仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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第十七章/桜ノ神の世界⑰決戦ー5

 

―時の方舟・ブリッジ―

 

 

 

ディケイドS『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!』

 

 

『ヌオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!』

 

 

―ドグオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!―

 

 

平行世界の仲間達が幻魔達と戦う中、方舟のブリッジではフォーティンブラスと戦闘を開始したディケイドの姿があった。ディケイドは因子の力を解放した状態のまま炎を纏ったライドブッカーSモードを振るい、フォーティンブラスの振りかざした大剣と激突し辺りに重い衝撃波が広がっていく。

 

 

―ギギッ!ギギギギッ……!!―

 

 

ディケイドS『いい加減に諦めろ!幻魔達による襲撃はアイツ等が食い止めてるし、外には俺の仲間がいる!お前の逃げ場は何処にもない!!』

 

 

『ハッ!逃げるだとっ?!この我が逃げる必要が何処にある?!我の邪魔するのならあの屑共も叩き潰せばいいだけのこと!無論貴様もなあぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!』

 

 

フォーティンブラスはせめぎ合わせていた大剣でライドブッカーごとディケイドを押し返し、そのまま頭上から稲妻の如く大剣を振り下ろす。ディケイドは咄嗟に後方へと飛び退いてそれを回避するが、大剣が床を叩きつけた瞬間巨大な爆発が巻き起こってディケイドの視界を覆い隠し、爆風で怯んだディケイドの背後にフォーティンブラスが一瞬で回り込み、大剣でディケイドを斬り飛ばし壁に叩き付けてしまう。

 

 

ディケイドS『ガハァッ!グウッ……!』

 

 

『覚悟しろっ、まずは貴様から血祭りに上げ、奴らの前に貴様の首を曝してやるっ!』

 

 

乱暴に大剣を振るって風を起こし、ゆっくりと地面に倒れるディケイドに近づいていくフォーティンブラス。対するディケイドは床に倒れたままフォーティンブラスから背を向けて一体のフクロウのような姿のメカ……以前智大がくれたメモリガジェットであるスパイオウルを取り出しGモードに切り替えたライドブッカーに装着させた。

 

 

 

 

 

 

雷火『あの堕神は常時、体全体に特殊な神氣を纏っているらしい。それが健在している限りはどんな強力な攻撃や技も通用しない……だが数百年前に奴と戦った嘗ての聖者達は、奴に決死の一撃を加えてある一カ所に穴を開けたんだ。其処を狙えば―――』

 

 

 

 

 

 

ディケイドS(奴の防御力が……著しく低下するっ!)

 

 

 

 

 

 

その可能性を高めるのは、この瞳に宿る悪魔の力。ディケイドはバックルに装填されたソルメモリを抜き、スパイオウルが装着されたライドブッカーGモードに装填しインサートした。

 

 

『SOL!MAXIMUM DRIVE!』

 

 

電子音声が鳴り響き、それと共にディケイドは身体を反転させライドブッカーの銃口を歩み寄ってくるフォーティンブラスに向けた。その銃口が定める先には、フォーティンブラスの左胸……一カ所だけ、茶色い肉が剥き出しにされた部分。そこへ正確に狙いを定め……

 

 

ディケイドS『っ……オウル・エクスプロージョンッ!!ハアァッ!!』

 

 

―ズドオォォォォォォォォォォォォォオンッ!!―

 

 

『ッ!―ズガアァァァァァァァァァァァアンッ!!―ヌウゥッ!』

 

 

ライドブッカーの引き金を引いた瞬間、銃口から細い炎の砲撃が凄まじい勢いで放たれ、フォーティンブラスの左胸へと直撃していったのだった。だが、フォーティンブラスは自身の左胸に撃ち込まれた炎の砲撃を見てもビクともせず、不敵な笑みを浮かべた。

 

 

『クククッ、成る程。我に勝てぬと分かって弱点を突いてきたという訳か』

 

 

ディケイドS『……っ!』

 

 

『フッハハハハハハハッ!馬鹿な奴よ!こんな程度でこの幻魔神を倒せるとでも思って―ビシィッ―……ッ?!』

 

