仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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第十七章/桜ノ神の世界⑭

 

時刻は夜明け。日の光りで闇に支配された夜が徐々に晴れていく中、時の方舟のブリッジではそれを眺めるフォーティンブラスの姿があった。

 

 

『――ふん。こんな腐った世界でも、この光景だけは唯一価値のある物だな……お前もそう思うであろう、桜ノ神?』

 

 

日の出の光りを浴びながらそう言うと、フォーティンブラスは背後へと振り返りブリッジの隅で座り込んでいる少女……服がボロボロになっている姫を見つめていくが、姫は無言で顔を逸らした。そんな姫の様子にフォーティンブラスは鼻を鳴らし、ゆっくりと姫へと近づいていく。

 

 

『何処までも強情な女だ。幻魔界へ戻る前にこの世界との別れをさせてやろうと、我なりの優しさで此処へ連れてきてやったのだがな……』

 

 

姫「……何が優しさだ……そんな事より、早くこの舟を幻魔界に向けて出せ……これ以上この世界に居座るなっ……!」

 

 

『フ、随分と嫌われたモノだなぁ……まあ良かろう……』

 

 

睨みつけてくる姫の視線もものともせず、フォーティンブラスは愉快げに笑いながら姫の前で腰を下ろし、姫の顎を掴んで上げさせていく。

 

 

『お前の望み通り、この舟はもうすぐ幻魔界に入る事になる。帰った後には婚式を上げ、その後は我の物に相応しい女に調教してやる……楽しみにしておけよ?』

 

 

姫「っ……!」

 

 

不気味に口端を吊り上げるフォーティンブラスに姫は不快な表情を浮かべながら顔を逸らし、フォーティンブラスはそんな姫に愉快げに笑いながら立ち上がって歩き出した。

 

 

『空間転移開始まで、残り30分……転移準備に入れ!日の出が完全に上がると同時に舟は幻魔界へと帰還する!もしもの事態に備え異空間の艦隊にも待機を続けさせ――』

 

 

方舟の出航まで残り30分を切ったところで、艦内の幻魔達に命令を出していくフォーティンブラス。そして命令を受けた幻魔達が、空間転移の準備に入ろうとした。その瞬間……

 

 

 

 

 

 

 

 

―ビーッ!ビーッ!ビーッ!ビーッ!―

 

 

『…ッ?!何?』

 

 

姫「!何だ……?」

 

 

 

突如艦内に荒立たしく警報が鳴り響き、フォーティンブラスと姫は思わず辺りを見渡していく。すると不意にフォーティンブラスの前にモニターのようなモノが出現し、其処に映し出された映像に姫は驚愕の表情を浮かべた。

 

 

姫「ま、まさか……そんな……?!」

 

 

『……あの死に損ない……また懲りもせず……!』

 

 

映像を見た姫は信じられないといった様子で両目を見開き、フォーティンブラスはギリッと歯ぎしりを立てながら不快そうな顔を浮かべていた。そして方舟の外では……

 

 

 

 

 

 

アンジュルグ『――見えてきた……時の方舟……!』

 

 

『よしっ……アズサ、木ノ花の居場所の特定を頼む!稟、その間に俺達は方舟に攻撃して幻魔を引き付けるぞ!少しでも方舟に損傷を与えて、空間転移の時間を遅らせる!』

 

 

エクスL『はい!』

 

 

日の出を背に上空を翔ける三人の戦士……アズサと稟が変身したアンジュルグとエクス、そして赤い複眼に分厚い黒い装甲を身に纏うライダー……零が変身した『サレナ』は時の方舟に向かって飛翔していき、方舟内のブリッジでそれを見たフォーティンブラスは……

 

 

『フン――戦闘準備!空戦型の幻魔共を奴らに放て!方舟は現在地に固定したまま迎撃しろ!!』

 

 

姫「ッ?!待て!!約束が違うだろう?!彼等には手を出さないと――!」

 

 

『先に仕掛けてきたのは奴らの方だ。それとも何か?このままあの蟲共の無礼を許せと?生憎我は其処まで寛大な心など持ち合わせていないのでな……逆らうのであれば殲滅するだけだ!』

 

 

姫「くっ……!」

 

 

姫の言葉に聞く耳持たず、フォーティンブラスは命令を下して二万弱の空戦型の幻魔達をDサレナ達に向けて放ちながら方舟で迎撃を開始していく。

 

 

