仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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第十七章/桜ノ神の世界⑱

 

 

幻魔達との戦いが終結してから半日後。姫が起こした奇跡によって瓦礫の町と化していた桜ノ町は元に戻り、町を離れて避難していた人々も続々と町へと戻ってきていた。幻魔達との決戦で力を貸してくれた別世界の住人達の一部もそれぞれの世界へと戻り、桜ノ神社では……

 

 

 

 

 

 

零「――おい雷火、帰って早々人様の頭にゲンコツ落とすとか……一体どういう了見だ……?」

 

 

神社の前に立ち並ぶ一同の中でそう言ったのは、頭を片手で抑えながらジト目を浮かべる零だった。そしてそんな零の視線の先には、雷火が両腕を組んで呆れたように溜め息を吐いていた。

 

 

雷火「ならこっちも聞くが……零、お前俺との約束覚えてるか?」

 

 

零「約束?……あー……確か……」

 

 

雷火「必ず稟とアズサの三人で生きて帰ってこいって言ったよな?言った筈だよな?」

 

 

零「あぁ……うん……言ったな……」

 

 

雷火「なのにお前、絶対安静の身体で無茶をし続けた挙げ句の果てに、一回死に掛けたよな?あの堕神との戦いで」

 

 

零「……掛けたな……うん……」

 

 

雷火「だよなぁ……なのにお前、人様との約束の一つも守れないとか……一体どういう了見だ?」

 

 

零「……あー……うん……申し訳ない……(汗)」

 

 

ジト目で睨みつけてくる雷火の視線を受け、思わず目を逸らしながら冷や汗を流して謝罪する零。そんな零を見た雷火は再び溜め息を吐き、絢香もそんな光景に苦笑いを浮かべながら一同と向き合い、頭を下げた。

 

 

絢香「でも、本当にありがとうございました。貴方達のお陰で、この世界は幻魔の脅威から救われました」

 

 

紗耶香「私からも礼を言おう……本当にありがとう」

 

 

烈「いえ、僕達はただ自分のやりたいようにやっただけですから」

 

 

侑斗「だな。だから礼なんて必要ないさ」

 

 

一同に頭を下げながら礼を告げる二人に烈と侑斗が少し照れ臭そうにそう言うと、絢香と紗耶香はもう一度礼を言いながら頭を上げていく。とその時、零は一同の顔を見比べてある疑問に気付き、頭上に疑問符を浮かべた。

 

 

零「む?……おい、海道と馬鹿女の奴は何処いった?それにあのベルって奴も」

 

 

絢香「あ、海道大輝さん達ですか?あの方達なら先に後を立たれましたよ?それと……零さんにコレを渡して欲しいと」

 

 

零「……?手紙?」

 

 

大輝達が先に神社を去ったと告げながら絢香は懐から一枚の手紙を取り出し、零はそれを受け取って手紙を開いていく。其処に書かれていたのは……

 

 

 

 

 

 

『俺とベルはちょっと用事があるから、先に次の世界に向かわせてもらうよ。せいぜい次の世界でも邪魔しないでくれよ?

 

 

PS.魔剣はしっかりと頂いたよ、ご苦労だったね零♪』

 

 

 

 

 

 

零「……どさくさに紛れてまた盗みかアイツ……まぁ、カードの件もあるから強くは言えんか……」

 

 

ほぼ予想通りだった手紙の内容に零は溜め息を吐きながらそう言うと手紙を懐に仕舞い、そんな零の下へ翔が歩み寄り肩を叩いた。

 

 

翔「そんじゃ、此処の人達との挨拶を済ませたら写真館に帰るか?足が必要なら手を貸すぞ」

 

 

ST『俺達と一緒に転移すれば、今回みたいな行方不明も防げるしな』

 

 

またNXカブトの世界の時のようなアクシデントが起きるとは限らない為、此処は自分達が写真館まで送ろうと告げる翔とスティールだが、零は顎に手を当てながら……

 

 

