫で身を隠していたヴィータはスバルとティアナにこれからの方針を話し合う中、ワタルは一人、座ったまま顔を俯いて何も喋らない。そんなワタルの様子を見たスバルがワタルに近づく。

 

 

スバル「大丈夫ですよ王子!私達が必ず王子を守りますし、それに零さん達の所に行けば絶対なんとかなりますから!」

 

 

ワタル「………」

 

 

ガッツポーズをとりながらワタルを元気づけようとするスバルだがワタルは俯いたままスバルから目を反らしてしまい、スバルはそんなワタルを見て苦笑いを浮かべて頬を掻く。

 

 

その時、外からバイクのエンジン音が聞こえ、ヴィータ達はそれを優矢だと思って倉庫の外へと出るが、

 

 

スバル「ゆ、優矢さんっ?!」

 

 

倉庫の外に出た瞬間、三人は驚愕した。そこにはバイクの近くに体中から血を流して倒れている優矢の姿があったのだ。三人は慌てて優矢に駆け寄ると必死に優矢の身体を揺さぶる。

 

 

ティアナ「大丈夫ですか?!しっかりして下さい!」

 

 

優矢「お、俺は…大丈夫だから…それより、ワタルは…?」

 

 

ヴィータ「あいつなら無事だ!今この中に…」

 

 

ワタル「……優矢」

 

 

そこへ、ヴィータ達の騒ぎ声が気になったワタルが外に出て来た。優矢はワタルの顔を見ると一安心し傷付いた身体を無理矢理動かしながら起き上がるとワタルに歩み寄る。

 

 

優矢「ワタル、零達の所へ行こう。あいつに事情を話せばきっと力を貸してくれる。その後に城に戻ってキバットを取り戻そう」

 

 

ワタルの手を掴んで写真館に向かおうとしたがワタルは優矢の手を乱暴に払って背を向けてしまった。

 

 

優矢「ワタル……」

 

 

ワタル「僕は…もう城には戻らない。僕はもう、王子じゃないんだ…」

 

 

キバットを奪われ、王の資格を無くし、側近達にも見捨てられた。全てを無くしたワタルは自分を見失ってしまい、ただ優矢達から目を背けて黙ってしまう。

 

 

ヴィータ「ワタルっ、お前それでいいのかよ!あのファンガイアは掟を廃して人間もファンガイアも見境なく襲おうとしてんだぞ!そうなったらこの世界がどうなるか、それぐらいお前だって分かってんだろ!」

 

 

ワタル「…ッ…五月蝿い!僕は帰りたくないと言ってるんだ!」

 

 

ヴィータの説得も聞かずにワタルは優矢のバイクに近づく。

 

 

 

ワタル「僕の行きたい所に連れてってくれるんだろ!?城以外なら何処でもいい!連れてってくれ!!」

 

 

優矢「……」

 

 

優矢は傷ついた身体を引きずってワタルに近寄る。

 

 

優矢「あぁ、連れてってやるさ。お前が本当に行きたい所になら……それは何処だ?」

 

 

ワタル「………わからない」

 

 

自分が何処に行きたいのかわからず、ワタルは優矢から目を反らした。

 

 

優矢「わかっている、はずだろ…?」

 

 

ワタルの肩を掴み、優しく言い聞かせる。

 

 

ワタル「……なんで、そこまで僕にこだわるんだ…。僕はもう、王子じゃないのに…」

 

 

自分はもう王にはなれない。それなのに何故ここまでして自分を助けるのか、ワタルは自分の疑問を優矢に投げ掛ける。

 

 

優矢「……俺はお前が王子だから今まで助けてきたんじゃない。お前が一人じゃ戦えないって知ってるからなんだ。だから俺は、お前の友達になって、お前を助けたいって、そう思ったんだ…」

 

 

ワタル「……友達」

 

 

ワタルがそう呟くと優矢は頷いてワタルの頭を撫でる。ヴィータ達はその様子を黙って見守る。だが……

 

 

ワタル「ッ!やめてくれッ!」

 

 

突然、ワタルは苦しそうな表情を浮かべ優矢の手を振り払って離れた。

 

 

優矢「わ、ワタル…?」

 

 

ヴィータ「お、おい?どうしたんだよ」

 

 

ワタル「だ、駄目だ…ッ!もう…ッ」

 

 

様子がおかしいワタルを見て心配になった優矢とヴィータ達はワタルに近づこうとした。だがその時、ワタルの顔にファンガイア特有のステンドグラスの様な模様が浮かび上がり、そして…

 

 

―ヒュッ……!ザシュッ!―

 

 

優矢「なっ?!グッ、アアアアアァァッ!!」

 

 

ティアナ「ッ?!優矢さん?!」

 

 

優矢の首元に突然半透明の牙のような物が刺さり、優矢のライフエナジーを吸おうとしていた。

 

 

ヴィータ「ワタルッ!!この馬鹿!!目を覚ませぇッ!!」

 

 

ワタル「……?!」

 

 

勢いよく肩を掴むヴィータの声を聞き、ワタルが正気に戻ると共に優矢の首元に刺さっていた牙も消え去った。それと同時に優矢はその場に倒れてしまう。

 

 

スバル「優矢さんっ…!しっかりして下さい!!優矢さぁん!!」

 

 

ワタル「ゆ、優矢…」

 

 

ライフエナジーを吸われ、ぐったりと倒れている優矢を見たワタルは泣きそうな表情を浮かべて優矢に近づこうとした。だが優矢はそれを手で制して止めると、スバルに支えられて立ち上がる。

 

 

優矢「だ…大丈夫だ、心配するな…ワタルは気にしなくていいから…な?」

 

 

ワタル「……ッ」

 

 

ワタルに心配をかけまいといつもの笑みを浮かべ、優矢はおぼつかない足取りで自分のバイクに近づく。

 

 

優矢「……俺は城に戻ってキバットを取り返してくるから……皆はワタルを連れて零の所へ行ってくれ……」

 

 

マシンチェイサーに跨がりながらそう言うと、ヘルメットを被ってエンジンを掛ける優矢。

 

 

ヴィータ「ま、待て優矢!その身体であいつらとまともに戦えるわけねぇだろ!お前も…!」

 

 

優矢「大丈夫だって……俺の事は気にしなくていいから……ワタルを頼む」

 

 

ヴィータ達にワタルを任せ、優矢はキバット奪還の為にキャッスルドランへと向かって走り去っていく。ヴィータ達は走り去っていく優矢の後ろ姿をただ黙って見ているしかなかった。

 

 

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