 

弱点を突いた程度で自分を倒そうと考えるディケイドを嘲笑うフォーティンブラスだが、不意に亀裂が走るような音が響き、驚きを浮かべながら身体を見下ろすと其処には……炎の砲撃を受ける左胸から身体全体に至って亀裂が走っていた。

 

 

『?!な、にっ?!』

 

 

ディケイドS『ッ!!オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!』

 

 

自身の肉体に亀裂が走る様を見てフォーティンブラスが驚愕する中、ディケイドは引き金を引く指に力を込め、両目を力強く見開き、炎の砲撃が更に勢いづいていく。その様子を見てフォーティンブラスは漸く身の危険を感じ取るが……

 

 

―……ピシッ……チュドオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォオンッッ!!!―

 

 

『ッ?!!グッ、オアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ?!!』

 

 

気付いた時には既に遅く、炎の砲撃はフォーティンブラスの左胸を貫いていったのだ。その直後に、後退りしたフォーティンブラスの白い肉体が崩れ落ちて茶色い肉体へと変色し、それを見たディケイドは直ぐさま起き上がってフォーティンブラスへと駆け出しながらライドブッカーをSモードに展開し、ビートルフォンを刃に装着して剣の引き金を引いた。

 

 

『SOL!MAXIMUM DRIVE!』

 

 

『グウゥッ?!き、貴様、その瞳は――?!!』

 

 

ディケイドS『ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォッ!!!!』

 

 

フォーティンブラスが驚愕で両目を見開く中、ディケイドはライドブッカーの刃から凄まじい勢いで放たれる炎の刃でフォーティンブラスの肩を斜めに斬り付け、更に真上から刃を振り下ろしフォーティンブラスの肩へと打ち込んでいった。

 

 

『ギ、ガッ?!キ、サマァァァァァァァァァッ!!』

 

 

ディケイドS『ッ!どんな気分だ?!お前が今まで蟲呼ばわりして見下してきた、人間に追い詰められる気持ちは?!』

 

 

『グッ!追い詰められる、だと?図に乗るなよ蟲ごときがぁ!!偉大なる神であるこの我が!!貴様みたいな屑にぃぃぃっ!!』

 

 

ディケイドS『なにが神だ!!その傲慢さが!!その驕りが!!お前自身を此処まで追い詰めたんだ!!認めろ幻魔神!!そうやって人間を薄汚い存在だと否定し、価値がないと決め付けて蔑み続けたその考えが、お前の敗因だっ!!』

 

 

『ッ!!ふざけるなっ……たかが蟲ごときが一人前の口をおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!』

 

 

フォーティンブラスは怒号と共に肩に打ち込まれた炎の刃を掴み取り、そのままディケイドの腹を右拳で殴り付けて後退りさせ殴り掛かった。しかしディケイドも咄嗟にライドブッカーを盾に使い、フォーティンブラスの拳を受け止めた。

 

 

『薄汚い害虫風情がぁ!!そうやって貴様等が生きてられるのは誰のおかげだと思ってる?!そうやって貴様等人間がこの世界に生まれてこれたのは、我等神々がいたからこそだろうがぁ?!我が物顔で地上を巣食いやがってぇ!!貴様等は一度だって、命を与えてやった我等に感謝したか?!我等の為に何かしたか?!』

 

 

ディケイドS『何かした、だと?だったら逆に聞くが……お前は一度でも苦しんでる人間に手を差し延べたのか?神様助けてって、お前達を信じて祈りを捧げる人々に、一度だって救いを与えたのか?!』

 

 

『ッ!』

 

 

ディケイドS『答えられないのなら、お前だって同じだ!!この世界には、人間の力じゃどうしようもない事が山ほどあるんだよ!!何かに縋りたい!!誰かに助けて欲しいって!!どうしようもない現実が怖くて仕方なくて、不安で押し潰されそうになった時に誰かに助けてほしいって、そんな人達の心の支えにお前等はいるんじゃないのか?!例え奇跡の力がなくても、神様なんて本当はいないって思われても、皆の祈りを聞いて少しでも不安や恐怖で出来た心の隙間を埋めてやれるのが、神様って存在じゃないのか?!』