零「――すまん、写真館に帰るのはまだ待ってくれないか?まだやる事が残ってた」

 

 

翔「?やる事?」

 

 

申し訳なそうにそう告げた零に翔は訝しげな表情を浮かべ、零も小さく頷き返しながらライドブッカーから一枚のカード……クウガのカードを取り出した。

 

 

零「さっき思い出したが、ハイパークロックアップで光達の世界に飛ばされた時に優矢も巻き込んでしまってな。これからアイツを捜しに行かないといけないんだ」

 

 

翔「マジか?……でもどうやって捜す気だ?アイツが飛ばされた世界とか分かるのか?」

 

 

零「幸いにもアイツの気を感じ取るぐらい出来るからな。気配を探って見付ければ、後はその世界に行って捜せばいいだろう」

 

 

翔「そうか……ならお前のとこのなのは達にも事情を説明しに「それなら私に任せてくれる?」……え?」

 

 

なのは達への説明はどうしようかと悩む翔の言葉を誰かが遮り、零達はその声が聞こえてきた方へと振り向いた。其処には先程の決戦の時にも力を貸してくれた二人の人物……冥華とメルティアの姿があった。

 

 

冥華「彼女達への説明なら私がしておいてあげるわ。次の行き先の途中でカブトの世界を通り掛かる予定だし、ついでに行ってきていいわよ?」

 

 

零「本当か?そうしてもらえるなら助かるんだが……いいのか?」

 

 

冥華「別に急ぎの用があるわけでもないしね……ああそうそう、貴方に渡す物があったんだった。はいコレ」

 

 

冥華は何か思い出したように言いながら服のポケットから数枚のカードを取り出して零へと差し出し、零は疑問符を浮かべながら差し出されたカードを手に取った。カードに描かれているのは、冥華が戦闘の際に身に纏っていたイノセント・インフィニティアやメルティアが変身するゼオ、更に見知らぬ鎧の戦士達の絵柄であった。

 

 

零「これは……」

 

 

冥華「私達の力が秘められたカードよ。旅先で貴方の力になると思うわ。持って行きなさい」

 

 

零「……何から何まで悪いな……お前にも色々と世話になった」

 

 

冥華「別にそんな大した事はしてないわ。それじゃ、私達はこの辺で「あのー……?」……ん?」

 

 

早速カブトの世界へ向かおうとした冥華だが、その時誰かに呼び止められて振り返った。すると其処には、二人の青年……先の戦いでトライズとなって幻魔達と戦っていた鍵とアグニの姿があった。

 

 

鍵「あの、すみません……此処って桜ノ神社で会ってますか?」

 

 

零「?そうだが……お前達は?」

 

 

鍵「あ、僕達は智大さんに言われてこの世界に来た者です。何か、さっきまで町の中を暴れ回ってた怪物達と戦ってこいって言われて……」

 

 

零「?!智大に?ならもしかして、お前もライ「おい!何時までグダグダ話してるんだ?!」……ん?」

 

 

智大に言われてこの世界にやって来たという鍵に零が何かを言おうとするが、鍵の隣に立っていたアグニが苛立った声を荒げてそれを遮り、零へと掴み掛かってきた。

 

 

アグニ「お前が智大の言ってた知り合いって奴だな?俺達を早く元の世界へ帰せっ!奴の知り合いならそれくらい出来るんだろ?!」

 

 

零「は……?」

 

 

鍵「ちょ?!アグニやめろってば!!」

 

 

アグニ「うるさい!こんな訳の分からない世界はもうウンザリなんだよっ!さあ早くしろ!出ないとその首へし折って―ガシィッ!―ガッ?!」

 

 

零の胸倉を掴んで早く元の世界へ帰せと脅しを掛けようとしたアグニだが、いきなり横から伸びた手に腕を捕まれて捩られてしまう。そしてアグニの腕を掴んだ人物……冥華は呆れた目でアグニを見つめながら口を開いた。

 

 

