仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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第十七章/桜ノ神の世界⑰決戦ー6

 

 

 

姫「…………れ…………い…………?」

 

 

 

 

震える声で呟く。彼女の目に映るのは、フォーティンブラスの剣によって左胸の心臓を貫かれ、おびただしい量の血を流す零の姿。その光景に彼女はただ自分の目を疑い、呆然と青年の名を呟くしか出来ずにいた。

 

 

零「――――ぁ――――ぅ――――」

 

 

顔は前髪に隠れて見えない。それでも息が出来てないらしく、呼吸をしてる様子はない。必死に酸素を求めるように僅かに口を開いているが、口を開いた瞬間に大量の血を吐き出し、床に新たな鮮血の塊が加わっていく。

 

 

姫「あ……ぁ……」

 

 

姫の判断力が粉々に吹き飛んだ。目の前で何が起きているのか分からず、フォーティンブラスという即物的な脅威すら頭から消えた。他人の血で濡れた手で地面を掴み、先程の不意打ちを受けた衝撃で動かない身体を引きずってそんな彼の下へと無我夢中で向かおうとする姫。だが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―……ブザアァッ!!!―

 

 

零「がっ―――ゴハアァッ?!!」

 

 

姫「っっ?!!!」

 

 

 

 

フォーティンブラスが零の左胸から勢いよく剣を抜き取り、それと共に零は口や左胸から先程の比にもならない量の血液を吐き出してしまったのだ。その光景に姫は絶句して言葉を失い、フォーティンブラスはピクリとも動かなくなった零を見て不気味に笑い、そんな零をゴミのように投げ飛ばしてしまった。そして零はそのまま地面を滑り、徐々に姫の前へと止まっていった。

 

 

姫「ぁ…………れ…………ぃ……………?」

 

 

零「――――――――――――――――――――」

 

 

力無く青年に呼び掛けるも、彼からは何も返っては来ない。ぐったりと力が抜けて投げ出された零の手足。顔や身体は赤く染まっていた。じわりと彼の身体から血が広まり、あっという間に姫の下まで赤い水溜まりが出来上がっていく。最早呼吸の音すらも聞こえて来ず、生きてるのか死んでるのかも分からない。

 

 

姫「……ぅそ、だ……」

 

 

そんな筈がない、だって、さっきまで……。

 

 

信じないと言うようにふるふると首を振り、姫は呆然としたまま地面に横たわる零の身体に手を伸ばし肩を揺さぶっていく。

 

 

姫「れ、い……れい……」

 

 

零「―――――――――――――――――」

 

 

姫「何で……黙ってるんだ……返事、してっ……」

 

 

零「―――――――――――――――――」

 

 

血の泉は未だ広がる。だが今の姫にはそれにすら意識が向かず、力無く零の身体を揺さ振り続ける。

 

 

姫「冗談……止せ……そんなの笑え……ないぞ……」

 

 

零「―――――――――――――――――」

 

 

姫「起き……ろっ……頼む……頼むから起きてくれっ……れ―ピチャッ―……ッ?!」

 

 

泣きそうな声で悲願するように言いながら零の身体を揺さぶっていた手の平に、生暖かい感触が走った。それに驚いて思わず手の平を見つめると、其処には新たな赤い液体がこびりついており、姫は震えながらのろのろとした動きで零を見た。

 

 

赤い水溜まりに沈む体……

 

 

赤く染められた顔……

 

 

左胸の刺し傷から流れる夥しい量の赤い液体……

 

 

微かに紫色の輝きが鼓動のように放ち、半開きになった瞳……

 

 

姫「ぁ……あっ……」

 

 

それで漸く悟った……

 

 

零は……彼はもう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

姫「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全てを悟ったと共に、彼女の悲痛な絶叫が響き渡った…………

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

その絶叫は、方舟の外で戦う一同にも届いていた。先にそれに気が付いたのは、ブリッジの一番近くで幻魔の大群を蹴散らしていたエクス。エクスは姫の絶叫を耳にし、ブリッジの方へと目を向けた。

 

 

エクスL『れ、零……さん……?』

 

 

口に出た言葉に含まれてる感情は、驚愕と動揺。彼にも相手の気を感じ取る力がある。だから今、エクスは零の気を読んで信じられないといった表情を浮かべていた。何故なら姫に抱き抱えられてる零からは、気が感じられないのだ。気とは人間の生命の比喩とも言っていい力、それが感じられないという事は……

 

 

エクスL『ま、さかっ……そんなっ……』

 

 

嘘だと言うように呟きながら、エクスは零から視線を逸らして二人の近くにいる人物……姫に抱き抱えられる零を見て愉快げに高笑うフォーティンブラスを目にし、直ぐにその原因を理解した。

 

 

エクスL『………………潰す……!!!騎士王の名の元に貴様を断罪……いや、殲滅するッ!!!』

 

 

アンジェルグ『ッ!稟……?!』

 

 

龍王『おい待て?!何処に行く気だっ?!』

 

 

冷製さなど何処かへと消えた。フォーティンブラスに対する殺気を抑え切れないエクスは怒りのままに剣を構えながら猛スピードでブリッジへと突進し、まだ零の事に気付いていないアンジェルグや龍王はエクスの行動を見て驚愕しながらも呼び止めようとした。その時……

 

 

 

 

 

 

 

 

―ズガガガガガガガガガガガガガッ!!―

 

 

エクスL『?!何?!』

 

 

 

突如、ブリッジに向かおうとしたエクスに何処からか銃撃が襲い掛かったのだ。いち早くそれに反応したエクスは咄嗟に後方へと下がって銃撃を回避し、一同と共にそれが放れてきた方角へと振り返ると、其処には先程とは比べ物にならない数の幻魔の大群が向かってくる姿があった。

