仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
―桜ノ町・ショッピングモール―
『そらそらそらあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあッ!!』
―シュバババババババババババババッ!!―
ディジョブド『あっぶなっ?!』
クラスト『ちぃ!』
時の方舟内でディケイドとフォーティンブラスが戦いを始めた頃、ショッピングモールではクラスト達がベガンドナ相手に激戦を繰り広げていた。ベガンドナは素早い身のこなしで四人の攻撃を回避し、攻撃した後に出来る隙を付いて無数の毒のクナイを投げ付けるなど、四人はベガンドナの動きに翻弄されていた。
雷牙『くそっ!いい加減にジッとしてろこの女!!』
『そう言われて「はい、分かりました」なんて言うと思う?ハァッ!!』
思わず毒づく雷牙に軽口を叩くと、ベガンドナは空中で回転しながらなんといきなり二人に分身し、今度は五百本を超える数のクナイを投擲していく。それを見た四人はギョッとなりながらも武器を使ってクナイを叩き落とし、バックステップで後退していく。
ディジョブド『クッ!原作と似てるのは名前だけかと思ってたけど、戦い方までまんま同じだな、特に毒を使うなんて趣味悪いところとか……』
カイザ『全く、過激な女性のエスコートはあまり得意じゃないんだがなっ』
クラスト『キザ寒いこと言ってる場合か馬鹿っ!来るぞ!!』
クラストが四人に呼び掛けると共に、二体のベガンドナが短刀を構えながら四人の真上へと飛び上がった。四人はそれを見てすぐさま左右に別れると、ベガンドナ達が振り下ろした短刀がコンクリートの地面に突き刺さり、地面が粉砕した。
雷牙『っ……加えて外見によらずあの怪力っ……気を抜いたら一撃でやられそうだな……』
カイザ『しかも分身されてるからそれも二倍だ。さて……どうする?』
カイザブレイガンを構え直し、ユラリと立ち上がって背中合わせに睨みつけてくるベガンドナを見据えながら三人に問うカイザ。それに対し、三人は仮面の下でニヤリと笑いながら……
ディジョブド『どうするって……』
雷牙『そんなの決まってる……』
クラスト『何人増えようが、纏めて叩き潰すのみ!!』
クライシス『……酷い作戦ねぇ……』
カイザ『確かにな……が、嫌いではない!!』
カイザがそう叫ぶと共に、ディジョブドが先陣切ってベガンドナへと飛び出した。その手には三枚のカードが握られており、その内の一枚をディジョブドライバーへと投げ入れスライドさせた。
ジョブ『ジョブチェンジ!鬼武者!』
電子音声が響くと共にディジョブドの姿が前回と同様の鬼武者へと変化し、D鬼武者は更に二枚のカードをバックルへと装填してスライドさせた。
ジョブ『ライセンス!疾風刀!戦術殻・風!』
D鬼武者『風よ此処に!!でえええぇぇぇぇぇぇやあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーっっ!!!!』
―ビュオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォオッ!!!―
『なっ?!ウ、ウアアァッ?!』
鳴り響く電子音声と同時にD鬼武者は手に一本の薙刀……疾風刀が現れたと共に、疾風刀を振り回しながらその場でコマのように回転していく。それと共にD鬼武者を中心に巨大な竜巻が発生してベガンドナ達へと放たれ、ベガンドナ達は竜巻に巻き込まれて上空へと投げ出されていった。
『ガアァァァァァァッ!!グウゥッ!!だけど!!』
『こんなものでぇ!!』
竜巻に斬り刻まれたせいか全身が切り傷でボロボロだが、ベガンドナ達はそれに構わず空中で態勢を立て直して再びクナイを放とうと投擲の構えを取った。だが……
―バシュンッバシュンッ!―
『?!なっ?!』
『何っ?!』
投擲を放とうとしたベガンドナ達に突如真下から撃ち出された黄色い銃弾が直撃し、二人の動きを封じたのであった。ベガンドナ達が動けない身体に驚愕してると、銃弾を放った本人……カイザはカイザブレイガンを構えながら上空のベガンドナ達を見据え……
