仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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第十八章/GEAR電童の世界④

 

 

―ルルイエ島―

 

 

初音島から乗客船に乗り、約一時間で到着する位置に存在する島…ルルイエ島。初音島より一回り小さい島の中心地には様々な遺跡の跡が幾つも存在しており、中には現代の科学者の頭脳でも解明出来てないモノが幾つもある。そんなルルイエ島の某所では一人の少女……アズサが海を背にして立っていた。

 

 

アズサ「皆さんこんにちは。さあ今週も始まりました『突撃!旅のオカリナ!』。この番組は皆さんが気になる観光スポットをまるごと紹介していく番組です。番組の司会を勤めますはわたしく、アズサです。よろしく」

 

 

淡々とした口調で自己紹介しながら、ペコリと可愛らしくお辞儀をするアズサ。それに続くようにアズサの傍らに座る黒猫が『にゃー』と鳴き、アズサはそんな黒猫に向けて口に人差し指を当てながら注意すると話しを続けていく。

 

 

アズサ「今回皆さんに紹介しますは此処、初音島のお隣に位置するルルイエ島です。こちらでは数百年程前に作られたと思われる様々な遺跡が在り、それを一目見ようと大勢の観光客がこの島に訪れるそうです。それでは、早速気になる現場を見てみましょう……ヒメさーん?」

 

 

アズサが手の平を横に差し出して姫の名を呼ぶと共に場面が切り変わり、とある遺跡の前に立つ姫の背中が移った。そして場面が切り替わると共に姫は意気揚々とクルリと振り返り……

 

 

姫「はぁーい、こちら現場のヒメでぇーす!」

 

 

……普段なら絶対言わないような口調で頬に片手を添えて小首を傾げ、満面笑顔でそう答えたのであった。しかし姫は特に顔色を変える事なく、リポートを続けながら辺りを歩き回っていく。

 

 

姫「今回私がやって来たのは此処、ルルイエ島ぉ~!見て下さいコレ!この恐々しい男性の顔をしたような大きい石!これは古代文明の人々が作ったと思われる彫刻ではないかって、偉い科学者さん達に言われてるんですよー?スゴォーイ!」

 

 

などとぶりっ子口調で言いながら、男性の顔を模した石を見て驚きを表すようにわざとらしく口を押さえる姫だが、すぐに興味をなくしたように石から離れ背後の遺跡を紹介し始めた。

 

 

姫「はい、そしてこちらがこの島のメイン!ルルイエ島の古代遺跡……なんですけど、一部の遺跡は一般公開禁止で入れないんですよねぇー。ざーんねーん……なんでも遺跡の中に何重もの仕掛けがあるみたいで、そのせいで中に入れないみたぁーい!」

 

 

姫はフルフルと身体を揺らしながら大袈裟にアピールし、今度は此処から見える海に向かって人差し指を指した。

 

 

姫「さて!お次はこの島のもう一つの観光スポット、カミーナ海岸!綺麗な海や砂浜をリポートするため、わたくしヒメが水着に着替えちゃいまーすぅ!そしてもしかしたらぁ……ポ~ロリがあ~るかもしれないぞ♡」

 

 

零「ねえよ」

 

 

と、悩殺ウィンクを決めた姫の隣でバッサリと言い放ったのは、今のやり取りを一部始終ジト目で見ていた零であった。いきなり横槍を入れられた姫は不満げな顔で零の方へと振り返り、少し離れた場所にいたアズサもトテトテと姫の隣に立ち並んだ。

 

 

姫「なんだ零、邪魔をするな。せっかくアズサと一緒に『突撃!旅のオカリナ!』ごっこしてたのに」

 

 

零「邪魔しなきゃ延々と続いてただろうこの茶番……そもそも何だこれ?何なんだ一体?」

 

 

姫「なんだ、君はさっきの乗客船で見なかったのか?旅番組『突撃!旅のオカリナ!』。多くの芸能人が国内や外国の観光スポットを旅し、その観光地で様々なおもしろ企画をやる番組らしいぞ。因みにさっき私がやっていたのも旅のオカリナのアイドル、藤本彩ちゃんの真似だ。中々のクオリティだろ!」

 

 

零「いや知らないし聞いてないし胸張って言われてもどうリアクションしたらいいか分からんから……大体お前も何やってるんだアズサ……?」

 

 

フフンと、得意げに胸を張る姫を無視して零が呆れるようにアズサに問い掛けると、アズサはその問いに小首を傾げた。

 

 

アズサ「だって、あの番組は有名だから話題に付いていけるようにチェックしておいた方が良いって、ヒメが……」

 

 

零「……コイツに何仕込もうとしとるだお前は……」

 

 

姫「仕込むとは人聞きの悪い。アズサは裏世界の掟などを一般常識に捉えてるのだから、少々こじつけてでも色々教えなければいかんだろう?ねー?」

 

 

アズサ「ねー」

 

 

零「ねーじゃねえよ」

 

 

視線を交わして頷き合う姫とアズサに冷静にツッコミを入れる零。そしてそんなやり取りを離れて見ていたカリムとシャッハと翔はただ苦笑いを浮かべ、紗耶香は溜め息を吐きながら前へ出た。

 

 

紗耶香「あの……そろそろ出発したいのですが、よろしいですか?」

 

 

姫「ああすまんすまん、零が横槍入れるからすっかり遅くなってしまった」

 

 

零「なんで俺のせいにされてるんだっ……」

 

 