 

 

『貴様ぁ!』

 

 

ディケイドS『もしも幻魔なんて作り出すだけの力を使って、お前を信じて救いを求める人達に手を差し延べてたら、それだけでお前の立場は変わってただろう?!俺達と戦うだけの力を使って、今にも死にそうになってお前が助けてくれると信じて待ってる人達を助けてれば、それだけでお前は世界から認められる神様になれた筈だろう?!神だと偉そうに踏ん反り返ってる暇がありながら、どうしてそんな事が考えられないっ?!』

 

 

『黙れ!!そうやって生きてきた桜ノ神は、結局あのザマだ!!与えられるだけの幸福を与えてやったら、お前達人間は手の平を返して裏切っただろうがぁ!!』

 

 

姫「っ……」

 

 

フォーティンブラスの怒号に姫の表情が微かに曇る。だが、ディケイドは拳を受け止めるライドブッカーを力いっぱい押し返しながら言葉を紡ぐ。

 

 

ディケイドS『確かに咲夜の努力は裏切りなんて形で返されたっ……だがアイツには、お前にはないモノを持ってた!!どれだけ悲惨な結末であったとしても、絶対にお前と違ってアイツの世界はもっと広がってた筈だ!!だから裏切られても、皆に嫌われても、自分を犠牲にしてでも守ろうとしたんじゃないのか?!お前が蟲呼ばわりする人間達を!それぐらいの気持ちで皆を守ろうとしたコイツだから、皆に慕われて、今もこれだけの人間がコイツを助けようと必死に戦ってるんだろう!!』

 

 

『ふざけるなっ!!馬鹿にしやがって、害虫のくせに、地を這うしか出来んくせに、この我を馬鹿にしおってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっ!!』

 

 

ディケイドを勢いよく蹴り飛ばし、フォーティンブラスが拳を握って一気に距離を詰めてくる。ディケイドはライドブッカーの切っ先を床に突き刺してスピードを減速させ、迫り来るフォーティンブラスを見据えた。

 

 

ディケイドS『お前は人間だの神だのそれ以前の問題だっ……お前がまだその間違えを認めないのなら……力付くでも止めるッ!!』

 

 

『ほざくな蟲がァああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!』

 

 

怒号と共に飛ばされてきた拳。ディケイドは咄嗟に身を屈めてフォーティンブラスの脇を潜りながら必殺が込められたそれを回避し、懐からグレイシアメモリを取り出してバックルのスロットへと装填した。

 

 

『GLACIER DECADE!』

 

 

凍てつくメロディーと電子音声と同時にディケイドの姿がグレイシアフォームへと変わると、ディケイドは背後から殴り掛かってきたフォーティンブラスの頭へと振り向き様に回し蹴りを打ち込んで怯ませ、瞬時にバックルからグレイシアメモリを抜き取って左腰のライドブッカーへと装填した。

 

 

『GLACIER!MAXIMUM DRIVE!』

 

 

ディケイドG『おおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!』

 

 

鳴り響く電子音声と同時にディケイドの両足が冷気に包まれた。フォーティンブラスはその異変を感じ取り直ぐさま振り返るが、それよりも早くディケイドが右足を飛ばしてフォーティンブラスの頭部を蹴り付け、ディケイドは続けざまに体を回転させて左足を飛ばすと繰り返し、そして……

 

 

―ズドオォッ!バキィッ!ドゴオォッ!!―

 

 

『ゴアァッ?!ガァッ?!グオアァッ?!』

 

 

ディケイドG『―――俺も偉そうに説教出来る身じゃないがっ、一つだけお前に言ってやるっ……』

 

 

『グウゥッ?!!き、貴さ―――?!!』

 

 

ディケイドG『一度その頭冷やしてこいっ……大馬鹿野郎があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーっっ!!!!』

 

 

―ドグオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーオンッ!!!!―

 

 

『グッ――ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ?!!!』

 

 

