仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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第十八章/GEAR電童の世界②

 

 

あれから数十分後、戦場に乱入した黒い戦士のお陰で青いライダー達から免れた零達はとあるバス停近くに訪れ、先程黒い戦士に変身していた女性……"古乃華紗耶香"と軽い自己紹介を済ませた後、彼女からこの世界について話しを聞いていた。

 

 

零「―――つまり、アンタは仮面ライダーファウストとしてこの世界の怪人であるアルシェイン達と、そのアルシェインを操るさっきのGEAR電童っていうライダー達と戦ってる訳か?」

 

 

紗耶香「はい……その通りです……」

 

 

紗耶香が言うには、どうやら彼女は元々とある教会のシスターだったらしいのだが、その教会をGEAR電童の手によって破壊され、GEAR電童達に無惨にも殺された教会のシスター達の仇討ちと、この世界を護る為に彼等やアルシェインと戦っているらしい。

 

 

カリム「酷すぎるっ……何の罪もない、ましてや神に遣えるシスター達を皆殺しにするなんてっ!」

 

 

シャッハ「私も同意見ですっ……同じ修道女として、そのような下劣な行いをした彼等を許せません!」

 

 

GEAR電童達の行いを聞き、同じ教会に属する者として許せないのだろう。カリムとシャッハはGEAR電童に対して怒りの感情を露わにし、翔はそんな二人の様子を見て紗耶香を見つめた。

 

 

翔「それで、アンタはどうしてGEAR電童達に目を付けられてたんだ?アイツ等、アンタの事を連れていこうとしてたみたいだが?」

 

 

紗耶香「……それは多分、私が彼等の本拠地からコレを盗んだからだと思います」

 

 

翔の質問に対してそう答えながら、紗耶香は服の内側のポケットから宝石の様に輝く赤色の石を取り出して零達に見せ、零達は不思議そうな表情で赤色の石へと顔を近づけていく。

 

 

アズサ「これは……?」

 

 

紗耶香「これはこの世界にしか存在しないと言われる秘宝石、エルクシードといいます。この石には、古代文明のある力を無限に引き出す能力があり、私は彼等に対抗する為にコレを盗み出したんです」

 

 

姫「成る程……ん?だが、それなら何でさっきの戦いの時にそれを使わなかった?古代文明の力とやらを引き出せるなら、GEAR電童達と対等に戦えたのではないか?」

 

 

そう、エルクシードに古代文明の力を無限に引き出す力があるなら、先程の戦いでそれを使いGEAR電童達を返り討ちにするぐらい出来た筈だ。なのに何故エルクシードを使わなかったのかと姫が疑問げに首を傾げるが、紗耶香はそれに対し首を左右に振った。

 

 

紗耶香「確かにこのエルクシードには、古代文明の力を引き出す能力があります……ですが、石単体だけでは力を引き出す事は出来ないんです」

 

 

カリム「?それでは、どうやってその古代文明の力を引き出すのですか?」

 

 

エルクシードだけでは古代文明の力を引き出せない。紗耶香のその言葉にカリムの頭上は疑問符で埋め尽くされ、紗耶香はその疑問に言葉で答える事なく、ある方へと人差し指を向けた。そして零達がその指先を目で追っていくと、その先には此処から見える海の海上に浮かぶ一つの小島があった。

 

 

紗耶香「あの島に、かつて超古代時代の人々が建てた遺跡があるんです。その遺跡の奥にある祭壇の上にこのエルクシードを嵌め込めば、古代文明の力を引き出すことが出来るんです」

 

 

翔「じゃあつまり、エルクシードはその古代文明の力を解放する為の鍵みたいな物なのか?」

 

 

紗耶香「平たく言えばそうですね……ですがあの島の遺跡には、遺跡の奥に続くまでの道のりに様々な仕掛けが施されており、とても私だけでは遺跡に挑むことなど出来ません……」

 

 

零(……ん?この流れ……まさか……?)

