仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
―時の方舟・ブリッジ―
零「ぁ……くっ……は……」
決死の突貫によって何とか方舟のブリッジへの侵入に成功した零。だがその体は此処に辿り着くまでの激戦によって傷だらけとなり、右腕はズタズタ、胸の傷も開いて出血が酷かった。
姫「零ッ!!」
零に殴り飛ばされたフォーティンブラスを見て唖然としていた姫はそんな零の姿を見て一目散に走り出し、零の身体を抱き寄せていく。
零「っ……咲夜……か……?」
姫「あぁ!あぁ私だ!しっかりしろ!」
零「……そう、か……ちょっとボロボロだが……無事みたい……だな……良かった……」
姫「良い訳あるか!!あんな無茶してっ、こんな、こんな傷だらけになって……君は本物の馬鹿か?!もし死んでたらどうするつもりだったんだっ?!」
安心したように笑みをこぼす零に思わず怒鳴り声を荒げる姫。昨日フォーティンブラスに受けた傷が癒えぬまま、あれだけ数の幻魔達を相手にしながら此処まで辿り着いたのだ。常識的に考えてもありえない無茶をして見せた彼に流石の姫も怒りを隠せないのだが、零は何故か微かに笑みを浮かべたままだ。
姫「なにを笑ってるんだっ……私は今怒ってっ……!」
零「―――いや……それは分かってるんだが……何と言うか……」
怒鳴る姫を見て今度は苦笑を浮かべ、零は少し顔を俯かせながらポツリと呟く。
零「何と言うか……お前にもう会えないんじゃないかって思ってたから……また声が聞けて……少し安心した……」
姫「ッ!っ……馬鹿者がっ……」
そんな場違いな事を告げた零に姫もまた複雑な表情で罵倒の言葉を口にし、零はそんな姫を見て含み笑いを浮かべた。が、その時零に殴り飛ばされていたフォーティンブラスが立ち上がり尋常じゃないほどの殺気を放ってきた。
『貴様あぁ!!たかが!!たかが蟲の分際でぇぇぇぇぇぇぇぇえッ!!』
零「っ……騒がしい奴め……少しは休ませてくれても良いだろうに……」
殺気を放つフォーティンブラスを見て零はゆっくりと上体を起こし、口元を伝う血を拭いながらフォーティンブラスを見つめた。
零「だが……これで少しは分かったんじゃないか?人間はお前が思っているより、ずっと強い生き物だってことが……」
『黙れえぇ!何が人間だ!貴様等は所詮弱くて薄汚い最低な存在!過ちを繰り返し!その度に世界を汚す!そんな貴様等がこの世界に存在する価値等ない!!』
フォーティンブラスは怒りを露にし叫ぶように声を荒げる。だが……
零「……成る程……くだらないくだらないとは思っていたが……本当にくだらん奴だ……」
『な、なんだと…?!』
零は呆れた様子で溜め息を吐きながらふらついて立ち上がり、そんな態度を見せる零にフォーティンブラスは殺意を見せる。
零「確かに人間は愚かだ。欲望に強く、過ちを犯し、その過ちに気付かず更なる悲劇を呼び起こし、挫折して前を見る事に恐怖を感じる時だってある……」
『そうだ!そうやって貴様等は……!』
零「だがな……そんな人間を変える事が出来るのは、結局は人間しかいないんだよ……人は独りじゃ弱い。だけど傍に誰かがいてくれて、手を差し延べてくれる他人がいる限り、人はそこから立ち上がって変わる事が出来る……自分でも気付けない過ちを正してくれるのは、自分を思ってくれる誰かなんだ……!」
零は真剣な目付きでフォーティンブラスを見据えながらそう叫び、背後に立つ姫に視線を向けていく。
零「コイツもかつてはそうだった……独りで皆を救おうとして、だけど間違いに気付けず、その果てで悲劇を生んでしまった……誰かが傍にいて、間違いに気づいて正してくれる人がいてくれれば、もしかしたらそんな悲劇は起こらなかったかもしれない……」
姫「…………」
零は姫の目を見つめながらそう強く語り、姫は黙って零の言葉に耳を傾けていく。そして零は姫からフォーティンブラスへと視線を戻し、視線を鋭くさせながら口を開いた。
零「お前の言う通り、人間は愚かな存在だ………愚かだから、過ちを正して一緒に歩いてくれる誰かが必要なんだ!そうして互いに支え合ってきたから、人間は此処まで成長して来れた!それを否定する権利なんて、お前にはない!」
『貴様ぁ……!』
零「そして此処にいる咲夜は、お前とは違う!コイツは人間に裏切られ、傷付けられても、それでも自分を犠牲にしてこの世界の人々を守ろうとした!コイツが誰かを守る為に戦うというなら、俺はコイツを守る為に戦う!もう間違えないように……道を見失わないように……俺が傍で支える!」
姫「零……」
姫は零の言葉を聞き、その瞳に強い決意を宿して深く頷きフォーティンブラスを見据えていく。そしてそれを見た零も笑みを浮かべながら残った左腕でディケイドライバーを装着し、ディケイドのカードを取り出して構えた。
『何なんだっ……貴様一体何者だ?!』
零「通りすがりの仮面ライダーだ。憶えておけ!変身ッ!」
『KAMENRIDE:DECADE!』
零は決め台詞を叫びながらバックルへとカードを装填してディケイドに変身し、左腰のライドブッカーをSモードに切り替えてフォーティンブラスと対峙していく。
『ッ!なにが傍で支えるだ……たかが蟲ごときが!!神に逆らう事がどれほど恐ろしいか、その目に刻むがいい!!』