鈍い音が響き渡った。全身全霊、最後の力を振り絞って放たれたディケイドの飛び回し蹴りがフォーティンブラスの頭を捉え、フォーティンブラスの身体が勢いに乗って真横へと吹っ飛び、そのまま数十メートルの先の壁へと激突していったのだった。

 

 

ディケイドG『っ……ぁ……は……ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……終わった……のかっ……』

 

 

フォーティンブラスは壁に埋もれて倒れたまま、動く様子はない。意識が朦朧とする中、やっとの事でそれを確認したディケイドは苦しげに呼吸をしながらその場に膝を着いて零へと戻り、そのまま力尽きて床へと倒れそうになる。が……

 

 

―……ドサッ―

 

 

零「…………ぁ…………?」

 

 

不意に、倒れそうになった身体が何かに抱き支えられた。ぼんやりと霞む視界の中で顔を上げて顔を動かすと、自分の身体を優しく、そして強く抱き留める人物……姫の横顔が見えた。

 

 

零「さく……や……?」

 

 

姫「馬鹿……本物の馬鹿か、君は……私なんかの為に……こんなボロボロになってっ……」

 

 

目尻に涙を浮かべ、血まみれになった零の身体を抱き締め必死に支える姫。そんな姫の涙声を耳にし、零は一度苦笑いをしてゆっくりとボロボロになった右腕を上げ姫を抱き寄せた。

 

 

零「生、憎……こんな方法しか思い付かなくて……な……馬鹿なのは自覚してる……周りからも散々言われて……来てるし……」

 

 

姫「自覚してるなら治せ!こんな血だらけになって、アイツを倒すだなんて……どれだけ無茶な事かっ……」

 

 

零「………………」

 

 

零では奴に絶対勝てない。あの時別れ際にそう告げた姫の言葉を思い出し、奴と戦う自分に彼女にも心配を掛けてしまったのかもしれない。そう考えて零は暫く口を閉ざすと、無言のまま姫を抱き締める腕に力を加えた。

 

 

零「……無茶だって事は……自分でも分かってた……この選択のせいで、どれだけの人間に心配を掛ける事になるかって……事も……」

 

 

姫「分かっているならっ!」

 

 

零「……でも……それでも……」

 

 

視界がボヤける。今にも気を失ってしまいそうになるも、しっかりと意識を保ちながら口を開く。

 

 

 

 

 

 

零「――それでも……お前を失うことの方が……よっぽど……耐えられない……から……」

 

 

姫「っ……」

 

 

零「だからもう……こんな真似はするな……アズサや絢香達も……俺も……お前が大事なんだ……人や神なんて、そんな小さな事じゃなくて……お前自身が……好きなんだよ……」

 

 

姫「れ……い……」

 

 

目尻に溜まった涙が、頬を伝う。横から聞こえてくる啜り泣きに苦笑しながらも、零は姫を抱き締める力を緩めない。

 

 

零「一人にしないって……言ったしな……だから……逃げようとしても離さないから……覚悟しておけ……」

 

 

姫「馬鹿がっ……大馬鹿者がっ……!」

 

 

朧げな目で、力無く笑う零の言葉に何も言えなくなり、泣きながら零の肩に顔を埋める姫。零はそんな姫を宥めようと姫の頭の上に手を乗せるが、その時方舟がけたたましい轟音と共に大きく揺れ、二人は思わず辺りを見回した。

 

 

零「っ……アイツ等、派手に暴れてるようだな……」

 

 

姫「っ!とにかく此処から出るぞ!フォーティンブラスが倒れたなら、この舟も時期に堕ちる!」

 

 

零「そう、だな……急ごう……」

 

 

主を失ったこの舟はもうすぐ沈む。その前に早く此処から脱出せねばと、零は姫の肩を借りながら覚束ない足取りで立ち上がり、皆が待つ外へ出ようと歩き出した。が……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―バシュウッ!―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……え?―ドッガアァァァァァァァァァァァァアンッ!!!―ウアァァァァァァァァァァァァァァァアッ?!!』

 

 

 

 