そして三人は正面から放たれてきた巨大なエネルギー砲を散開して回避し、アンジュルグは姫のいる居場所を特定する為に後方で索敵を開始していく。

 

 

Dサレナ『ッ!稟!お前は左翼に回れ!可能なら方舟に少しでもダメージを与えろ!アズサが索敵を完了するまで時間を稼ぐぞ!!』

 

 

エクスL『分かりました!ハアァァァァァァァァァァァァァァッアッ!!!』

 

 

―ブザァンッ!!―

 

 

『グギャアァッ?!』

 

 

エクスはシャイニングカリバーを勢いよく振るうって最初に接近した幻魔を頭から斬り裂き、そのまま剣を両手で構え直して幻魔達へと飛翔していく。Dサレナもそれを見て両手のハンドガンを乱射させ、幻魔達を次々と撃ち落としながら先へと進んでいく。

 

 

Dサレナ『(雷火が調べた情報の通りなら、何処からあの方舟に近づいてもどうしても感知され、神による転移でなければ内部に侵入することも出来ず、死角が全くないっ……つまり正面から突っ込む事しか出来ない訳だが……クソッ!)』

 

 

上下左右と様々な方向から攻撃してくる幻魔達に舌打ちしながら、Dサレナはハンドガンを乱射させて幻魔を撃破しながら方舟に接近していく。

 

 

そうして方舟までの距離がハンドガンの射程距離に入り、Dサレナは一体の幻魔を蹴り飛ばしハンドガンの銃口を時の方舟に合わせてエネルギーを溜め、そして……

 

 

Dサレナ『(この距離なら!)喰らえぇッ!!!』

 

 

―ズドオオオオオォォォォォォォォォォォーーーーーオンッ!!!!―

 

 

ハンドガンの銃口から青い閃光が勢いよく発射され、閃光はそのまま射線上にいた幻魔達を巻き込みながら方舟へと迫っていった。だが……

 

 

 

 

 

 

 

 

―バシュウゥゥゥゥゥゥッ!!!―

 

 

Dサレナ『ッ?!な、掻き消された?!』

 

 

 

Dサレナの放った青い閃光は舟に直撃する前に、見えない何かによって阻まれ掻き消されてしまったのだ。

 

 

それを見て驚きを隠せないDサレナだが、良く見てみれば方舟の全体を包み込むように透明な何か……巨大な結界が張られている事に気が付いた。

 

 

Dサレナ『結界……バリアか?!クソッ!なんて面倒なモノを!』

 

 

エクスL『なら俺に任せて下さい!具現【インバディ】、ゲイボルクッ!!』

 

 

Dサレナは結界が張られている方舟を見て思わず毒を吐き、エクスは具現を発動して右手に赤い槍……ゲイボルクを出現させて弓を引き絞るように上体を反らし、そして……

 

 

エクスL『突き穿つ死翔の槍!!デリャアァァァァァァァァァァァアッ!!』

 

 

怒号と共に槍を全力で叩き投げ、魔弾と化した赤い槍は稲妻の如く神速で方舟に向かっていき結界と激しく激突していく。だが、激突はたったの数秒で終わり、赤い槍は結界によって簡単に焼き尽くされて消滅してしまった。

 

 

エクスL『なっ……ゲイボルクでも駄目なのか?!』

 

 

Dサレナ『チィ!どれだけ固いんだコイツは……!』

 

 

ゲイボルクでも突破する事が出来ないバリアの強度にエクスは驚きを隠せず、Dサレナは苛立ちを込めて舌打ちすると、背後から斬り掛かってきた幻魔を殴り飛ばして再びハンドガンを乱射させていく。

 

 

『くく、はははははは!!馬鹿が!!これは我が神の力によって作り出された物!!貴様等のような屑共の非力な力で突破出来るほどたやすくないわ!!増援を出せ!!更に一万だ!!』

 

 

姫「なっ?!止めろフォーティンブラスッ!!」

 

 

フォーティンブラスは結界を攻撃したDサレナとエクスを見て愉快げに高笑い、姫の静止も聞かず更に増援を出撃させていく。そして更に一万増えた幻魔の大群によって二人は完全に包囲され、休む間もなく次々と襲ってくる幻魔達によって呼吸が荒くなり始めていた。

 

 

エクスL『クソッ!!一体どれだけいるんだコイツ等?!』

 

 

Dサレナ『ッ!どうやら、コイツ等は幻魔神が存在する限り無限に溢れ出てくるらしいからな……どれだけ倒しても意味はないって事だっ……!』

 

 