冥華「いい加減にしなさいグリード、あんまり暴れると鳥のから揚げにして野良犬に食わせるわよ?」

 

 

アグニ「イデデデデッ?!な、何だお前?!離せこの年ま―ギギギギギギッ!―イデデデデデデッ?!」

 

 

冥華「口が悪いのは何処ぞの腕怪人と同じね……貴方、元の世界へ帰りたいなら私が送ってくわよ?どうする?」

 

 

鍵「え?ほ、本当ですか?ありがとうございます!」

 

 

冥華からの願ってもない提案に鍵は思わず頭を下げて礼を言い、冥華はそんな鍵に微笑するとアグニの腕を掴んだまま零達の方へ振り返った。

 

 

冥華「んじゃ、私達はもう行くわね。また何処で会いましょう零?行くわよメルティア」

 

 

メルティア「わかったよ。じゃ、またなアズサ姉さん!」

 

 

アズサ「うん……身体には気をつけてね……」

 

 

冥華はアグニの腕を引っ張りながら零達に背を向けて鍵とメルティアと共にゆっくりと歩き出し、そのまま転移して何処かへと消えていったのだった。

 

 

雷「……何だったんだ……今の……」

 

 

零「さあ……あ、名前聞くの忘れてた……」

 

 

結局あの二人は何者だったんだ?と冥華達を見送った零は唖然としてたが、すぐに正気に戻って顔を動かし、自分の隣に立つカリムとシャッハへと目を向けた。

 

 

零「まあいいか……じゃ、俺達もそろそろ行くとするか」

 

 

カリム「はい……絢香さん、紗耶香さん……長い間、お世話になりました……」

 

 

絢香「いえ、こちらこそ。また何時でも遊びに来て下さいね♪」

 

 

紗耶香「シャッハ、元気でな。また何時か剣の相手を頼む」

 

 

シャッハ「えぇ、その時を楽しみにしてます」

 

 

互いに名残惜しそうに別れの挨拶を交わし、何時かまた会おうと約束する四人。零達もそんな様子を無言で見守っていると、ふと勇二がある疑問を浮かべた。

 

 

勇二「アレ?そういえば……姫さんは何処行ったんだ?」

 

 

龍弥「うん?言われてみれば……何処に行っ「私なら此処だ」……ん?」

 

 

先程から姫の姿がない事に気付いた勇二と龍弥が辺りを見回してると声が響き、神社の中から姫がゆっくりと姿を現した。

 

 

絢香「あ、姫様!何処行ってたんですか?!零さん達とのお別れぐらいちゃんと――!」

 

 

姫「まあ待て、説教は後回しだ。その前に少し、皆に話しておきたい事がある」

 

 

紗耶香「?話、ですか?」

 

 

いきなり話しがあると切り出してきた姫に紗耶香や他のメンバーも小首を傾げ、姫も真剣な顔で小さく頷きながら零の隣にまで歩み、絢香と紗耶香と向き合った。

 

 

紗耶香「それで、話しとは何なのですか?」

 

 

姫「あぁ……いきなりで悪いのだが……絢香、紗耶香……私はこの世界を出ようと思ってるんだ」

 

 

『……え?』

 

 

自分はこの世界を出る。姫のその発言を耳にした絢香と紗耶香は一瞬何を言われたのか分からず唖然となり、すぐに正気に戻って慌て出した。

 

 

紗耶香「ちょ、な、なにを言うんです?!この世界を出るって――?!」

 

 

姫「言葉の通りだ……この世界を脅かしていた幻魔の脅威はなくなり、漸くこの世界にも平和が訪れた……だからもう私は必要ないさ」

 

 

絢香「そ、そんなことありません!だって、町の人達だって、あの奇跡を目の当たりにして姫様のことをお認めになったんですよ?!必要ないなんてそんな……!」

 

 