 

 

暗い表情を浮かべる紗耶香の呟きを聞き、一人冷や汗を流していち早く嫌な予感を感じ取る零。だがそんな零の様子に気付かず、紗耶香は俯けていた顔を上げて言葉を紡いだ。

 

 

紗耶香「あの遺跡に挑むには、少なくとも何人か人手が必要なんです……だからお願いします!どうか貴方達の力を―――」

 

 

零「嫌だ断る他当たれ」

 

 

紗耶香「貸して下さ………って、お願いする前に断られたっ?!」

 

 

取り付く島さえ与えまいと言わんばかりに拒絶した零に紗耶香もショックを受けてしまい、翔は慌てて様子で零に耳打ちした。

 

 

翔(お、おい零!空気読めよ?!この流れは普通『仕方ない……力を貸してやるよ』的な言葉を掛けてやるべき場面だろう?!)

 

 

零(オイオイなんで俺がそんな事しなきゃならない?俺はただ優矢の奴を捜しに来ただけであってあの女を助けに来た訳じゃないんだぞ?それにさっきのだってカリム達が危険な目に合いそうだったから助けただけで、あの女を助けたのは単なるついでだ。だからこれ以上あの女に付き合う義理なんて俺にはない)

 

 

翔(いやだけど……!)

 

 

零(それにな……どう考えてもトラブル臭しかしないだろうこの展開!これ以上女絡みのトラブルに巻き込まれるのは御免だ!!)

 

 

翔(ってそっちが本音かっ?!)

 

 

零(当たり前だ!!お前に分かるかっ?!アズサから始まり、前の世界でもいきなり女湯に転移して警察に突き出されそうになったり自転車に轢かれたり水をぶっかけられたりボール打ち込まれたり!桜香には痴漢扱いされるわ紗耶香からはいきなり斬り掛けられるわ冥華から勝負を挑まれるわ木ノ花のボケに振り回されるわ!挙げ句の果てには桜香にいきなり唇を奪われてアテナにはその動画&画像をあのサイトに投稿される!その直後にこれだぞ?!可笑しいだろ?!これ以上トラブルに巻き込まれるぐらいなら此処で舌を噛み切って死んだ方がマシだ!!)

 

 

翔(ΣΣ其処まで嫌か?!)

 

 

零(そうだよ嫌だよ当たり前だろう!!何なんだ一体?!こんな立て続けに女に絡まれるとか最早悪意しか感じないぞ?!この世界は其処までして俺を殺したいのか?!俺が一体何をしたというんだ?!)

 

 

翔(……いや、他は知らんけど……半分ぐらいはお前のせいだと思うぞ……)

 

 

考えてみれば、アズサの時は零がハイパーゼクターを弄くりまくったせいで関わる事になったし、姫の時も零がツボに銃弾なんか撃ち込まなければ封印が解けることなんてなかったわけだし、他も似たようなものだし。

その事を口に出して言ってみるが、残念ながら零には届いていないらしく頭を抑えて溜め息を吐いている。そんな零は若干疲れた顔を作ると、ショックを受けて固まる紗耶香へ視線を戻した。

 

 

零「お前にも色々事情があるんだろうが、悪いがこっちも人捜しが忙しくて他の事に時間を裂いてる暇はないんだ。そういうのは他を当たってくれ」

 

 

紗耶香「……そう、ですか……そうですよね……迷惑でしたよね……」

 

 

冷たく言い放つ零の言葉を聞いて紗耶香は顔を俯け、暗い雰囲気を漂わせてブツブツと呟き出していく。

 

 

紗耶香「やっと……やっと皆の仇を討てる機会が来たのだと思ったのですが……そうですよね……私の都合で、皆さんを危険な目に合わせる訳にはいきませんよね……」

 

 

翔「……お、おい零……」

 

 

零「構うな、俺達の役目は他にある。さっさと優矢を見付けてこんな世界とおさらばするぞ」

 

 

一々他人の問題に構ってられるかと、零は紗耶香から背を向けて歩き出し、優矢を捜しに町へと向かおうとする。しかし……

 

 

カリム「――鬼畜……」

 

 

零「なっ……」

 

 