カイザ『ハアァァァァァァ……でえええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇいっ!!!』
―シュンッ……ズバアァァァァァァァァァァァァアッ!!―
『アガァッ?!』
『グアァッ?!』
カイザが勢いよくアスファルトの地面を蹴ってベガンドナ達へと飛んだ瞬間、カイザは黄色い閃光と化して目にも止まらぬ速さでベガンドナ達へと突き進み、そのままカイザブレイガンですれ違い様にベガンドナ達を斬り裂いたのであった。
そしてカイザの必殺技を受けたベガンドナ達は地上に叩き付けられて地面を転がり、そのまま元の一人へと一体化していった。
『あ、がっ……馬鹿な……この私がっ……たかが数匹の蟲なんかにぃっ……』
この自分があんな奴らに押されてる。その事実が信じられないベガンドナは全身から煙を立たせてふらつきながら再び立ち上がろうとした、その時……
『FINAL ATTACK!』
『FINALSPELL:RA・RA・RA・RAIGA!』
『…っ?!』
頭上から再び電子音声が鳴り響き、ベガンドナはすぐさま空を見上げた。すると其処には二人のライダー、クラストと雷牙がベガンドナに向けて跳び蹴りを放つ姿があった。それを見たベガンドナはすぐに回避行動を取ろうと慌てて動き出すが、それは既に間に合わない。そして……
クラスト『オリャアァァァァァァァァァァァァァアッ!!!』
雷牙『セアァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!』
『げ、幻魔神さっ―ドグオオオオオオオオオオオンッ!!!―ギッ?!ギャアァァァァァァァァァァァアッ?!!』
―ドッガアァァァァァァァァァァァァアンッ!!―
クラストと雷牙のライダーキックがベガンドナに炸裂し、ベガンドナはそれを受けて数十メートル以上吹っ飛びながら爆発し、跡形も残さずに散っていったのであった。そしてクラストと雷牙は着地してそれを確認すると一息吐き、そんな二人の下にディジョブドとカイザが駆け寄ってきた。
カイザ『よし、これで高等幻魔の一角は崩したな』
雷牙『ああ。だが……』
ベガンドナを倒して一安心……とは言えず、四人は顔を上げて空を仰いだ。其処には町の上空を飛ぶ戦艦達から無数の幻魔達が降下してくる姿があり、その数は未だに増え続けていた。
ディジョブド『……はぁ。まだまだ終わりそうにないなぁ……』
クラスト『ま、嘆いてたって仕方ないさ……んじゃ、いくぜ!!』
『おう!!』
クラストの掛け声に応えるようにカイザ達も武器を構え直し、ウジャウジャと増えながら向かってくる幻魔の大群の中へと突っ込んでいくのだった。
◇◆◆
―桜ノ町・商店街―
エグザムM『おおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!』
アナザーアギト『オラアァッ!!』
その頃、商店街ではガルガントを相手にエグザム達が奮闘している最中だった。ガルガントを中心に四方から次々と飛び掛かる四人だが、ガルガントは両刃剣を使った鋭い格闘術でこれらを打ち負かし、多勢に無勢でありながらも四人を圧倒していた。
『――成る程、動きは悪くない。力、速さ、防御も。戦場に立つにしては出来上がっているだろうが……』
ディライトC『ハッ!!』
ディガイドC『デェアァッ!!』
ポツポツと呟きながら四人の攻撃を軽く受け流すガルガントだが、その背後からディライトとディガイドが迫ってライトブッカーと拳を振りかざしていた。しかし……
『――所詮【悪くはない】だけだ……』
ディライトC『――ッ?!なっ―バキイィィッ!!―ゴアァッ?!』
ディガイドC『っ?!勇っ―バキイィィッ!!―ガッ?!』
真横。二人が息を呑む前に、既にガルガントはディライトとディガイドの間に飛び込んでいた。消えた。そう判断するしか出来ない速度で懐深くへ潜り込んだガルガントは、二人の頬を横から殴るように両肘を放ち、二人はそのままノーバウンドで吹っ飛び建物の壁へと埋もれてしまった。
エグザムM『勇二っ?!海っ!!』
『人の心配をしてる場合か』