姫「……絢香……幻魔達の脅威がなくなったこの世界に今必要なのは、神なんて存在じゃない。この世界を最後まで見届け、より良い方向へと導く存在……君達人間だ。それに私のような存在がいれば、第二第三のフォーティンブラスを呼び寄せ兼ねないからな……」

 

 

絢香「で、でも……」

 

 

姫「それにな?私はまだまだ未熟な神だ。この世界を導くだけの器ではない……だから、彼等と共にもっと広い世界を見てこようと思うんだ。色んな世界を見て、自分の未熟さを見直していこうと……」

 

 

紗耶香「……神様……」

 

 

自嘲するように微笑む姫を見て絢香と紗耶香は言葉を呑み、姫はそんな二人から隣に立つ零へと目を向けた。

 

 

姫「それに、私は彼と契約した身だからな。契約者の傍を離れる訳にもいかないだろう?」

 

 

零「……まさか、四六時中一緒にいるとか言わないだろうな?」

 

 

姫「ん?君が望むならそうするぞ?何なら、明日から風呂やトイレも一緒とか♪」

 

 

零「断固拒否するっ!!」

 

 

そんなつもりで契約したんじゃないわ!!と結構全力で拒む零。そんな零の様子に姫も可笑しそうに笑い、絢香は姫の顔を見て微かに笑みを漏らした。

 

 

絢香「分かりました。姫様がそうおっしゃるなら、私ももう止めません」

 

 

姫「そうか……すまんな、我が儘言って……」

 

 

絢香「いいえ。でも忘れないで下さいね?例え離れていても、この世界は姫様の帰る場所です。もしも帰りたくなったら、いつでも帰ってきて下さい」

 

 

姫「あぁ……ありがとう」

 

 

そう言って優しげに微笑む絢香に釣られるように姫も笑みを浮かべ、その様子を傍で見ていた零と紗耶香も顔を見合わせて微笑を浮かべた。そんな時……

 

 

 

 

 

 

「――話の途中で悪いけど、そろそろ良いかしら?」

 

 

『……へ?』

 

 

不意に聞き覚えのある女性の声がその場に響き渡り、姫を除いた一同が一斉にその方へと顔を向けた。すると其処には、神社の柱に背を預けて腕を組む女性……決戦後に姿を消したはずの桜香が立っていた。

 

 

絢香「お、桜香さん?!」

 

 

紗耶香「お前、どうして此処に?!今まで何処に行ってたんだ?!」

 

 

桜香「別に……あの戦いの後に孤児院の様子を見に行ってたんだけど、いきなり其処の神様に呼び付けられたのよ。それでちょっと話をしてたの」

 

 

絢香「え?そ、それって、どういう事ですか?」

 

 

姫「ん?ああ、まだ話してなかったな」

 

 

桜香のことをまだ話してなかった事を思い出し、姫は苦笑を浮かべながら桜香を見つめて話を始めた。

 

 

姫「彼女には、私の代理を頼むことにしたんだ。もしまたこの世界に不測の事態が起きた場合、彼女になら全てを任せられると思ってな……きっと私より適任だと思うぞ?」

 

 

桜香「買い被り過ぎよ……だけど、頼まれた以上無下にも出来ないしね……そういう訳だから、また宜しくね?」

 

 

絢香「あ……、は、はい!こちらこそ、宜しくお願いします!」

 

 

桜香が微笑しながら差し延べた手を見て、嬉しそうに微笑みながら手を握り返す絢香。そして桜香は紗耶香と顔を見合わせて頷き合うと、ふと穏やかな顔で三人を見つめる零の顔を見て、絢香に小声で話し掛けた。

 

 

桜香(……そういえば絢香、一つ聞きたい事があるんだけど……)

 

 

絢香(え?聞きたい事……ですか?)

 

 

桜香(そっ、貴方……もう告ったの?零に)

 

 

絢香(っ?!!はっ、な、ななななな何言うんですかこんな時にいきなり?!)