翔「抑えろ抑えろ……ところで、このまま中に入って大丈夫なのか?此処の遺跡って一般公開はされてないんだろう?」

 

 

翔は零を宥めながら目の前に佇む遺跡を見上げながら疑問げに紗耶香に問い掛けるが、紗耶香は「問題ありません」と告げながら一同の前に出た。

 

 

紗耶香「それに関してはこちらで根回ししておきましたので、気にする事はありません。さぁ、先を急ぎましょう?モタモタしていたら、GEAR電童達に追い付かれるかもしれません」

 

 

そう言って紗耶香は戸惑うことなく遺跡の中へと足を踏み入れて奥へと進んでいき、それを見た姫達は一度顔を見合わせると若干躊躇しながら紗耶香の後を追うように遺跡の中へと進んでいく。だが零と翔は何故かその場から動こうとせず、互いに目を合わせた。

 

 

翔(なあ零……何か妙じゃないか……?)

 

 

零(手際が良すぎる……と言いたいんだろう?それにこの感覚……)

 

 

翔(あぁ……人払いの結界、しかもかなり高度な結界がここら一帯に張られてる……シャッハさんでも気付いてる様子はなかったし、多分普通の結界じゃないな……コイツは……)

 

 

そう言って翔は険しい顔で島の上空を見上げていき、零は軽く息を吐いて遺跡を見据えていく。

 

 

零(あの女の仕業か…GEAR電童達の仕業か…それとも別の人間か…黒幕が誰かは知らんが、警戒するに越したことはないだろうな……取りあえず今は奴らの好きなようにさせておけばいいだろ……)

 

 

翔(敢えて相手の策に乗る……って事か?)

 

 

零(簡単に尻尾を出すとは思えんしな……今は用意された舞台の上で踊ってやればいいさ……ソイツ等を叩く叩かないかは、その後で決めればいい……)

 

 

証拠を押さえたりあれこれ考えるより、正体を明かしたところを叩き潰した方が手っ取り早いだろう?と、零はそれだけ告げると軽い足取りで遺跡の中へと足を踏み入れていき、翔も「そんなもんか?」と半ば呆れながら零の後を追い掛けていった。

 

 

 

 

 

◇◆◆

 

 

 

 

―ジェイルの研究所―

 

 

その頃、とある研究施設。其処には研究所のロビーで何かを話し合う数人の青年達の姿があり、ロビーのソファーに座る青年……大輝がこの世界のジェイルと対談していた。

 

 

ジェイル(別)「――つまり、ファウストと共に消えた彼等はこの世界を破壊しようと目論む破壊者達……という事かな?」

 

 

大輝「そっ、だから彼等はエルクシードを持つ彼女を助けたのさ。アレを使ってこの世界を破壊するため、そして君達ライダーを倒すために……ね?」

 

 

ソファーでくつろぎながらジェイル達に告げる大輝。だがジェイルの背後に立つ銀髪の青年と黒髪の青年は何処か納得出来ないのか、若干訝しげな顔を浮かべていた。

 

 

「世界の破壊者ですか……私には少し信じ難いですね……」

 

 

「そうだな。それに全てのライダーの敵というなら、同じライダーであるファウストを破壊せずに助けたりはしないだろう……お前の言葉を簡単には信用出来ない。奴が全てのライダーの敵だというなら、その証拠が何処にある?」

 

 

疑心の篭った目付きで大輝を睨み付けながらそう問い掛ける二人であるが、大輝はそれに対してただ不敵な笑みを浮かべ、胸ポケットから数枚の写真を取り出しテーブルに上に投げ付けた。その写真とは……

 

 

「……っ?!これは……」

 

 

大輝「これが証拠さ。本当に彼がライダー達の敵じゃないなら、こんな風に彼等と戦う筈がないと思うけど?」

 

 

大輝が投げ付けた写真……その写真には、ディケイドがクウガやキバ、firstに龍王といった様々なライダーと戦う姿が映し出されていたのだ。それを見た一同は険しい表情で写真を見ていき、大輝はニヤリと笑みを作りながら口を開いた。

 

 

大輝「ちなみに彼等は今ルルイエ島の遺跡に訪れてる……古代文明の力を手に入れる為にね」

 

 

ジェイル「馬鹿な!彼処には様々な仕掛けがあるんだぞ?!幾らライダーと言っても……!」

 

 

大輝「確かに、常識外れな仕掛けがあるなら彼等でもマズイかもね……だけど、その為に彼等はファウストを助けたのさ」

 

 

「?どういう意味だ?」

 

 

大輝「何故彼等が倒すべきライダーである彼女を助けたと思う?古代文明の力を狙うなら彼女はあの遺跡に関して調べてるだろうし、いざって時の身代わりにもなる……どうせ消すなら、利用出来る所まで利用してからの方がいいと思わないかい?」

 

 

「?!」

 

 

つまり、ファウストを助けたのは遺跡攻略に利用するためという訳か。頭で瞬時にそれを理解した青年達はすぐさま研究所を出てルルイエ島へと向かっていき、大輝はその様子を見て静かに笑みを浮かべた。

 

 

大輝(上手くいったな……流石に翔やアズサに姫さんがいるんじゃ俺でもマズイからね。頑張ってくれよ、GEAR電童君達?君達が零達と戦ってる間に、エルクシードは俺が手に入れてみせる……)

 

 

青年達が出ていった入口を見つめながらそう考えると、大輝はズボンのポケットに両手を突っ込みながら立ち上がり、そのまま研究所を後にし何処かへと去っていってしまった。

 

 

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