言うや否や、ガルガントは既にエグザムの背後に回り込み、エグザムの背中に手を押し当て衝撃波を放った。重圧にも似たそれを至近距離から受けたエグザムはジェット機のように一瞬で吹っ飛び、他の二人と同様に建物の壁へと叩き付けられてしまった。
アナザーアギト『晃彦?!貴様っ!!』
アナザーアギトは壁に叩き付けられたエグザムを見てすぐさまガルガントに飛び込み、そのままガルガントの首元に渾身の蹴りを打ち込んだ。だが……
『――温い』
アナザーアギト『?!なっ―ガキイィィィィィインッ!!―ガッ?!』
アナザーアギトの渾身を込めた蹴りを打ち込まれようとも、ガルガントは眉一つ動かさずにそう告げながらガルブレードを振り上げた。アナザーアギトはそれに驚愕しつつも無理矢理態勢を変えて刃の直撃を避けるが、それでも肩から出血しながらガルガントから距離を離した。
『――何をしているのだ、お前等は?』
ガルガントは険しい口調と共にふらつきながら立ち上がる四人を見回し、目の前で肩を抑えるアナザーアギトにガルブレードの切っ先を向けた。
『俺はお遊戯をしに来たのではない……本気を出せ。それとも、これが戦う相手に対しての貴様等の流儀なのか?』
アナザーアギト『っ……言ってくれるな……』
飽くまでも武人として戦うことを望むのか、幻魔とは思えぬ力強い眼差しで見据えてくるガルガント。そんな彼から言葉では言い表せない威圧感を感じ取ったのか、四人は額から冷や汗を流しながらそれぞれ構えていく。
エグザムM『(奴を相手に正面からの打ち合いは禁物か……ならば、全力極限の一撃を決めるしかない!)』
ディライトC『(手加減して勝てる相手でも、本気を出して易々と勝てるほど甘くなそうだなっ……一か八か……コイツでっ……)』
ディガイドC『(勇二はアレを使う気か……なら、俺も全力の一撃をぶつけて奴の注意を引くのみ!)』
アナザーアギト『(ただの幻魔と思って油断したのは間違いだったか……此処は心象世界じゃない……暴走の危険もあるが……この姿の全力で勝てるほど、奴も甘くはないかっ……)』
各々、ガルガントと一定の距離を保ちながらそれぞれ心の中で葛藤するライダー達。そして決意したのか、エグザムは三枚のカードを取り出し、ディライトは一本のガイアメモリを、ディガイドは一枚のカードを取り出し、アナザーアギトは変身を解いて龍弥に戻ると、腰に漆黒のオルタリングを出現させた。
『そうだ、それで良い……さあ来い。異世界の戦士達よ!!』
龍弥「あぁ……お望み通りにしてやるよ!変身ッ!」
『XTREME DELITE!』
ディガイドC『こっちもスペシャル大サービス!』
『ATTACKRIDE:GEKIJOUBAN!』
龍弥は黒いオルタリングの両腰の箇所を叩く様に押すと、背中から悪魔の羽を生やしたアギト……『アギト・ディアブロフォーム』へと変身し、ディライトはドライバーにガイアメモリをインサートし、緑の右半身と黒の右半身の間に透明な銀色のラインが取り入れられた姿……『ディライト・NEXTコンプリートフォーム』に変わり、ディガイドはドライバーを上空に向けて撃ち出すと左右背後にディガイドライダーズを召喚していった。
『……なるほど……それが貴様等の本気か……ならばこちらも、本気を出させてもらおう』
それぞれ戦闘態勢に入ったアギト達を見てガルガントは満足そうに頷き、右手に持つガルブレードを水平に構えた。それを見た四人も僅かに身構えると、ディガイドが先陣を切るようにカードをドライバーへと装填しスライドさせた。
『FINALATTACKRIDE:DE・DE・DE・DE-GUIDE!』
ディガイドC『フッ!ハアァッ!!』
『セヤアァァァァァァァァァァァァァァアッ!!』
電子音声が響くと共にディガイドはドライバーの銃口をガルガントに向けて強化ディメンジョンシュートを発射し、それに続くようにディガイドライダーズがガルガントへと一斉に必殺技を放っていった。しかし、ガルガントは剣を水平に構えたまま瞳をつむり……
『――幻魔剣、一閃ッ!』
―ズバアァァァァァァァァァァァアンッ!!!―
『?!グ、ウグアァァァァァァァァァァアッ?!!』