 

 

桜香(だって貴方達、一つ屋根の下で一緒に寝泊まりしてたんでしょ?だったらそんな機会なんて幾らでもあった筈じゃない)

 

 

絢香(わ、わたっ、私は別にそんなつもりはというかあの人がどう思ってるのかも分からないのにそんなこと言える訳ないというかだからえっとその!!!)

 

 

桜香(……へぇ……じゃあまだ告ってないんだ……)

 

 

目をグルグルさせながら顔を真っ赤にしてゴモゴモと口ごもる絢香を見て不敵に笑い、桜香は絢香の手から手を離すと零の前へと歩み寄っていく。

 

 

零「?どうした?」

 

 

桜香「いいえ、ただ貴方にお礼を言いたくてね。今回の件で、貴方には色々とお世話になったから」

 

 

零「なんだそんな事か……別に礼なんていらんぞ……第一、誰かに贈る物なんて持ってないだろう?」

 

 

桜香「ふむ……そうね……確かに今は無一文だから何も持っていない……だから―――」

 

 

―ガシッ―

 

 

零「……む?」

 

 

顔を少し俯かせながら桜香が小声でそう呟くと、何故か突然胸倉を捕まれた。零はそんな桜香の行動に頭上に疑問符を並べるが、次の瞬間いきなり桜香が零を勢いよく引き寄せ……

 

 

 

 

 

 

 

 

自分の唇と零の唇を重ね合わせたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

『んなっ?!!』

 

 

零「?…………っ?!っっ?!!!」

 

 

一同の驚愕の声が響き渡り、最初は事態に付いていけてなかった零も自分の今の現状に気付いて動揺を浮かべ、桜香はそんな零の唇から少しだけ唇を離し……

 

 

桜香「――私の初めて……今はこれで我慢して……ね?」

 

 

零「っっっっ?!!!!!」

 

 

鼻と鼻がぶつかる程の間で桜香が艶っぽい声音でそう告げた共に、零は腕で口を押さえながらバッ!!!と勢いよく後退してそのまま固まってしまった。そして一同が衝撃的な光景を目にして呆然となる中、絢香はすぐさま正気に戻って顔を真っ赤にした。

 

 

絢香「なっ?!な、な、な、何をしてるんですか桜香さんっ?!!///」

 

 

桜香「ん?口づけだけど?見て分からなかった?」

 

 

絢香「そうじゃありません!!こ、公衆の面前であ、あんなこと!!破廉恥です!!不潔です!!///」

 

 

桜香「何言ってるの?勝負はいつだって先手必勝よ」

 

 

姫「むう……流石は私の代理として認めた女……侮れん……」

 

 

カリム「れ、零がっ……零が女の人とっ……きゅう」

 

 

シャッハ「き、騎士カリム?!お気を確かに?!」

 

 

アズサ「?雷火……どうして目を塞ぐの?」

 

 

雷火「子供が見るものじゃありません」

 

 

そう言ってアズサの両目を塞ぐ雷火や一同の視線の先には、何かもう色々と子供には見せられない惨状が広がっている。そんな光景を一同が遠い目で見つめる中……

 

 

―ジッーーーーーー―

 

 

零「…………あ?」

 

 

背後から何かの視線を感じ、口元を押さえて固まっていた零は正気に戻り背後に顔を向けた。其処には……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アテナ「…………ニヤッ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零「…………………………………………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………何処ぞの星神様が、いつの間にかカメラを片手に先程のキスシーンを撮影してましたとさ。

 

 

零「――って?!お、お前そのカメ――?!!」

 

 

アテナ「さーて♪早く帰ってナノナノ動画にアップア~ップ♪」

 

 

と、アテナはまるで遠足を間近にした子供の様なウキウキとした顔で転移されました、まる。

 

 

零「お、おい待てコラ?!ちょ―ガシッ―……え?」

 

 

転移したアテナの後を追おうと慌てて走り出そうとする零だが、突然後ろから誰か……翔に襟首を捕まれて動けなくなってしまう。

 

 

零「翔?!」

 

 

