仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
―風見市・ショッピングモール―
優矢が芳乃家を飛び出して数十分後。先程まで大勢の人々で賑わっていたショッピングモールは無惨な姿へと成り果て、人の影もなく瓦礫の山だけが無造作に転がっていた。そんな場所へとクウガに変身した優矢がトライチュイサーに乗って駆け付け、辺りを見渡して顔をしかめた。
クウガ『何だよこりゃ……ひでぇっ……』
先程の活気ある光景も見る影もなく、あまりの惨状に仮面の下で唇を噛み締めるクウガ。だが今は他に取り残された人がいないか調べる方が先だと、クウガはトライチュイサーから降りて町を調べようと歩き出した。そんな時……
「―――やっと来てくれたね……」
クウガ『ッ?!』
背後から聞こえきた青年の声。その声を聞いたクウガは慌てて背後へと振り返り咄嗟に構えを取ってその人物を見据えた。霧のような白い煙に遮られて顔はよく見えないが、風が吹いた事で徐々に煙が晴れていき、その人物の顔が次第に見え始める。その正体は……
薫「…………」
クウガ『―――ッ?!か、薫……?』
そう、その人物の正体とは、先程優矢達が知り合った青年である白金薫だったのだ。煙の奥から姿を現した薫にクウガも思わず構えを解いて呆然となるが、すぐさま正気に戻って薫に呼び掛けた。
クウガ『な、何してるんだこんなとこで?!早く逃げろ!此処は今危険なんだ!』
薫「…………」
此処は危険だから早く逃げろと、自分が変身してる事も忘れて必死に呼びかけるクウガ。だが、何故か薫はその場から一歩も動こうとせず、代わりに自分の右手をゆっくりと上げてクウガに手の平を翳した。その時……
―……キイィィィィィィィィィィィィンッ!―
クウガ『?!うあ…なっ…グアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ?!』
突如クウガの脳裏に膨大な何かが流れ込み、クウガは両手で頭を抱えながら地面に膝を付けて悲痛な絶叫を上げ始めたのだ。その様子を見ても薫は無表情のまま手の平を翳し続け、クウガに少しずつ歩み寄っていく。
薫「大丈夫、痛み一瞬だよ……ほら、ちゃんと集中しないと意識を持ってかれるよ?」
クウガ『アッ、ガッ……!な、何言ってっ……ウアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!』
不可解な言葉を放つ薫に思わず聞き返そうとするも、そんな余裕すら与えてくれまいと脳を潰してしまいそうな頭痛が襲い掛かった。そして地面の上でもがき苦しむクウガの脳裏に、突然ある映像が流れ出した……
――白銀に染まった雪原。
――辺りを覆い隠す激しい吹雪。
乱れ飛ぶ雪によって視界が遮られる中、そんな吹雪の中で二人の異形が戦う姿があった……
―ドガァッ!!ドシャアッ!!グシャアァッ!!―
『うあぁっ…ぁ…うっ……うああああぁぁぁぁーーーーーーっ!!!』
『ハハハ!!アハハハハハハハハァッ!!』
―――片や黒き闇を従え、皆の笑顔の為に泣きながら拳を振るう黒と金の異形。
―――片や白き闇を従え、己の娯楽の為に笑いながら拳を振るう白と金の異形。
互いに身体を殴り付けて血を噴き出し、全身や雪原を紅く染め上げ、それでも尚戦い続ける二人の異形……。
―――この二人が何者なのか、何故戦っているのか。それすらも分からないまま徐々に映像が薄れていき、それと共に頭を締め付けていた頭痛も消えていった。
クウガ『ぁ……っ……今、のはっ……?』
薫「どう?少しは掴めた?君の中に眠る、"究極の闇"になれる方法を……」
クウガ『っ……お前……は……一体っ……?』
薫が何を言っているのかは分からない。それでも痛む頭を押さえながら苦しげに問い掛けると、薫は無言のままうっすらと笑みを浮かべながらその姿を変え始めた。
クワガタを模したような二本の金色の角……
体の至るところに鉄の装飾を身に付けた、白い異形の身体……
そしてその腰には、クウガにも身に覚えがある欠けた不気味なベルト……グロンギの証である異形のベルトが身につけられていた。
クウガ『?!薫……お前っ?!』
『そういえば、この姿での名前は言ってなかったね、優矢……僕の名は白金薫。そしてもう一つの名は――』
……その姿は、嘗て優矢の世界とは違う別世界のグロンギ達を統べていた者……
殺しや破壊を『遊び』と捉え、自らが復活させたグロンギの半数を殺戮し、ザギバス・ゲゲルで3万人以上の人間を殺害した最強最悪のグロンギ……その名は――――
『僕のもう一つの名は……ダグバ。未確認生命体0号って言えば、君には分かりやすいかな?』
未確認生命体第0号……"ン・ダグバ・ゼバ"。
かつて正史のクウガと戦い倒された筈の、最強の怪人であった……