―チュドオォォォォォォォォォォォォオンッ!!―
ディガイドC『?!ぐっ、うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっっ?!!』
誰にも聞き取れない呟きと共に、ガルガントは振り向き様に剣を真横一閃に振るい、その一秒後にガルガントに必殺技を打ち込もうとしたディガイドライダーズの身体を真っ二つにしてしまい、更にディガイドまでもその余波を受けて吹き飛ばされ通常形態に戻ってしまったのだ。
その光景を目にしたアギトはすぐにガルガントまでの距離を詰めて拳を放つが、ガルガントは空いた左手でその重い一撃を受け止め、その直後に百メートル近くのビルの窓が粉々に粉砕された。
アギトD『チィ?!受け止めた?!』
『……良い右手だ……今の一撃、我が全身に響き渡ったぞ』
グググッ!!と、アギトの右手を受け止めながら何処となく歓喜を含んだ笑みを浮かべるガルガント。その直後……
『MAXIMUM!COUNT!MACH!MAXIMUM COUNT!』
『XTREME MAXIMUMDRIVE!』
『FINALATTACKRIDE:DE・DE・DE・DELITE!』
エグザムM『セェアァァァァァァァァァァァァァアッ!!!』
ディライトNC『ハアァァァァァァァァァァァァァアッ!!!』
無数の電子音声が響くと共に、アギトの頭上を飛び越えるようにエグザムとディライトがダブルライダーキックを放とうとしていた。だが……
背後。
『ッ?!』
三人が息を呑む前に、既にガルガントは剣を振るった態勢でエグザムとディライトの背後に移動していた。不意に支えを失ったアギトはそのままバランスを崩し、エグザムとディライトが背後に振り返ろうとした、が……
『――幻魔剣、二閃……』
―ザュウゥッ!スバアァァァァァァァァァァアッ!!―
『な、グアァァァァァァァァァァァァァァアッ?!』
ガルガントの呟きと共に、エグザムとディライトの胸と肩から大量の火花と血が噴き出し、ディライトはそのまま地上に落下して通常形態へと戻ってしまった。
エグザムM『ぐぅ!コイツっ……まさかすれ違い様に一瞬でっ……?!』
ディライト『クソッ……!地球の本棚で検索した時には、今の攻撃が有効だったはずなのにっ……!』
『?地球の本棚……あぁ、無限の知識を秘めたという本棚の事か……確かにアレは便利なものだ……』
だが、とガルガントは剣を軽く振るい、地面に倒れるエグザムとディライトの間を抜けてアギトと対峙していく。
『忘れるな少年。あんな物はただの知識に過ぎん……知識は所詮知識。そのようなくだらぬ物、現実でそれ以上の力で覆せばどうとでもなる……』
つまりこの幻魔は、地球の本棚の知識以上の力を発揮してそれを覆したという事か?余りにも目茶苦茶な事を告げるガルガントに四人も戸惑いを隠せないが、ガルガントはそんな反応に構わずアギトにガルブレードを向けていき、刃を向けられたアギトは構えを取ってガルガントを見据え、そして……
―バッ!!―
アギトD『おおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!』
『オオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!』
―ズドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォンッ!!!!―
双方同時に相手に向かって飛び出し、互いに拳と剣を勢いよくはなって商店街の中心点で激突し、激突した地点から数十メートル先の地面が瓦礫と化した。
アギトD『ダァッ!ハッ!らあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!』
『フンッ!オオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオッ!!!』
拳と剣。その二つが交わる度に辺りに巨大な衝撃波が巻き起こり、地面が瓦礫と共に吹き飛び、近くのビルはひび割れ、拳と剣の衝突音は空すらも突き抜ける。そしてガルガントはアギトが放った右拳を身を屈めて回避し、ガルブレードの腰の後ろに下げながら……