翔「何処に行く気だ?優矢を捜しに行くんだろう?俺も途中まで付き合うから、早く行くぞ」

 

 

零「いや優矢を捜すより先にアテナだ!あの女さっきのをカメラに撮ってあのサイトに投稿しようと?!」

 

 

翔「それは……ご愁傷様と言いたいが……うん諦めろ。相手が悪い」

 

 

零「諦め切れるか?!離せ!!今から追えばまだ間に合う!!離せぇっ!!」

 

 

翔「じゃあ俺はコイツに付き添うから、またな皆」

 

 

勇二「は、はい(汗)」

 

 

晃彦「何かあったら呼んでくれ、またすぐ駆け付ける……って聞いてないな……」

 

 

仲間達との別れすらそっちのけで必死に翔の手から逃れようとジタバタ暴れ回る零だが、翔は深い溜め息を吐きながらも手を離そうとせず、そんな二人を見た姫は微笑を浮かべながら絢香に声を掛けた。

 

 

姫「では、私達はそろそろ行く。元気でな?」

 

 

絢香「だからそれは!――え?あ、は、はい!姫様もどうか、お元気で」

 

 

紗耶香「ご武運をお祈りしてます」

 

 

桜香「まぁ、代理の方もそれなりに頑張っとくから、安心して行ってきなさい」

 

 

姫「ああ、行ってくる……アズサ!シャッハ!翔!零とカリムを連れてこっちに来てくれ!」

 

 

翔「ん?あぁ……?」

 

 

アズサ「?……分かった」

 

 

シャッハ「あっ、は、はい……」

 

 

絢香達と挨拶を済ませた姫に促され、アズサとシャッハと翔は言われた通りに零とカリムを連れて姫の下に歩み寄っていき、姫は全員が自分の周りに集まったのを確認すると手の平を合わせていく。

 

 

アズサ「?何するの?」

 

 

姫「なに、零が言っていた優矢という奴がいる世界に転移するだけだ。今の私の力なら、世界を渡る事など簡単だからな」

 

 

翔「でも居場所は?分かるのか?」

 

 

姫「心配ない。さっき零が出してたカードと似たような気配を既に見付けてある。後はその気配を感じた世界に跳ぶだけだ」

 

 

翔の疑問にそう答えると、姫の両手の間から光が溢れ出し、姫達の足元に桜色の陳が展開されていく。

 

 

零「?!お、おい待て?!まさか跳ぶ気なのか?!」

 

 

姫「そうだ。さあ行くぞ!次の世界は、君の仲間が居る世界だ!」

 

 

零「いやちょっと待て?!先ずあの女を取っ捕まえないとあの動画&画像が並行世界全体に?!ちょ、ま、ええいチキショウ!!もう女なんて懲り懲りだあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!!(泣)」

 

 

結局最後の最後まで女難に遭う零。そんな彼の悲痛な叫びは桜色の光に飲まれて姫達と共に転移し、その場に残された一同はそんな零に合掌していたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――因みにその頃、Wの世界では……

 

 

―パコオォンッ!―

 

 

翔一「てぇ?!ちょ、待てってアイリス?!怪我人にスリッパのマジ叩きはキツイって?!」

 

 

アイリス「良いから答えなさい!!この写真は一体なに?!アンタ、紫音冥華とキスした訳?!」

 

 

翔一「は、はぁ?!いや知らない知らない?!そんなことした覚えもないしっていうか何だよその写真?!どっから持って来た?!」

 

 

アイリス「うちのポストに入ってたのよ……さ、正直に言いなさい……異世界に行ってた間、紫音冥華と何をしてたの?!」

 

 

翔一「だ、だから何もしてな……ってアイタタタタッ?!ファングに噛ませるなって?!ちょ、ま、ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーっっ?!!」

 

 

幸助によって探偵事務所に運ばれた翔一は全身に包帯を巻き、現在冥華が送った捏造写真のせいでアイリスとファングメモリに尋問されていたのであった……

 

 

 

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