一発のエネルギー弾。何処からか撃ち出されたそれが不意を突くように二人へと直撃し、二人は爆発に巻き込まれ離れ離れに吹っ飛ばされてしまったのだ。二人は何が起きたのか理解出来ないままおもむろに上体を起こし、今のエネルギー弾が放れたれてきた方へと振り向くと……

 

 

 

 

 

 

 

 

『……ク、クククッ……ククククッ……』

 

 

姫「っ?!フォーティン、ブラスっ……?!」

 

 

 

 

そう、其処には、零に倒された筈のフォーティンブラスがふらふらと立ち上がりながら不気味に微笑んでいたのだ。だがその姿は先程までとは違い、全身が強固な金の西洋鎧を纏い、背中には悪魔のような白い羽根が四枚生えていた。

 

 

零「クッ!アイツ……まだ動けたのかっ……!」

 

 

『クククッ……舐めてもらっては困るな……この我が、貴様のようなゴミの一撃で倒れるとでも思ったのか?』

 

 

零「っ……だったら今度こそ、二度と立ち上がれないように…………っ?!」

 

 

先程の一撃など何でもないと告げるフォーティンブラスに舌打ちし、バックルを片手に再び立ち上がろうとする零だが、バックルを落としながらいきなり床へと倒れてしまった。

 

 

姫「?!零っ?!」

 

 

零「なん……だ……身体が……動け……なっ……」

 

 

内心驚愕しながら掠れ掠れ呟き、それでも身体を起こそうとするが、片腕どころか指一本すら動かせない。

 

 

零「どういう……事だ……何でっ……?!」

 

 

まるで身体全体が硬直でもしてるように動けず戸惑いを隠せない零だが、それもその筈だった。

 

 

魔剣の呪いを受けた重傷の体のままであれだけの大群を突破し、因子の力をフルに使用して結界を突き破り、更にその状態のままフォーティンブラスと正面から激突し、因子の力を上乗せしたマキシマムドライブを連続使用。

 

 

ただでさえ死んでも可笑しくない重傷を負った身体に何度も何度も鞭を打ち、それを繰り返し続けて身体が持つハズがない。

 

 

そんな無茶を続けたツケが、よりによって此処に回ってきてしまったのだ。

 

 

『クククッ、どうしたぁ?二度と立ち上がれないようにしてやるんじゃないのか?』

 

 

零「クッ……!!」

 

 

愉快げに笑うフォーティンブラスの言葉に反抗するだけの余裕もない。零は必死に動かない身体を起こそうとし、フォーティンブラスはそんな零を鼻で笑いながら……

 

 

―フッ……ドゴオォッ!!―

 

 

零「ッ?!ぐあぁっ!!」

 

 

姫「なっ、零っ?!」

 

 

一瞬で零までの距離を詰め、零の腹を容赦なく蹴り付け吹っ飛ばしてしまったのだ。零はそのまま壁際まで吹っ飛んで苦しげに咳込むが、フォーティンブラスはそんな暇すら与えないと言うように一瞬で零へと接近して襟首を掴み、そのまま高く持ち上げていく。

 

 

零「ぁ……がっ……?!」

 

 

『それにしても驚いた。まさか貴様のような蟲ごときに彼処まで追い詰められるとは……ああ、それだけは大した物だと褒めてやる。だが――』

 

 

呼吸すらままならず苦しげに顔を歪める零を愉快げに見つめると、フォーティンブラスは右手に一本の白い剣を出現させてゆっくりと振り上げていく。

 

 

『――我に逆らった罪までは許す気はない……それにお前の存在は、最早生きているだけでも不愉快だ……だから――』

 

 

言葉を区切り、フォーティンブラスは零の襟首からいきなり手を離した。不意に襲い掛かる崩れ落ちていくような感覚に零は驚愕し、何が起きたのか理解する前に……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ドシュウゥッ!!―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

姫「…………え…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何かを貫くような音が響き渡った。その直後に、姫の呆然とした声が響き、そんな彼女の視線の先には……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零「――――――ぁ――――――は――――――」

 

 

『……此処で死ね、屑が』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

床に滴る大量の鮮血……。

 

 

それが流れてくるのは……フォーティンブラスの剣が突き刺された零の心臓からだった…………

 

 

 

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