エクスL『なら尚更マズイですよっ……このままじゃ数で押されるっ!』

 

 

背中合わせに幻魔の大群に向けて身構え、互いに肩で呼吸をしていくDサレナとエクス。だがそんな事にもお構い無しにと、幻魔達を不気味な奇声を上げながら刀を振り上げて一斉に二人へと斬り掛かった。その時……

 

 

 

 

 

 

 

 

『コード―――ファントムフェニックスッ!!』

 

 

『ッ?!グ、グガアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァアッ?!!』

 

 

―ズガアアアアアアァァァァァァァァアンッ!!!―

 

 

『……ッ?!』

 

 

 

不意に二人に襲い掛かろうとした幻魔達に炎の不死鳥が降り注ぎ、幻魔達は獄炎に飲み込まれながら跡形も残さずに消滅していったのだ。そしてその光景に呆然となる二人の前に天使……アンジュルグが白い翼を羽ばたかせながら現れた。

 

 

エクスL『アズサ!』

 

 

アンジュルグ『遅くなってごめんなさい……二人共、ヒメの居場所が分かった……』

 

 

Dサレナ『ッ!本当か?!』

 

 

アンジュルグ『ん……方舟のブリッジ……其処にヒメがいる……!』

 

 

Dサレナ『方舟のブリッジ……』

 

 

アンジュルグに言われてDサレナは方舟の方に視線を向け、雷火が教えてくれた情報を頼りにブリッジと思われる場所を目で探していく。

 

 

そしてある一点……一カ所だけ人影が見えるガラスが張られた場所を発見し、Dサレナは両手のハンドガンを破棄してライドブッカーから一枚のカードを取り出した。

 

 

Dサレナ『アズサ、稟……悪いが周りにいる幻魔達を引き寄せておいてくれ……俺は彼処に向かう……!』

 

 

エクスL『向かうって……あの結界はどうするつもりなんですか?!』

 

 

Dサレナ『大丈夫だ……策ならあるっ……!!』

 

 

そう叫ぶと共にDサレナの左目が紫色へと一瞬で変化していき、取り出したカードをディケイドライバーへと装填してスライドさせていった。

 

 

『ATTACKRIDE:GEGIGAN FLARE!』

 

 

電子音声が響くと同時にDサレナのボディが黄金の光に包まれていき、腰を屈めながら右腕にエネルギーを溜めていく。それを見たアンジュルグはミラージュ・ソードを取り出して構え、エクスも仕方ないといった感じに剣を構え直した。

 

 

エクスL『しょうがないか……後ろは任せて下さい!零さんはその間にあの人を!』

 

 

アンジュルグ『うん……零は行って……!』

 

 

Dサレナ『……すまん……背中は任せた!デェアァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!』

 

 

二人に幻魔の大群を任せ、Dサレナは右腕を方舟に向けて突き出しながら両肩のスラスターを展開し、金色の閃光と化して方舟に突進していった。時の方舟から無数に放たれる砲撃が掠りながら、邪魔する幻魔達を打ち貫いて先に進んでいく。

 

 

Dサレナ(あと少しっ……あと少しでっ!!)

 

 

方舟まで、残り数十メートルを切った。

 

 

破壊の因子を使った今なら、あの結界を突破する事は可能の筈だ。

 

 

背後からの追撃もない。恐らく稟とアズサが幻魔達を押さえ込んでくれてるのだろうと、そう考えて突き進むDサレナが方舟の目の前まで到達した瞬間……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『―――主砲……放て』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ガコンッ……シュウゥゥゥゥ……ズガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!!!―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Dサレナ『――なっ?!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――突如方舟の甲板が二つに開き、其処から他の砲台とは比べものにならない程の超巨大な砲台が出現したのだ。それを見たDサレナは驚愕の余り思わず動きを止めてしまうが、その間に砲台は膨大なエネルギーをチャージして超巨大な砲撃を撃ち出し、そのまま信じられない速度でDサレナの目の前にまで迫り……

 

 

Dサレナ(駄目だ……かわせな――――?!!)

 

 

 

 

 

 

 

―チュドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオンッ!!!!!!―

 

 

 

 

 

 

 

アンジュルグ『――ッ?!零っ……?!』

 

 

エクスL『なっ……零さんッ!!!!』

 

 

 

―――砲撃は無慈悲にもDサレナを飲み込んでいってしまい、Dサレナは光の中へとその姿を消してしまったのであった……

 

 

 

 

 

 

 

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