ボソッと、背中越しに聞こえたカリムの言葉に思わず足を止めて振り返ると、見ればカリム達女性陣が冷めた視線をこちらに向けて送る姿があった。

 

 

零「おいコラ、今誰か誤解を招くような発言しなかったかっ……」

 

 

カリム「誤解も何も、本当の事でしょう?」

 

 

シャッハ「そうですね……女人の方がこうして困っているというのに、そんな方の頼みを一方的に断るなんて……」

 

 

零「っ!だからっ、俺達は優矢を捜しきた訳であってそいつの手伝いをしにきたワケじゃ……!」

 

 

アズサ「零……意地悪……」

 

 

姫「傷付くと分かっててそんな態度を取るとは、そういう趣味の持ち主なのか君は?変態か?」

 

 

シロ『んにゃー!』

 

 

零「…………なあ翔………なんだこの進んでも地獄、逃げても地獄の蟻地獄は?俺何か間違えてるか……?」

 

 

翔「……まああれだ。正論としては間違ってないと思うが、道徳的に言えばお前が間違ってると思うぞ?」

 

 

零「…………」

 

 

女性陣からボカスカ言われた上、翔からもそう言われて完全に孤立無援状態の零。そうして零は顔を動かし肩を落として沈む紗耶香とそんな彼女を慰める女性陣を交互に見つめると、暫く時間を置いてから深い溜め息を吐き……

 

 

零「―――分かった……手伝えば良いんだろう手伝えばっ……」

 

 

紗耶香「?!ほ、本当ですか?」

 

 

零「あぁ……だからさっさとその遺跡とやらに行ってさっさと用事を済ませるぞ……で、あの小島にはどうやって行くんだ?」

 

 

無駄なお喋りの時間は省いてさっさと本題に入る零。それを聞いた紗耶香は一瞬唖然となりながらもすぐに正気に戻り、懐から畳んだ地図を取り出して零達に見える様に地図を広げた。

 

 

紗耶香「先ずあの島に行くには、この島の港にある乗客船に乗る必要があります。あの島の遺跡は一般的に観光地として有名になってますから、堂々と観光客として行っても怪しまれる事はないでしょう」

 

 

翔「?だが、一々船に乗る必要があるのか?それなら転移とか使った方が早い気がするんだが……」

 

 

紗耶香「いいえ、転移など使えばGEAR電童達に一瞬で探知され、彼等がすぐさま駆け付けてきます。ですので、魔法や転移などの類は極力使わないように気をつけて下さい」

 

 

零「……大体分かった……それで、その港は何処にあるんだ?遠いのか?」

 

 

紗耶香「そうですね………此処からなら港まで、車で行ってもせいぜい20分ぐらいは掛かると思います」

 

 

翔「うわっ、じゃあそんだけ掛かる距離を徒歩で行くしかないって訳か?はぁ、転移に変わるアシとか何かないのかよυυ」

 

 

姫「……ふふん。それなら妙案があるぞ?」

 

 

溜め息を吐く翔にそう言いながら、姫は不敵な笑みを浮かべて道路の向こうへと目をやった。そちらからは、一台の軽トラが近付いてくるのが小さく見え、それを見た零は何かに気付いたように驚愕した。

 

 

零「お前、まさか?!」

 

 

姫「じゃじゃーん!ヒッチハイク大作戦!!へーい、そこのむさ苦しいトラックの運転手!この美人の姉ちゃん達とドライブする気はないかーい!!」

 

 

親指を立てた右手を差し出し、バチーン!と悩殺ウィンクを決める姫。すると、トラックは彼女の五十メートル手前で丁寧に停車すると、ゆっくりとUターンし、正確な運転テクニックでその場を去った。ニッコリ笑顔で悩殺ウィンクした姫は、そのままの表情でこう言った。

 

 

姫「……やっちまうか」

 

 

零「阿呆が、あれは運転手の判断が正しい」

 

 

誰が真昼間から悩殺ウィンク決めてヒッチハイクする女なんぞ乗せるかと、零は呆れたような目のままふと近くにあるバス停の運転表を見付け、柱の看板へと近付き運転表を確認していく。

 

 

