仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
―風見市・ショッピングモール―
零達一行がバスで港へと向かった頃、島一番のショッピングモールでは三人の男女が大量の買物袋を持って帰路を歩いていた。そして一台のバイクを教えて歩く青年……零達が探している優矢はバイクに積んだ買物袋と青年達が持つ買物袋を見て苦笑いを浮かべた。
優矢「いやぁー、手伝ってもらって悪いな二人とも。俺一人じゃこの量は持ち帰れなくてさυυ」
「いえいえ、気にしないで下さい♪私達も夕飯の買い出しを手伝ってもらいましたし♪」
「そうだな……ま、流石にこんだけの量を持って帰るのはかったるいが」
そう言ったのは、優矢がこの世界に飛ばされて出来た友人の二人……"朝倉音夢"と"朝倉純一"だ。笑顔で気にするなと告げる音夢とは対象に、純一はかったるいといった顔で自分の両手に握られた買物袋を見下ろし、優矢はそんな純一を見て相変わらずだなぁ…と苦笑したまま目の前に目を向けた。
優矢「それにしても、この世界に飛ばされてからもう三週間経つのか……」
音夢「あ、そういえばそうですね……何だか優矢君、もうすっかりこの島に馴染んできましたよね♪」
優矢「まあ、此処の人達が良くしてくれたおかげでもあるけどさ。最初の頃はホント、これからどうしようかなぁーって途方に暮れてたし……」
最初にこの世界に飛ばされた頃を思い出し、優矢は思わず懐かしげに笑みを零しながら空を仰いだ。
優矢「取りあえずは、もう片方の仲間が何処に飛ばされたか見つかるまで居座らせてもらってるけど……中々見つかんないんだよなぁ、アイツ……」
純一「アイツって……確か黒月零さんだっけか?お前の旅仲間っていう」
優矢「そっ。アイツって、行く先々で良くトラブルに巻き込まれるからさ?きっと今も、どっかで面倒事に巻き込まれてるじゃないかなーって気になってんだよυυ」
ま、そうそう厄介事に巻き込まれるわけがないかと、優矢は思ったより心配性な自分に思わず苦笑いした。その予想が間違ってないとも知らずに……
純一「なら、その人が見付かったら帰るのか?お前が元いた場所に……」
優矢「んー……そうだな……きっと皆も心配してるだろうし、俺もまだ旅の途中だし……その時が来たら帰ると思うよ」
音夢「そう、ですか……もしそうなったら、寂しくなりますね……」
仲間が見付かれば優矢はこの島を去ってしまう。その時の事を思い浮かべた音夢は若干寂しげに表情を曇らせて顔を俯け、そんな音夢の様子を見て優矢も言葉が詰まって頬を掻いていき、純一は二人の様子を見て軽く溜め息を吐いた。
純一「別に今すぐそうなるって訳じゃねえんだ、一々気にすることないだろう?それより早く帰るぞ。あんまり遅いとさくらがうるさいだろうし」
優矢「……そうだな。うし!帰ったら荷物運びに付き合ってくれた例に、特製のおはぎ作って持っててやるよ!」
音夢「あ…じゃ、じゃあ!この前入った美味しいお茶も出しますね!良ければ、優矢君もご一緒しませんか?」
優矢「え、マジ?じゃあ、せっかくだからそうしようかなぁ?」
純一のフォローのおかげで別の話題に切り替える事ができ、優矢は音夢のお誘いを受けて後で朝倉家でお茶をしようかと考えていく。そして三人が談笑しながら帰路を歩いていると……
優矢「……あれ?」
純一「……?どうした?」
不意に優矢が目の前を見て疑問げな声を上げながら足を止め、純一と音夢はいきなり立ち止まった優矢を見て不思議そうに首を傾げると、優矢の視線を追うように目の前へと振り返った。其処には……
「ひぐっ……うっ……うぅ……」
「…………」
三人から数メートル離れた先の道の真ん中に、二人の青年と少女が手を繋ぎながらジッと立ち尽くしていたのだ。少女は何度も目を擦りながらボロボロと涙を流し、青年は何かを探すようにキョロキョロと辺りを見渡している。何だか様子が可笑しいと思った三人は顔を見合わせると、青年の下へと歩み寄っていく。
音夢「あのー、どうかしたんですか?」
「……?君達は……?」
優矢「あ、俺達はこの辺に住んでるんだけど……どうかしたのか?何か探してるみたいだったけど?」
そう言いながら青年と手を繋いでる少女に目を向けるが、少女は涙ぐんだままで何も答えず、青年もそんな少女を見て困ったように眉を寄せた。
「実は、この子がお母さんとはぐれてしまったらしくてね。たまたま此処を通り掛かった時に、この子が道の真ん中で泣いていたから一緒に探してあげてるんだけど……中々見つからなくて困ってたんだ……」
頭を掻きながら困った顔を浮かべる青年。事情を聞いた三人はそうだったのかと状況を理解し、音夢は少女と目線を合わせるように腰を屈めて頭を撫で、優矢は少し考える仕種を見せると青年に語りかけた。
優矢「なあ、その娘が何処で母親とはぐれたのか分からないのか?」
「?確か……桜公園って所だったかな?そこでお母さんと一緒に遊んでたらしいけど……」
音夢「じゃあ一度、その公園に戻ってみませんか?もしかしたらこの子のお母さんが捜してるかもしれませんし」
