仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
―光写真館―
なのは「──優矢君を、襲った?」
ワタル「…………」
ヴィータ「……まぁ、色々あってな……」
その後、ヴィータ達はワタルを写真館に連れて今までの経緯を零達に話していた。ヴィータ達が写真館に着いた時には既に昼時となっていた為、奥では栄次郎が昼食の準備をしていた。
栄次郎「零君、王子様も同じ物でいいのかな?」
零「なんでも食うだろ。王子と言ってもまだ子供なんだし」
カメラのファインダーを除きながら栄次郎に適当に受け答えする零。だが……
ワタル「……何も、食べない……食べたくない」
ワタルは首を横に振ってそれを拒否した。
なのは「でも、ワタル君。何か食べないと元気出ないよ?」
スバル「そうですよ!栄次郎さんの作るご飯、すっごく美味しいからきっと王子も気に入ると思いますよ?」
ワタル「……いいんだ……いらない……」
スバル「あうっ……」
なのはとスバルが料理を進めようとするが、ワタルはそれも拒否してしまう。困った様子で二人は顔を見合わせてしまうが、零はカメラのファインダーから目を離し、
零「それで腹が空いて、優矢のライフエナジーを吸おうとしたって訳か?」
ワタル「ッ!ち、違う!僕は……」
零の言葉に首を振って否定しながら、自分の服を掴む手に力を込める。ワタルの表情は次第に暗くなっていき、その顔を隠すように両手で隠した。
零「……お前は確か、人間とファンガイアの血を引いていたんだったな。お前の中に眠るファンガイアの血が、無意識の内に優矢のライフエナジーの欲していた……違うか?」
核心を突いた零の言葉に、ワタルは一瞬動揺したが、一度間をおいてゆっくりと頷いた。
ワタル「そうだ……僕はずっと怖かったんだ……人と親しくなって……その人と友達になりたいって思うと……心の何処かで、その人のライフエナジーが欲しくて堪らなくなるんだ……」
なのは「……だからあの時、私がワタル君に近寄ろうとしたのを嫌がったんだね?人と接して、親しくなるのが怖かったから」
ワタルと最初に出会った時の事を思い出しながら、なのはが優しげな口調で言う。ワタルはそれを聞いてゆっくりと頷いた。
ワタル「だから、僕が王になったら駄目なんだ。こんな僕が……人とファンガイアの間の懸け橋になる事は……不可能なんだ」
零「だから、ずっと一人で生きていくとでも言うのか?誰とも親しくならず、誰も好きにならずに、優矢の事も」
ワタル「………」
ワタルは俯いたまま何も答えない。それを肯定と受け取ったのか、零は深い溜め息を吐く。なのは達もそんなワタルの心境を察して掛ける言葉が見つからず黙ってしまうが、その時…
―バァンッ!―
ティアナ「あーーっっ……もう!!男のくせにいつまでもウジウジウジウジと、本っっ当にイライラする!!」
ワタル「?!」
スバル「え、ティ、ティア?!」
そんなワタルの様子を見兼ねたティアナがいきなりテーブルを強く叩いて立ち上がり、ワタルに向かって怒鳴り始めた。
ティアナ「アンタ、優矢さんの気持ちがわかんないの?!アンタの為に!アンタを助けたくてあんなに傷ついてまで必死に戦ってる!なのにアンタがそんなんでどうすんのよ!」
ワタル「ッ……でも、僕にはそんな資格……」
ティアナ「それはアンタが決めることじゃないでしょ!優矢さんは、アンタがいい王様になれるって信じてんのよ!だからあれだけボロボロになっても戦ってる!その気持ちに、誰よりも先ずアンタが応えないでどうすんのよッ!!」
スバル「ティ、ティア!落ち着いて!どうどうどうどう!」」
大音量で叫びまくるティアナを落ち着かせる為にスバルが宥める。そんなディアナの剣幕にワタルも呆気に取られる中、零達もそんなティアナの様子を見て苦笑いを浮かべる。
零「まあでも、ティアナの言う通りだな。あいつはあいつなりにお前の力になりなくて頑張ってるんだ。お前がお前自身をどう思おうが勝手だが……せめて、あいつの想いくらいは受け止めてやれ」
ワタル「……優矢の……想い、を……」
突然の事に驚いたものの、ティアナと零の言葉はワタルの心を揺さぶっていた。零は椅子から立ち上がるとワタルに近づく。
零「心配するな。もしお前がファンガイアになって人を襲う様な事をすれば……その時は俺がお前を倒す。俺は破壊者……悪魔だからな」
なのは「……零君……」
もしかすると、あの夜に謎の男から告げられた事と今のワタルを重ねているのだろうか。何処か陰のある零の横顔を見つめながらそう思うなのはを他所に、零はワタルから離れると、床に置いてあった自分のバイオリンケースを持つ。
なのは「行くの?」
零「あぁ。俺は今の王とやらの顔を拝んでくる。お前達はその間に優矢を助けに行ってくれ」
なのは「……うん。わかった。気をつけてね」
なのはの言葉に片手を上げて答え、零は写真館を出てキャッスルドランへと向かっていった。