姫「ッ!ま、まさか、バスか?!バスに乗る気か?!」

 

 

零「ああ、今可能な移動手段といったらコレしかないからな……むう、どうやらさっき便が出たばかりのようだな……」

 

 

姫「いいやちょっと待て!バスに乗るのは我々女性陣からしてどうかと思うぞ、うん!」

 

 

零「?何故だ?」

 

 

姫「分からないか?!電車・バスは女性がよく痴漢や盗撮の被害に遭う魔の乗り物!あの中では目を光らせた性欲の塊である男共がウヨウヨとたむろし、女のスカートの中に手を突っ込みカメラを突っ込み!しかもその動画をとあるサイトに流し、万人以上の世の男共がそれを見て息を荒げながら白濁液を……イヤァァアアアアアアアアアア!!!そんな危ないところなんていけなぁーーい!!」

 

 

零「お前の頭ん中の方がよっぽど危ねえよ」

 

 

頬に両手を当てて絶叫する姫にバッサリと言い放ち、港行きのバスを捜して看板の運転表を目で追っていく零。どうやら港行きのバスは次の次らしく、零は少し唸りながら紗耶香に顔を向けた。

 

 

零「……取りあえずバスをアシに使おうと考えてるんだが、構わないか?港行きはまだ暫く来ないが、歩いていくより断然楽だと思うんだが」

 

 

紗耶香「あ、はい。私の方は大丈夫ですが……あちらはいいんですか……?」

 

 

零「ん?」

 

 

紗耶香は何故か複雑そうな顔で自分の真横を指差し、零はそんな紗耶香の様子に疑問符を浮かべながらその方へと目をやった。其処には……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

姫「いくぞカリム!さっき私が教えたやり方は覚えたな?!」

 

 

カリム「え、ええ……ですが、バスを使うんじゃないんですか?υυ」

 

 

姫「何を言う?!君は良いのか?!あんな危険な場所であんな事やこんな事をされ、その様子を撮られた絵をネットで見た男共にハアハアシコシコビュッビュッされてしまっても?!」

 

 

カリム「いえ、あのぉ……仰ってる意味が分からないのですが……υυ」

 

 

姫「さあ行くのだカリム!私達の純潔は君の手に委ねられている!今こそ立ち上がれ!今こそ戦え!レッツゴーヒッチハァァァァァァイクッ!!」

 

 

カリム「な、何だか分かりませんが…分かりました!へ、へーい!そこの汗くさそうな運転手!このピッチピチの姉ちゃん達とドライブする気はなしにつきかーい!!」

 

 

シャッハ「ちょ、騎士カリムに変な事吹き込まないで下さい!!ってああぁ?!騎士カリムもなにタクシー止めてるんですか?!いえ違うんですこれは間違いと言いますか何と言いますか―――って貴方達もこっちほっぽいて二台目止めようとするなァァああああああああああああああああああああああああっっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翔「…………………」

 

 

零「…………………」

 

 

翔「なあ……止めた方が良かないか?」

 

 

零「そうか?俺は寧ろ全力で他人の振りをしたいんだが……」

 

 

アズサ「ん……眠い……」

 

 

シロ『にゃー』

 

 

紗耶香(……この人達に頼んで本当に良かったんだろうか……)

 

 

ブッブー!とクラクションの音が響き渡る道路で聖王教会の騎士と桜ノ神がハイに暴れ回る中、我関せずというように無視を決め込む零と、眠そうに頭をふらふらさせてバス停のベンチに座るアズサを見て、思わずこんなんで大丈夫なのかと不安になってしまう紗耶香なのであった。

 

 

 

 

 

 

因みに二人のヒッチハイク大作戦は港行きのバスが来るまで続いたのだが、結果は予想通り0。

 

 

というのも、それはシャッハが二人のヒッチハイクで止めてしまった車の運転手にペコペコ頭を下げながら駆け回った事でそのような結果となったのだが。

 

 

そうして一つの戦を終えたシャッハは疲労の余りバスの中の席でグッタリともたれ掛かり、港に到着するまで零達にずっと看病されていたとか……

 

 

 

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