きっとこの子の母親も其処にいるかもしれないしと、音夢の提案に青年は少し顔を俯けながら考え首を縦に振り、四人は迷子の母親を捜しに桜公園へと向かっていったのだった。
◇◆◆
それから数十分後、桜公園……
「本当に、ありがとうございました!」
そう言って頭を下げたのは、四人が捜していた迷子の母親である。その傍らには母親と手を繋ぐ少女が四人の顔を見上げており、二人は優矢達にもう一度礼を告げて家へと帰っていった。そうして青年は母親と少女に向けて手を振って見送ると、優矢達と向き合った。
「ホントに助かったよ……僕だけじゃあの子の母親を見付けられなかったと思うし。ありがとう」
優矢「良いって良いって♪ところでさ、アンタもしかして観光者か何かか?」
「え…どうして…?」
優矢「いやだって、この辺の事とかあんま詳しくなさそうだったからさ。ちょっと気になったんだけど……違ったか?」
「あ、ううん…そうだね…一応そんなとこかな?昨日知り合いと一緒にこの島に来たばかりで、余り此処の土地には慣れてなくてね」
音夢「そうだったんですか……なら、此処へはお知り合いの誰かと一緒に?」
「いいや、ちょっと散歩したくてホテルを抜け出してきたんだ。それで此処まで歩いて来たらさっきの女の子が泣いてるのを見付けてね……放っておけなけなくて、一緒にお母さんを探してたんだ」
優矢「へえ……もしかして子供とか好きなのか?」
「?……そうだね……子供は好きかな……あの子達の笑顔を見てると、なんだか僕も嬉しくなるから……」
優矢の問い掛けに対しそう答えて穏やかに微笑むと、青年と優矢達の間を一陣の風が突き抜けた。四人が思わず風が去った方へと振り向くと、其処には満開の桜の木が立ち並ぶ光景が広がっている。
「…綺麗な島だね、此処は…一年中桜が咲き誇ってるなんて、まるで夢のような所だ…」
音夢「ふふふ…そう言ってもらえると、なんだか私も嬉しいです♪」
純一「おいおい、別にお前が褒められてる訳じゃねえだろ?」
嬉しそうに微笑む音夢の隣で呆れる様に溜め息を吐く純一。そんな純一の言葉に音夢は「むぅ……」と唸りながら純一をジト目で睨み、青年も純一と音夢のやり取りを見て思わず吹き出してしまう。
音夢「ちょ、わ、笑わないで下さいよ!υυ」
「フフフ…いやゴメンね…何か仲の良い二人だなぁーと思って、つい…」
クスクスと笑みをこぼす青年に音夢は思わず頬を膨らませ、優矢と純一はそんな二人のやり取りを見て顔を見合わせながら苦笑いを浮かべた。とそんな時、不意に青年のズボンのポケットから携帯のメールの着信音が響き渡り、青年は携帯を取り出しメールを確認していく。
「あっ…ゴメン、知り合いからだ。僕もう行かないと…」
優矢「そうなのか?…あ、そういえば…アンタ名前は?なんかすっかり聞きそびれてたよυυ」
青年の名前を聞きそびれてた事を思い出し、頭を掻きながら苦笑を浮かべる優矢。だが青年もすっかり忘れてたらしく、同じ様に苦笑しながら自身の名前を告げていく。
「僕は薫……白金 薫(シロガネ カオル)って言うんだ。君達の名前は?」
優矢「白金 薫か……俺は優矢、桜川優矢だ。よろしくな?」
音夢「えと、私は朝倉音夢です♪よろしく白金君♪」
純一「朝倉純一だ。かったるいがよろしくな」
薫「桜川優矢……朝倉音夢……朝倉純一……いい名前だね」
青年……白金薫は優矢達の名前を口ずさんで穏やかに微笑み、名前を褒められた三人は照れ臭そうにしていた。すると薫は携帯のディスプレイに映る時間を見て携帯を仕舞い、優矢達と向き合っていく。
薫「それじゃあ、僕はそろそろ行くよ」
優矢「あぁ…またどっかで会えたらいいな…」
薫「うん、僕もそう思うよ…じゃあ、またね」
三人に向けて片手を振りながらそう言うと、薫はそのまま公園の入り口から出て何処へと歩き去っていき、優矢達はそんな薫の背中を最後まで見送っていく。
優矢「良い奴だったな……アイツ……」
音夢「そうですね、また何処かで会えたらいいなぁ…」
純一「そうだな……けど、俺達も早く帰らないと食材が痛んじまうぞ?」
優矢「え?…ってやっばっ?!すっかり忘れてた?!」
純一に指摘されて足元に置いておいた買物袋の存在を今頃思い出した優矢は慌てて買物袋を両手に持ち、二人と共に急いで家へと戻っていったのだった。
◆◇◆
そしてその頃、優矢達と別れた薫は携帯を耳に当てながら桜並木を歩いていた。
『どうだ、捜し物は見付かったか?』
薫「…一応ね…それより、僕もそろそろ動かなきゃいけないのかな?」
『あぁ。ターゲットは島を離れ始めてるし、GEAR電童の奴らももうじきあの島へ向かうハズだ。次の指示が届いたら、すぐさま行動に移れ……いいな?』
薫「…うん…分かったよ…総一…」
電話越しの相手……組織のメンバーである成宮総一の指示に頷き返すと、携帯を閉じってポケットへと仕舞い、薫はそのまま風見市へと視線を向けた。
薫「桜川優矢、か……やりにくくなっちゃったな……」
何処か切なげな顔で風見市を見つめる薫。そして薫は総一からの次の指示を待つため、ゆっくりと町へ下りていくのであった……