殺意を剥き出しにして叫ぶと共にフォーティンブラスが右腕を掲げると、三人の周りに無数のモニター……桜ノ町の映像が映し出されたモニターが出現していく。
そしてそれと同時に映像に映し出された桜ノ町の周りに次々と捩れが発生していき、その中から先程零達を苦しめた巨大な物体達……百隻を越える数の艦隊が現れ、更に戦艦から下りてきた数万以上の幻魔達が町を襲い始めたのだ。
姫「こ、コレは……?!」
『この世界の人々を守るとほざいたな?ならば見せてみろ!あれだけの数を相手にして、彼処にいる蟲共を守り切れるかなぁ?ふっ、ははははははははははははははは!!!!』
ディケイド『貴様っ!!』
彼処にはまだ多くの怪我人や町の人達がいるというのに、あれだけの幻魔に攻められればどれだけの人間が犠牲になるか分からない。それを幻魔達に命じて愉快げに笑うフォーティンブラスにディケイドは怒りを隠せず殴り掛かろうとした。その時……
『―――残念だが、お前の思い通りに事は運ばせねぇぜ。幻魔神?』
ディケイド『……は?』
『ふっははははははは!!……あ……?』
不意に三人のモノではない青年の声がその場に響き渡り、ディケイドは思わず足を止め、フォーティンブラスは笑うのを止めてその声が聞こえてきた方へと振り返った。其処にはモニターの一つに仮面ライダー……幸助が変身したメモリーの顔が映し出されていた。
『なっ、貴様は?!』
ディケイド『幸助?!』
メモリー『よう零、相変わらず無茶やってんな?それに幻魔神……堕神の癖に粋がった事してるじゃねえか?』
『ッ!貴様ぁぁぁぁぁ……異界の神が何の用だっ?!部外者の癖してこの世界に関与するなどっ……!!』
メモリー『それはお前にも言えた事だ。幻魔界の神の分際でこの世界に深く関わって良いと思ってるのか?更に他世界の神が司る世界に幻魔を野放し、桜ノ神にまで手を出した……お前の罪は最早見逃す事は出来んレベルだ』
『ハッ!何が罪か?!我は全知全能の神!!我が行いは全て世界の意思!!貴様のような蟲から神になった程度の紛い物風情の神が、純粋な神である我に罰など与えられる物か!!』
メモリー『……とことん哀れな奴だ……まあいい……本当なら俺がお前を断罪する予定だったが、どうやら俺が手を出す必要はなさそうだ。せいぜいお前の邪魔だけでもさせてもらうさ』
『なんだと?―ドッガアァァァァァァァアンッ!!―……ッ?!』
呆れたように溜め息を吐きながらそう告げたメモリーに思わず聞き返そうとするフォーティンブラスだが、その時他のモニターに映る町に爆発が発生し、三人はそのモニターに視線を向けていった。
◆◇◆
―桜ノ町・ショッピングモール―
『フフフ、漸く私達が動き出す時が来たわね……』
同時刻、桜ノ町上空に展開された艦隊から無数の幻魔が町へと降り立ち、ショッピングモールでは高等幻魔……ベガドンナの指揮で町に攻め入ろうとしていた。
『さあて、存分に暴れ回りなさい幻魔達よ!この町の蟲共を一匹残らず皆殺しにしなさい!!』
『シャアァァァァァァァァァァァァァァアッ!!』
前回の被害で瓦礫の町と化したショッピングモールにベガドンナの声が高らかに響き渡り、それに従うように無数の幻魔達が町の人々を皆殺しにしようと動き出した。だが……
『―――おぉっと、何処へ行こうって言うんだ?幻魔界からの来訪者さん達?』
『……ッ?!』
幻魔達の前に四人の戦士が立ち塞がり、幻魔達は一斉に足を止めて四人に威嚇するように不気味な雄叫びを上げていく。しかし四人はそれに動じず、四人の戦士……紲那とゼウスが変身したディジョブドとカイザ、そして黄色い鎧のライダーと黒と白のボディのライダー……雷が変身した雷牙と雷火が変身した『クラスト』は余裕のある笑みで幻魔達を睨み返していた。
『アンタ達は……?』
クラスト『悪いな高等幻魔さん?此処から先に通す訳には行かないんだよ』
『ッ?!その声……アンタ、神社で私の邪魔をした蟲か?!』
クラスト『大・正・解……そういう事だから分かるだろう?お前達じゃ俺達には勝てない……素直に負けを認めて兵を引き上げてくれないか?』
『負けを認める…?ハッ!冗談じゃないわ!それは私の台詞よ!アンタ達こそ、素直に負けを認めて土下座でもすればぁ?そうすれば見逃してやらない事もないわよ?』
カイザ『……やれやれ……状況がまるっきし呑み込めていないようだな……』
ディジョブド『全くだ……他人の心配より、自分の身を心配したらどうだ?』
『……何ですって?』
呆れた様子で溜め息を吐くライダー達に機嫌を悪くしたのか、ベガドンナは鋭い視線でライダー達を睨みつけるが、雷牙はそれに怯まず前に出ていく。
雷牙『まだ分かっていないようだから率直に言わせてもらうが……その程度の数で俺達を倒すのは不可能だ。どうやってもな?』
『ッ!!生意気な屑共がっ……だったら今すぐその口を黙らせてやるわ!!行きなさい幻魔達よ!!』
『シャアァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!』
雷牙の挑発的な言葉で完全に切れたベガドンナは一斉に幻魔達を四人に放ち、クラスト達はそれぞれ身構えて幻魔の大群に突っ込んでいったのであった。
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