『――幻魔剣、三閃!!』
―ズバババァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!―
アギトD『ッ?!―ズシャアァッ!!―グウゥッ?!』
ガルガントは雄叫びと共にガルブレードを振り抜き、三つの見えない斬撃が連続で襲い掛かった。それを目で追えないアギトは直感のままに体を反らすが、かわせたのは初撃のみ。
直後に襲い掛かった二つの斬撃がアギトの胴体と肩を斬り裂いて血を噴き出し、アギトは肩を抑えながらガルガントから距離を離した。
『ほう……あれを一撃かわしたか……大した者だな、貴様も』
アギトD『っ……そいつはどうも……だが、長期戦になるとこっちがヤバいんでね……そろそろ決めさせてもらうぞ……』
それは勝負の流れうんぬんより、胸の内から波のように迫り来る感覚を感じたからだ。恐らく暴走が近いという予兆なのかもしれない。軽く予想を付けながら額から冷や汗を流し、アギトは身を屈めてガルガントに構えていく。ガルガントもそんなアギトから何かを感じたのか、同じように剣を構えた。
アギトD『…………』
『…………』
言葉はない。呼吸の音すら聞こえない無音の世界で、二人は自分の敵を見据えて僅かに距離を詰めた。そして双方が再び一歩踏み出した瞬間……
アギトD『ハアァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!』
『オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオッ!!!』
合図はなかった。ただ本能で感じたままに双方が飛び出し、アギトは渾身を篭めた右ストレートを、ガルガントは全力の一撃を乗せた剣を真っ向から振り下ろしていった。が……
―……ガクッ!―
『……ッ?!』
アギトD『っ!何?!』
剣を真上から振り下ろそうとしたガルガントの身体が膝からガクリと傾き、バランスを崩してしまったのだ。それを見たアギトは驚愕の表情を浮かべるが、既に放たれた拳は止められず……
―グシャアァァッ!!!―
『グッ……?!ガッ……』
……アギトの右拳はガルガントの腹部に突き刺さり、そのまま腹を貫通したのであった。腹の中に拳を突き刺されたガルガントは口から吐血し、アギトはそんなガルガントを呆然と見上げていく。
アギトD『お、お前……』
『……フッ……やはり……まだこちらの世界に、身体が慣れてなかったようだな……決着を前に隙を生むなど……迂闊だった……』
カタンッ!と、ガルガントは右手にぶら下げていた剣を力無く地面に落とした。アギトはガルガントの腹に拳を突き刺したまま呆然となり、ガルガントは口から血を流しながら穏やかに微笑み、アギトの拳を腹から抜かせて後退りした。
『流石は、異世界の戦士達…………見事…………だ…………』
―チュドオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォオンッ!!!―
心残りを感じつつも、何処か満足げに笑みを浮かべた瞬間、ガルガントは爆発を起こし消滅してしまった。それを見たエグザム達はふらつきながら立ち上がってアギトへと近付いていき、アギトは龍弥に戻って自分の拳を見下ろした。
龍弥「……くそっ……何なんだあれは……あんな決着なんて……!」
ディライト『……龍弥……』
納得がいかない。龍弥の今の表情を露わすならそれが一番合うだろう。幻魔とは言っても一介の武人を相手に戦い、互いの誇りを掛けて全力を放とうとした結果が、不良のアクシデントで攻撃を止めてしまった敵を倒したという結果だけだ。それが納得いかない龍弥が奥歯を強く噛み締めてると……
『シャアァァァァァァァァァァアッ!!』
ディガイド『っ!幻魔?!』
商店街の奥から幻魔の大群が現れ、奇声をあげながら向かってきていたのだ。
エグザムM『クソッ!構えろ龍弥!来るぞ!』
龍弥「っ……あぁ、分かってる!」
エグザムに呼び掛けられて幻魔の大群へと目を向けると、龍弥は再びアナザーアギトに変身してエグザム達と共に幻魔達へと向かっていった。