 

 

エクスL『な、増援?!』

 

 

鬼王『くっ?!よりによってこんな時にっ?!』

 

 

ディエンドW(っ!ちっ……まずいな……このまま零を放っておけばっ……)

 

 

このタイミングで新たなる増援の出現に一同は驚愕を隠せず、ディエンドはブリッジの方を見て僅かに舌打ちしていた。しかしそんな一同の反応にも関わらず、幻魔達は一斉に一同へと襲い掛かったのであった。

 

 

 

 

 

◇◆◆

 

 

 

 

 

同じ頃、町で幻魔と戦っていた一同も零の気の変化に気付き、方舟に向かおうと動いていた。だが幻魔達の軍勢や艦隊がそれを阻む様に数を増やして立ち塞がり、身動きが取れなくなっていた。

 

 

ディジョブド『チクショウッ!!何だってこんな時に幻魔が増えてくるんだ?!』

 

 

ディライトC『くっ?!零さんの気が弱まってく……このままじゃっ!!』

 

 

アナザーアギト『ちぃ!!今から行けばまだ間に合うってのに!!!』

 

 

クラスト『クソッ!うざい邪魔だ退け幻魔共ォ!!』

 

 

ゼロノスZ『デネブっ!!此処は一気に片付けるぞっ!!』

 

 

『了解だっ!!』

 

 

一刻も早く方舟に向かおうと幻魔の軍勢を手早く撃退していく一同だが、幻魔達は倒しても倒してもキリがなく何処からか出現し、更に……

 

 

―ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!!!!!―

 

 

勇王『ぐうっ?!クソッ!まだ増えるのかこの艦隊は?!』

 

 

ストライクMA『こっちは先を急いでるんだ!!邪魔をするなぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっっ!!!』

 

 

ギルガメッシュ『チィッ!この雑種共の群れは底無しかっ……!』

 

 

町の上空でも、艦隊が数を増やして町への集中攻撃を更に激化させていたのだ。それにより、同じく方舟へと向かおうとしていた空組の一同は艦隊を放っておく事が出来ず足止めにあっていた。

 

 

 

 

 

◆◇◇

 

 

 

 

 

―時の方舟・ブリッジ―

 

 

 

『ククッ、馬鹿な蟲共が。貴様等がどれだけ足掻こうとも、我が下僕達は尽きることなく溢れ出てくるのだよ!!ハハハハハハハハハハハハハッ!!』

 

 

時の方舟のブリッジ。其処には零を消し、モニターで幻魔の大群の戦う一同の姿を見て愉快げに高笑うフォーティンブラスの姿があった。そしてフォーティンブラスが額に手を当ててクツクツと笑いながら背後へと振り返り、血まみれの零に寄り添って泣き崩れる姫に視線を向けた。

 

 

『さあて、貴様もそろそろその薄汚いゴミから離れろ。そんな屑の死体、見てるだけで吐き気がする……』

 

 

姫「うぁ、ぁ……ぁあ……!!」

 

 

フォーティンブラスの吐き捨てるような言葉すら聞こえていないのか、零の身体に縋り付いたまま嗚咽を漏らしながら泣き続ける姫。フォーティンブラスはそんな姫の様子に鼻で笑い、力付くで零から引き離そうと姫に歩み寄っていく。その時……

 

 

 

 

 

 

―ズガガガガガガガガガガガンッ!!―

 

 

『ッ!』

 

 

突如姫に歩み寄ろうとしたフォーティンブラスに無数の銃撃が直撃し、銃撃を受けたフォーティンブラスは思わず足を止めてその銃撃が撃たれてきた方へと振り返った。其処には、今まで外で幻魔達と戦っていた筈のディエンドが立ち構える姿があった。

 

 

ディエンド『やぁ、また会ったね幻魔神?』

 

 

『ッ!貴様、昨日我の邪魔をした蟲の一人か……』

 

 

ディエンド『覚えててもらって光栄だね……だけど、これ以上彼に手を出されてはマズイんでね。暫く相手してもらうよッ!』

 

 

そう言いながらディエンドはドライバーを乱射させてフォーティンブラスへと突っ込んでいき、フォーティンブラスは銃弾を片手で弾きながらそれを迎え撃っていった。

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

そして同じ頃、方舟周辺の山林では慎二が時の方舟の様子を観察しており、慎二は方舟をジッと見つめたまま軽く溜め息を吐いた。

 

 

慎二「おやおや、思ったよりアッサリ死んでしまいましたね……零先輩」

 

 

残念そうにやれやれといった感じに溜め息を吐きながらそう呟くが、慎二はすぐに笑みを浮かべながら方舟を見上げた。

 

 

慎二「まあいいでしょう。因子が第二段階へ移行した今、こちらとしては零先輩が絶対に必要ってワケではなくなったし……後は勝手に暴走を引き起こして幻魔達を消滅させてくれれば、邪魔な勢力を一掃出来る上に因子も回収出来る。一石二鳥って訳です……」

 

 

フフフフッ、と含み笑いを漏らし、慎二はスーツの胸ポケットから懐中時計を取り出して時間を確認していく。

 

 

慎二「因子暴走のタイムリミットまで、あと僅か……暴走に巻き込まれる前に離れておきますかね」

 

 

………黒月零は彼の先輩、そして中学時代を笑って過ごした友人。

 

 

そんな彼の危機にすら見向きもせず、慎二は不気味な笑みを浮かべながら暗闇に包まれる山林の奥へと姿を消していったのだった。

 

 

 

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